要請・提言書



2022年度県予算編成への要望  2021年11月24日
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 熊本県知事 蒲島郁夫様
   2021年11月24日
  日本共産党熊本県委員会  
  県委員長  松岡 勝
   2022年度県予算編成への要望
 【はじめに】
 新しく発足した第2次岸田内閣の下、新型コロナウイルス感染の長期化を受けた新たな経済対策が閣議決定されました。岸田首相は「成長と分配の好循環」により、「新しい資本主義」を実現すると強調しています。しかし「アベノミクスの継承」では、好循環をもたらすどころか国民生活はますます疲弊しかねません。安倍政権からの9年間で大企業は利益を増やし、内部留保は史上最高額に膨れ上がっているものの、労働者の実質賃金は年額22万円も減少し、個人消費の低迷を背景にGDPは低迷・停滞しています。
 大企業本位の「アベノミクス」の継承ではなく、国民本位の緊急の経済対策を実施するとともに、安心の社会保障と人間らしく働くルールをつくり、庶民の暮らしの底上げで経済をよくしていく方向への切り替えが必要です。とりわけ、コロナ禍からの復興のカギとしていま注目されている「グリーン・リカバリー」の推進を、すべての分野において貫くことが必要です。
 こうした観点から、2022年度の熊本県予算編成に際しては、以下の五点が重要であると考えます。
 第一に、県民の命と暮らしを何よりも大切にするということです。新型コロナ感染症は、新規感染者の減少が顕著になっていますが、再び感染爆発がいつ始まるとも限りません。PCR検査の抑制政策の転換、医療現場の人員不足を解決するための具体策を講じておかなければ、医療崩壊が繰り返されかねません。大幅なコロナ病床の拡充、臨時の医療施設の増設、保健所の体制強化などをはかること、国による医療費削減路線や病床削減政策からの転換を図ることが重要です。またコロナ禍のもとで困窮する県民生活に対し、給付金の対象を広げ拡充することが求められます。
 第二に、貧困と格差拡大の新自由主義の政治からの根本的な転換です。県民の暮らしと権利を守るルールある経済社会を目指す中でこそ、成長は可能になります。大企業の誘致や巨大ダム建設といった「呼び込み型・開発優先」の県政運営が本当に県の地域経済や県民生活に改善をもたらし、持続可能な発展につながるのか、国言いなりにならずしっかりとした検証を行ない、熊本県ならではの「グリーン・リカバリー」の立場に立った取り組みの推進が必要です。
 第三に、いよいよ待ったなしの課題となっている気候危機打開への取り組みです。気候危機を打開するためのCO2削減には、社会システムの大改革が求められますが、この改革そのものが新しい雇用を創出し、地域経済を活性化し、新たな技術の開発など持続可能な成長の大きな可能性を広げるものとなります。
 第四に、ジェンダー平等社会の実現です。男女の賃金格差の是正など、働く場でのジェンダー平等実現、ハラスメントの根絶、選択的夫婦別姓やLGBTQ平等法の実現、外国人の人権を尊重し共生する社会づくりなど、多様性と個人の尊厳を大切にする県政運営が求められます。
 第五に、憲法を県政に生かすことです。いま政治に必要なことは憲法を変えることではなく、憲法の平和的・民主的条項を暮らしや社会に生かしていくことです。
 以上のような立場から、「2022年度県予算編成への要望」を提出するものです。ぜひ今後の予算編成・県政運営に活かしていただきますよう要望いたします。
 
 【緊急要望】
 1、新型コロナウイルス感染症対策について
 ・新たな感染爆発を引き起こさないためにも、大規模・集中的検査を大方針にすえ、クラスターが発生すれば多大な影響が出る医療機関、介護・福祉施設、大規模事業所や工場、保育園・幼稚園、学校、学童クラブなどでの定期的な検査をおこなうことや、空港や駅頭、大規模商業施設など人が密集し往来が激しい場所等において検査キットを配布するなど、徹底したPCR検査の実施で陽性者を保護し、感染拡大を抑えること。
 ・保健所の人員増・体制強化を図ること。
 ・減収補填など医療機関を支える支援を強化すること。
 ・陽性となった時、安心して休める補償が必要である。傷病手当をコロナ特例として、賃金の8割補償を行なうこと。自営業者など対象外となる人には国の休業支援金の対象とするなど、所得補償を行なうこと。
 ・感染が明らかになった場合は原則入院の立場を堅持するよう、引き続き医療体制の整備に努めること、国の「原則自宅療養」の方針を撤回するよう求めること。
 ・一回限りの支給で打ち切られた持続化給付金、家賃支援制度の再支給を国に求めること。
 ・コロナによる生活困窮者への支援策の拡充を国に求めること。コロナで傷んだ暮らしを応援する「暮らし応援給付金」の創設、生活福祉資金の特例貸し付けや住居確保給付金、生活保護制度など、利用しやすいものに改善・拡充すること。低所得一人親世帯への給付金など緊急支援を実施すること。苦境に直面している学生への緊急給付の再実施、学費免除などの対応を国に求めること。
 ・国の病床削減、国公立医療機関の再編統廃合計画に反対し、中止するよう求めること。
 
 2、被災者の生活再建支援
 ・最大300万円の上限を当面500万円に引き上げる事や一部損壊にも支援金を支給するなど、生活再建支援金の拡充、上乗せを国に求めること。
 ・仮設住宅の入居期限延長と入居スペースの拡充を国に求めること。しかるべき理由があれば仮設住宅内の転居を認めること。
 ・益城町の区画整理事業のために自宅再建ができない仮設住宅入居者について、いまだにプレハブの仮設住宅に入居させていることはあまりに非人道的であり、空いている災害公営住宅への転居を認めること。
 ・自治体と連携して仮設住宅や在宅被災者のコミュニティ形成を促進すること。安否や健康状態を定期的に掌握し、医療や介護機関との連携で被災者の暮らしを守ること。
 ・災害ケースマネジメントの導入を進め、一人ひとりの被災者に寄りそった支援ができる仕組みを作ること。
 ・復興住宅の不具合について、入居者から改善の要望があれば県と自治体の責任で改善すること。
 ・事業者への支援金、補助金について、申請手続きの簡略化と県独自の支援上乗せをおこなうこと。
 ・なりわい再建支援事業の適用要件を拡充して継続すること。
 ・仮設住宅(建設型、借り上げ型)や災害公営住宅入居者、在宅被災者が孤立しないよう、市民団体などが行なっている見守り活動や、コミュニティ形成のための取組みを継続的に支援すること。
 
 3、気候危機・温暖化対策
 ・2030年までの温室効果ガス削減目標は、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、「やれるところまでやればいい」ではなく、「やりきらなければならない」命題であることを熊本県としても明確に位置付けるべきである。日本政府の対応は、「2013年度比で46%(2010年度比では42%)」という削減目標そのものが低すぎること、石炭火力や原発頼みのエネルギー政策を続けていること、実用化のめども立っていない「新技術」を前提にしていることなど、重大な問題がある。日本共産党は、気候危機を打開するための「2030戦略」を発表し、2010年度比でCO2を50~60%削減することを目標として提案した。この目標は、多くの環境団体・シンクタンクが政治的、経済的な立場の違いはあっても共通して示している目標である。脱炭素社会の構築において決定的に重要な役割を担うことになるのは地方自治体であり、熊本県として国の姿勢に追随せず、2030年までの削減目標(2013年度比63%、2010年度比60%)を正面に掲げ、その実現に向けて責任を持った取り組みの推進を図るべきである。
 ・公共施設、公共事業、業務でどれだけCO2を削減できるかなど、熊本県自らの脱炭素化に向けた「目標と計画」と、区域内の脱炭素化の「目標と計画」をそれぞれ策定し、その実現のために県内企業との独自の協定、省エネ投資への独自の支援、断熱・省エネルギー住宅へのリフォーム、太陽光発電用パネルの設置などへの助成をおこなうこと。
 ・県内各市町村に、太陽光など再生可能エネルギーによる電力の利用、税金の優遇、補助金の申請、脱炭素に有効な製品・サービスの選択など、住民や地元企業に専門的なアドバイスをおこなえる支援窓口を設置すること。
 ・気候変動に適応した諸施策の推進を。県民の健康や暮らし、インフラ整備、産業分野など、各部局がそれぞれに温暖化・気候変動に適応した行動計画を早急に策定すること。
 ・再生可能エネルギー電力の優先接続の義務化、再生可能エネルギー電力の送電網・供給体制を整備するよう国に求めること。
 ・自治体や住民が共同で開発・運営する再生エネルギー事業推進への助成をおこなうこと。
 ・原発依存から脱却し、再生可能エネルギーへの転換をはかるよう国に求めること。熊本は風力、地熱、波力、水力、太陽光など豊富な自然エネルギーに恵まれている。新たなエネルギーの開発・普及に力を注ぐこと。
 ・小規模発電の普及のために、収益性が上がる買取価格の設定や、小規模木質発電に適する山村地域への送電線整備などを国に求めること。
 ・メガソーラーや大型風力発電のための乱開発や、森林破壊や土砂崩れ、住環境の悪 化や健康被害の危険を広げている。防災を無視した開発をやめさせるべきである。環境アセスメントや土砂崩れの危険性も評価事項に加えるなど環境を守る規制を強化し、乱開発をなくすルールを確立すること。山梨県がおこなっているように、メガソーラー設置規制区域を設定すること。
 ・CO2貯留量を増やす農地を確保することも重要である。耕作農地の減少を食い止め、農家への所得補償、価格保障や国内材の活用など農業・林業の振興を図ること。
 ・農山漁村での再生可能エネルギーの活用推進を図ること。ハウスなどの農業施設での化石燃料ゼロ、木材・バイオマス素材への転換など、生産プロセスの脱炭素化への取り組みを支援すること。
 ・営農を続けながら、農地の上部空間を有効活用することにより電気を得る「ソーラーシェアリング」への初期投資の支援など、促進をはかること。
 ・自動車の排ガス減少に向け、公共交通機関の整備拡充と自転車利用拡大のための環境整備を進めること。ガソリン車から電気自動車などゼロエミッション車への切り替えを進めるよう声を上げること。
 ・苓北町の石炭火力発電停止、再生可能エネルギーへの転換、雇用の確保、地域経済の振興を国・九州電力に求めること。
  
 4、気候危機のもとでの防災対策
 ・観測や研究体制の整備を進め、消防や住民などを中心とした地域・自治体の防災力を強化すること。
 ・盛り土の崩壊がけ崩れ、堤防決壊、液状化被害などの危険個所の点検と対策を全県的に実施すること。必要な防災施設を整備し、災害に強い町づくりを進めること。
 ・今後もなお災害の激甚化が予想されることから、公共事業政策の大転換が求められる。すなわち、従来の新規建設中心・大規模開発を抑制し、防災・減災の事業、インフラや公共施設の維持・更新事業に予算の重点的、優先的な配分を行ない、人的資源も、建設資材も、優先的に防災減災に投入できるようすべきである。
 ・ダムに偏重した治水対策を転換し、河道や堤防の整備、浸水時に対応した土地利用計画の樹立など、流域住民の参加と合意による流域の一体的な管理を行なうこと。
 ・「総合的な流域治水」と「ダムを含む治水計画」にはそもそも両立できない矛盾を抱えている。治水策の中にダム計画があれば、洪水調節を前提とした範囲で他のハード対策が抑制されることになり、ダムの緊急放流という異常事態においては、逆に重大な危険にさらされることになる。気候変動が進行するもとでは長期的な展望としてダムを含まない治水対策への転換を進めるべきである。
 ・建設中の立野ダムは将来の気候危機に対応できず、逆に重大な水害を引き起こす危険性を増大するものであり、建設を中止すべきである。
 ・短時間強雨の発生頻度が上がっており、都市型水害が多発している。都市型水害対策を水防計画、地域防災計画に位置付けるとともに河川、遊水池、下水道、貯留施設の整備などハード対策を進めること。
 ・洪水、津波、高潮、土砂崩れ、液状化などそれぞれのハザードマップを住民に提供するとともに、災害時を想定した住民説明会や避難訓練などの実施を徹底・強化すること。
 ・県内の道路、橋、トンネルや学校、公営住宅など、老朽化しているインフラや公共施設の修繕等が早期に着工、完了できるよう、財政的技術的支援の抜本的強化を国に求めること。
 ・インフラの総点検は繰り返し実施する必要がある。市町村が実施する点検の計画策定や点検費用に国・県が全面的に支援し、県内の市町村が、くまなく定期的に総点検が実施できる体制を確保すること。
 
 5、球磨川の治水対策と地域の再建について
 ・川辺川ダム建設容認表明を撤回し、建設中止を求めること。
 ・球磨川流域の道路、橋梁、鉄道の復旧は、川辺川ダム完成時の水位低減を前提とせず、令和2年豪雨災害に耐えうる高さまでかさ上げすることを基本に実施し、「元の場所に戻りたい」との被災者の願いにこたえる基盤整備をおこなうこと。
 ・かさ上げ計画前に自主的に公費解体を行なった家屋に対しても、かさ上げによる家屋解体の場合と同様の補償を行なうこと。
 ・くまがわ鉄道の早期全線復旧へ支援を強めること。
 ・JR肥薩線の、全線鉄路による再建を国・JRに求めること。
 ・令和2年豪雨災害時の流量を計画対象にしないという新たな球磨川水系の河川整備基本方針について抗議し、再検討を求めること。
 ・瀬戸石ダムは、何より防災面において重大な危険構造物であることがいよいよはっきりしている。県として撤去を求める立場を明確にし、国や電源開発との協議をおこなうこと。
 ・球磨川支流それぞれの河川の河床掘削、堤防かさ上げ、排水ポンプ整備など対策を強めること。
 ・人吉市などのスーパーシティ構想は白紙に戻すこと。 6、ジェンダー平等の社会実現へ
 ・選択的夫婦別姓制度、LGBTQ平等法の制定を支持することを県・知事が表明すること。
 ・熊本県として独自の「パートナーシップ制度」を創設し、事実婚や同性のカップルも、夫婦が対象となっている県の行政サービス・制度について同様の取り扱いをおこなうこと。またパートナーシップ証明書を発行し、民間サービスや社会的配慮を受けやすくすること。
 ・性別記載欄について、見直しが可能なものについて引き続き廃止を進めていくこと。
 ・LGBTQに関する差別のない社会を作るため、学校教育や企業研修、当事者である子ども・若者らへのケアなど、あらゆる場面で権利保障と理解促進をはかる取り組みを強化すること。
 ・県内企業に対し、男女の賃金格差の実態を調査し、格差解消のための目標と計画を策定するよう促すこと。
 ・女性が多く働く看護・介護・福祉・保育などケア労働の賃金を引き上げるよう国に求めること。
 ・ハラスメント被害の相談窓口を設置すること。
 ・痴漢被害の実態を調査し、相談窓口の充実、加害根絶のための啓発や加害者攻勢を警察・民間事業者とも連携して取り組むこと。
 ・思春期の女子及び男子を対象とした性と生殖に関する教育を、学校の必修カリキュラムの一部として実施するなど、子どもの年齢・発達に即した科学的な「包括的性教育」を公教育に導入すること。
 ・生理用品の無償配布の実施とともに、学校など公的施設のトイレに設置すること。
 ・2030年までに、県行政における政策・意思決定の構成を男女半々にすることを目標に掲げ、実効ある取り組みを進めること。
 ・熊本県職員について、計画的に女性の採用、登用を進めること。女性が採用、管理  職に占める比率や男女の平均賃金、正規非正規の男女別比率などを公表するとともに改善に向けた数値目標を明記すること。民間企業に対しても女性の採用、管理職への登用について数値目標の策定・公表を求めること。
 
 7、生活苦への緊急支援
 ・原油の高騰は、広範な社会活動に深刻な影を落としている。燃料代の高騰は農漁業や運送業、温泉施設、クリーニング業者などの経営を直撃している。県としても各方面への影響について実態を調査し、相談窓口の設置や緊急支援策の具体化を進めること。
 ・低所得世帯などを対象に、灯油の購入費を補助する「福祉灯油」の実施を県として支援すること。
 ・物価の高騰が生活困窮者を直撃することが懸念されることから、緊急の困窮者向けの臨時給付金の創設を国に求めること。
 
 【各分野ごとの要望事項】
 1、知事公室
 ・県が管理する河川ごとに、「事前防災行動計画」(タイムライン)を策定すること。
 ・高齢者や障がい者らが入る施設において避難計画の策定、訓練の実施がおこなわれているかを毎年ごとに調査し、結果を公表すること。
 ・自主防災組織の活動の活性化に向け、補助を増額すること。
 ・ハザードマップの浸水想定区域や避難計画について、説明会開催など住民への周知を徹底するための説明会を、市町村と共同して県内全域で開催すること。
 ・あらゆる相談を受け付けることのできる総合相談窓口を設置し、広報事業で繰り返し広く県民に周知すること。
 
 2、総務部
 (全体的事項)
 ・地方自治体が、医療や介護、子育てや地域振興など恒常的な財政需要に対して十分な対応ができるよう、国に対し財政支援・地方交付税の拡充を求めること。
 ・地方自治体が、頻発する大雨や豪雨、地震や火山噴火などの大規模自然災害、コロナ感染症などパンデミック発生時に、安定的・継続的な対応が可能となる財政支援の拡充を国に求めること。
 ・核兵器禁止条約への賛同を表明すること。条約への参加・批准を行なうよう政府に求めること。
 ・県、市町村は学校卒業予定者の名簿を自衛隊に情報提供しないこと。
 
 (災害、コロナ感染症関連)
 ・豪雨災害で被災し、通学困難となった生徒への通学費助成、経済的に就学困難となった学生への授業料減免、代替交通手段を確保している事業者に対する助成の継続・拡充をはかること。
 ・コロナ感染が生じている学校において、独自の判断でPCR検査を実施している市町村に対し財政支援が行なわれる制度について、市町村への周知を徹底すること。
 ・国の新型コロナウイルス感染症対応総合交付金事業の継続、金額の増額を求めること。
 
 (私学振興)
 ・私立学校運営に対する助成の拡充、相談員やスクールソーシャルワーカー派遣への支援を拡充すること。
 ・私立学校における新型コロナ感染対策のために必要となった経費に対する支援事業について継続・拡充をはかること
 ・私立学校授業料等減免補助事業の継続・拡充をはかること。授業料免除の所得要件を引き上げること。
 
 (財政運営)
 ・県の採用において、正規職員と非正規職員との均等待遇を実現すること。
 ・差し押さえ禁止債権の差し押さえは直ちに中止し、滞納者の実情に寄りそった対応を徹底すること。
 ・コロナ禍に起因した納税相談を受けた場合は、徴収猶予の適用を検討するよう求めた総務省自治税務局企画課からの事務連絡文書(令和2年4月1日)の趣旨を市町村にも徹底し、徴収の猶予、換価の猶予及び滞納処分の停止、延滞金の免除、差押えの解除など柔軟、迅速に対応するよう指導すること。
   
 3、企画振興部
 (災害からの復旧・復興関係)
 ・コロナ終息後もインバウンドのV字回復は容易ではなく、大量に温室効果ガスを排出する航空機の大増便を前提とした大空港構想・熊本空港アクセス鉄道は見直すべきである。またIT関連産業の集積は地下水、環境、農業への影響が懸念される。環境影響調査や費用対効果等について検証すべきである。
 ・道路の拡張に偏重した交通ネットワークの在り方を見直し、路線バスや鉄路など公共交通の充実を図ること。市町村が行なう乗り合いバス等の交通サービスに助成すること。
 ・被災地域のまちづくり、復興計画は地元の被災住民の意向を最優先に尊重すること。
 ・「緑の流域治水」はダム建設を前提とせず、過去最大規模の洪水から住民を守る対策を最優先で講じるという立場を大前提とすること。
 ・JR肥薩線、球磨川鉄道の、鉄路での早期全線復旧を国、JRに強く求めること。
 ・新幹線の騒音対策。県として定期的な調査を実施し、基準値を超える騒音・振動が発生している場合は国・JRにただちに是正するよう求めること。
 
 (デジタル行政)
 ・DXくまもと創生会議には民間からのメンバーも参加しているが、利害関係者の参画とならない明確な根拠、ルールを県民に公表すべきである。
 ・業務システム統一に伴い、市町村独自に行なっている行政サービスが後退しないよう、仕様変更(カスタマイズ)への助成を拡充すること。
 ・デジタル化を口実とした窓口の減少、紙手続きの取りやめ、行政リストラなどが起こらないよう市町村への指導を徹底すること。
 ・国民があえて必要としていないマイナンバー制度に固執し、マイナンバーカードを国民に押し付けるやり方を改めるよう政府に求めること。
 ・自治体独自の個人情報保護制度が、国の意向で後退させられるようなことがないよう努めること。
 
 (学生・若者支援)
 ・生活困窮学生のための給付金事業を復活・拡充すること。
 ・県立大学の授業料を引き下げること。入学金を廃止すること。
 ・困窮学生に対する家賃支援、休学や卒業延期した学生の学費補助など個別の支援制度を設けること。
 
 4、健康福祉部
 (医療)
 ・高すぎる国民健康保険税(料)を、協会けんぽ並みの保険料に引き下げるため、一兆円規模の公費負担を国に要望すること。
 ・人頭税と同じ均等割、平等割を廃止し、国保税(料)を引き下げるよう国に求めること。
 ・被保険者の保険料軽減にあてるための財源として、県独自に一般会計から国保会計への繰り入れを行なうこと。
 ・強権的な保険証取り上げや差し押さえをやめるよう、市町村に徹底すること。
 ・高齢者窓口負担増を進める医療制度改悪を撤回し、減らされてきた高齢者医療への国庫負担を抜本的に増額し、保険料・窓口負担の軽減を国に求めること。
 ・地域ごとの産科・小児科・救急医療などの体制確保を支援し、安心して医療を受けられる全県的体制を整備すること。
 ・必要な医師・看護師を確保し、全地域的に提供体制を整備し、家族の負担に依拠しなくて済むレベルの在宅医療体制を確立すること。
 ・病床削減を進める地域医療構想を中止すること。公的医療機関の再編統廃合計画を撤回するよう国に求めること。
 ・重度心身障がい者医療費助成の対象枠を拡大すること。また自治体格差をなくし、すべての自治体で全額助成されるよう改善をはかること。
 ・無料低額診療事業が拡充されるよう県としても支援を。
 ・様々な病気の予防に大きな効果がある口腔ケアの体制充実へ、歯科、保健所、医療、介護など関係機関の連携強化を図ること。
 
 (介護)
 ・新型コロナ感染症の感染拡大を受け、訪問介護や通所介護では深刻な利用抑制が起こり、介護事業所が大幅な減収に見舞われている。また現場の必死の努力にもかかわらず、介護・福祉施設でのクラスターが全国的に発生し、多くの利用者・従事者が深刻な被害にさらされた。現場の疲弊は極限に達し、介護従事者のコロナ離職も相次いでいる。政府は、経営難となっている事業所への救済策として、通所介護、ショートステイなどの報酬を加算したが、その結果利用者の利用料も引き上げる事態を招いている。介護事業所に減収補てんをおこなうよう国に求めること。
 ・介護保険料・利用料の負担を軽減すること。
 ・介護報酬を増額し、介護・福祉労働者の労働条件改善をはかること。それを利用料や保険料に跳ね返らせないための公費投入を国に求めること。
 ・介護難民の解消のためには、特養ホームの抜本的増設に舵を切るしかない。待機者解消の計画を策定し、特養ホームの抜本的増設をはかること。特養ホーム建設に対し公的に補助すること。
 ・介護保険制度では給付削減、負担増が繰り返され、利用者・家族を苦しめるとともに国民の不信を高め、制度の存立基盤をも危うくしている。介護保険を「必要な介護が保障される制度」へと改革をはかることが必要である。要支援1・2のサービス切り離しをやめさせるなど、国に対し給付制限を是正するよう求めること。
 ・認知症の方が地域で暮らせるよう、安価に利用できるグループホームの確保など基盤整備に努めること。
 
 ・(子ども、子育て)
 ・一人親、貧困、DV、子どもの非行、犯罪被害など家庭の悩みは多様化、潜在化している。一人で悩まず気軽に相談できるワンストップの相談窓口を設置し、専門的に対応できる人員の増員など対応体制の充実を図ること。
 ・児童相談所における専門職員の養成と相談員の増員、相談所の増設など抜本的に拡充すること。
 ・認可保育園の増設と待機児童の解消を進めること。
 ・幼児教育・保育の完全無償化を国に求めること。
 ・子どもの医療費助成制度を国の責任で確立するよう求めるとともに、全国最低水準の乳幼児医療費助成制度を抜本的に拡充し、子どもの医療費を中学3年生まで無料化すること。
 ・児童手当を拡充し、現在中学卒業までの支給期間を18歳までに延長することを国に求めること。
 ・保育士の賃金の引き上げ、配置基準の改善を進める事。
 ・地域若者サポートステーションの設置を増やすこと。
 ・フードバンク、子ども食堂など民間の食料援の取組みに、助成や場所の提供など公的な支援をおこなうこと。
 
 (年金)
 ・無年金・低年金の解決に足を踏み出して、最低保障年金制度の導入を国に求めること。
 ・マクロ経済スライドを廃止し、「減らない年金」にするよう国に改革を求めること。
 
 (障がい者)
 ・希望するすべての障がい者、福祉労働者に、定期的に無償でPCR ・抗原検査をおこない、ワクチン接種を優先的に進めること。
 ・障がい者がコロナに感染した場合の入院先確保、必要な医療を受けられる体制を作ること。
 ・「障害特性を配慮した選択制等の導入をはかる」とした基本合意に基づき、障害者総合支援法第7条の介護保険優先原則を廃止するよう国に求めること。
 ・単身者用・家族用の障がい者公営住宅を増やすこと。
 ・女性や子ども全体の暴力被害の中で障がい者・障がい児がどの程度含まれているのか、実態を把握して救済措置を講じること。
 ・本人が望まない異性介助は禁止するルールを作ること。
 ・障がい者が利用できる多機能型スポーツ施設増設とバリアフリー化、指導者・介添え者の配置など促進すること
 ・放課後等デイサービスでは、子どもの遊びと生活を保障する放課後活動が可能となる専門的力量を持った正規職員の配置の保障ができるよう、基本報酬を抜本的に引き上げるよう国に求めること。事業維持に不可欠な家賃や車両維持費などの固定的経費を補助すること。
 ・就労支援の事業所で働く障がい者にも最低賃金が保障されるよう、補てんの仕組みを実現させること。最低賃金法第7条「最低賃金の減額の特例」(障がい者除外規定)を廃止するよう国に求めること。
 
 (生活保護)
 ・生活保護基準の切り下げを中止し、引き上げるよう国に求めること。
 ・生活保護の住宅扶助費の引き上げを求めること。
 ・各自治体の保護行政の状況を調査し、一律に親族への扶養紹介をかけたり、申請者に申請書も渡さず窓口で追い返すような、違法的対応の根絶に向けた指導を徹底すること。
 ・生活保護に対するバッシングが、生活に困窮する人であっても保護の申請をためらわせる要因となっている。孤立し一家心中など悲惨な事態を引き起こさないためにも、生活保護は国民の権利であることを広く知らせる活動に力を入れること。
 
 5、環境生活部
 (水俣病)
 ・不知火海沿岸住民の健康被害調査を実施し、水俣病被害の実態や広がりを明らかにすること。
 ・水俣病認定審査の際の昭和52年判断条件を撤廃し、少なくとも1993年の認定義務付訴訟最高裁判決が示した基準に改めること。
 ・チッソ、JNCに対し、子会社を含め全事業所の存続と全社員の雇用継続に努めるよう指導すること。
 
 (地下水保全)
 ・地下水涵養や汚染対策など、熊本の宝である地下水保全の取り組みが進められているが、将来にわたり安定的に地下水が保全されるためにも、涵養域における一定基準以上の規模の開発行為に関しては地下水への影響調査を義務付けることなど、涵養域の開発行為を抑止する制度を確立すること。
 
 (環境保全)
 ・災害ゴミからのアスベスト飛散に継続的に注意を払い、また解体に関わる労働者の健康被害防止へ専用マスク着用の徹底など対策を繰り返し呼びかけること。
 ・地震などの災害発生時に、老朽化した水道施設の破損が全国的に頻発している。県下でも多くのところで水道施設の老朽化が進行しており、被害の未然に施設の点検と更新を進めるべきである。こうした取り組みが受益者負担にならぬよう、県からの財政支援をおこなうこと。
 ・廃プラスチック対策の強化が求められている。熱回収から脱却するためにはゴミの発生を設計・生産段階から削減することが不可欠である。発生元での削減対策を県としても積極的に取り組むこと。
 ・有害物質が混入した安定型処分場や土壌汚染処理施設による環境汚染、産業廃棄物の不法投棄に歯止めをかけるため、徹底した立入検査を県として実施し、違反者への厳格な監督と行政処分を行なうこと。
 
 (防疫、安全)
 ・輸入食品への農薬残留、遺伝子組み換え食品の横行など、食の安全・安心を脅かす事態が後を絶たない。食品の検査体制を強化し、安全基準を強めるよう政府に求めること。
 ・防疫体制の強化。ヒアリなど害虫侵入の防止に万全の体制をとること。
 ・動物愛護センターと愛護団体、NPO、地域の住民の協力も得られる仕組みを改善しつつ、譲渡促進、殺処分を根絶すること。
 
 (人権・同和)
 ・同和行政の終結。一般行政の施策に移行すること。部落解放熊本県研究集会に行政、学校関係者を動員することをやめるよう指導すること。
 ・「熊本県部落差別の解消の推進に関する条例」は部落差別をことさらに顕在化させ、行政の公平性をゆがめるものであり、廃止すること。
 ・外国人の人権を著しく侵害し、入管の隠ぺい体質や強権的姿勢を生み出している入管法の抜本的改正を国に求めること。
 ・在留資格の種類にかかわらず、外国人労働者の家族の帯同を実現するよう国に求めること。
 ・夜間中学などを含め外国人労働者・家族の日本語教育の充実をはかること。外国人児童の学校教育、外国人学校の支援に取り組むこと。
 ・外国人技能実習制度は低賃金、単純労働力の受け入れであるという構造的矛盾を抱え、深刻な人権侵害を生み出し続けているにもかかわらず、安易に労働力の確保を求め受け入れ拡大が続けられてきた。外国人技能実習制度の廃止を含め、根本的な見直しを国に求めるべきである。
 
 6、商工労働部
 (商工関係)
 ・小規模事業者持続化補助金の増額・要件緩和を国に求めること。とりわけ「GoTo」キャンペーンから取り残された小規模事業者への支援策を求めること。
 ・多重債務者向け貸付事業を拡充すること。貸付限度額の引き上げ、年利の引き下げ、償還期間の延長など。
 ・建設業許可申請等での社会保険未加入事業所への加入推奨は、実情に十分配慮し、許認可権限を持つ他省庁への制裁要請はやめること。早急に中小企業に対する社会保険料率引き下げ等の制度改善をはかるよう、国に求めること。
 ・社会保険強制適用でない事業者を現場排除しないように指導すること。
 ・経営、雇用、技術、金融、法律相談を総合的に受け付ける相談窓口の設置。
 ・呼び込み型開発から地場産業育成重視へ経済政策の転換をはかり、経営、雇用拡充への支援を強めること。
 ・中小企業・小規模事業者についての信用保証協会の保証は、「責任共有制度」ではなく、100%補償に戻すよう、国に要望すること。
 ・住宅リフォーム助成制度を県として創設すること。
 
 (労働・雇用関係)
 ・所得税法56条は家族労働の働き分を認めず、個人の尊厳と両性の平等に反する差別的な税制であり、国に対し、56条廃止を求めること。
 ・地方税の徴収行政について、納税者の権利を守る立場で、営業や生活再建に向けて親身な助言を行なうこと。徴収にあたっては、実情を十分に把握し、営業と生活を困窮させることのないよう配慮すること。納税の猶予、換価の猶予など、納税緩和措置を個別の実情に応じて柔軟に行うこと。
 ・女性が生理休暇を気兼ねなく取得できるように、周知徹底と企業への指導を強めること。
 ・ブラック企業、ブラックバイト根絶に努めること。学生にも労働関係の法令が適用されるよう、労働環境の改善を求めること。
 
 (以下の内容は、国に対し求めていただきたい項目)
 ・最低賃金を大幅に引き上げ、時給1,500円の実現を。そのために、社会保険料の減免や賃金助成など、中小企業の賃上げに対する支援を行なうこと。最低賃金の地方間格差を是正し、全国一律最低賃金制度に踏み出す制度を作ること。
 ・労働者派遣法を抜本改正し、派遣労働は一時的・臨時的なものに限定すること。
 ・非正規から正規への流れを作り、同一労働同一賃金、均等待遇を進めること。
 ・異常な長時間労働を是正し、サービス残業を根絶すること
 ・男女の賃金格差是正、シングルマザーへの経済的支援の拡充、女性の無年金・低年金問題の解消をすすめること。
 ・男女がともに仕事と家庭が両立できる人間らしい働き方のルール作りを進めること。子育て期の労働者の時間外労働の免除など。
 ・育児休業制度を男女がともに取得できるよう、所得補償の改善、男女賃金格差の是正を図ること。育児休業期間取得により昇進・昇格や賞与・退職金などで不利益な扱いを受けないようにさせること。
 ・保育や看護、介護など女性が多く働くケア労働は、高度な専門性を持つ仕事でありながら低賃金であるのが当たり前にされ、平均給与は全産業平均より月約10万円も低いという実態が放置されている。賃金の基準を定めている国に対し、介護、保育の賃上げや労働条件の改善、配置基準の見直しを求めること。
 ・働く女性の健康を守る独自のルールを整備すること。働く女性の長時間労働や深夜労働の実態・健康影響調査をおこなうこと。
 
 7、観光戦略部
 ・観光政策は、観光立国基本法の理念である「住んでよし訪れてよし」の、安全安心の地域住民目線での観光政策の推進が求められる。インバウンド頼みや地域振興、環境保全軽視の在り方を見直すよう努めること。
 ・コロナの影響が長期化しているもとで、苦境に立っている事業者への継続的な支援が必要である。特に地域や業種の実情に合わせて、感染防止対策や、ネットを使うなどの販路開拓、コロナ禍での商品開発、従業員の賃金への助成を始め、事業を継続・維持するための給付金制度を創設することが必要となっている。国に対しても財政支援を要求し、地域事業を支援する制度の拡充をはかること。
 ・感染急増地域も含めた全国一律の「Go To」キャンペーンを見直し、地域ごとに飲食業者観光業に支援が届くやり方に改めるよう国に求めること。
 ・近年、観光は文化・歴史遺産めぐりや農業体験、地域伝統の織物や染色、工芸品作成の体験、海や川、湖でのアクティビティから森林ヨガなど多角的に発展している。観光を通じて地域の活性化がはかられることで雇用を生み出し、地域住民の生活と自然・文化を守ることが観光客の満足度につながり、リピーターを増やすというサイクルが重要となっている。またSDGs開発目標でも、持続可能な観光の推進や生態系の保全、森林や自然生息地の保全、都市と農村の良好なつながりをターゲットとしている。こうしたサスティナブルツーリズムの促進により、熊本の優位性を大いにアピールすることが重要である。住民と自治体と観光関連業界の意見を尊重しつつ、県としての支援を進めていくこと。
 ・コロナ終息後の観光の在り方として注目されているマイクロツーリズムに対応し、地域ごとの魅力などを打ち出した需要喚起策を推進すること。
 
 8、農林水産部
 (コメの価格暴落対策)
 ・今年度の米価が下落している。米価回復のため、過剰在庫を買い上げ、市場から切り離す緊急対策を国に求めること。また県独自にも余剰米を買い上げ、生活困窮者等への食糧支援に提供すること。
 ・余剰米が発生した場合、備蓄の買い入れ量を増やすなど、主食であるコメの需給と価格の安定に政府が責任を持つよう求めること。
 ・年間を通じて計画的に集出荷・販売する業者・団体に金利・倉庫料などを助成すること。
 ・農家に生産費を保障するため、生産コストと販売価格との差額を補てんする「不足払い制度」を創設するよう国に求めること。
 ・ミニマムアクセス米の輸入を削減・廃止するよう政府に求めること。
 ・水田での主食用米以外の増産に力を入れること。主食用米との収益性の格差を是正するため、水田活用交付金を拡充すること。
 
 (燃料代高騰対策)
 ・燃油代の高騰で農家、漁民は深刻な状況となっている。緊急対策として燃油代の補てんをおこなうこと。
 (農業と農山村再生)
 ・際限のない輸入自由化の拡大路線を転換すること。TPPからの離脱を求めること。
 ・肉用牛肥育経営安定交付金(牛マルキン)、肉豚経営安定交付金(豚マルキン)を国の全額負担による生産費を補てんする制度に改善するよう、国に求めること。
 ・現行の野菜価格安定制度の対象品目や産地を拡大し、補償基準価格を生産費に見合う水準に引き上げるよう求めること。
 ・小麦・大豆などは生産費と販売価格の差額を補てんする交付金制度を復活し、充実させること。外国産でなく、県産麦を活用したパンや加工品の学校給食での普及を支援すること。
 ・主要な種子の開発・普及に公的機関が責任を持ち、有料で安価な種子の供給を保障するために、主要農作物種子法の復活を国に求めること。自家増殖は農民の権利と定めた国連「農民の権利宣言」を踏まえ、伝統的な農業や地域品種など多様な種苗を掘り起こし、広げることを援助すること。
 ・鳥獣等による農作物被害が拡大し、営農意欲の減退につながっている。狩猟者の育成・確保、被害防止策の拡充をすすめること。中長期的には、緩衝帯となる農地や山村の復旧・再生が必要である。被害対策に取り組んでいる現場を支援する施策と予算の充実を図ること。
 ・熊本県は、全国最多の世界かんがい遺産に登録された施設が存在している。これは歴史的に熊本の農業土木技術の高さ、豊富な農業用水を有していることを示しており、熊本の魅力発信に大いに活かすべきである。観光客や地域住民にも喜ばれるよう、周辺施設の整備を進めること。
 
 (家族農業への支援)
 ・再生産が可能となる所得を保障するため、戸別所得補償制度の復活を求めること。
 ・現行の収入保険制度について、農業者の保険料負担を軽減し、基準となる数値も生産コストと関連させるなどの改善をはかること。
 ・農業共済事業は品目の実態に即して、引き続き役割が維持されるよう加入者の促進、事務費の援助など行なうとともに、加入率の低い果樹、施設共済などを利用しやすく改善すること。
 ・各種補助金や経営安定対策は大規模化や法人化を条件にせず、続けたい人、やりたい人すべてを対象とすること。
 ・中小農家や新規参入者への小規模な機械、施設のリースなど、自治体や農業団体が行なう事業を抜本的に拡充すること。
 ・新規就農者に対する営農定着までの生活費の支援、研修・教育機関の整備、農地や住宅、賃金、販路の確保など、総合的な支援の拡充を進めること。
 ・新規就農者への支援制度である「農業次世代人材投資資金」(旧青年就農給付金)は、支援額の拡充の一方で地方負担を導入する方針が表明され、全国知事会などから撤回を求める声が上がっている。県としても、新規就農支援制度を後退させないよう国に強く要請すべきである。
 ・農業法人に雇用される形で収納する人も増えている。農の雇用促進事業を拡充し、就農希望者を雇用する大規模経営や団体への支援を拡充すること。
 ・定年帰農者などに小規模な農機具、施設のリース制度など創設するとともに、中山間地への移住者に対し、営農と暮らしの両面から特別な支援を行なうこと。
 
 (農協)
 ・財界主導の農協「改革」を中止し、農家の共同や農協の自主性・独立性を尊重し、協同組合の原点に立った役割を果たせるよう支援すること。
 
 (森林)
 ・森林整備は、防災の観点からも早急な対策が求められている。近年急増している記録的豪雨はいつどこで発生してもおかしくない。人工林が多く存在する地域など、災害危険個所について国とともに総力をあげて治山対策にとりくむこと。
 ・民間所有の森林の植栽・下刈、間伐等の造林事業に助成をすること。
 ・メガソーラー設置などに伴う林地開発について、開発規制区域を設定し、災害リスクの回避に努めること。
 
 (漁業)
 ・新型コロナウイルスによる魚価の低迷、販路の喪失などに対し、漁業経営維持のための給付金を充実させ、生産と流通機能の維持・充実をはかること。
 ・魚価安定対策を強化するよう国に求めること。燃料代高騰による休漁などに対する減収補償をおこなうこと。
 ・有明海再生へ、諫早湾干拓の潮受け堤防開門調査を実施するよう国に求めること。
 ・諫早干拓の調整池に毎年夏に発生する大量のアオコは猛毒を持っており、海に流出した後もその毒素は残り、食物連鎖による人的被害も心配される。研究体制を強め、その調査結果を公表し、必要な対策を講じること。
 
 9、土木部
 ・大規模な災害が全国で相次いで発生している。従来の延長線上でない防災・減災対策の抜本的な強化が求められている。この元で公共事業を、これまでのように大型開発・新規事業優先ですすめていいのかが問われている。安全・安心の防災・減災対策、老朽化対策を公共事業の基本に据える抜本的な改革が必要である。
 ・河川改修、生活道路改善、老朽化した公共施設の点検と改修など、維持・管理費の増額をはかること。
 ・すべての県管理の河川について河川整備計画を策定すること。ダムによらない総合流域治水の立場で、気候変動を念頭に置いた河川改修を進める事。
 ・立野ダムの建設を中止し、堤防強化や河床掘削、田んぼダムなど、ダムによらない総合流域治水策を進める事。
 ・住宅耐震補強工事への助成をおこなうこと。
 ・急傾斜危険地域の対策事業、造成地滑動、液状化予防などの防災事業について、受益者負担をなくすよう国に求めること。
 ・排水管、浄化槽などの破損に対しても宅地復旧と同様に支援対象とすること。また地震により地下水、井戸水の出方が変わった所についても、そのことにより余儀なくされた対策工事について支援すること。
 ・公契約条例を制定し、下請け企業や労働者の権利を守るルール作りを進めること。
 ・全県的に道路の区画線を定期的に修繕(塗りなおし)すること。
 ・私道、里道の復旧・改修を支援する制度をつくること。
 ・災害関連には改良復旧が柔軟に適用されるよう国に改善を求めること。
 ・県営住宅の数を増やすとともに老朽化した施設の補修改修を進めること。
 ・県営住宅の承継要件を緩和し、親子でも承継できるようにすること。
 ・県管理漁港の維持管理、必要な改修を地元漁民、住民の要望に沿って進めること。
 ・海岸線上の堤防を総点検し、高潮、洪水時にでも安全な堤防の高さを確保すること。
 ・工事下請け業者への賃金不払いなどの紛争や民間同士のトラブルについて相談窓口を作り、解決を後押しすること。
 ・有明海、八代海の浅海化・土砂の堆積が深刻な状況となっている。国とも共同して環境復元をはかること。
 
 10、教育委員会
 ・教員不足が深刻化している。定員を増やし、正規職員を配置して少人数学級の導入をさらに広げるとともに、全小学校に英語専科教員を配置すること。
 ・教職員の勤務実態を調査し、公表すること。
 ・県が小・中学校で実施している学力調査『ゆうチャレンジ』を廃止すること。
 ・学童保育の経費を支援し、保護者の負担軽減と支援員の待遇改善・増員をはかること。
 ・発達障害、不登校児童・生徒の受け皿体制充実へ、相談窓口の充実や専門員の配置、フリースクールの増設や発達障がい児を受け入れる施設の拡充を進めること。スクールソーシャルワーカーの配置を拡充すること。教員外の専門職は非常勤ではなく、常勤とすること。
 ・小中学校における、保護者の教育費負担を解消すること。給食費、副教材、修学旅行積立金など義務教育期間中の教育費の負担をなくすこと。
 ・特別支援学校の寄宿舎は、仲間と暮らしを共にすることで人とかかわる力を培い、生活技術が身につく貴重な場となり、障がい児の自立を支援するものとなる。県立の支援学校に寄宿舎を設置し、指導員を配置すること。
 ・兼任や複数校かけもちでなく、全小中学校の図書室に司書を配置すること。
 ・様々な理由で義務教育を終えていない人や外国人国籍の人、不登校の生徒などを受け入れ、義務教育課程を学べる夜間中学を設置すること。
 ・道徳授業は教科化になじまない。国に対し反対の意見をあげること。
 ・学校給食の無償化を実現させること。自校方式、地産地消、直営方式を進め、学校栄養職員・栄養教諭を一校に一人配置すること。
 ・就学援助金を拡充すること。支給対象の拡充や利用しやすい制度への改善に努めること。
 ・子ども食堂や見守り隊など、子ども支援グループへの支援をつよめること。
 ・PTAは任意加入の組織であるにもかかわらず、県立高校などではエアコン電気代をPTAに請求し、しかも高額な徴収を行なっている場合がある。教育環境維持のために必要とする経費は基本的に学校側が負担すべきであるが、保護者・生徒に負担を求める場合に基本的な考え方を示したガイドラインを県として策定すべきである。
 ・同和に偏重した人権教育をみなおすこと。熊本県こども人権フェスティバルを中止すること。同和加配をやめ、教師の多忙化解消のためにこそ教職員数の増加を図ること。
 ・定時制、通信制学校の運営費を増額すること。定時制学校での給食を実施すること。
 ・人権侵害と暴力であるいじめの放置・隠蔽が、学校における「安全配慮義務」違反に当たることを明確にし、学校現場に徹底すること。
 ・養護教諭の複数配置などいじめ対策の予算措置を拡充すること。
 ・子ども達にひらかれた児童相談窓口の拡充を図ること。
 ・不登校の子どもらを受け入れている民間・ボランティアのフリースクールや学習支援組織への支援を拡充すること。
 ・放課後デイの事業所に対する支援を拡充すること。
 ・子どもたちの生活圏内に安全で安心して遊べる公園や児童館、プレイパーク、青少年が楽しめる広場や体育館の確保・増設を進めること。
 ・通学路の安全対策。通学路の安全確保、車の台数・速度制限のための措置を図ること。
 ・ICT教育は、感染症による臨時休校などの際に役立つ面があるが、学校での日常的な使用は、子どもの発達と健康を第一にすえ、条件整備も含め対応していくことが求められる。またタブレットは破損時の保障をはじめ、保護者負担を生まないようにすること。また高校でのタブレットは公立私立ともに無償配布とするよう財政支援すること。
 ・政府は、一人一台のIT端末の活用、先端的教育ソフトウエアの導入などに取り組む学校を支援する「ギガスクール構想」を進めるとしているが、公教育の民営化が進み、「個別最適」の名のもとに差別・選別が進む危険があり、反対の声をあげるべきである。
 
 11、警察
 ・盗聴法、共謀罪法、代用監獄の廃止など、えん罪を広げる危険な仕組みを廃止するよう国に求めること。
 ・信号機設置、消えた横断歩道ラインの線引き等、地元要望に迅速にこたえられるよう予算を増額すること。
 ・要望が寄せられた箇所について速やかに音声信号機が設置されるよう予算増額をはかること。
 ・性犯罪に関する被害者支援、二次被害の防止などのトータルな対策、加害者教育、再発防止策など被害者、支援者、専門家も含めて引き続き改革への検討を進める事が必要であり、性暴力・性犯罪を許さない世論と社会の構築へ、県としても啓発活動など取り組みを強める事。
 ・犯罪被害者の個人の尊厳、幸福追求の権利を保障し、国家補償や精神的なケアの充実をはかること。
  以上

再生可能エネルギーへの転換促進と、乱開発を規制するための実効あるルールの確立を求める申し入れ
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 熊本県知事 蒲島郁夫様
   2021年9月30日
  日本共産党熊本県委員会  
  県委員長  松岡 勝
   再生可能エネルギーへの転換促進と、乱開発を規制するための実効あるルールの確立を求める要請書
 再生可能エネルギー(以降、再エネと表記)の導入・普及は、温暖化抑制のためにも喫緊の課題であり、一層の推進が求められています。また再エネは本来、その地域固有の資源であり、地域住民の利益につながるべきものです。
 しかし、持続可能な発展をめざすための一環であるはずの再エネの取組みも、環境面や土地利用に関する規制が弱く、きちんとしたルールや規制が未整備のまま、地域外資本や外国資本による利益追求を優先した乱開発が起き、住民の健康・安全や環境保全にかかわる問題を引き起こしています。
 今後カーボンニュートラル社会の実現達成を図るうえでも再エネの最大限の導入、主力電源化は必要不可欠ですが、大量導入を進めるうえでは地元住民の合意と地域振興への貢献、安全面が担保できる関係法令の整備・改善・強化が求められます。
 熊本県は、蒲島知事みずからが繰り返し、2050年に県内CO2排出実質ゼロを目指すことを宣言されています。そうであるならば再エネの普及拡大は決定的に重要な課題となりますが、一方で県内各地域においては、再エネ施設設置にかかわってのトラブルも続発しています。こうした問題の解決なしに目標の達成はあり得ません。
 そこで、熊本県に対し以下の項目について要望するものです。
 
 1、自然環境や生活環境を保全するため、再エネ規制区域を設定すること
 地球温暖化対策推進法の改正では、市町村があらかじめ経済性や地形、地域住民の了解などの条件を満たしたエリアを「促進区域」とし、太陽光発電所や風力発電所などの再エネ事業を誘導することが明記されました。自治体が関与しながら地域トラブルを避け、再エネ導入の加速化を図ることが狙いですが、真に地域トラブルの解消を図るうえでは、自然環境や生活環境を保全する区域の指定も必要です。
 この点について政府は国会答弁で、「市町村が事業の適地を抽出して促進区域を設定する場合には、国や都道府県が定める環境配慮の基準を踏まえつつ、再エネポテンシャルや環境保全を優先すべきエリアを考慮して促進区域を設定していくということを想定」しているとし、さらに「促進区域を定めるプロセスにおいて、保全すべき対象をいわば除外するというプロセスが想定されておりますので、そこについて市町村なりが任意に何らかの形で情報を公開するということは考えられる」と、市町村や都道府県が「再エネ規制区域」の設定について果たしうる役割についても言及しています。
 環境省は同法の施行に向けて、「ネガティブゾーニング」(不適地を外すなど)の設定についても検討を進めることとしました。傾斜地などに設置されたメガソーラー施設(それに伴う皆伐・盛り土などの山林開発)による土砂災害への不安が広がっているもとで当然のことです。小泉進次郎環境大臣も、「国民の皆さんの不安の払しょくと、危険なところには立つものではないことを明確にしなければ、再エネに対する理解も共感も得られにくいのであれば躊躇なく対応することも必要」と発言しています。
 山梨県では7月、土砂災害が発生する恐れが高い区域や、施設を新設する際に森林伐採を伴う区域を「設置規制区域」と規定し、そこでは出力10キロワット以上の施設の新設を原則禁止するという条例を制定しました。同県の土地の8割が設置規制区域となります。
 熊本県におきましても、県独自の取組として、自然環境や生活環境を保全するためにも再エネ規制区域を設定されるよう求めます。
 
 2、住民合意の義務化など、再エネ設備の設置に関する関係条例を制定すること。
 林野庁は令和元年12月、「太陽光発電施設の設置を目的とした開発行為の許可基準の運用細則について」を発出しました。これは太陽光施設の設置を目的として、大規模な森林の改変を伴う事業等が増加し、周辺住民の反対運動なども広がる中で、太陽光発電施設と地域との共生のための規制整備等の要望が全国知事会、全国市長会、全国町村会などからなされている状況を踏まえ、林地開発許可制度の一層の適切な運用を図るために出されたものです。その際、森林水文学、森林の崩壊防止機能、地滑り対策、景観、行政法等に知見を有する有識者による検討会を開催し、「切土量及び盛土量」、「自然斜面での設置基準」、「排水の技術的基準」、「森林の配置の基準」、「その他の配慮基準」などについての検討結果がまとめられています。
 熊本県は9月16日、南関町の大規模太陽光発電所建設に伴う土砂流出問題を受け、林地開発の規制を強化する方針を表明しました。年内の要項改正をめざす、とのことです。林野庁がおこなった検討結果等を十分に踏まえ、太陽光発電施設の設置と地域との共生が図られる実効性ある許可基準を定められるよう求めます。
 梶山弘志経済産業大臣は、「地域に根差した再エネ導入拡大を進め、地域住民の信頼を獲得していくことが重要」「地域共生を円滑にするための条例策定を検討したい自治体をサポートする観点から、条例のデータベースを構築して事例の展開に努めたい」と述べています(5月20日参院経済産業委員会)。
 経産省の資料によると、2020年度時点で134件の再エネ発電設備の設置に関する条例が制定されています。2016年度には26件だったものが、5年で約5.2倍に増加し、全国の自治体の約一割弱が再エネ条例を制定している状況です。また太陽光発電設備の規制について4県が条例をつくっています(7月29日時点)。先ほど紹介した山梨県のほか、岡山県では土砂災害特別警戒区域などでの新設を原則禁止、和歌山県と兵庫県では、一定規模以上の施設について知事の認定や届け出を必要と規定しています。
 いっぽう、早期の段階において事業に対する住民合意を義務付けることも重要です。石巻市議会では、事業用地買収段階から地権者以外の広い地域住民への事業計画の周知と理解を得ることの義務付けなどを求める意見書が全会一致で採択されています。
 熊本県としても早急に条例をつくり、住民合意、防災と環境に配慮した適正な省エネ施設の設置及び維持管理がはかられるよう求めます。
 
 3,安全や環境保全が担保できるよう、法整備・改正を国に求めよ
 再生可能エネルギーの導入・普及の取り組みは、持続可能な発展をめざすための一環であるはずのものですが、環境面や土地利用に関する規制が弱いため、きちんとしたルールや規制が未整備のまま、地域外資本や外国資本による利益の追求を優先した乱開発が起き、住民の健康・安全や環境保全にかかわる問題を引き起こしています。再生可能エネルギーの健全な発展のためにも、解決が急がれる問題です。
 森林法などの現行法は、森林を伐採してメガソーラー発電所を作るなどの事態を想定していません。環境保全のための森林法改正、土砂崩れの危険性も評価事項に加えるなどアセスメントの改善が必要です。
 事業の立案及び計画の段階から情報を公開し、事業者、自治体、地域住民、自然保護関係者、専門家など広く利害関係者を交え、その地域の環境保全と地域経済への貢献にふさわしいものになるよう義務付けるべきです。
 梶山経産相は、「希少野生動植物の生息には十分配慮して発電設備を建てる場所の選定を行なう」ことが推奨されている事業者向けの事業計画策定ガイドラインについて、5月の国会答弁で「事業者がガイドラインを守っていない場合には、認定取り消しもありうる」と述べています。現行の環境アセス制度は事業実施にストップをかけられるものとなっていませんが、違反者に対する罰則規定を設けるなど、法的拘束力を持ったものに改善すべきです。
 また発電開始後も点検を行い、環境破壊や人体への悪影響がある場合には必要な是正措置を取らせる必要があります。
 ぜひ熊本県からも、こうした関係法令の改善・強化を国に求めていただくよう訴えます。
  以上

コロナから県民の命を守るための緊急提案
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 熊本県知事 蒲島郁夫様
   2021年8月26日
  日本共産党熊本県委員会
  委員長 松岡 勝
   コロナから県民の命を守るための緊急提案
 全国各地で、新型コロナの新規感染者数が急増し、感染爆発、医療崩壊が深刻になっています。いま政府、地方自治体に求められているのは、いのちを守ることを最優先にした対応です。そこで熊本県に対し、県民の命を守るため、以下の5項目について緊急提案を行なうものです。
 1、すべての患者に、症状に応じた必要な医療を提供すること
 ①政府に対し、「原則自宅療養」とした事務連絡を撤回するよう求めること、そして熊本においては「原則入院、もしくは宿泊療養施設」の大原則を貫き、症状に応じた必要な医療をすべての患者に提供すること
 政府が、8月3日、重症患者と重症化リスクの高い患者以外は「原則自宅療養」という重大な方針転換を行なったことは、コロナ患者を事実上「自宅に放置」する無責任極まるものであり、断じて認められません。
 東京都ではすでに、全療養者に占める入院患者の割合は10%、宿泊療養患者の割合は5%に過ぎず、圧倒的多数の患者が「自宅療養」を余儀なくされています。手遅れで亡くなったり、重症化したりする事例が後を絶ちません。
 こうした事態はこれから全国的に広がっていくことが懸念されます。熊本県においても、8月24日の時点で自宅療養者が全療養者数に占める割合は45%にのぼっています。容体が急変しても必要な医療が受けられず、失われるはずでなかった命が失われてしまうという悲劇を、決して起こしてはなりません。
 政府に対し、「原則自宅療養」の方針を撤回するよう求めるとともに、熊本県としては「入院、もしくは宿泊療養施設での療養」の原則を貫き、症状に応じて必要な医療をすべての患者に提供する体制を堅持するよう求めます。
 
 ②入院病床の確保、医療機能を強化した宿泊療養施設や臨時の医療施設などの確保、在宅患者への往診や訪問看護など在宅医療を支える体制の抜本的強化を
 菅首相は、コロナ患者の受け入れ要請を拒んだ病院名の公表など、強権的なやり方での病床確保を進めようとしています。しかし、強権で病床は増やせません。現場の声に耳を傾け、必要な支援を丁寧に届けることこそ必要です。政府の病床確保交付金を大胆に、積極的に活用し、入院病床の確保に努めるよう求めます。
 今後の最悪の感染爆発の事態を想定し、限られた医療資源を最も効率的に活用することを考慮して、医療機能を強化した宿泊療養施設や、臨時の医療施設などの増設・確保を急ぐことが求められています。
 福井県では、臨時の医療施設として仮設病床の設置を準備しました。新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正を踏まえた臨時の医療施設設置についての検討・準備を県としても早急に行なうべきです。
 また、在宅患者への往診や訪問看護などが安全に、頻回に行えるよう、在宅医療を支える体制を抜本的に支援するよう求めます。
 
 ③すべての医療機関に減収補てんと財政支援を
 医療機関が安心してコロナ診療に当たれるよう、支援の抜本的強化が求められています。医師・看護師の確保に国・県が責任を持って対応すべきです。コロナ治療の最前線で日夜献身している医療従事者をはじめ、宿泊療養施設や臨時の医療施設、訪問診療に携わる医療従事者も含め、すべての医療従事者に対する待遇の抜本的改善を図るよう求めます。
 コロナ患者を受け入れている医療機関だけでなく、すべての医療機関はコロナ対応に力を尽くしています。ワクチン接種のためのスタッフ確保や病床確保、発熱患者への対応に追われています。すべての医療機関に対する減収補てんと財政支援に踏み切ることを求めます。
 
 ④ワクチン供給の円滑化を国に求め、希望するすべての人に迅速・安全な接種を
 熊本県は県民広域接種センターを設置し、「接種は順調に進んでいる」とされています。アストラゼネカ社ワクチン接種会場の設置も発表されました。
 一方でワクチン接種に不安を抱く声も少なからず存在します。副反応も含めて包み隠さずワクチン接種の効果を知らせていくこと、誤った情報についてはきちんと科学的に説明して誤解を解いていく取り組みが必要です。
 さらに、接種を希望する人が簡単に申請・接種できる環境をさらに拡充・整備するよう求めます。
 
 2,感染伝播の鎖を断つために、大規模検査を実行すること
 医療崩壊を防ぐために決定的に重要なことは、新規感染者の数を減らすことです。私たちは一貫して大規模なPCR検査の実施を求めてきました。当初はPCR検査拡大に否定的であった厚労省・政府も、ようやく検査拡充の必要性を強調し始めています。8月17日の「新型コロナウイルス症対策の基本的対処方針」では、重点的・集中的なPCR検査の実施を強調するとともに、抗原検査キットの活用推奨を盛り込みました。幼稚園と小中学校に抗原検査キットを配布する方針も打ち出しています。
 一方、自治体独自の検査拡充の取組みも広がっています。県境をまたいで移動する人などを対象として、空港や高速道路などでのPCR検査の提供や検査費用の助成を9都県が実施(8月3日時点)しています。広島県では、予約をすればすべての県民が無料で検査を受けられるという常設センターがもともと6か所設置されていましたが、感染拡大を踏まえ、予約なしでも検査を受けられる臨時のスポットが設けられました。熊本県もこうした取り組みに学び、無症状者の検査を大規模に実施すべきです。
 感染伝播の鎖を断つための検査を、「いつでも、だれでも、何度でも」の立場で、従来の枠にとらわれず大胆かつ大規模に行うよう求めます。
 ①感染防止に必要な検査は、大規模検査で感染者をいち早く発見し、感染の連鎖を断ち切ることである。「いつでも、だれでも、何度でも」の立場で、無料の検査を大規模に実施すること。
 ②事業所や学校、保育園、学童クラブ等が行う集団検査を補助し、県独自にでも推進を図ること。
 ③大規模集客施設、駅や空港、高速ICなどで無料の検査キットを配布すること。
 
 3,コロナ不況の影響を受けているすべての事業者・国民に十分な補償・支援を
 繰り返される自粛要請などで苦境に陥っている事業者・個人に対し、単に「経済・景気対策」という見地からではなく、何よりも国民の命を守るための「感染防止対策」として思い切った予算の確保と緊急の直接支援が求められています。
 ①一度きりの給付にとどまっている持続化給付金、家賃支援給付金の再支給を国に求めること。
 ②県の中小事業者への支援(一時金)の要件を拡大し、支援額の増額を図ること。
 ③酒類販売事業者だけでなく、時短要請に応じた飲食店と直接・間接の取引があるすべての事業者を支援の対象とすること。
 ④生活困窮者に給付される自立支援金は、総合支援資金の再貸し付けを終了した世帯に限定せず、支給対象を拡充すること。
 
 4,学校の感染対策について
 これまでの新型コロナウイルスとレベルの違うデルタ株は、子どもの感染をめぐる状況も大きく変えました。子どもへの感染が顕著に増え、本県でも第5波における、児童生徒を含む10代までの感染者数が激増しています。従来、感染は大人から子どもに伝播するとされてきましたが、子どもから大人に伝播するという新たなパターンも報告されています。
 こうした状況でいま学校が新学期を迎えようとしています。「このまま学校を開けて大丈夫か」「子どもが感染し、親が感染することも心配」などの不安が広がっていることは当然です。
 県教育委員会は8月24日、県立学校、私立中・高校、および市町村立学校の新学期における感染防止策を発表しました。地域や学校の感染状況に応じて、時間短縮や時差登校、分散登校、始業日の延期などについて適切な対応を求めています。
 同時に分散登校は、低学年の子どもを持つ保護者の減収や失職、医療従事者が出勤できなくなるなどの困難が生じます。こうしたしわ寄せが起きないよう、必要な子どもが朝から学校で学べるような対応を徹底することを求めます。
 少なくない保護者・子どもが、感染対策のため登校を見合わせる選択を検討しています。しかし国の基準は、「同居家族に高齢者や基礎疾患がある者がいる場合」などは欠席扱いにしないという、登校見合わせの対象を狭くしています。広く認めるよう転換し、登校を見合わせる子どもたちの学びや成長への支援を明確に位置付けるよう求めます。
 学校でのクラスター対策強化と広範な検査の実施は絶対に必要です。濃厚接触者を狭く見ず、実態に応じ、学級・学年・全体など広めのPCR検査を実施すること、広範な子ども・教職員に頻回に行う簡易検査の実施を求めます。
 
 5,パラリンピックを中止し、命を守る対策に力を集中するよう国に求めよ
 東京五輪の開催を強行したことが、国民への誤ったメッセージとなり、感染爆発を招きました。五輪開催への反省に立って、パラリンピックの中止を直ちに決断し、命を守る対策に全力を集中するよう、政府に求めるべきです。
 ①医療体制がひっ迫しているもとで、パラリンピックのために予定されている数百名の医師・看護師の派遣は中止するよう求めること。
 ②感染爆発の下で、子どもたちをパラリンピックの感染に動員するなど論外。ただちに中止するよう求めること。
 以上

新型コロナウイルス感染症の「第5波」急拡大に対する緊急的・抜本的な対策の強化を求める申し入れ
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 熊本県知事 蒲島郁夫様
   2021年8月6日
  日本共産党熊本県委員会  
  県委員長  松岡 勝
  熊本県議会議員
  山本伸裕
   新型コロナウイルス感染症の「第5波」急拡大に対する緊急的・抜本的な対策の強化を求める申し入れ
 1、感染急拡大を引き起こした、菅政権の対応の致命的欠陥を改めることが必要
 新型コロナウイルス感染症の新たな感染拡大は、東京を中心とした首都圏から全国に波及し、これまでにない規模とスピードで広がっています。各地で医療がひっ迫し、医療崩壊が始まっています。事態は極めて深刻であり、緊急的・抜本的対策の強化が必要です。
 事態のさらなる悪化・深刻化をくい止めるうえでは、これまでの安倍・菅政権によるコロナ対応の問題点を検証し、欠陥を是正していくことが必要ではないでしょうか。
 第一に、科学を無視・軽視してきた政治姿勢です。「医療崩壊を招く」「件数を増やしても意味がない」などと強弁してPCR検査の拡充に背を向け続け、世界の流れから日本は取り残されてきました。また感染封じ込め対策が不十分なままGOTO事業を推進し、日本中にウイルスを拡散してきました。感染が急拡大しても、「人流は減少傾向にある」「重症化率は低い」などと楽観論を振りまき続けてきました。科学を軽視した対応を反省し、改めることが必要ではないでしょうか。
 第二に、国民の声に謙虚に耳を傾けることなく、強権的な脅しや圧力で危機に対応してきたことです。自粛要請に応じない事業者への罰則や飲食店への不法な脅しなど、国民とのコミュニケーションがとられないままの強権的な対応が国民の中に反感・不信を広げ、非常事態宣言発令などの事態に至っても、政府からのメッセージが国民に響きませんでした。
 第三に、個々人の努力ではどうにもならない感染症対策にまで、自己責任論を持ち込んだことです。営業の自粛や行動の抑制を繰り返し呼びかけながら、中小業者の命綱だった持続化給付金と家賃支援給付金はたった一回の支給で打ち切られました。医療機関への減収補てんを求める声には背を向け続けています。生活困窮者への食糧支援や生理の貧困に対する対策、在日外国人への支援などは、もっぱらボランティアや自治体の努力によって支えられています。
 菅政権のもとでのコロナ対応の欠陥が、致命的な形で現れたのが東京オリンピックの開催強行です。一方で五輪の開催に固執しながら、他方で自粛を呼びかけても説得力を持ちません。国民に誤ったメッセージを送ることになり、感染拡大を招く重大な要因となりました。世界最大のスポーツイベントの開催を、パンデミックのさなかに、しかも緊急事態宣言が出され感染が急増している東京で強行するというのは、科学を無視し命をないがしろにした最悪の決断でした。感染爆発と医療崩壊の危機のもと、日本と世界の人々の命を何よりも最優先する立場に立ち戻り、いまからでもオリンピック・パラリンピックの中止を決断することを、私たち日本共産党は強く求めるものです。
 これまでのコロナ対応の欠陥を是正し、戦後最悪のパンデミックに際して科学的姿勢に立脚し、国民の苦難軽減と命・安全を守る姿勢を貫くことが政治に求められています。
 私たち日本共産党も、そうした政治の実現のために全力を尽くすものです。
 
 2、熊本県に対し抜本的な対策強化を求める
 熊本県もいま、過去最悪の感染拡大の事態となっています。県独自の緊急かつ抜本的な対策の強化が今求められていることから、以下の項目について申し入れるものです。
 ①PCR検査の抜本的な拡充に取り組むこと
 私たちはこれまでも、PCR検査の抜本的拡充が必要であると繰り返し提起してきましたが、まさに今そのことが重要となっています。
 今回の感染拡大の新たな脅威は、感染力の強いデルタ株が広がってきたことです。しかもデルタ株は、ワクチン接種済みの人でもいったん感染すれば未接種者とほぼ同量のウイルスを生み出し、他の人に感染させるリスクも未接種の人と変わらない可能性があることが、アメリカの疾病対策センターの内部文書で報告されています。
 さらに加えて重大なことは、現在把握されている感染者数は、氷山の一角であるということです。無症状・軽症が多い若年層が感染の中心である中で、PCR検査の陽性率は東京で2割に達し、全国的にも高まっています。地域のあちこちでランダムに感染が起き、もはやどこが感染の拠点かもはっきりしない状況です。今後も感染者が拡大し続けることは目に見えています。
 こうした中で、検査の拡充の重要性がますます大きくなっています。政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長は「圧倒的に検査のキャパシティを増やすべきだ。ちょっとでも具合が悪い人、あるいは感染の心配のある人は職場であろうが学校であろうが地域であろうが、どこでも気楽に検査ができる体制を、国・自治体がその気になればできるはずだ」と発言しています。感染拡大の悪循環を断つためには、大規模検査で無症状の感染者を把握し、保護して感染伝播の鎖を絶つことが重要です。そこで、以下の二点について実施を求めます。
 (1)「いつでも・誰でも・何度でも」検査が受けられる体制を確立すること。とりわけ急ぐべきは市中感染のリスクが高い地域・エリアであり、熊本市や自治体と共同して検査の拡充をはかること。
 (2)熊本駅をはじめとする県内拠点駅、サクラマチバスターミナル、熊本空港、高速道路パーキングエリアや料金所、大規模集客施設など、熊本への人の流れの出入り口となる箇所、また学校などクラスター発生のリスクが高い箇所において、唾液のPCR検査か抗原検査キットを配布すること。
 
 ②ワクチンの接種に関して。
 自治体・医療機関へのワクチン供給状況・見通しを明らかにするよう国に求め、市 町村と情報共有を図ること。
 ③政府が打ち出した患者入院限定方針については撤回するよう国に求めるとともに、医療体制の拡充を図ること
 医療体制のひっ迫が危機的状況です。すでに東京都ではコロナ病床が埋まり、入院 対応ができなくなった医療機関が出ています。突然重症化するリスクも指摘されている中で、医療体制の拡充は喫緊の課題です。
 こうした中で菅政権は、入院対象者を重症者や重症化リスクの高い人に絞り込み、それ以外の患者は原則自宅療養とすることを可能とする方針を打ち出しました。症状が急変しやすい特徴があるコロナ患者の入院に制限をかけることは、治療の遅れにより自宅で死亡する人を続出させかねません。安心して自宅療養できる仕組みも万全に整えないまま、入院制限を持ち出すのはあまりに無責任です。政府に対し、方針の撤回を求めること。また熊本県としては、中等症患者に関しては入院で対応するという方針を今後も堅持すること。
 さらに、減収補てんなど、医療機関に対する財政支援を抜本的に拡充し、医療提供体制のいっそうの強化をはかること。
 ④宿泊療養施設の十分な確保と、患者を24時間見守ることができる体制整備を。
 医師・看護師のマンバワーを増強し、宿泊療養施設に臨時の医療機関としての機能を持たせ、リスクのある方の健康観察を行なえるようにしていくこと。
 ⑤事業者に対する十分な補償で自粛の実効性を高めること。
 ⑥コロナ禍のもとで増加している生活困窮者に寄り添った支援を
 コロナ禍の下で、多くの市民が「私を助けてくれない政治」を目の当たりにし、その転換に向けて行動に立ち上がっています。ぜひ熊本県としても独自に、大学授業料の減免や食糧支援の実施、学校トイレ等における生理用品の設置、ワンストップ相談窓口など、困った人に寄り添った支援の拡充をはかるよう求めます。
 以上

JR肥薩線全線再建についての提言
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 2021 年7 月29 日
 日本共産党熊本県委員会
   JR肥薩線全線再建についての提言
 「7・4 球磨川豪雨災害」から1年、被災者の生活・生業の再建、地域の復旧・復興、治水対策等々、様々な課題がなお未解決です。豪雨災害で甚大な被害を被ったJR肥薩線再建も全く見通しがたっていない状況です。
 JR肥薩線の重要性からして、沿線住民・自治体・観光業界を始め、県民、関係省庁、JR等が知恵と力を合わせて再建の道筋を明らかにすることが緊要です。
 日本共産党熊本県委員会として「JR肥薩線再建についての提言」を発表し、国土交通省、熊本県、JR九州、沿線自治体をはじめ関係行政、企業、団体等への申し入れ、懇談、協議をはかってまいります。
 1.かけがえのないJR肥薩線
 (1)八代駅から人吉駅間は、絶景区間
 鉄道・旅行情報サイト“Train journey トレたび”の「この路線で行こう!熊本編肥薩線の旅」(2019 年6 月)では、以下のようにJR肥薩線の魅力をアピールしています。
 球磨川沿いを走る通称「川線」。雄大な下流から渓谷美の上流へ車窓が移りゆく熊本・肥薩線の八代(やつしろ)駅~隼人(はやと)駅間の全長124.2 キロメートルを結ぶ肥薩線。そのうち八代駅~人吉(ひとよし)駅間は、”日本三急流”の一つである球磨川に沿って走り、「川線」とも呼ばれる絶景区間。
 切り立った断崖が深い翠緑色の川面に映える光景は、まるで山水画のような美しさ。
 悠然とした穏やかな流れは、川幅が狭くなるにつれて勢いを増していく。
 沿線周辺も、平家落人伝説が残る秘境・五家荘や〝九州の小京都〟と称される城下町・人吉など見どころが満載。
 熊本県公式観光サイトの「熊本を乗り尽くせ!鉄旅特集』でも、以下のようにJR肥薩線の魅力を紹介しています。
 ―県南エリアは鉄道ファンの聖地!ご当地ならではの人気の鉄道特集をお届けします」として、肥薩線について、「汽笛の音、吹き上げる煙、しっかりと大地を蹴りながら走るSLの鼓動、そして変わることのない球磨川沿いの美しい景色が、時代を超えて感動を与えてくれる。
 
 人吉市の旅館経営者は、「人吉市には観光列車が集まっていた。一番はSL人吉。
 『SLが来る』と人吉駅周辺が賑わい、ニュースになり人吉が注目された。SLが来なくなり駅前のお土産屋さんが閉店した。JR肥薩線が復活しなければ人吉の観光は危うい。旅館、飲食店、町の賑わいも寂れていく」と語っています。
 「7・4 球磨川豪雨災害」によって甚大な被害を被った人市の復興、「観光立県」をめざす熊本県にとって、特に県南観光にとってJR肥薩線再建は不可欠の課題です。
 (2)沿線地域の生活、経済の支え
 昨年(2020 年)10 月20 日、JR肥薩線沿線16 市町村で構成する「肥薩線利用促進・魅力発信協議会」は、JR九州に対して、「鉄道での全線復旧」の要望書を提出しています。要望書では、「100 年以上にわたり沿線地域の生活、経済を支えてきた。復興を図る上で必要不可欠」と地域経済、住民生活にとってJR肥薩線の重要性を訴えています。
 高齢者の通院、学生・生徒の通学の足としてJR肥薩線再建を願う声も切実です。
 八代市坂本町では、八代市内中心部の高校への通学が不便になり、親による送り迎えも困難なため転居を余儀なくされたりしています。車の運転ができない高齢者からは「以前は肥薩線で八代の病院に通院していたが、バスの便がある所までタクシーを使うので費用が大変」という声もあります。
 JR肥薩線は、沿線住民の日々の生活、地域の経済、医療、福祉、教育の支えです。
 JR肥薩線がこのまま再建されず廃線になることは、その支えをなくすことです。
 
 2.JR肥薩線再建への提案
 (1)改正鉄道軌整備法を適用し、JR肥薩線の再建を
 熊本地震で損壊したJR豊肥線の復旧では、2018 年施行の改正鉄道軌道整備法が適用され、国と県が4 分の1 ずつ補助し、JRが2 分の1 を負担し、復旧工事が完成し開通しています。
 JR肥薩線、特に「川線」の損壊は、洪水による鉄道被害としては、過去に例を見ない大規模なものです。赤羽一嘉国土交通大臣は、7 月6 日の閣議後記者会見で、「鉄道軌道法などの支援スキームの活用も想定しながら、どのような支援が可能か,JR九州、地元自治体などと検討したい」と述べています(2021 年7 月21 日「西日本新聞」)。
 国・熊本県・JRなど関係者間の協議を速やかに進め、改正鉄道軌整備法を適用し、JR肥薩線の再建を進めるべきです。
 なおBRT(バス・ラピッド・トランジット・・・バスを基軸とした大量輸送システム)については、JR肥薩線再建には不適当であり、除くべきです。川線の絶景、日本三大車窓にあげられる矢岳越え等、地域経済を潤す観光資源としてのJR肥薩線全線の鉄道による再建こそが重要です。
 また、BRTは鉄道軌道整備法の助成対象になりません。鉄道軌道整備法に基づく助成措置は、「鉄道の整備を図ることにより産業の発達及び民生の安定に寄与すること」を目的とし、助成の対象を「洪水、地震その他の異常な天然現象により大規模な災害を受けた鉄道であって、速やかに災害復旧事業を施工して、その運輸を確保しなければ国民生活に著しい障害を生ずる恐れのあるもの」と規定しています。
 (2)「7・4 球磨川豪雨災害」による洪水水位以上へのかさ上げ・高架に
 八代市坂本町の支所建設について、川辺川ダム建設を待たず、「7・4 球磨川豪雨災害」による洪水水位以上の高さでの設置が決まっています。また、球磨川流域の球磨村・八代市・芦北町長は6 月18 日、国土交通省八代河川国道事務所と同省八代復興事務所に対して復興に向けた要望書を提出しています。要望書では、「被災者の生活再建に向けた安全な居住地に確保」として「令和2年7月豪雨時の被災水位」を踏まえた輪中堤・宅地かさ上げが必要不可欠」としています。
 JR肥薩線の線路‥橋梁も、川辺川ダム計画を前提とせず、「7・4 球磨川豪雨災害」による洪水水位にも安全が担保される高さへのかさ上げ(高架も含めて)を行うことを提案します。堤防と鉄路のかさ上げを一体的に進めれば費用の軽減にもつながります。
 「7・4 球磨川豪雨災害」後、国交省・熊本県は、川辺川ダム建設を復活させました。
 川辺川ダム建設を復活させたものの流水型ダムの全体像、具体像ともに定かではなく、完成まで10 数年かかるといわれています。川辺川ダム建設計画があればJR肥薩線の線路・橋梁の高さはそれに左右されるため、治水計画ができるまで再建の設計もできません。そのうえ線路・橋梁の高さは、川辺川ダムの洪水調節の分だけ低い高さに抑えられ災害リスクが高くなります。
 JR肥薩線再建の先が見えない最大の要因は川辺川ダム建設計画です。
 川辺川ダム計画を前提とせず、「7・4 球磨川豪雨災害」による洪水水位以上へのかさ上げ・高架によるJR肥薩線全線の再建へ、直ちに調査・設計・事業化の具体化を図るべきです。
 (3)川辺川ダム建設を中止すれば、JR肥薩線再建費用は十分確保できる
 JR肥薩線再建のためには膨大な費用を要します。青柳俊彦・JR九州社長の「過去最大の100 億円超が見込まれる」との発言が伝えられています((「毎日新聞」 2020年9 月24 日)。100 億円超は大変な額ですが、川辺川ダム建設費は、約1,200 億円と伝えられています。川辺川ダム建設を中止すればJR肥薩線再建の財源は優に確保できます。
 
 3.被災者の苦難に寄り添い、力を合わせて復興を
 国・熊本県は、被災者、流域住民、永く川辺川ダム問題に関わってきた河川工学や環境の専門家等を「7・4 球磨川豪雨災害」の検証と治水対策を検討する「協議会」から排除しました。住民が最も知りたかったダムの緊急放流のデータを隠匿・破棄して、「川辺川ダムがあったら被害を軽減できた」との宣伝の大規模に行い、被災者、流域住民を分断し、川辺川ダム建設を進めようとしています。
 「7・4 球磨川豪雨災害」から1年が過ぎましたが、多くの被災者が「住宅の再建にめどがたたない。治水対策がどうなるかわからないから」と訴えています。「治水対策がどうなるかわからない」のは、川辺川ダム計画があるからです。
 人吉市、中流域全体で「7・4 球磨川豪雨災害」による洪水水位以上の高さの堤防、宅地、輪中堤、鉄路ができる見通しがたてば、住宅の再建、生活の立て直しの展望が開けます。被災住民の生活の再建、JR肥薩線の全線再建を妨げているのは川辺川ダム計画です。
 川辺川ダム計画は撤回し、被災者の生活、生業の再建、流域住民の安全・安心のための治水対策、地域の経済、生活を支えるJR肥薩線の再建等について、被災者、流域住民、自治体、農林水産業、企業等が知恵と力を合わせて、球磨川流域・県南復興への取り組みを推進されることを願うものです。
 「JR肥薩線全線再建についての提言」がその一助になれば幸甚です。
 以上

球磨川、白川・緑川「流域治水協議会」のメンバーに、流域住民などを加えることについて
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 国土交通省九州地方整備局長 村山一弥様
 熊本県知事 蒲島郁夫様
   2021年6月1日
   日本共産党熊本県議会議員
   山本伸裕
   球磨川、白川・緑川「流域治水協議会」のメンバーに、流域住民などを加えることについて
 日本共産党熊本県委員会
 「流域治水関連法案」審議の質疑のなかで、赤羽一嘉国土交通大臣は、「そこに住み、対策を訴え続けてきた地域住民の声を聞いてほしいと求めてきた。住民参加の仕組みつくるべきでは?」(日本共産党高橋千鶴子衆議院議員)との問いに、「協議会のメンバーに地域住民の代表や、地域で防災活動を一生懸命やってきた方々とか歴史をよくわかっている方々に入っていただいてその知見を発揮していただく」と答弁しています。
 熊本県内の一級河川、球磨川水系での「令和2年7月球磨川豪雨検証委員会」「球磨川流域治水協議会」、さらに「白川・緑川流域治水協議会」においては、国交省・熊本県・流域市町村長のみで構成されています。
 流域住民、市民団体、日本共産党などが、「メンバーに、流域住民、治水にかかわってきた市民団体メンバー、専門家などを加えるべき」と再三、要請江いてきましたが、現在に至るまで改善されていません。
 球磨川、白川・緑川「流域治水協議会」のメンバーに、流域住民などを加えることについて
 直ちに、球磨川、白川・緑川「流域治水協議会」のメンバーに、流域住民などを加えることを求めます。

諫早湾潮受け堤防の開門をめぐる差戻審において
 福岡高裁が示した和解協議の提案への賛同を求める要請書
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 2021年6月1日
 熊本県知事 蒲島 郁夫 様
 いのちとくらし・平和を守る熊本ネットワーク
 共同代表 楳本 光男
      藤田 信一
  諫早湾潮受け堤防の開門をめぐる差戻審において福岡高裁が示した和解協議の提案への賛同を求める要請書
 
 貴職におかれては平素から農林水産業の発展と地域経済の振興にご尽力されていることに敬意を表します。
 諫早干拓潮受け堤防締め切り後23年が経ちました。その日以来、宝の海・有明海は環境が悪化し、漁業被害は拡大しています。とくにタイラギは佐賀と福岡両県の生息調査で成貝が1個も見つからず、9季連続の休業となりました。1975年度に1700㌧を超えた水揚げは、締め切り以降減少し続け、2012年以降はゼロが続いています。
 いま漁での生活ができず、漁を辞める漁業者か増え、漁協組織がなくなる可能性が強まっています。ノリも地域差はありますが、全体として被害は拡大し、ノリの質が年々悪くなっています。有明海沿岸の漁民にとって、一日も早く「宝の海」を取り返すことは切実な願いです。
 これまで国は、500億円以上をかけて有明海再生事業を行ってきましたが、いまだに有明海再生のめどが立たないばかりか、有明海の環境は一層悪化しています。有明海再生のためには開門調査が有明海漁業者の最後の望みです。
 諫早湾潮受け堤防開門判決が確定し10年が経過しました。福岡高裁は、諫早湾干拓事業と有明海の漁業被害の因果関係を認め、排水門の常時開門を命じました。国が確定判決に従わなかったこと、また、それに対して制裁金を課されたのは憲政史上初めての異常事態です。また、有明海と周辺地域を崩壊させ漁業者、地域住民の間に分断と混乱を招いた農林水産省の責任は重大です。そういうなか4月28日、福岡高裁の差戻審において和解協議の提案がされました。そのなかで「有明海は国の宝であり、後代まで享受するべき国民的資産」として、国に対し、その職責を負うものとしてこれまでの態度を改め主体的かつ積極的に関与するよう求めています。この和解協議を実現させ、有明海と沿岸地域の真の再生にむけた展望を開くため、沿岸県である熊本県としても積極的役割を果たされますよう以下の項目について要請します。
 
 1.有明海再生および、周辺地域の産業と住民生活の発展のために、福岡高裁による和解協議の提案に賛同の意志を表明していただくこと。
 以上

川辺川ダム計画は中止し、「7・4球磨川豪雨」レベルの洪水から住民と地域を守る治水対策を
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 国土交通大臣 赤羽一嘉様
   2021年5月21日
    日本共産党熊本県委員会
    委員長  松岡勝
    日本共産党南部地区委員会
    委員長  野中重男
  川辺川ダム計画は中止し、「7・4球磨川豪雨」レベルの洪水から住民と地域を守る治水対策を
 
 雨期が迫るなか、球磨川流域の被災者、住民は不安を募らせています。
 昨年7月の事態が連続しておきない保障はありません。河川管理者である国土交通省(以下、国交省)の責任は、川辺川ダム建設計画は中止し、「7・4球磨川豪雨」レベルの洪水から住民と地域を守る治水対策を一刻も早く実現することです。
 
 1,雨季に備えた安全対策を
 浚渫・掘削、堤防強化を急ぎ進め雨季に備えることをも求めてきましたが、例年より早い梅雨入りとなりました。流域住民は不安を募らせています。
 市街地、住家の安全対策として、「連続箱型鋼製枠」、土嚢等の設置、避難情報などが各戸に伝わる体制の整備を緊急に実施することを求めます。
 
 2,堤防・宅地等のかさ上げは、7・4球磨川豪雨時の洪水の水位以上にすること
 気候変動下の異常洪水に対する安全な治水対策は急務です。
 ①人吉地区
 ・河道の堆積土砂撤去・可能な限りの河床掘削を進めるとともに、中川原公園のスリム化・撤去及び堤防のかさ上げ・強化を実施することで、7・4球磨川豪雨時の洪水(以下「7.4洪水」)の水位に対応できる安全度を確保すること。
 ②中流域
 ・道路・橋梁のかさ上げを「7・4洪水」の水位以上として実施すること。
 ・宅地かさ上げを7・4洪水の水位以上として実施すること。また、希望者は高台移転を行うこと。
 ③瀬戸石ダムを撤去すること。
 
 3,「球磨川水系緊急治水対策プロジェクト」および「学識者」の提案について
 住民の合意を得て、「河川激特緊急事業」レベルのスピード(5年間)で完了を
 「球磨川水系緊急治水対策プロジェクト」では、「河道掘削」「引き堤」「輪中堤」「遊水地「宅地かさ上げ」「堤防決壊、護岸損傷、土砂堆積対策」「水田・ため池の活用」「森林の整備・保全」「雨水貯留施設の整備」「情報提供・避難行動・水防活動基盤整備」等が示されています。
 「学識者の意見を聞く場」では学識者から、「中川原公園が洪水時は抵抗となり、上流側の水位を高め、公園周辺で土砂堆積傾向になること」「避難機能付き公営住宅(非浸水階の集会所、屋上は避難所)の建設」「避難機能付き共同住宅の建設」「流域対策として流出抑制・氾濫流のコントロール(既存道路の活用)」「支流ごとの治水対策」「田んぼダムの実施」「公共区間におけるグリーンインフラの導入(公園のレインガーデン、公共施設にレインガーデン雨庭)「浸透水型側溝」「民有緑地のグリーンインフラ認定制度」「戸建て住宅の雨庭・レインガーデン普及」「森林の整備・保全、災害に強い林道・作業道の開設・保全(間伐残材・枝条の活用)」などが提案されました。これらについて
 ①具体案と事業費の内訳を明らかにし、関係住民に丁寧に説明を行い、意見を聞くこと。住民・地権者の納得と合意をえて進めること。要望・提案にもとづく計画の適切な修正に努めること。
 ②工事実施に伴い、移転、家屋の立て替えなどの負担について、従来の枠にとどまらず国による「補償」、支援を行うこと。
 ④事業の完了を河道掘削、宅地かさ上げ等のすぐに実施可能な対策は河川激甚災害対策特別緊急事業と同じ5年で完了すること。遊水池等、住民合意が必要な対策については、白川水系の小倉遊水地、手野遊水地が5年以内に完了した経験を活かし、遅くとも10年を目途に完了すること。
 
 4,国の財政負担・支援を
 2008年8月25日、当時の国交省九州地方整備局長が、蒲島郁夫知事に対し、「ダムを建設しないことを選択すれば、流域住民に水害を受忍していただかざるを得ないことになる」と宣言したことは広く知られています。
 2008年11月、蒲島郁夫熊本県知事が、「川辺川ダム中止。ダムのよらない治水の極限まで追求」表明後、国交省は、12年近くの間、「ダムによらない治水を検討する場」「球磨川治水協議会」を形だけ開き、有効な治水を具体化、推進せず、河川整備計画をつくらす、ダム以外治水の不作為を続けてきました。 
 その結果、2020年7月4日、球磨川流域は甚大な洪水被害に見舞われました。「7・4球磨川豪雨災害」は、12年間、河川整備計画もつくらず、ダム以外の治水対策を怠ってきた国交省の不作為によるものです。
 国交省は自らの責任を自覚し、球磨川水系の安全な治水対策事業に対する財政支援を現行の施策の枠を超えて実施することを求めます。
 
 5、法にもとづく環境アセスを
 現在の川辺川ダム計画は、「法制定前」ということで「環境影響評価」がなされていませんが、河川法にもとづく新たな構造・設計のダムになるので「環境アセスメント法」にもとづく環境影響評価を実施すべきです。
 「環境アセスメント法」は、「この法律において『環境影響評価』とは、事業(特定の目的のために行われる一連の土地の形状の変更(これと併せて行うしゅんせつを含む)並びに工作物の新設及び増改築をいう。)の実施が環境に及ぼす影響(当該事業の実施後の土地又は工作物において行われることが予定される事業活動その他の人の活動が当該事業の目的に含まれる場合には、これらの活動に伴って生ずる影響を含む)について環境の構成要素に係る項目ごとに調査、予測及び評価を行うとともに、これらを行う過程においてその事業に係る環境の保全のための措置を検討し、この措置が講じられた場合における環境影響を総合的に評価することをいう」(第2条)と定めています。
 「宝の球磨川」の環境を守るために、法律に基づく「環境影響評価」を実施し、その結果について住民が審議する機会を保障することを求めます。
 
 6,緊急放流についての説明会の開催、メンバーを補充して「球磨川豪雨検証委員会」及び「球磨川流域治水協議会」のやり直しを
 ①川辺川ダムの緊急放流についての文書の隠匿、破棄、一転して公表、俺に関しての熊本県と国交省の言い分の食い違いなど、流域住民が川辺川ダム建設の認否を判断するうえできわめて重要な内容を巡る疑惑が浮上しています。佐是このような事態に至ったのか、説明を求めます。
 ②緊急放流についての説明と開かれた検証については、流域住民、市民団体、河川工学の専門家、日本共産党が繰り返し求めてきました。
 改めて、市房ダムの緊急放流がなされた場合、川辺川ダムが緊急放流した場合、市房ダムと川辺川ダムが緊急放流した場合、それぞれが下流にどのような影響をもたらすのか。流域住民等に詳しく説明することを求めます。
 ③「流域治水関連法案」についての国会質疑を踏まえ、住民・市民団体、治水・環境等の専門家をメンバーに加え、「球磨川豪雨検証委員会」及び「球磨川流域治水協議会」の審議をやり直すことを求めます。検証と協議が公平・民主的になされるよう、委員事務局は国・県以外の第三者とすることを求めます。

「まん延防止等重点措置」の適用にあたって県民のいのちとくらしを守るための対策強化を求める要望

2021年5月27日
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異気候変動に対応できず、危険な立野ダムの建設中止を
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 国土交通大臣 赤羽一嘉様
    2021年5月21日
     日本共産党熊本県委員会
     委員長      松岡勝
     日本共産党熊本地区委員会
     委員長      重松孝文
     日本共産党北部地区委員会
     委員長      濱元幸一郎 異気候変動に対応できず、危険な立野ダムの建設中止を
 1,雨期に備え、緊急の対策を
 昨年7月、連続した線状降水帯により球磨川水系は未曾有の洪水被害に遭遇しました。昨年の事態が、白川水系でおきない保障はありません。
 立野ダムの洪水調節を計算に入れた堤防や河道では、その分被害が大きくなります。流域住民の安全第1に、今年の雨季に備えた河川整備、避難情報の伝達などソフト対策が急務です。
 浚渫・掘削、堤防強化を急ぎ進め雨季に備えることをも求めてきましたが、例年より早い梅雨入りとなりました。
 市街地、住家の安全対策として、「連続箱型鋼製枠」、土嚢等の設置、避難情報などが各戸に伝わる体制整備を緊急に実施することを求めます。
 
 2,閉ざされた治水協議の異常さ
 流域住民や専門家、地域の学識者を加えて「流域治水」協議を
 ①「白川・緑川水系流域治水協議会」が2回開かれていますが、その構成メンバーは、国交省・熊本県・流域首長だけで、流域住民や地域の学識者などが除外されています。さらに会議は、報道関係者だけが傍聴できるだけで一般の傍聴者は認められません。
 球磨川水系では、「流域治水協議会」「学識者等の意見を聞く場」について、傍聴が保障されています。同じ国交省のもとでの、しかも同じ県内でのこの違いは異常であり、かつ無責任極まりないものです。、
 ②「社会資本整備審議会」答申(2020年7月)は、「あらゆる関係者が協働して流域全体で行う、流域治水への転換を推進し、防災・減災が主流となる社会を目指す」と述べています。
 「白川・緑川水系流域治水協議会」規約は、第2条(目的)で、「白川及び緑川流域において、あらゆる関係者が協働して流域全体で水害を軽減させる治水対策『流域治水』を計画的に推進するための協議・情報共有を行うことを目的とする」と定めています。
 ところが実態は、流域住民、学識者などは協議から除外されています。
 ③一昨年の「白川水系河川整備計画」変更の際には、立野ダムについては、審議の対象から外されました。しかし、説明会会場の発言、インターネット・ファックス・投書での意見表明で、圧倒的多数が立野ダム建設についての不安・疑問・反対意見が寄せられました。住民からの意見(384件)のうち立野ダム建設を求める意見は4件(約1%)でした。しかし、国交省はこれらを無視しました。 
 こうした住民不在の公共事業のあり方は根本的に間違っています。
 「流域治水関連法案」の国会質疑を踏まえ、流域治水協議会のメンバーに、流域住民や専門家、地域の学識者をはじめとする流域の人材も加え「流域治水」協議を進めることを求めます。
 
 3,ゲート設置について、説明を
 報道によると2021年度中の立野ダム工事として、「放流量調節のためのゲート工事に着手する」と伝えられています。
 九州地方整備局のPress ℞elease(2021年4月1日)によると、「立野ダム試験淡水用ゲート製作据え付け工事」として、工事規模6億90000万円以上 15億円未満と記されています。
 ゲート製作据え付けの設計、費用の細目、工事計画、入札の段取り等を広く明らかにすることを求めます。
 
 4,遊水地、田んぼダムの具体化を
 ①国交省は、「第2回球磨川流域治水協議会」で、「今次出水の被害状況を鑑み、甚大な被害が生じた人吉市街部及び中流部で効果を発揮させられるよう、遊水地の配置を検討する」「地域の基幹産業でもある営農等に配慮しつつ、『地役権方式』及び『掘り込み方式』の組み合わせによる配置を計画する」「『掘り込み方式』については地下水位以上の掘り込みを条件とすることを検討(平常時の営農等への活用可能性も含め検討)」すると表明しています。
 熊本県が、阿蘇地区の小倉、手野で建設した「地役権型遊水地」については、小倉地区では、地権者総数102名全員、手野地区では、44名中43名(1名は買収希望)が賛成・同意しています。小倉遊水池は、88㏊で貯水容量265万㎥、手野遊水池は、50haで、貯水容量は138万㎥、あわせて403万㎥です。 
 事業費は、小倉遊水池69億円、手野遊水池57億円です。
 立野ダム事業検証では、中流域における遊水地案がありました。球磨川水系で推進されようとしている遊水地計画を白川水系にも適用し、中流域での遊水地計画を検討・具体化することを求めます。
 ②球磨川水系では、「田んぼダム」についての具体化が進められています。
 熊本県は、球磨川水系では、21年度から「田んぼダム」の実証実験を実施します。
 水田面積が広く、地下水涵養効果としても、白川水系での遊水地、田んぼダムの本格的な設置計画の具体化を求めます。
 
 5,気候変動に対応できず、危険な立野ダムの建設中止を求めます。
 ①立野ダム建設に関しては、流域住民、市民団体、河川工学の専門家などから、放流孔の閉塞、土砂崩れ山腹崩壊などによる危険性の指摘、立野ダムに代わる代替案(堤防強化・かさ上げ、土砂の浚渫、必要な掘削、遊水地、田んぼダムの建設、上流から下流に至るソフト面の充実強化などの提案がなされてきました。
 にもかかわらず国交省は、立野ダム建設を強行しています。
 国交省の行為は、国家賠償法第2条1項は、「道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる」に該当する可能性があることを指摘するものです。
 ②2020年7月に公表された国土交通省・社会資本整備審議会答申「気候変動を踏まえた水災害対策のあり方についてーあらゆる関係者が流域全体で行う持続可能な『流域治水』への転換」(答申)は、
 「これまで災害対策は過去に発生した災害の経験を踏まえて講じられてきたが」「水災害対策は気候変動などの将来のリスク予測に基づくものへと転換させていかなければならない」と指摘しています。
 さらに「気候変動をふまえた治水計画のあり方」提言(2018年 10 月・「気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会)は、「ダムや堰、大規模な水門などの耐用期間の長い施設については、必要に応じて、更なる気温上昇(例えば4℃上昇相当-降雨量1・3倍、流量1・4倍、洪水発生頻度4倍)にも備えた設計の工夫を行うこと」と指摘しています。
 「答申」「提言」の指摘で明らかなことは次の点です。
 1-現在建設中の立野ダム計画では、今後の気候変動による降雨量、洪水流量には対応できなくなるということ。
 2―対応できない降雨量、洪水流量の場合は、非常放流(緊急放流)をせざるを得ないこと。立野ダムによる洪水調節を前提とした河川整備は、その分、堤防の高さや川幅など、低く狭く計画されており、下流での被害が大きくなるということです。
 「百害あって一利なし」の立野ダム建設は中止することを強く求めます。

熊本地震から5年を迎えるにあたって
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 2021年4月14日 日本共産党熊本県委員会
   熊本地震から5年を迎えるにあたって

 熊本地震から5年を迎えるにあたり、改めて犠牲になられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災者の皆さんにお見舞いを申し上げます。復興に向けてたゆまぬ努力をされている被災者の皆さん、自治体の皆さん、被災地への支援を行ってきた皆さんに、心からの敬意を表します。日本共産党は被災者の暮らしとなりわいを再建し、復興を成し遂げるまで、県民の皆さんとともに力を尽くす決意です。
 
 1.被災者に寄り添い、住まいと暮らし、なりわいの再建への支援の継続・強化を国・県に求める
 熊本地震は、甚大な住宅被害を及ぼしました。いまだに150世帯、418人の被災者が、仮設住宅での生活を余儀なくされています(3月末時点)。熊本県は、ピーク時の入居者数約2万世帯、4万7千800人と比較して、「全体の99%の被災者が住まい再建を果たした」と強調します。しかし仮設住宅退去者の中には、入居期限の終了を理由に、入居延長を求めても認められず、泣く泣く退去させられる事例もありました。壊れた家屋を補修できないまま住み続けざるを得なかった被災者も存在します。また被災当初から仮設住宅には入居せず、行政が実態をつかんでいない在宅被災者も多く存在します。仮設住宅入居者数の減少で住まい再建の到達をはかることは不適切・不正確です。
 熊本日日新聞の聞き取り調査でも、「失ったり傷ついたりして、取り戻せないもの」として、回答した被災者の24%が「住まい」と答えています。仮設住宅は撤去が進んでいますが、住まい再建がままならない被災者の実態があることを、あいまいにすることは許されません。
 新型コロナ感染症の拡大がもたらしたコロナ禍は、被災地により大きな困難をもたらしています。震災の傷跡から立ち上がろうと、もとより多くの困難に立ち向かってきた事業者や被災者の暮らし、こころとからだの健康悪化も心配されます。
 
 「被災者の実態調査を」
 被災者の住まい再建・暮らしと健康、なりわいなどの実態、悩みを、熊本地震から5年の節目にあたり、国や県の責任で調査し、実態に即した支援を継続・強化することを求めます。被災者の実態をつかんでこそ、被災者に寄りそった支援ができます。
 
 「住まいと暮らしの支援」
 一人でも入居者がおられる限り、仮設住宅の生活環境改善に引き続き行政が努めていく必要があることは当然です。また災害公営住宅の家賃補助、孤立化防止策やコミュニティーの形成支援の拡充を求めます。災害公営住宅ではカビや設計の不具合などが発生しました。行政の誠実な対応とともに、ストレスや健康不安、子育てや教育への不安など、被災者の相談に応じることのできる専門スタッフの確保、相談窓口の拡充が必要です。生活苦により、被災者が必要な医療や介護、保育や教育などが受けられないようなことにならぬよう、支援策の復活・継続、拡充を求めます。
 個人の農地や私道など、被災したままいまだに復旧が進まない箇所が取り残されています。防災や安全上の観点からも、放置したままにせず復旧を支援する方策を講じるよう、行政に求めるものです。
 
 「益城町のまちづくり」
 震度7の激震を二度にわたって経験した益城町では、県道熊本高森線の四車線化と木山地区の土地区画整理事業が進められていますが、工事は難航しているうえ、地域と住民の再建にも暗い影を落としています。四車線化事業は、事業に同意していない地権者も多く、土地区画整理事業も3割近くの方が「減歩」や「仮換地」に同意していません。こうした事業が進められている地域では自宅建築をしたくてもできず、住民は不自由な仮設暮らしを余儀なくされています。現行計画にとらわれず柔軟に計画を見直していくことを求めます。
 
 2.熊本地震の教訓を生かし、被災者一人ひとりの幸福を追求する権利を尊重した政治の実現を
 〇被災者生活再建支援法の改正を
 生活再建のかなめである住宅再建への支援は、最大でも300万円と少ないうえに、熊本地震の被災者については「半壊」も「一部損壊」も支援の対象外です。緊急に500万円に引き上げるとともに、被災の実情に応じた支援ができるように、額も対象も拡充することを求めます。
 
 〇惨事便乗型の「創造的復興」を見直し、「人間の復興」へ
 益城町の土地区画整理事業や県道熊本高森線の四車線化は、復興事業に多くの時間と労力が費やされる一方、住宅や地域の再建が逆に遅れてしまう状況となっています。また「創造的復興」として掲げられた大空港構想Next Stage、八代港のクルーズ拠点整備は、被災者の生活再建、被災地の復興と関係がないばかりか、コロナ禍のもとで当初の計画・目標からの大幅な見直しを迫られています。大災害に便乗した開発計画を被災地に押し付けるのではなく、被災地の復興と被災者の暮らしとなりわい再建を主眼に置くことが必要です。
 
 〇救助・救援体制の強化
 218人にも上ってしまった震災関連死(3月末現在)も決して繰り返してはならない問題です。避難所や応急仮設住宅の改善、コミュニティー形成へのサポート拡充を進めていくべきです。避難生活におけるジェンダー平等も重要な課題です。また医療・介護などを被災者の実情に見合って充実させなければならないにもかかわらず、国・県が被災者の医療費免除措置を早々に打ち切ったことも重大問題です。災害時における救助・救援体制の見直しと抜本的強化を求めます。
 
 〇なりわい再建への本格的支援
 熊本地震でグループ補助金が拡充されたことは大きな前進でしたが、コロナ化で被災地の市街地や商店街、中小企業・小規模事業所、農林水産業などの事業は疲弊しており、本格的な支援策の構築が求められます。
 
 ○防災のまちづくり
 公共事業を大型開発優先から、防災・老朽化対策に転換し、防災のまちづくりを進める事も必要です。また、熊本地震後も、毎年のように災害による大きな被害が起きています。今後もいつどこで大規模災害が発生するかわかりません。熊本地震で被災者、被災自治体の皆さんが費やした大変な苦労に真正面から向き合い、その教訓を災害対策に生かす政治に変えることが求められます。気候変動によりこれまでの想定を超える規模の大規模な台風や豪雨に見舞われることも想定しなければなりません。住宅耐震化への支援や河川改修、危険なダム建設の見直しなどを求めます。
 
 日本共産党は、熊本地震の教訓を胸に刻み、災害から国民の命と暮らしを守る政治にするために全力をあげます。

新型コロナウイルス感染症対策に関する緊急要望
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新型コロナウイルス感染症対策に関する緊急要望
 2021年2月4日
 日本共産党熊本県委員会
 委員長     松岡勝

   1、国民に罰則を科す政府の法改定は言語道断。撤回を求めよ
 昨日(2月3日)、国会では、入院措置に応じない人や休業・時短の命令に従わない事業者などへの罰則を盛り込んだ、新型コロナウイルス対応のための特別措置法、感染症法等の改定案が可決、成立しました。改定法は、コロナ感染者やコロナ対策で営業が困難になるなど、不利益をこうむっている国民を「犯罪者」扱いし、威嚇と罰則で強権的に行政が対応することを可能にする重大な内容となっており、とうてい容認することはできません。罰則をもちこむことは国民の中に相互監視、分断、差別と偏見をもたらすことにつながります。その結果、検査を回避したり検査結果を隠すようなことになれば感染症対策にも逆行します。
 元来、感染症法は患者の人権尊重をはっきりと規定しています。それはハンセン病患者の強制隔離やエイズ患者差別という、過去の過ちに対する反省からです。かつてハンセン病患者を強制収容する「無らい県運動」に加担してきた熊本県は、蒲島知事主導のもと検証委員会を設置し、報告書をまとめています。その冒頭には「二度と同じ過ちを繰り返さないために、歴史にしっかりと向き合い、行動するようにとの戒めであると重く受け止める」と記されています。全国知事会が罰則導入に積極姿勢を示す中、過去の教訓を重く受け止めておられる蒲島知事こそ、全国や政府に向けて警鐘を鳴らすべきです。
 新型コロナ感染症対策においていま求められているのは、国民に恐怖心を持たせる施策ではなく、国民が安心できる施策を広げていくことです。誰一人取り残さないという姿勢に立ち、必要な対策に全力をあげるよう、熊本県として政府に強く要請されるよう求めます。
 
 2、医療崩壊を食い止める対策に全力を
 
 新型コロナの新規感染者は、現局面では減少傾向にありますが、医療提供体制は依然として逼迫しています。激務が続き、看護師などの離職が相次いでいます。コロナに対応する医療体制・病床を確保しつつ、通常医療の体制を維持するためには、地域の医療体制全体への支援が必要です。いま日本の医療機関は危機にあるという認識が国民的に共有されている中で、医療機関への減収補てんを求める声は大きく広がっています。ワクチン接種の体制整備を進めるうえでも、医療機関への補てんは不可欠です。熊本県としても政府に対し、ぜひ医療機関への減収補てんをおこなうよう声をあげていただきたい。
 これまで熊本県に交付決定した、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)は約307億円ですが、実際に医療機関に届いたのは171億円にとどまっています。必要な支援が医療現場に届いていない現状を配慮し、受付期間の延長と周知徹底をはかるよう求めます。
 
 3、感染拡大を抑えるために、今こそ検査・保護・追跡の基本を強化すること
 
 医療崩壊を食い止めるうえでもう一つ重要なことは、重症患者を減らすことです。熊本県として、感染拡大を抑え込むための戦略を持ち、社会的検査と感染拡大地域における面的な大規模・集中的検査を実施するよう求めます。
 独自の判断で社会的検査の実施に踏み切る自治体も現れています。クラスターが発生すれば重症患者が発生しやすい医療機関や高齢者施設において社会的検査を実施することは、今後の爆発的感染拡大を防止する上でも非常に重要な方策です。熊本県全域において高齢者施設、医療機関、学校等における全職員、患者、利用者、生徒を対象とした社会的検査を実施すべきです。
 政府は、こうした社会的検査、感染拡大地域を対象とした大規模・集中的検査を実施する上での財政的保障を示していません。自治体任せではなく、政府が財政の保障や体制の確保について責任を持つよう強く要請すべきです。
 
 4、自粛と一体の補償を
 
 影響が長期化し、事業者の困難は深刻化しています。さらに県独自の緊急事態宣言で、営業時間の短縮要請、外出自粛の徹底など数々の負担を強いています。自粛と一体の補償は必要不可決ですが、現在の支援策は、現場の窮状を救うに十分なものとは到底言えません。「一日4万円の協力金ではなんともならない、家賃やリース代で消えてしまう」といった声が上がっています。飲食店のみならず、多くの事業者が廃業の危機に直面し、仕事を失って生活困窮に陥る人々が広がっています。
 自粛要請と一体に十分な補償を行ない、コロナから雇用と営業を守る支援策を拡充すべきです。事業規模に応じて、事業が続けられる補償をおこなうこと、納入業者、生産者など、直接・間接に影響を受けるすべての事業者を対象に、十分な補償をおこなうよう求めます。
 政府に対し、GO TO事業はきっぱり中止し、宿泊・観光産業に対する直接支援の制度に切り替えるよう要請すべきです。
 
 5、生活困窮者のもとに直接行き届く支援策を
 
 仕事や収入を失った生活困窮者のもとにいち早く支援を届ける必要があります。政府として新たな給付制度の創設を検討するよう求めるべきです。
 コロナ禍による生活困窮が広がる一方、生活保護利用の資格がありながら利用していない世帯が8割にも上ると言われています。「生活保護は権利」であること、政府も「ためらわずに生活保護の申請を」と呼びかけていることなど周知徹底するとともに、利用をためらわせる要因として指摘されている扶養照会をなくすべきです。
 厚労省が実施し、社会福祉協議会が受け付け窓口となっている生活福祉資金の特例貸付は、新型コロナの影響で収入が減少し、生活に困窮している方に必要な貸付を迅速に行うことを最優先課題として実施されています。ところが熊本県社協の場合、深刻な生活困窮状態に直面している方でも「総合的な判断」という口実で、何ら理由も示されず貸し付けが断られるケースが相次いで発生しています。生存の危機に瀕している住民を放り出す事態になりかねません。政府自身もこのほど、生活困窮がさらに深刻に拡大している実態を考慮し、コロナ感染拡大の影響を受けた困窮者向けに生活費を貸し付ける「総合支援資金」を拡充し、緊急小口資金と合わせると最大200万円の借り入れが可能となりました。「できる限り排除しない」という厚労省の制度の趣旨に基づき、県社協がこの間の対応を改め、申請者の個々の生活の実情に丁寧に寄り添い、貸付決定を進めるよう、県として強く指導されることを求めます。
 雇用情勢が大幅に悪化している中、とりわけ非正規労働者への一刻も早い支援が求められています。コロナ対応の休業支援金・給付金が設けられましたが、野村総研の調査によると、休業支援金を知らない人がシフト減の女性労働者の6割、知っていても9割の人が申請していないといいます。また大企業を対象外としているため、大手チェーン店の非正規労働者には支給されません。制度の改善を国に求めるとともに、県内で非正規として働き、仕事が奪われている若者や女性に制度が周知されるよう、さらなる広報活動の強化を求めます。
 民間の支援グループが学生への支援物資を募り、配布するなどの善意の活動が広がり、喜ばれています。本来ならば住民の命・暮らしを守ることに責任を持つべき行政が役割を発揮すべきところです。支援グループ等から聞き取りなどもおこない、県としてできる支援策を具体化・実施されるよう求めます。
   以 上

新型コロナウイルス対策 日本共産党国会議員団の「政府への要望事項」
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新型コロナウイルス対策 日本共産党国会議員団の「政府への要望事項」
 2021年1月8日 日本共産党国会議員団
 
 1、緊急事態宣言の発令について、科学的かつ具体的根拠にもとづく説明を行うこと
 これまで政府は「緊急事態宣言は必要ない」という態度を繰り返し示してきた。これを変更したことについて、国会と国民への説明はまともになされていない。
 なぜ、緊急事態宣言の発令にいたったのか、なぜ対象地域が東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県で、期間が1カ月なのか、なぜ飲食店への時短営業の要請なのか等について、菅義偉首相が国会での時間をとった質疑に緊急に応じることを求める。
 
  2、十分な補償と医療・検査の抜本拡充を行うこと
 (1)医療・福祉施設への検査等の抜本的強化、医療機関・保健所への支援に全力をあげること
 ――医療機関・福祉施設への「社会的検査」を国の責任で行うこと。
 医療・福祉施設でのクラスター発生を防止する検査は、重症者を減らし、医療への負担を軽減するうえで決定的に重要である。
 行政検査に係る自治体の負担を完全になくすために、地方負担分の事後交付、いわゆる「裏負担」などではなく全額国庫負担の制度にすることを求める。あわせて「社会的検査」が保健所の負担とならないように、医療機関、高齢者施設、障害者施設等が民間機関も活用した「自主検査」を定期的に行い、その費用を国が負担する仕組みをつくる。
 介護施設で従事者に陽性者が発生した場合にも介護体制を維持できるよう、人的支援とそれに伴う財政的支援を行う。
 ――感染震源地(エピセンター)への「面の検査」について、政府としての戦略を持つこと。
 新型コロナウイルス感染拡大を抑制するために、感染震源地がどこであるかを明らかにし、大規模・集中的検査を行うことが必要である。夏の「第2波」に至った教訓からも、「クラスター対策」だけでは“感染が少し下火になると検査も減らす”こととなり、これでは感染を抑え込むことができない。政府が明確な戦略を持ち、そのための体制の確保などをすすめること。
 ――「濃厚接触者」に限定せず、感染リスクのある接触者を広く検査すること。
 「感染者がマスクを着けて接触した人は『濃厚』に該当しない」など、「濃厚接触者」の範囲はかなり限定的である。厚労省は、接触者について広く行政検査の対象とすることを可能としているが、「濃厚接触者」に限定している事例は多々ある。医療機関で「濃厚接触者」以外も対象として検査ができることを明確にし、保健所を介さなくとも、接触者への検査を積極的に行うことが求められる。
 ――医療機関への減収補填をただちに行うこと。
 新型コロナ患者に対応する病床と人員を確保するためには、地域全体の医療体制を強化することが必須である。最も迅速に医療従事者の人件費を保障し、医療機関の経営を支える施策が減収補填(ほてん)である。医療崩壊を防ぐために、ただちに決断すべきである。
 ――感染追跡を行うトレーサーの確保をはじめ、保健所への人的・財政的支援を強化すること。
 「第3波」での臨時的な人員強化に全力をあげるとともに、これを今後の保健所体制の基盤とできるように、抜本的な定員増員に踏み切ること。
 (2)事業と雇用を持続できるに足る補償・支援を行うこと
 時短営業を要請される飲食業にとどまらず、多大な経済的影響が生じることとなる。事業と雇用を守ることを政府の大方針として、今後、数カ月間、かつてない規模とスピードでの補償と支援を行うことは感染抑制に必須である。罰則による監視と強制では、国民に分断が持ち込まれ、隠れた感染拡大を生じさせかねず、また倒産・廃業など経済に大打撃をもたらすことになる。
 ――自粛要請とセットで雇用と事業を維持できる補償を行えるようにする。そのために地方創生臨時交付金を大幅に積み増すこと。
 事業規模も、雇用者数も度外視した「協力金」では、事業も雇用も維持できない。飲食業に十分な補償を行うとともに、納入業者、生産者をはじめ関連事業者や集客制限を要請するライブ・イベント業界なども補償の対象にする。
 
 3、追加経済対策とこれにもとづく第3次補正予算を抜本的につくりなおすこと
 追加経済対策と第3次補正予算は、感染の急拡大と「緊急事態宣言」という新たな局面に全く対応していない。「ポストコロナ」を基本として、Go To事業の期間延長や国土強靱(きょうじん)化に名を借りた大型公共事業等に多額の予算をあてる一方で、コロナ禍から雇用と事業を守る支援策を打ち切り・縮小するなど、感染症対策としても経済対策としても破綻は明らかである。ただちにつくりなおし、以下の施策を行うことを強く求める。
 (1)コロナ禍から雇用と事業を守る大胆で大規模な支援策を行うこと
 ――持続化給付金、家賃支援給付金の打ち切りを撤回し、第2弾を実施すること。
 ――雇用調整助成金のコロナ特例の縮小、休業支援金の打ち切りを撤回し、感染収束まで継続する方針を打ち出す。対象を中堅企業や大手チェーン店等の労働者にも拡大すること。
 「緊急事態宣言」を出しながら、支援策の「打ち切り・縮小」はあってはならない。飲食業ではパート・アルバイトを含めて「従業員50人以上」を大企業としている状態を見直すなど、雇調金を100%助成とし、休業支援金の対象を実態に即して拡大し、迅速な支給を行う。
 ――GoTo事業に代わる宿泊・観光業への直接支援制度を急いでつくること。
 Go To事業の「中断・延命」によって、苦境にある宿泊・観光業への支援が「空白」になっている。「再開する」という政府の姿勢が現状に即した支援を行う障害となっており、Go To事業を中止し、宿泊・観光産業の事業規模に応じた給付金制度として直接支援を行う。Go To予算の全額をこれに充てる。
 (2)コロナ禍で仕事を失うなど生活に困窮する人たちへの緊急支援を行うこと
 年末年始に、市民団体やボランティアによる相談・支援活動が各地で取り組まれた。コロナ前は「ふつうの生活」をしていた人たちが、住居を失い、日々の食事にも事欠く深刻な状態に追いこまれている実態が明らかになった。
 ――生活困窮者・低所得者に新たな給付金を支給する。
 困っている人に即決で給付できるように、まず現金を渡し、給与など所得が少ないことを届け出れば返済不要の給付に転換する。
 所得が少ないことやコロナ禍で急減したことなどの「証明」を支給条件にすると、申請・受付・給付に時間がかかる。一方で、公的な制度であっても仕事もない状態で借金をすることに躊躇(ちゅうちょ)する人も少なくない。緊急小口資金・生活福祉資金の制度も活用しながら、迅速にいったん現金を渡し(貸し付け)、給付に転換する仕組みが必要である。
 ――住居確保給付金をコロナ後の滞納分も対象にする、生涯に一度しか申請できないという規定を見直すなど実態にあった制度にする。自治体負担分について国庫負担とする。公共住宅や宿泊施設も活用し、緊急の住まいを確保する。
 ――「生活保護は権利」をさらに徹底し、必要な人が躊躇なく利用できるようにする。
 ――生活に困っている人に支援制度が知らされていない状況があり、ネットやCMなどを含めて広く周知するとともに、相談体制を強化する。
 ――外国人への相談窓口を設置し、日本社会の一員として各種の支援制度が使えるようにする。

12年間の不作為を厳しくただし、ダムによらない治水を極限まで具体化を
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12年間の不作為を厳しくただし、ダムによらない治水を極限まで具体化を
 
 2021年1月21日
   日本共産党熊本県委員会
   委員長 松岡勝
   日本共産党南部地区委員会
   委員長 野中重男
 
 日本共産党熊本県委員会・同南部地区委員会は、2020年7月4日の球磨川豪雨災害(以下「7・4豪雨災害」)後、「球磨川治水」について、国土交通省、あるいは熊本県に対して、「提言」「申しいれ」を行ってきました。
 *9月3日「球磨川豪雨検証を通じて『ダムなし流域治水』を」
 *9月30日「被災者・流域住民を主役にした球磨川治水検証を」
 *10月20日「被災者・流域住民を主役にした球磨川治水検証と対策を」
 *11月18日「川辺川ダム容認表明は断じて容認できない。容認表明は中止し、住民の声を聴き、住民参加の治水協議を」
  なお、2020年7月以前に、別紙に示すように、球磨川の治水対策について、「提言」「申し入れ」を行ってきました。
 「7・4豪雨災害」から半年を経て、あらためて豪雨災害が国交省とそれに追随した熊本県による「人災」であること、「ゲート付き流水型ダム」についての新たな問題等を明らかにし、清流川辺川・球磨川を守り、安全・安心の治水対策の基本方向と課題を明らかにするものです。
 
 1、「7・4豪雨災害」は、ダムによらない治水を極限まで追求しなかった国交省・熊本県による人災
  2008年8月、当時の国交省九州地方整備局長が、蒲島郁夫知事に対し、「ダムを建設しないことを選択すれば、流域住民に水害を受忍していただかざるを得ないことになる」と恫喝めいた発言をしたことは広く知られています。
 2008年9月、蒲島知事が「川辺川ダム中止。ダムによらない治水の極限まで追求」表明後、国交省は、12年近くの間、「ダムによらない治水を検討する場」「球磨川治水協議会」を形だけ開き、有効な治水を具体化、推進せず、河川整備計画をつくらず、ダムによらない治水の不作為を続けてきました。その結果、2020年7月4日、球磨川流域は甚大な洪水被害に見舞われました。
 改めて、国交省の球磨川におけるダムによらない治水の不作為が厳しく問われており、その検証が必要です。 熊本県・蒲島知事の責任も問われます。蒲島知事は、自ら表明した「ダムによらない治水の極限までの追求」を具体化する協議の場から、流域住民、市民団体、専門家を排除し、事実上、国交省と同一歩調をとりました。
 蒲島知事は、「川辺川ダム中止」表明をしましたが、その後の熊本県内でのダム建設―天草の路木ダム建設、白川水系の立野ダム建設では、ダムによる重大な環境破壊、超過洪水被害問題での懸念、ダムに代わる代替案の提案などに一切耳を傾けず、国交省、自民党県議団の方針に忠実に、ダム建設を推進してきました。
 蒲島知事の見識と県政の責任者としての責任が改めて問われています。
 
 2、「7・4豪雨災害」をもたらした国交省の不作為の検証
 (1)可能な「計画」を実施せず被害を拡大した
  ①人吉堤防
 人吉地区では、国交省が示したダムによらない治水案として、遊水地等によって0.8m.の水位を低下させ、堤防を1.3mかさ上げするという案が示されていました。この計画を組み合わせると、合わせて2.1mの水位上昇に対応できるということなります。「球磨川流域治水協議会」で国交省は、川辺川ダムがあれば1.9メートルの水位低減効果があるとの説明をしていますが、それと変わらない治水効果があるのに、国交省は堤防かさ上げ(案)を採用しませんでした。
 その理由として、国交省は、人吉地区の堤防について、「コンクリートと鋼矢板による構造の堤防」では、沿川の家屋や温泉旅館、ホテル、病院等約200戸の移転、用地買収が約24ha必要、約1,100億円かかるから困難として退けました。しかし堤防かさ上げには、大規模な住宅等の移転の必要はありません。現に鋼矢板を打ち込むなどして堤防の厚さを抑えた工法で堤防かさ上げをしている事例は、東日本大震災における陸前高田の防潮堤、白川の熊本市街地など各地で取り組まれています。
 堤防かさ上げを中心にした治水対策は、約50年かかると国交省の説明書には書いてありますが、熊本市の代継橋から明午橋までの鋼矢板を敷設した堤防強化は短期間に完了しています。
 景観についても、各地で景観に配慮した堤防づくりは実践されています。
 人吉地区の堤防対策について具体化することを改めて求めます。
 
 ②中流地域宅地かさ上げ事業
 5名が亡くなった球磨村大坂間地区では2008年、蒲島知事の川辺川ダム建設中止宣言後に堤防かさ上げ工事が行われています。ところが、かさ上げは川辺川ダム建設を前提にした高さまでしか実施されませんでした。本来の川辺川ダム代替(案)では、さらに2.5メートルのかさ上げが必要とされていたにもかかわらず、川辺川ダム計画に固執して低いかさ上げに止まった結果、住民が犠牲になったのです。これは、中流域で実施したすべての地区にいえることです。
 本来、川辺川ダムが白紙撤回された時点で、宅地かさ上げしか対策案がなかった中流域では、川辺川ダムで下げる予定だった水位の高さを見込んで宅地かさ上げをすることが必要だったのです。
 あらためて、川辺川ダムの「調節」を前提とせず、堤防、道路、橋の架け替えの高さを「今回の洪水水位」対応として具体化することを求めます。  
 (2)意図的に、事業費、工期を膨らませ、排除された遊水地計画
 国交省が排除した遊水地の問題も重大です。
 国交省は、球磨川水系では、白川水系阿蘇地区で九州北部豪雨後、着手し実現している「地役権型遊水地」計画を排除し、「掘り込み型遊水地」計画に意図的に絞り込み、数々の「障害」をあげつらい、遊水地案を棚上げしました。
 
 国交省が遊水地計画を棚上げするために意図的にあげた数々の「障害」は次のようなものでした。
 ・家屋等の移転、用地買収が必要となるため、土地所有者等による協力が必要(移転戸数:約380戸)
 ・周囲堤や越流堤の整備に伴う既存インフラの機能補償(周辺道路、水路の付替え・移設、堰、樋管、高圧線鉄塔)
 ・遊水地掘削に伴い発生する土砂(約6,900万㎥、ダンプトラック10t約1,400万台)の処分
 ・周囲堤の設置、水田の消失、底盤部のコンクリート施工(遮水対策)による動植物の生息生育環境や景観等の変化
 ・掘込みによる地下水位の変化
 ・洪水後に残る泥水の影響
 ・周囲堤の設置、底面部のコンクリート、立ち入り制限のためのフェンスの設置による景観や利用の場への影響
 ・農地消失(約1,100ha)による農業への影響
 ・遊水地事業費は8,200億円、遊水地を中心にした治水対策事業費総額1兆円以上、工期、50年等々です。
 ところが、国と熊本県が、流水型川辺川ダム建設に合意すると、第2回球磨川流域治水協議会では一転し、「今次出水の被害状況を鑑み、甚大な被害が生じた人吉市街部及び中流部で効果を発揮させられるよう、遊水地の配置を検討する」「地域の基幹産業でもある営農等に配慮しつつ、『地役権方式』及び『掘り込み方式』の組み合わせによる配置を計画する」「『掘り込み方式』については地下水位以上の掘り込みを条件とすることを検討(平常時の営農等への活用可能性も含め検討)」するとしています。
 「地役権型遊水地」は、平常時は農地としてそのまま利用し、洪水時は遊水地として利用するというもので、熊本県では、阿蘇地区の小倉、手野で建設され稼働中です。 「地役権型遊水地」は、売買価格の約3割が契約時に保障されます。小倉地区では、地権者総数102名全員、手野地区では、44名中43名(1名は買収希望)が賛成・同意しています。小倉遊水池は、88㏊で貯水容量265万㎥、手野遊水池は、50haで、貯水容量は138万㎥、あわせて403万㎥です。事業費は、小倉遊水池69億円、手野遊水池57億円です。
 第2回球磨川豪雨検証委員会で、国交省は、球磨川では「『遊水地を中心とした組み合わせ案』を実施した場合、主要地点のピーク水位は、ピーク流量の低減効果が1,900㎥/sと大きく、人吉地区や川辺川の引堤の効果もあり、治水対策前と比較して、全川的に約1.5~ 約3.4mの水位低下が推定された」と説明しています。
 これだけの水位低位効果が発現されていたら、多くの人命、財産が守られた可能性があります。
 ダムによらない治水協議で、農民・地権者の賛成・同意が得やすい「地役権型遊水地」を排除し、「堀り込み型遊水地」についてはできない理由を幾重にもつくって遊水地計画を見送った国交省と追随した知事や市町村長の責任は重大です。
 改めて、「地役権型遊水地」を大きく組み込んだ遊水地計画の具体化を求めます。
 
 (3)「河川整備計画」をつくらなかった責任
 「河川激甚災害対策特別緊急事業」(激特)の対象にならない球磨川水系
 球磨川水系は、川辺川ダム計画に固執する国交省によって意図的に河川法(第16条の2 河川管理者は、河川整備基本方針に沿って計画的に河川の整備を実施すべき区間について、当該河川の整備に関する計画を定めておかなければならない)に基づく「河川整備計画」がつくられませんでした。
 「河川整備計画」をつくらず、「ダムによらない治水」対策が実行されなかったことが、「7・4豪雨災害」での被害を大きくしました。
 「河川整備計画」がつくられなかったことの弊害はさらにあります。2012年(平成24年)九州北部豪雨によって甚大な被害に遭遇した白川水系には「河川激甚災害対策特別緊急事業」(「洪水、高潮等により激甚な被害が発生した河川について、概ね5年間を目途に改良事業を実施することにより、再度災害の防止を図るものである」―国交省ホームページ)が適用され、その事業期間である「概ね5年間」で、全川の築堤・堤防補強、河道浚渫・掘削、引堤、橋の架け替え(明午橋・竜神橋)、小倉・手野両遊水池建設、宅地かさ上げ等が完了しています。
 鹿児島県の川内川でも、2006年(平成18年)洪水後、「激特」事業が適用され、改修・復旧工事が進められました。
 ところが、球磨川水系の場合、「河川整備計画」がないために災害後の復旧対策を「概ね5年以内」に完了する「激特事業」にはならす、「河川整備計画」をつくらなかったことに加えて、二重に国交省の責任が厳しく問われます。
 
 3、ゲートが流木・土砂で閉塞する可能性。2年前に専門家が指摘
 国交省は、第2回球磨川流域治水協議会で、洪水調節ができない従来型(立野ダムなど)の穴あきダムの欠陥を補うために、川辺川ダムはゲート付きにし、それによって洪水調節もできると説明しています。
 ところが、これについては次のような専門家の重大な指摘があります。
 「ダム常用洪水吐ゲートの機能低下に伴う洪水リスク評価に関する検討」(京都大学防災研究所年報第62号B・2019)という論文です。
 この論文では、米カリフォルニア州のオーロビルダムでの常用洪水吐ゲートの損傷、長野県の裾花ダムでの常用洪水吐きゲート2門のうち1門が4ヵ月間、開閉不能となった事例に基づいて、ダムのゲートの機能低下により洪水リスクが高まることを明らかにしています。裾花ダムのケースでは、緊急放流に至った場合、下流の計画流量を上回る放水量となり、さらに放流量の増大が急激となり被害が出ると想定しています。流水型ダムの欠陥を補うゲートそのものが、経年劣化や土砂・沈木などにより機能不全となり、被害を生じさせる致命的欠陥となりうるということです。こうした問題を、国交省が意図的に隠しているとの疑念を持たざるを得ません。
 また、「第2回球磨川流域治水協議会」資料では、「『流水型ダム』の場合、流木等により河床部に設置する放流口が閉塞することを防ぐため、放流口の上流側へのスクリーン設置や、貯水池内への流木等捕捉施設等を検討する必要がある」としています。この間、立野ダム計画をめぐり、土砂や流木などによる放流口の閉塞、たとえスクリーンを設置しても、スクリーンの設置部に土砂・流木などが堆積し、放流口が閉塞するとの疑念に対して、国交省は、「つまようじ」を流木に見立てた実験を根拠に「流木は浮くからスクリーン設置部での閉塞はない」と強弁してきました。しかし、この論文では、ゲートが機能不全となった裾花ダムの事例では、「土砂と沈木がゲート開口部を閉塞させたことが考えられる」としています。「流木は浮く」という国交省の説明はなりたたない事例が実際にあることが明らかになっているのです。流水型川辺川ダムの常用洪水吐きゲートは、より河床部に近い位置に建設される計画となっており、ゲートの機能不全、土砂や流木などによる放流口の閉塞にしても、裾花ダム以上にリスクが高くなることは明らかだといわなければなりません。
 流水型川辺川ダムの可否を左右する問題であり、ダム計画は中止し、開かれた場での県での検証が必要です。
 川辺川ダムに流入する流木、土砂の最大推定量とゲート閉塞の関連性についてのデータの開示と説明を求めます。
 
 4、ダムなし治水の究極までの具体化を
 (1)日本共産党熊本県委員会は、川辺川ダムを中止し、清流球磨川を活かした地域づくりを進める立場に立って、「ダムによらない治水対策」について、くり返し詳細に、建設的に提案し、その具体化を国交省に求めてきました。
 その主な柱は、
 ①堆積土砂の撤去・掘削
 ②堤防かさ上げ・強化 
 ③遊水池(地役権型含む)建設
 ④田んぼダム設置
 ⑤宅地かさ上げ・移転
 ⑥輪中堤・二線堤・水害防護林設置
 ⑦瀬戸石ダム撤去
 ⑧気象予測・情報伝達・避難計画
 ⑨治山対策等です。
 市民団体もくり返しダムなし治水対策について建設的で具体的な提案を行ってきました。
 国交省が、流域住民、市民団体、専門家、そしてわが党の提案の具体化を実施しておれば、「7・4豪雨災害」から多くの人命と財産を守ることができたのは疑いありません。
  国交省の不作為を改めて厳しく指摘します。同時に改めて、これらの提案を真摯に検証することを求めます。
 
 (2)「田んぼダム」について
 すぐできる、安い、相応の治水効果がある、農家とともに進められる等々の利点がある「田んぼダム」事業の本格的な取り組みが求められています。
 ①「田んぼダム」とは、「田んぼが元々持っている水を貯める機能を利用し、大雨時に田んぼに一時的に雨水を貯めることで、排水路や河川への流出を抑制し、洪水被害を軽減する取組です。 農家が簡単に始められる地域防災の取組です」(新潟県ホームページ)。
 新潟県では、2020年度で、県内30市町村中17市町村で、15,654haで取り組まれています。
 新潟大学農学部の研究チームが、平成23年の新潟・福島豪雨における田んぼダムの効果をシミュレーションにより解析しています。その結果は次の通りです(新潟県見附市ホームページ)。
 ・田んぼダム未実施の場合~床下浸水:212.4㏊  床上浸水:9.3㏊
 ・田んぼダム100%実施~床下浸水:15.5㏊   床上浸水:0.0㏊ 
 ②県内白川水系の立野ダム建設中止を求める市民団体メンバーが以下のような白川水系において、見附市の資料にもとづき、2018年3月時点での県内の水田耕地面積を基にスライド計算した場合の田んぼダムによる効果の試算をしています。
 ・熊本市上流―水田耕地面積7702㏊、貯水容量1605万㎥、事業費9600万円
 ・立野ダムより上流ー水田耕地面積6582㏊、貯水容量1371万㎥、事業費8200万円
 費用は、ダム事業費の(立野ダムの場合は、1160億円)の1000分の1以下の費用で、立野ダムに匹敵あるいは上回る貯水量を確保できるというものです。
 事業費については、実際の状況に応じた試算が必要ですが、ダム事業費1160億円に比べれば、はるかに少ない額になることは間違いありません。
 ③球磨川水系で田んぼダム事業を実施すれば、第2回球磨川流域治水協議会の資料・水田等利活用(田んぼダム)についてで、「整備することにより雨水の貯留を見込める可能性がある水田は、約3300ha存在」するとあります。これを白川水系での試算に当てはめると、貯水容量は約660万㎥となります。なお、休耕田・転作地含めると6950㏊です。
 熊本県は、「2月定例県議会に関連費を計上し、6月までにモデル地区を選定して200㏊規模の実証実験を始め、実用化を目指す」と報道されています。
 
 5、「激特」事業レベルのスピードで、治水対策を
 (1)「河川激甚災害対策特別緊急事業」と同じレベルで河川改修、遊水地建設などを5年間で完了することを求めます。
   球磨川洪水被害の復旧が「激特」事業の対象にならないのは、まさしく国交省の責任です。国交省の責任で、ダムによらない治水を究極まで追求する全体計画を立て、優先順位に沿って必要な工事をスピーディーに進め、5年以内に完了すること。費用は全額国の負担で実施することを求めます。
 (2)2021年の梅雨期に備えて、堆積土砂の撤去、流失した橋梁など流下障害物の除去、堤防の復旧・強化、かさ上げなど、喫緊の対策を完了すること。情報伝達、避難等、ソフト面での安全確保策を完了することを求めます。
 (3)瀬戸石ダム撤去を決断し、協議を開始することを求めます。
 (4)球磨村渡地区に建設した導流提の計画高水流量(HWⅬ)以上の水位での球磨川本川と支流小川の水位低減量を明らかにすること。万一水位が上昇する場合は、住民に結果を公表し、存続の可否を問うことを求めます。
 (5)人吉市中川原公園を撤去した場合の洪水時の水位変動を明らかすること。水位低減の効果がある場合は市民の理解を得て速やかに撤去することを求めます。
 
 6、情報、データを明らかにし、住民、県民に示すこと
 (1)川辺川ダム建設事業の現時点で推定している費用対効果(B/C)を明らかにすること)(現存する計算結果で可)。なお、効果〈B〉については、「八代市街地」「旧坂本村を含む中流域」「人吉市街地」「相良村」など地域ごとに明示することを求めます。
 (2)B/Cが、1を下回る場合の事業の実施の「可能」・「不可能」を明示することを求めます。
 (3)川辺川ダム建設事業の環境アセスメント「実施」・「不実施」を明示すること。その理由(根拠)を明らかにすることを求めます。
 (4)川辺川ダム建設については凍結し、5年間で、ダムによらない治水対策を完了後、すべてのデータを開示し、住民・市民団体、治水・環境等の専門家を交えた検証を行うことを求めます。

衆院選に向けての日本共産党熊本県委員会の政策
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 ~「自己責任」「分断」の政治から困っている人にやさしい政治に~
  2021 年1 月21 日
  日本共産党熊本県員会
 
 政策発表にあたって
 
 新型コロナ対策の無為無策と逆行、学術会議会員任命拒否問題での強権・独裁化、安倍前首相の「桜を見る会」問題をはじめとする「政治とカネ」、ウソとごまかし、国民に「自助」を求める冷酷さなどにみられる菅自公政権をこのまま続けさせていいのか。それに替わる政権は実現できるのか。多くの国民が模索しています。
 いまこそ野党が、自民・公明の菅政権に替わる政権実現のために、政権交代、野党連合政権をめざし、共通政策を示し、政権合意にもとづく選挙協力を強める時です。
 日本共産党中央委員会は、2020 年12 月15 日に「新しい日本をつくる5 つの提案」を発表しました。この提案は、総選挙にむけた単なる政策提起ではなく、自公政権に代わる新しい政権――野党連合政権が実行する政治的内容になるように力をつくす――という立場にたってまとめたものです。どの項目も、国民多数の声に添い、新しい政権ができればすべて実行可能なものばかりです。また「5 つの提案」の内容は、どれも政権交代がその実現のための一番の早道になるものです。
 熊本県独自の課題は、熊本地震・豪雨災害の被災者支援はじめ、水俣病被害者救済、「ダムによらない治水」を求めることなど、どれも県民の切実な要求にもとづくものです。これらの課題は、2016 年参院選以降、県内野党が共同して取り組んできた課題でもあり、政権交代、野党連合政権実現によって解決の道が確実に開けます。
 全国的課題、熊本県独自の課題いずれも県内野党間で共有できるものと確信するものです。
 日本共産党熊本県委員会は、今回発表する政策実現のために、衆院選小選挙区すべての選挙区での野党の勝利と、日本共産党の比例代表選挙での躍進のために全力で奮闘します。
 
 Ⅰ.「新しい日本をつくる5 つの提案」を訴えてたたかう
 
 1.新自由主義から転換し、格差をただし、暮らし・家計応援第一の政治をつくる
 第一の提案は、新自由主義から転換し、格差をただし、暮らし・家計応援第一の政治をつくることです。新型コロナ危機をつうじて、新自由主義の破綻が、世界でも日本でも明瞭になりました。この路線を根本から転換することは急務となっています。
 (1)ケアに手厚い社会をつくります。政府の責任で、医療・介護・障害福祉・保育など、ケア労働に携わる人々の待遇の抜本改善をはかります。公立・公的病院の統廃合、75歳以上の医療費値上げなど窓口負担増、年金削減など、社会保障削減政策を中止し、拡充への抜本的な転換をはかります。
 (2)人間らしい雇用のルールをつくります。コロナ危機で最も深刻な打撃を受けているのは、非正規雇用労働者、フリーランスの人々、とりわけ女性と若者です。労働法制の規制緩和路線を抜本的に転換し、最低賃金を時給1,500 円に引き上げ、8 時間働けばふつうに暮らせる社会をつくります。
 (3)疲弊した地方経済の立て直しの柱に中小企業と農林水産業の振興を位置づけます。コロナに乗じて中小企業を「淘汰(とうた)」する暴政をやめさせ、中小企業を日本経済の根幹に位置づけ振興をはかります。農林水産業を基幹的な生産部門と位置づけ、歯止めない自由化路線を見直し、所得補償・価格保障によって自給率を50%を目標に引き上げます。
 (4)コロナのもと、多くの学生の陥っている深刻な困窮は、政治の恥ずべき責任です。大学等の学費を半減し、本格的な給付奨学金を創設します。
 (5)消費税を緊急に5%に減税し、経営の苦しい中小企業に対して2019 年度・20 年度分の納税を免除します。コロナ禍のもと空前の資産を増やしている富裕層、大企業に応分の負担を求める税制改革を行います。
 (6)被災した住宅への支援金を500 万円に引き上げるなど、被災者の生活再建を復興の柱にすえるとともに、災害に強いまちづくりを進めます。
 
 2.憲法を守り、立憲主義・民主主義・平和主義を回復する
 第二の提案は、憲法を守り、立憲主義・民主主義・平和主義を回復することです。安倍・菅政権によって破壊された立憲主義を再建し、負の遺産を一掃することは、新しい政治がまっさきに取り組むべき課題です。
 (1)安保法制、秘密保護法、共謀罪など、安倍・菅政権による憲法違反の立法を廃止します。集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回します。
 (2)「森友問題」「加計問題」「桜を見る会」の問題など、一連の国政私物化疑惑を徹底的に究明します。内閣人事局を廃止し、日本学術会議の任命拒否を撤回し、「忖度(そんたく)」を生み出す強権政治の根を断ち、透明性ある公正な政治を築きます。
 (3)自民党が進める憲法9条改定に反対し、国民投票法改定案(自民・公明・維新案)を廃案に追い込み、改憲発議を許しません。
 
 3.大国の覇権主義への従属・屈従外交から抜け出し、自主・自立の平和外交に転換する。
 第三の提案は、覇権主義への従属・屈従外交から抜け出し、自主・自立の平和外交に転換することです。
 (1)沖縄県民の民意に背く辺野古新基地建設を中止し、普天間基地の無条件返還を求めます。日米地位協定の抜本的改正に取り組みます。
 (2)米軍への「思いやり予算」を廃止し、米国製の高額武器の「爆買い」、「イージス・アショア」代替案、「敵基地攻撃」能力保有のための武器購入など、大軍拡の危険と浪費にメスを入れます。
 (3)核兵器禁止条約に署名・批准し、唯一の戦争被爆国の政府として「核兵器のない世界」の実現に向け先駆的役割を果たします。
 (4)中国による覇権主義・人権侵害にきっぱり反対し、国連憲章と国際法を順守させる立場で毅然(きぜん)とした外交的対応を行います。
 
 4.地球規模の環境破壊を止め、自然と共生する経済社会をつくる
 第四の提案は、地球規模の環境破壊を止め、自然と共生する経済社会をつくることです。気候変動問題でも、感染症のパンデミックの問題でも、地球規模での環境破壊を止めることは、人類の生存にとって急務となっています。
 (1)2050 年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにします。大型石炭火力の建設計画を中止し、既存施設の計画的停止・廃止を実施します。2030 年度までに電力の4割以上を再生可能エネルギーでまかない、温室効果ガスの排出を1990 年比で40~50%削減する計画を策定・実施します。コロナ危機からの経済社会の回復は、グリーン・リカバリー(環境に配慮した回復)の立場で取り組みます。
 (2)原発の再稼働を中止し、「原発ゼロの日本」を実現します。破たんした核燃料サイクルから撤退します。
 (3)次のパンデミックを防ぐうえで、健全な環境、人間の健康、動物の健康を、一つの健康と考える「ワンヘルス」アプローチが国際的な急務となっています。感染症を拡散する恐れのある野生生物の取引と消費の抑制、森林破壊の防止と土地利用の転換の抑制、自然との調和を欠いた農業や畜産から持続可能な食糧生産への転換などを推進します。
 
 5.ジェンダー平等社会の実現、多様性を大切にし、個人の尊厳を尊重する政治を第五の提案は、ジェンダー平等社会を実現し、多様性を大切にし、個人の尊厳を尊重する政治を築くことです。
 (1)新型コロナ危機のもと、「ジェンダー平等後進国・日本」の矛盾が噴き出しています。多くの女性が職を失い、家事・育児負担の増大、DVなどさまざまな困難に直面し、女性の自殺が増えていることは、きわめて重大です。あらゆる問題に対してジェンダーの視点を貫くとともに、ジェンダー平等社会をめざして以下の課題に取り組みます。
 ・雇用におけるジェンダー差別をなくします。
 ・民法を改正し、選択的夫婦別姓制度を実現し、同性婚を認めます。戦前の「家父長制」を引き継いだ「世帯主」の制度を廃止します。
 ・性暴力根絶をめざし、強制性交等罪の「暴行・脅迫要件」を撤廃し、同意要件を新設するなどの法改正を行います。リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(性と生殖に関する健康・権利)を保障する施策を進めます。
 ・「2030 年までに男女半々」をめざし、政治分野など政策・意思決定の場におけるジェンダー平等を推進します。
 (2)外国人労働者への差別をなくし、労働者としての権利を保障します。難民認定制度、入国管理法の抜本改正を行い、人権を蹂躙(じゅうりん)する非人道的な収容をやめます。
 (3)少人数学級の速やかな実現をはかります。子どもたち一人ひとりの多様性を大切にし、一人ひとりを尊重する教育を保障するために、少人数学級は重要な一歩となります。それは過度な競争と管理という教育のあり方を見直すことにもつながる意義をもつものです。
 (4)国費を数千億円単位で投入して「文化・芸術復興基金」を緊急に設立するとともに、国の文化予算の大幅増額をはかり、文化・芸術を人間が生きていくうえで必要不可欠な糧として守り育てる国をつくります。
 
 Ⅱ.熊本県内の重要な国政課題
 1.豪雨被災者の生活と生業の再建支援・復興
 (1)災害救助法を改善し、生活物資の支給を拡充します。ストーブ、電気毛布など防寒対策、熱中症対策に必要な家電については生活必需品の支給対象とし、支給適用期間も延長します。
 (2)最大300 万円の上限を当面500 万円に引き上げる事など、生活再建支援金の拡充、上乗せを行います。
 (3)なりわい再建支援補助金の申請期限を延長し、手続きを簡素化し、すべての事業者が営業再開できるように支援します。
 (4)JR 肥薩線、球磨川鉄道、国道219 号線の復旧を国の責任で行います。
 
 2.球磨川の治水対策と地域の再建、立野ダムについて
 (1)川辺川ダム建設方針は撤回します。
 (2)ピーク流量、市房ダムの緊急放流、川辺川ダム(建設されていた場合)の緊急放流、瀬戸石ダムと上下流被害の関連、避難勧告・指示の周知などソフト面の対応など、昨年の「7 月豪雨」の検証をあらためてやり直します。
 (3)流水型(穴あき)川辺川ダムの想定以上降雨の際の洪水調節機能の喪失(危険性)、土砂の堆積や生態系への影響(環境への負荷)について、科学的・客観的に検証します。
 (4)堤防かさ上げ、河道の浚渫、田んぼダム、遊水地、事前避難の徹底などのソフト対策等の治水対策に速やかに着手し、安全度を飛躍的に高めます。
 (5)堆積土砂による球磨川の水位上昇、下流への放流で、洪水被害を引き起こしている瀬戸石ダムの撤去をすすめます。
 (6)立野ダムについては、過去の洪水を基準にした計画そのものが破綻しており、工事を中止します。流域治水協議会メンバーに、住民代表、学識経験者などを加え、「立野ダム事業検証」の14 の治水案をあらためて検証します。
 
 3.すべての水俣病被害者の救済を
 水俣病公式確認から64 年が経過しましたが、いまだに救済を求める人たちが後を絶たず、高齢化する被害者たちの救済は急務です。
 (1)水俣病被害者救済特別措置法に明記された不知火海沿岸住民の健康調査は、水俣病被害の全容解明とすべての水俣病被害者救済のために不可欠な課題であり、直ちに実施します。
 (2)患者切り捨てではなく、症状に応じた救済策を具体化します。
 
 4.「宝の海」有明海の再生を
 (1)潮受け堤防の中長期的開門調査をおこなうよう命じた判決が確定したにもかかわらず、開門調査に応じない国の態度を改め、有明海の再生と農業漁業の共存共栄、疲弊している地域経済の再建に力を尽くします。
 (2)司法の責任で関係者による和解協議の開催実現のために力を尽くします。
 (3)開門による農業被害防止策、被害が生じた場合の補償策を講じ、関係者の納得と合意のうえで、潮受け堤防の中長期的開門調査を実施し、環境への影響を調査します。
 
 5.熊本の軍事基地強化、拠点化を許さない
 (1)敵基地攻撃能力の保有は、「抑止力の強化」どころか、東アジア地域の軍拡競争を激化させ、日本を戦争に巻き込むものであり、計画を白紙撤回します。
 (2)大矢野原演習場でのオスプレイの訓練、日米合同演習の常態化、地対艦誘導弾(SSM)の西部方面隊への集中配備など、熊本の軍事基地強化、拠点化はストップさせます。
 (3)沖縄辺野古新基地建設のための県内から土砂の搬出計画は白紙撤回します。
 以上