要請・提言書



2021年度県予算編成への要望 2020年12月9日
印刷用PDFをダウンロードするには、ここをクリック(552KB)

熊本県知事 蒲島郁夫様 
    
 2020年12月9日
 日本共産党熊本県委員会
 委員長     松岡勝

2021年度県予算編成への要望
1、はじめに・・・自己責任論を押し付ける新自由主義路線を突き進む国の政治から県民の命と暮らしを守り、県民が主人公の新しい熊本県政の発展を
  
 新しく発足した菅政権は、「自助・共助・公助」なるスローガンを政治理念として掲げています。しかし新型コロナウイルス感染症の拡大、未曾有の大規模災害の発生など、個々人の努力だけではどうにもならないような事態に見舞われている状況下で、自己責任論を押し付け政治の役割を後回しにするような姿勢では、住民のいのちと暮らしを守ることはできません。
 菅政権による日本学術会議の任命拒否問題は、憲法23条で保障された学問の自由を脅かし、日本学術会議法にも反する、違憲・違法の暴挙です。これは任命拒否された6人だけの問題ではなく、学問の自由と国民の権利の侵害であり、すべての国民にとっての重大問題です。任命拒否を撤回し、憲法と法に基づいて学問の自由と国民の権利を保障する立場に立つよう、政府に強く声を上げていくことが求められます。
 国がこうした危険な政治を推し進めている時だけに、私達日本共産党は、国の悪政から県民を守る防波堤としての役割をぜひ熊本県が発揮し、県民生活を守る県政を推進されるよう願うものです。
 コロナ禍や温暖化、環境汚染、大規模自然災害の発生など、巨額の財源を必要とするような事態は今後も起こりうることです。これまでのような右肩上がりの経済成長を前提とした外需依存・呼び込み型経済政策というものは、もはや見直しが求められています。県民のいのちと暮らしを守ることを最優先に、内需と家計を守り、経済を持続可能にする政策を推進することがいま必要です。
 いま国際社会は、様々な差別や偏見、対立と分断を乗り越え、一人ひとりが大切にされ、誰もが自分らしく生きられる社会づくりをめざそうという世論と運動が広がっています。熊本県としても、多様な人々の人権を尊重し、ジェンダー平等の社会を実現するという視点を県政施策のあらゆる分野において貫き、推進をはかる体制を構築することが求められます。
 日本共産党は、これからの政治のあり方としては、経済効率のみを優先する立場ではなく、人間のケア、雇用、教育、食料、エネルギー、文化・芸術など、人間が生きていくために必要不可欠のものを最優先する政治に切り替えていくことが必要だと考えます。そうしてこそ、人々の間に分断を持ち込む自己責任の押し付けでなく、人々が支えあう社会、連帯を大切にする社会が構築され、それは感染症や様々な自然災害に強い社会を作ることにつながると確信します。
 
 このような立場から、2021年度の県予算編成に対し要望・提言するものです。
 
 2、緊急要望
 (来年度予算編成を待たず、いま直ちに対応が必要だと考える課題)
 (1)コロナ禍から県民のいのちと暮らしを守る緊急対応を
 ・大規模・集中的検査を大方針にすえ、クラスターが発生すれば多大な影響が出る医療機関、介護・福祉施設、保育園・幼稚園、学校、学童クラブなどでの定期的な検査など、徹底したPCR検査の実施で陽性者を保護し、感染拡大を抑えること。
 ・保健所の体制強化とトレーサーの確保により、検査・保護・追跡を一体に推進し、感染拡大を抑止すること。
 ・減収補填など医療機関を支える支援を強化すること。
 ・「Go Toトラベル」を中止し、地域ごとに観光・宿泊業者を支援する制度に切り替えるよう政府に求めること。
 ・コロナによって売り上げが急減している事業者、法人、個人の救済が喫緊の課題となっている。給付金制度の柔軟な運用と申請期限の延長など継続的支援を国に求めるとともに、県独自の支援策の追加・拡充を行なうこと。
 ・コロナによる生活困窮者への支援策の拡充を国に求めること。生活福祉資金の特例貸し付け、住居確保給付金、生活保護制度など利用しやすいものに改善・拡充すること。低所得一人親世帯への給付金など緊急支援を実施すること。苦境に直面している学生への緊急給付の再実施、学費免除などの対応を国に求めること。
 ・過密状態となっている学級について、少人数の学級編成に改善するなど、過密状態を解消する手立てを緊急に講じること。
 
 (2)水害被災者の生活再建支援
 ・災害救助法を改善し、生活物資の支給を拡充するよう国に求めること。ストーブ、電気毛布など防寒対策、熱中症対策に必要な家電については生活必需品の支給対象にすること。また支給適用期間を延長すること。
 ・最大300万円の上限を当面500万円に引き上げる事など、生活再建支援金の拡充、上乗せをおこなうこと。
 ・被害の判定を面的にとらえ、機械的でなく被害の実態に即した判定をおこなうよう徹底すること。
 ・避難所の食事改善。温かい食事の提供や栄養のバランスが取れた食事の提供を。
 ・避難者の要望、実情を考慮しないまま、避難所の集約や閉鎖を強引に、一方的に進めないこと。
 ・仮設住宅の入居期限延長と入居スペースの拡充を。
 ・自治体と連携して仮設住宅や在宅被災者のコミュニティ形成を促進すること。安否や健康状態を定期的に掌握し、医療や介護機関との連携で被災者の暮らしを守ること。
 ・JR肥薩線、球磨川鉄道の早期復旧へ、国への要望を強めること。
 ・民地の急傾斜地崩落対策事業には地権者の同意、受益者負担がともなうが、これでは必要な事業が進まない危険性がある。受益者負担をなくすこと。
 ・事業者等の経営再建に向けて
 なりわい再建支援補助金の申請期限を延長し、手続きを簡素化するよう国に求め ること。
 ・補助額から保険金、消費税を差し引くことをせず、全額支給すること。
 定額補助金の要件のうち、熊本地震による影響という要件を除外し、「コロナ」「水害」の2要件で申請できるようにすること。
 ・持続化補助金を追加公募すること。
 
 (3)球磨川の治水対策と地域の再建、立野ダムについて
 ・豪雨災害で犠牲になった方々の状況を検証し、原因と対策を直ちに講じること。とくに人吉市地区においては、支流の氾濫により犠牲が生じたことが明らかにされていることから、真実と責任をあいまいにせず明らかにし、市民にも公表し、二度と犠牲を生まないための対策を講じることが必要である。
 ・川辺川ダム容認表明は撤回し、流域の校区、町内、自治体ごとの「住民の皆様のご意見・ご提案をお聞きする会」を開き、あらためて水害被害者、流域住民の声・要望を直接聞く機会を設けること。
 ・ピーク流量の科学的検証、市房ダムの緊急放流、川辺川ダム(建設されていた場合)緊急放流、瀬戸石ダムと上下流被害の関連、避難勧告・指示の周知などソフト面の対応などの検証がなされないまま川辺川ダム建設に進めば大きな禍根を残すことになる。「7・4球磨川豪雨水害」の検証をあらためてやり直すこと。
 ・流水型(穴あき)川辺川ダム建設は、特定多目的ダム法に基づく川辺川ダム計画の廃止、漁業補償交渉、環境アセスメント、設計、工事などで10年以上かかる見込みと指摘されている。加えて、「ダムによる洪水調節」を計算に入れることで、下流の堤防高、河床、川幅などはそれを見込んで低い流量に抑えられる。10年以上も下流の住民と地域を洪水被害にさらすことになる。こうしたことは許されない。ダムによる水位低減を前提とせず、今回記録した水位を踏まえて道路、堤防、宅地、鉄道、橋脚のかさ上げをおこなうべきである。
 ・穴あきダムも貯留型と同様、想定以上の雨が降れば洪水調節機能を喪失する危険があることには変わりがない。こうした危険性について住民にきちんと情報提供すること。土砂の堆積や生態系への影響など環境への負荷について科学的・客観的に検証すべきである。
 ・堤防かさ上げ、河道の浚渫・掘削、田んぼダム、事前避難の徹底などのソフト対策等の治水対策に速やかに着手し、安全度を飛躍的に高める事。
 ・がけ崩れや土砂流入等、宅地復旧工事について住民負担の軽減・解消をはかる  こと。
 ・堆積土砂によって球磨川の水位を上昇させ、洪水被害を引き起こしている瀬戸石ダムを撤去すること。
 ・立野ダムについては、過去の洪水を基準にした計画そのもの見直すべきであり工事を中止すること。流域治水協議会メンバーに、住民代表、学識経験者などを加え、「立野ダム事業検証」の14の治水案をあらためて検証すること。
 
 (4)ジェンダー平等社会をめざす取り組みは、コロナ禍で急務
 ・コロナ禍のもとで女性の自殺者が急増している。命を守るための相談体制を緊急に拡充・強化すること。
 ・一人親家庭では、家事や育児、仕事を一人で抱えており、コロナ禍のもとで家計が苦しくなっている。支援や相談体制の強化をはかること。
 ・DVや虐待、性犯罪・性暴力の相談件数が増加している。従来の延長にとどまらない相談体制やシェルターの整備が急務である。
 
 3、2021年度の県予算編成に対する重点要望
 Ⅰ、新型コロナ感染症対策…「検査・保護・追跡」の抜本的強化で感染の爆発的拡大をなんとしても抑止するとともに、県民の命と健康、事業者の経営、労働者の雇用を守る対策の強化を
 ①PCR等検査の拡充について
 ・「大規模・地域集中的検査」「社会的検査」を大方針にすえ、一日一万人以上の規模の検査を想定し、検査体制の構築をはかること。
 ・感染急増地(ホットスポット)となるリスクのあるところでは、「点と線の検査」にとどまらず、無症状の感染者を把握・保護するための「面の検査」を行なうこと。
 ・医療機関、介護・福祉施設、保育園・幼稚園、学校、学童クラブなど、クラスターが発生すれば多大な影響が出る施設等に、定期的な「社会的検査」を実施し、感染拡大を事前に防止すること。
 ・「面の検査」「社会的検査」推進のための費用を国が負担するよう求めること。
 ・感染追跡を専門におこなうトレーサーを確保し、保健所の体制を抜本的に強化すること。
 ・検査結果判明までの時間をスピードアップさせるための体制拡充を進めること。
 ・すべての新規入院患者を対象に、入院前に無料でPCR検査を実施すること。
 ・大学での学びと交流を安全に実施できるよう、PCR検査や消毒、換気設備の設置など大学等の感染症対策に必要な財政支援を行なうこと。
 
 ②新型コロナ対策に奔走する事業所への支援強化について
 ・医療機関や介護事業所等、コロナによる減収分の補てんを行なう制度の創設を国に求めること。
 ・緊急包括支援金が直ちに医療現場に届くよう、対応を強化すること。
 ・削減・抑制されてきた診療報酬の増額を国に求め、地域医療を支える医療機関への公的支援、医師・看護師の抜本的増員を求めること。
 ・地方創生臨時交付金、緊急包括支援交付金など活用し、医療機関や従事者、介護施設・事業所等への支援、障がい者事業所等への支援を拡充すること。
 ・地域医療構想による公立・公的病院の統廃合・病床削減を中止するよう国に求めること。
 ・県の事業継続支援金制度を延長し、支援金額も拡充すること。
 ・経営困難な中小業者には、19年度と20年度分の消費税の納税を免除すること。
 ・感染急増地域も含めた全国一律の「Go To」キャンペーンを見直し、地域ごとに飲食業者観光業に支援が届くやり方に改めるよう国に求めること。
 ・地方創生臨時交付金の追加増額支給を国に求めること。
 ・持続化給付金を全農家に知らせ、ただでさえギリギリの状況で頑張っている農家が、営農をあきらめず継続への意欲を持てるよう支援することが必要である。ところが、違法でないにもかかわらず「コロナの影響を受けていない農家の不正申請があるのではないか」とやり玉にあげられたために、農家や農協関係者が申請をためらう事態が懸念されている。政府も思い切った給付金の活用を提起しており、正しくない情報を払拭する周知徹底に努めること。
 ・高収益作物次期策支援交付金の見直しを撤回し、当初通り実施するよう国に求めること。
 ・文化芸術活動の継続支援事業は、新たな事業を行なうことが前提で、そのための自己資金を用意しないと申請できないなどの問題がある。使い勝手の良い制度に改善するよう国に求めること。
 
 ③コロナ禍で苦しむ県民の苦難軽減をはかること
 ・消費税を緊急に5%に引き下げるよう国に求めること。
 ・国と連携し、解雇・雇い止めを未然に防ぐ取り組みに全力をあげることが必要である。違法・脱法の退職勧奨や家族の事情を無視した広域配転、労働者への人権侵害を厳しく取り締まること。
 ・雇用調整助成金、休業支援金、持続化給付金、家賃支援給付金などを必要な人に速やかに支給すること。そのために、対象となる事業者、労働者への周知徹底、提出書類や手続きの簡素化、事前審査から事後チェックへの転換、申請者の立場に立った相談など、速やかな審査と支給ができる体制にすること。
 ・家賃支給給付金から、賃貸契約書などが提出できない事業者が排除されたり、休業支援金で、シフト制の労働者などが除外されている状況を直ちに改め、家賃支払いや休業の実態に即した支援を行なうこと。納税しているにもかかわらず持続化給付金・家賃支援ともに排除されている「みなし法人」を支援対象にすること。
 ・生活福祉資金の特例貸付について、申請を窓口で受け付けない事態が生じている。運用を改め広く救済をはかるとともに、特例貸付の期間延長を国に求めること。
 ・生活保護の申請は国民の権利であることを改めて周知徹底するとともに、申請者や受給者の増大に対応できるよう、ケースワーカーなどの増員を図ること。
 ・国民健康保険の減免措置、傷病手当金について住民に周知徹底をはかるとともに、対象をフリーランス等にも拡大すること。
 ・感染者や医療従事者、その家族などに心無い中傷を投げつける風潮があることを軽視してはならない。感染の疑いがある人が名乗り出ることをためらわせるなど、感染防止を阻害する要因となる。熊本県として、差別・バッシングを許さないメッセージを強力に発信すること。
 ・学生への生活支援のための給付金を創設するなど、経済的支援を緊急に抜本的に拡充すること。
 ・大学や専門学校の授業料を国の責任で一律半額免除できるよう求めること。
 
 Ⅱ、7・4豪雨災害からの復旧・復興。被災者本位の再建支援に全力を
 ① 被災者の生活再建支援
 ・災害救助法を改善し、生活物資の支給を拡充するよう国に求めること。ストーブ、電気毛布など防寒対策、熱中症対策に必要な家電については生活必需品の支給対象にすること。また支給適用期間を延長すること。
 ・最大300万円の上限を当面500万円に引き上げる事など、生活再建支援金の拡充、上乗せをおこなうこと。
 ・被害の判定を面的にとらえ、機械的でなく被害の実態に即した判定をおこなうよう徹底すること。
 ・避難所の食事改善。温かい食事の提供や栄養のバランスが取れた食事の提供を。
 ・避難者の要望、実情を考慮しないまま、避難所の集約や閉鎖を強引に、一方的に進めないこと。
 ・仮設住宅の入居期限延長と入居スペースの拡充を。
 ・自治体と連携して仮設住宅や在宅被災者のコミュニティ形成を促進すること。安否や健康状態を定期的に掌握し、医療や介護機関との連携で被災者の暮らしを守ること。
 ・JR肥薩線、球磨川鉄道の早期復旧へ、国への要望を強めること。
 ・民地の急傾斜地崩落対策事業には地権者の同意、受益者負担がともなうが、これでは必要な事業が進まない危険性がある。受益者負担をなくすこと。
 
 ②事業者等の経営再建に向けて
 ・なりわい再建支援補助金の申請期限を延長し、手続きを簡素化するよう国に求め ること。
 ・補助額から保険金、消費税を差し引くことをせず、全額支給すること。
 ・定額補助金の要件のうち、熊本地震による影響という要件を除外し、「コロナ」「水害」の2要件で申請できるようにすること。
 ・持続化補助金を追加公募すること。

 4、各部ごとの要求事項
 (1)総務部、知事公室
 ・昨年の「予算編成への要望」において、防災対策について以下のように指摘していた。『改正水防法の趣旨を踏まえ、高齢者や障がい者らが入る施設に避難計画の策定、訓練が義務付けられることとなった。すべての施設において計画策定や訓練が実施されるよう県として必要な指導・援助を強めること。浸水想定区域が設定されていない中小河川でも、過去の大雨による浸水状況を住民らに周知するなど万一に備えた対応の徹底をはかること』、『事前防災行動計画(タイムライン)を、県が管理する河川において速やかに策定すること。すでに策定したとされている河川流域においても内容の改善・充実を常に図ること』。7・4豪雨災害において、高齢者施設で多くの犠牲が生じてしまった事は痛恨の極みである。あらためて上記の内容について取り組みの強化を求めるものである。
 ・住民の生命・安全・財産を守る防災計画を、気候変動の現状を踏まえて見直し、強化すること。
 ・熊本地震の復興基金を積み増しし、今後も引き続き市町村が主体的に基金による事業を実施できるよう、市町村本位の運用に改善すること。
 ・球磨川豪雨災害の復興基金を増額し、その使い道は被災市町村の裁量で主体的に運用できる制度にすること。
 ・市町村からの支援職員派遣要請に迅速に応じること。また県職員は正規を基本に必要・十分な配置を進めること。
 ・地域の防災力を強化することが急務であり、地域防災組織への財政的・技術的支援を強化すること。
 ・核兵器禁止条約への賛同を表明すること。条約への賛同・批准することを日本政府に求めること。非核自治体宣言を行なっている熊本県として核兵器廃絶を求める取り組みに積極的役割を果たすこと。
 ・県・市町村は学校卒業予定者の名簿を自衛隊に情報提供しないこと。
 ・菅政権はマイナンバーと国家資格や銀行口座などひもづけし、さらに運転免許証との一体化など、マイナンバーの普及拡大に執念を燃やしている。政府は全国の知事や市区町村長あてにマイナンバーカード交付窓口の拡充を求める書簡を送っているが、健康保険証とマイナンバーカードの統合には、情報漏えいや悪用など国民にとって多くのリスクを伴う。また医療機関は新たな負担を余儀なくされる。強引なマイナカードの普及をやめるよう政府に求めること。
 ・私学助成を増額すること。私立高校の授業料免除の所得要件を引き上げること。
 ・私立高校授業料の無償化、施設整備費の保護者負担軽減へ、支援を強化すること。
 ・滞納を理由に強権的な徴収、違法な差し押さえをしないこと。
 ・民族差別をあおるようなヘイトスピーチの根絶に県も積極的に乗り出すこと。
 ・障がい者、高齢者など、外出が困難な有権者の投票行動を制約させることがないよう、投票環境の改善を進めること。投票所の増設を図ること。
 ・道州制・州都構想を見直し、地方自治・住民自治を尊重した県政運営に徹すること。
 ・消費税率を引き下げるよう政府に求めること。
 ・女性の幹部登用を増やすこと。
 
 (2)企画振興部
 ・大空港構想は、右肩上がりに外国人観光客をはじめ空港利用者が増加していくことを前提としたものであり、コロナ感染症拡大という事態を受け、否が応でも構想の見直しを余儀なくされている。地域循環型経済への転換をはかり、地域に密着した経済活動の発展をはかるべきである。
 ・熊本空港アクセス鉄道について、事業費が当初の見積もりよりも膨張することなどから、「いったん立ち止まる」ことを表明した。関係予算も含めて凍結し、コロナや災害対策に予算を回すべきである。
 ・地域振興策は呼び込み型偏重ではなく、地場産業・地元企業への支援を強めること。
 ・地元自治体の負担を最大限解消しつつ、肥薩線やくま川鉄道の早期復旧を実現すること。
 ・新幹線の騒音対策。県として定期的な調査を実施し、基準値を超える騒音・振動が発生している場合は国、JR九州に直ちに是正するよう求めること。
 ・新幹線ホームの無人化推進をやめさせること。
 ・車椅子の方が入場・観覧しやすいよう県立劇場ホールなど施設の改善を進めること。
 ・被災した個人所有の文化財の保護へ支援を強めること。
 
 (3)健康福祉部
 ・高すぎる国民健康保険税(料)を、協会けんぽ並みの保険料に引き下げるため、一兆円規模の公費負担を国に要望すること。
 ・人頭税と同じ均等割、平等割を廃止し、国保税(料)を引き下げるよう国に求めること。
 ・被保険者の保険料軽減にあてるための財源として、県独自に一般会計から国保会計への繰り入れを行なうこと。
 ・強権的な保険証取り上げや差し押さえをやめること。
 ・減らされてきた高齢者医療への国庫負担を抜本的に増額し、保険料・窓口負担の軽減を国に求めること。
 ・地域ごとの産科・小児科・救急医療などの体制確保を支援し、安心して医療を受けられる全県的体制を整備すること。
 ・必要な医師・看護師を確保し、全地域的に提供体制を整備し、家族の負担に依拠しなくて済むレベルの在宅医療体制を確立すること。
 ・重度心身障がい者医療費助成の対象枠を拡大すること。また自治体格差をなくし、すべての自治体で全額助成されるよう改善をはかること。
 ・無料低額診療事業が拡充されるよう県としても支援を。
 ・介護保険料・利用料の負担を軽減すること。
 ・介護報酬を増額し、介護・福祉労働者の労働条件改善をはかること。
 ・介護難民の解消のためには、特養ホームの抜本的増設に舵を切るしかない。待機者解消の計画を策定し、特養ホームの抜本的増設をはかること。特養ホーム建設に対し公的に補助すること。
 ・一人親、貧困、DV,子どもの非行、犯罪被害など家庭の悩みは多様化、潜在化している。一人で悩まず気軽に相談できるワンストップの相談窓口を設置し、専門的に対応できる人員の増員など対応体制の充実を図ること。
 ・児童相談所がその役割を発揮できるよう、専門職員の要請と相談員の増員、相談所の増設など抜本的に拡充すること。
 ・認可保育園の増設と待機児童の解消を進めること。
 ・幼児教育・保育の完全無償化を国に求めること。
 ・子どもの医療費助成制度を国の責任で確立するよう求めるとともに、全国最低水準の乳幼児医療費助成制度を抜本的に拡充し、子どもの医療費を中学3年生まで無料化すること。
 ・児童手当を拡充し、現在中学卒業までの支給期間を18歳までに延長することを国に求めること。
 ・保育士の賃金の引き上げ、配置基準の改善を進める事。
 ・地域若者サポートステーションの設置を増やすこと。
 ・誰もが気軽に使えるスポーツ施設の設置、充実を図ること。
 ・無年金・低年金の解決に足を踏み出して、最低保障年金制度の導入を国に求めること。
 ・熊本地震において、現在応急仮設住宅に入居している被災者の多くは生活弱者であり、日常生活へのきめ細かい支援が求められる。取り残され孤立することがないよう、支援の体制を市町村と連携し確保し、被災者の生活環境改善につとめること。
 ・様々な病気の予防に大きな効果がある口腔ケアの体制充実へ、歯科、保健所、医療、介護など関係機関の連携強化を図ること。
 ・障がい者の入院給食費、差額ベッド料に対する助成を実施すること。
 ・単身者用・家族用の障がい者公営住宅を増やすこと。
 ・障がい者が利用できる多機能型スポーツ施設増設とバリアフリー化、指導者・介添え者の配置など促進すること
 ・生活保護基準の切り下げを中止し、引き上げるよう国に求めること。
 ・生活保護の住宅扶助費の引き上げを求めること。
 
 (4)環境生活部
 ・ 不知火海沿岸住民の健康被害調査を実施し、水俣病被害の実態や広がりを明らかにすること。
 ・水俣病認定審査の際の昭和52年判断条件を撤廃し、少なくとも1993年の認定義務付訴訟最高裁判決が示した基準に改めること。
 ・チッソ、JNCに対し、子会社を含め全事業所の存続と全社員の雇用継続に努めるよう指導すること。
 ・地下水涵養や汚染対策など、熊本の宝である地下水保全の取り組みが進められているが、将来にわたり安定的に地下水が保全されるためにも、涵養域における一定基準以上の規模の開発行為に関しては地下水への影響調査を義務付けることなど、涵養域の開発行為を抑止する制度を確立すること。
 ・原発依存から脱却し、再生可能エネルギーへの転換をはかるよう国に求めること。熊本は風力、地熱、波力、水力、太陽光など豊富な自然エネルギーに恵まれている。新たなエネルギーの開発・普及に力を注ぐこと。
 ・気候変動に適応した諸施策の推進を。県民の健康や暮らし、インフラ整備、産業分野など、各部局がそれぞれに温暖化・気候変動に適応した行動計画を早急に策定すること。
 ・無秩序で大規模な風力発電設備やソーラーパネル設置、地熱発電が、時には山岳自然を破壊し、環境汚染への懸念を広げている。環境保護や住民の安全健康保護の立場に立った県独自の規制、ルール作りが必要である。
 ・災害ゴミからのアスベスト飛散に継続的に注意を払い、また解体に関わる労働者の健康被害防止へ専用マスク着用の徹底など対策を繰り返し呼びかけること。
 ・防疫体制の強化。ヒアリなど害虫侵入の防止に万全の体制をとること。
 ・同和行政の終結。一般行政の施策に移行すること。部落解放熊本県研究集会に行政、学校関係者を動員することをやめるよう指導すること。
 ・動物愛護センターと愛護団体、NPO、地域の住民の協力も得られる仕組みを改善しつつ、譲渡促進、殺処分を根絶すること。
 ・SOGI、LGBT対策に積極的に取り組む企業の顕彰をおこなうこと。
 ・同姓カップルにも異性カップルが結婚している場合と同等の権利を認める「パートナーシップ条例」を制定し、公営住宅への入居や緊急時の病院での面会などで、親族同様の扱いを受けることを可能にすること。
 ・保険適用に性同一性障害を加え、治療のできるクリニックを拡充すること。
 ・廃プラスチック対策の強化が求められている。熱回収から脱却するためにはゴミの発生を設計・生産段階から削減することが不可欠である。発生元での削減対策を県としても積極的に取り組むこと。
 ・レジ袋の削減、マイバッグの普及促進に努めること。
 ・有害物質が混入した安定型処分場や土壌汚染処理施設による環境汚染、産業廃棄物の不法投棄に歯止めをかけるため、徹底した立入検査を県として実施し、違反者への厳格な監督と行政処分を行なうこと。
 ・輸入食品への農薬残留、遺伝子組み換え食品の横行など、食の安全・安心を脅かす事態が後を絶たない。食品の検査体制を強化し、安全基準を強めるよう政府に求めること。
 
 (5)商工労働部
 ・小規模事業者持続化補助金の増額・継続を国に求めること。とりわけ「GoTo」キャンペーンから取り残された小規模事業者への支援策を求めること。
 ・多重債務者向け貸付事業を拡充すること。貸付限度額の引き上げ、年利の引き下げ、償還期間の延長など。
 ・建設業許可申請等での社会保険未加入事業所への加入推奨は、実情に十分配慮し、許認可権限を持つ他省庁への制裁要請はやめること。早急に中小企業に対する社会保険料率引き下げ等の制度改善をはかるよう、国に求めること。
 ・社会保険強制適用でない事業者を現場排除しないように指導すること。
 ・経営、雇用、技術、金融、法律相談を総合的に受け付ける相談窓口の設置。
 ・呼び込み型開発から地場産業育成重視へ経済政策の転換をはかり、経営、雇用拡充への支援を強めること。
 ・中小企業・小規模事業者についての信用保証協会の保証は、「責任共有制度」ではなく、100%補償に戻すよう、国に要望すること。
 ・所得税法56条は家族労働の働き分を認めず、個人の尊厳と両性の平等に反する差別的な税制であり、国に対し、56条廃止を求めること。
 ・地方税の徴収行政について、納税者の権利を守る立場で、営業や生活再建に向けて親身な助言を行なうこと。徴収にあたっては、実情を十分に把握し、営業と生活を困窮させることのないよう配慮すること。納税の猶予、換価の猶予など、納税緩和措置を個別の実情に応じて柔軟に行うこと。
 ・住宅リフォーム助成制度を県として創設すること。
 ・最低賃金を大幅に引き上げ、時給1,000円の実現を。そのために、社会保険料の減免や賃金助成など、中小企業の賃上げに対する支援を行なうこと。最低賃金の地方間格差を是正し、全国一律最低賃金制度に踏み出す制度を作ること。
 ・労働者派遣法を抜本改正し、派遣労働は一時的・臨時的なものに限定すること。
 ・非正規から正規への流れを作り、同一労働同一賃金、均等待遇を進めること。
 ・異常な長時間労働を是正し、サービス残業を根絶すること
 ・男女の賃金格差是正、シングルマザーへの経済的支援の拡充、女性の無年金・低年金問題の解消をすすめること。
 ・男女がともに仕事と家庭が両立できる人間らしい働き方のルール作りを進めること。子育て期の労働者の時間外労働の免除など。
 ・育児休業制度を男女がともに取得できるよう、所得補償の改善、男女賃金格差の是正を図ること。育児休業期間取得により昇進・昇格や賞与・退職金などで不利益な扱いを受けないようにさせること。
 ・ブラック企業、ブラックバイト根絶に努めること。学生にも労働関係の法令が適用されるよう、労働環境の改善を求めること。
 ・危険な原発から撤退し、再生可能エネルギーに全面的にシフトするよう国に求めること。
 ・九州電力に対し、2030年までに出力ゼロにできるよう、苓北火力発電の段階的廃止を要請すること。
 
 (6)観光戦略部関係
 ・コロナの影響が長期化しているもとで、苦境に立っている事業者への継続的な支援が必要である。特に地域や業種の実情に合わせて、感染防止対策や、ネットを使うなどの販路開拓、コロナ禍での商品開発、従業員の賃金への助成を始め、事業を継続・維持するための給付金制度を創設することが必要となっている。国に対しても財政支援を要求し、地域事業を支援する制度の拡充をはかること。
 ・感染急増地域も含めた全国一律の「Go To」キャンペーンを見直し、地域ごとに飲食業者観光業に支援が届くやり方に改めるよう国に求めること。
 
 (7)農林水産関係
 ・国会で成立した改定種苗法は、国に登録された作物の種や苗を農家が自己増殖する場合、許諾料の支払いを求めて事実上禁止するものであり、農業者の権利が奪われ、企業による種苗の支配が強まり、農業の多様性や生産者の創造性を奪うことにつながる。同法を廃止するよう国に求めること。
 ・今年度の米価が下落している。政府備蓄米の買い入れを大幅に増やすよう政府に求めること。
 ・買い入れた備蓄米をコロナ禍で苦しむ学生や子ども食堂などに提供する仕組みを作ること。
 ・水田での非主食用米への転換のため、水田活用交付金や産地交付金を大幅に増やすよう国に求めること。
 ・再生産が可能となる所得を保障するため、戸別所得補償制度の復活を求めること。
 ・際限のない輸入自由化の拡大路線を転換すること。TPPからの離脱を求めること。
 ・価格保証と所得補償の充実で、農業が成り立つ土台を確立すること。
 ・新規就農者への支援を強化し、若者の就農を増やすこと。
 ・地域資源を生かした循環型の農村振興に力を入れること。
 ・政府は「攻めの農業」と称して農林水産物の輸出拡大に力を入れている。個々の産地や農業者などによる輸出拡大の自主努力は尊重されるべきだが、いま力を入れるべきは、安全でおいしい地元の農産物への需要を満たす農業生産、供給体制の拡充である。そこに独自の努力を県として強めていくこと。
 ・有明海再生へ、諫早湾干拓の潮受け堤防開門調査を実施するよう国に求めること。
 ・諫早干拓の調整池に毎年夏に発生する大量のアオコは猛毒を持っており、海に流出した後もその毒素は残り、食物連鎖による人的被害も心配される。研究体制を強め、その調査結果を公表し、必要な対策を講じること。
 ・大蘇ダム事業について、緊急に地元関係者・自治体への説明会および県議会への説明を農水省に求めること。
 ・農地の集積が進み、大規模化が進んでいるとはいえ、農業と農村の多くが、専業や兼業など大小多様な家族経営や、その共同で成り立っていることに変わりはない。今後の担い手対策も、農業の「経営安定対策」や大規模化、法人化を条件にせず、各種補助金も地域に存在する「続けたい、やりたい人(法人を含む)」すべてを対象とすべきである。
 ・財界主導の農協「改革」を中止し、農家の共同や農協の自主性・独立性を尊重し、協同組合の原点に立った役割を果たせるよう支援すること
 ・被災農業者の営農再開・経営再建へ、農地や農機具・施設の復旧に手厚い支援を行なうこと。
 ・森林整備は、防災の観点からも早急な対策が求められている。近年急増している記録的豪雨はいつどこで発生してもおかしくない。人工林が多く存在する地域など、災害危険個所について国とともに総力をあげて治山対策にとりくむこと。
 ・民間所有の森林の植栽・下刈、間伐等の造林事業に助成をすること。
 ・鳥獣等による農作物被害が拡大し、営農意欲の減退につながっている。狩猟者の育成・確保、被害防止策の拡充をすすめること。中長期的には、緩衝帯となる農地や山村の復旧・再生が必要である。被害対策に取り組んでいる現場を支援する施策と予算の充実を図ること。
 
 (8)土木部
 ・大規模な災害が全国で相次いで発生している。従来の延長線上でない防災・減災対策の抜本的な強化が求められている。この元で公共事業を、これまでのように大型開発・新規事業優先ですすめていいのかが問われている。安全・安心の防災・減災対策、老朽化対策を公共事業の基本に据える抜本的な改革が必要である。
 ・河川改修、生活道路改善、老朽化した公共施設の拡充と改修など、維持・管理費の増額をはかること。
 ・すべての県管理の河川について河川整備計画を策定すること。ダムによらない総合流域治水の立場で、気候変動を念頭に置いた河川改修を進める事。
 ・立野ダムの建設を中止し、堤防強化や河床掘削、田んぼダムなど、ダムによらない総合流域治水策を進める事。
 ・耐震補強工事への助成をおこなうこと。
 ・急傾斜危険地域の対策事業、造成地滑動、液状化予防などの防災事業について、受益者負担をなくすよう国に求めること。
 ・排水管、浄化槽などの破損に対しても宅地復旧と同様に支援対象とすること。また地震により地下水、井戸水の出方が変わった所についても、そのことにより余儀なくされた対策工事について支援すること。
 ・公契約条例を制定し、下請け企業や労働者の権利を守るルール作りを進めること。
 ・私道、里道の復旧を支援する制度をつくること。
 ・災害関連には改良復旧が柔軟に適用されるよう国に改善を求めること。
 ・県営住宅の数を増やすとともに老朽化した施設の補修改修を進めること。
 ・県営住宅の承継要件を緩和し、親子でも承継できるようにすること。
 ・県管理漁港の維持管理、必要な改修を地元漁民、住民の要望に沿って進めること。
 ・海岸線上の堤防を総点検し、高潮、洪水時にでも安全な堤防の高さを確保すること。
 ・工事下請け業者への賃金不払いなどの紛争や民間同士のトラブルについて相談窓口を作り、解決を後押しすること。外国人実習生に対しても相談窓口の存在を周知すること。
 ・有明海、八代海の浅海化・土砂の堆積が深刻な状況となっている。国とも共同して環境復元をはかること。
 
 (9)教育委員会
 ・正規職員を配置して少人数学級の導入を広げること。
 ・教職員の勤務実態を調査し、公表すること。
 ・教員不足が深刻化している。定員を増やし、全小学校に英語専科教員を配置すること。
 ・県が小・中学校で実施している学力調査『ゆうチャレンジ』を廃止すること。
 ・学童保育の経費を支援し、保護者の負担軽減と支援員の待遇改善・増員をはかること。
 ・発達障害、不登校児童・生徒の受け皿体制充実へ、相談窓口の充実や専門員の配置、フリースクールの増設や発達障がい児を受け入れる施設の拡充を進めること。スクールソーシャルワーカーの配置を拡充すること。教員外の専門職は非常勤ではなく、常勤とすること。
 ・小中学校の教育費負担を解消すること。給食費、副教材、修学旅行積立金など義務教育期間中の教育費の父母負担をなくすこと。
 ・特別支援学校の寄宿舎は、仲間と暮らしを共にすることで人とかかわる力を培い、生活技術が身につく貴重な場となり、障がい児の自立を支援するものとなる。県立の支援学校に寄宿舎を設置し、指導員を配置すること。
 ・兼任や複数校かけもちでなく、全小中学校の図書室に司書を配置すること。
 ・様々な理由で義務教育を終えていない人や外国人国籍の人、不登校の生徒などを受け入れ、義務教育課程を学べる夜間中学を設置すること。
 ・道徳授業は教科化になじまない。国に対し反対の意見をあげること。
 ・学校給食の無償化を実現させること。自校方式、地産地消、直営方式を進め、学校栄養職員・栄養教諭を一校に一人配置すること。
 ・就学援助金を拡充すること。支給対象の拡充や利用しやすい制度への改善に努めること。
 ・子ども食堂や見守り隊など、子ども支援グループへの支援をつよめること。
 ・PTAは任意加入の組織であるにもかかわらず、県立高校などではエアコン電気代をPTAに請求し、しかも高額な徴収を行なっている場合がある。教育環境維持のために必要とする経費は基本的に学校側が負担すべきであるが、保護者・生徒に負担を求める場合に基本的な考え方を示したガイドラインを県として策定すべきである。
 ・同和に偏重した人権教育をみなおすこと。熊本県こども人権フェスティバルを中止すること。同和加配をやめ、教師の多忙化解消のためにこそ教職員数の増加を図ること。
 ・定時制、通信制学校の運営費を増額すること。定時制学校での給食を実施すること。
 ・人権侵害と暴力であるいじめの放置・隠蔽が、学校における「安全配慮義務」違反に当たることを明確にし、学校現場に徹底すること。
 ・保健室の先生の複数配置などいじめ対策の予算措置を拡充すること。
 ・子ども達にひらかれた児童相談窓口の拡充を図ること。
 ・不登校の子どもらを受け入れている民間・ボランティアのフリースクールや学習支援組織への支援を拡充すること。
 ・放課後デイの事業所に対する支援を拡充すること。
 ・子どもたちの生活圏内に安全で安心して遊べる公園や児童館、プレイパーク、青少年が楽しめる広場や体育館の確保・増設を進めること。
 ・通学路の安全対策。通学路の安全確保、車の台数・速度制限のための措置を図ること。
 
 (10)警察
 ・盗聴法、共謀罪法、代用監獄の廃止など、えん罪を広げる危険な仕組みを廃止するよう国に求めること。
 ・信号機設置、消えた横断歩道ラインの線引き等、地元要望に迅速にこたえられるよう予算を増額すること。
 ・要望が寄せられた箇所について速やかに音声信号機が設置されるよう予算増額をはかること。
 ・性犯罪に関する被害者支援、二次被害の防止などのトータルな対策、加害者教育、再発防止策など被害者、支援者、専門家も含めて引き続き改革への検討を進める事が必要であり、性暴力・性犯罪を許さない世論と社会の構築へ、県としても啓発活動など取り組みを強める事。
 ・テロや無差別殺傷事件などに多くの人々が不安を感じている。治安に対する国民の不安を解消し安全確保に力を尽くすよう、警察の体質改善をはかること。住民からの不安の声、通報等に迅速に対応できるよう適性に配置を見直すこと。
 ・市民とメディアの知る権利を侵害する特定秘密保護法の見直し、廃止を国に求めること。
 ・朝鮮や韓国人、中国人など、マイノリティー集団に対するヘイトスピーチの規制を強化すること。
 ・犯罪被害者の個人の尊厳、幸福追求の権利を保障し、国家補償や精神的なケアの充実をはかること。
  以 上

 
被災者・流域住民を主役にした球磨川治水検証と対策を 2020年10月20日
印刷用PDFをダウンロードするには、ここをクリック(397KB)

熊本県知事 蒲島郁夫様 
    
 2020年10月20日
 日本共産党熊本県委員会
 委員長      松岡勝
 熊本県議会議員  山本伸裕
 日本共産党南部地区委員会
 委員長      野中重男

被災者・流域住民を主役にした球磨川治水検証と対策を
 球磨川豪雨検証、治水対策について、以下要請と質問をいたします。
 1、データをすべて開示し、科学的客観的な流量の検証を
 ①「球磨川豪雨検証委員会」(以下「検証委」)での国土交通省による流量の推定については、河川工学の専門家の試算との違いがあります。この点については、すでに指摘しています。また市民団体等からの具体的な指摘がなされています。
 治水検証の根本の流量が違えばおのずと、国交省が示す「川辺川ダムが存在した場合の効果」も異なります。あらためて科学的客観的な流量の検証を求めます。
 
 ②「検証委」での国交省の説明によると人吉地点(62・17㎞)の流量の推定(実績再現ピーク流量)は、約7、000㎣/s(氾濫戻しピーク流量7,400㎥/s)、ピーク水位は、6・9m~7・6m程度(痕跡水位より)となっています。ところが、国交省の平成18年(2006年)第46回河川整備基本方針検討小委員会資料・「歴史的洪水の痕跡水位を基にした洪水ピーク流量の推定・球磨川水系」によると、寛文9年洪水(1669年)の場合、人吉観測所水位に換算すると洪水水位6.54mで推定流量約8、200㎥/s。正徳2年(1712年)洪水では、洪水水位6.84mで推定流量8、900㎥/sとなっています。  (別紙-1)
 今回の洪水の人吉観測所痕跡水位7・6mで換算すれば流量は10、600㎥/s  になり、川辺川ダムのカット量2、600㎥/sを差し引いてもピーク流量は8、000㎥/sになります。効果量算定の最も基本となる流量の算定において、なぜ、基本方針決定時に採用した水位と流量の関係式を採用しないのか説明を求めます。
 
 ③今回の流量や効果量の算定に使用した一連のデータおよび解析資料等をすべて公開すること。また、熊本県が主催して、国交省の示した「検証結果」に異を唱える
 専門家らも含めた第3者による「検証の場」を設けることを求めます
 
 ④現時点で科学的客観的には疑義がある国交省による「結論」(人吉のピーク流量、川辺川ダムの効果ー浸水範囲が6割減少)を「住民の皆様のご意見・ご提案をお聴きする会」(以下、「聞く会」)で熊本県が説明することは、あまりにも公平性を欠くものであり直ちに改めることを求めます。
 
 2,流域住民の安全・安心のための復旧にあたって
 被災した住民・地域から、「橋の架け替えを急いでほしい」「堤防(道路)をかさ上げしてほしい」 「たまった土砂の撤去、掘削をしてほしい」等の声、要望が寄せられています。こうした切実で、当然の声・要求に国交省・県は、急いで応えるべきです。
 その際、橋の架け替え・堤防(道路)の高さ、掘削などで、「今回の洪水水位」以上とすることを求めます。
 
 3、特別養護施設「千寿園」被災の検証
 ①14人の死者を出した球磨村渡の特養施設「千寿園」の被災を受け、国交省と厚労省は対応を検証する検討会を開いています。しかし、一般的な避難計画や異常時の対応状況を検証するだけでは不十分です。
 施設関係者の「まさか、こんなことになるとは思っていなかった」との発言がありますが、国交省から、導流堤の設置で小川(支川)の水位を1メートル下げ、浸水被害を防ぐ、排水ポンプができて内水被害に対応できるなどの説明なされており、無理からぬことです。
 重大なことは、千寿園は、球磨川水系水害浸水想定区域図・計画規模版(国交省公表)で、浸水区域から外れたままになっていたことです。河川管理者であり、球磨川水系タイムラインを主導した国交省の責任が問われます。      (別紙-2)
 
 ②導流堤については、河川工学の専門家から、その逆効果が指摘されていました。支川の出口に人為的に壁(導流堤)をつくったことが、小川の氾濫、球磨川からのバックウオーター被害を拡大したのではないか。球磨川本川側の水位上昇の要因になったのではないかなどの疑問があります。
 時間経過ごとの水位上昇、バックウオーターの発生、氾濫、浸水の広がりと導流堤の影響についての検証も必要です。
 導流堤についての検証は、この施設が洪水対策(特に計画高水位以上)に対して効果があるのか、阻害要因となっているのかを明らかにする必要があります。阻害要因になっていたら撤去しなければならない問題であり。来年の雨季に備えて確認すべき喫緊の課題です。
 県としてどう対処されますか。           
 
 ③JR付近の道路が低いまま放置されていたことが、千寿園を含む地区全体の浸水被害を早め、広げたとの指摘があります。危険な状態が改善されず放置されてきたことの責任と「なぜそうなったのか」の検証を求めます。
                                       
 4.ダム事業の費用対効果について
  今回の洪水で球磨川下流八代市内(概ね遙拝堰から下流)については、萩原水位観測所でHWLに達することなく12,000m3/s以上が流下しています。
 球磨川河川整備基本方針(1/100)の流量が約10,000m3/sですから、川辺川ダムがなくても、計画をはるかに上回る洪水であっても安全に流れるだけの流下能力を備えていることが証明されました。
 このことは、八代市街部については、川辺川ダムの効用は不要であることを示しています。ダムの事業評価にあたっては、費用対効果(B/C)>1.0であることが求められますが、効果の半分以上を占める八代市街部でダムが不要となるため、(B/C)が1.0を大きく下回ることは明らかです。そこで、あらためて、「(B/C)が1.0を下回る場合はダム事業はできない」ことを指摘します。
 県として、どのようにとらえているのか、明らかにしていただきたい。
 
 5,「検証委」「聞く会」と熊本県のあり方
 ①「川辺川ダム住民討論集会」では、川辺川ダムへの賛否双方の代表による事前協議を行い、開催日時、場所、提出する資料等を協議・確認していました。
 「聞く会」の運営においては、被災者・流域住民・流域の諸団体が、ダム案(川辺川ダムを含む治水案)、非ダム案(川辺川ダムなし治水案)について考え、判断することができるような公平な運営、公平な資料の提出に心がけることを求めます。
 
 ②「検証委」ではなされなかった市房ダムの緊急放流、川辺川ダムができていた場合の緊急放流、瀬戸石ダムによるダム上流・下流の洪水被害、ソフト面での対策の遅れと被害ー等の検証を行い、それらを被災者・流域住民に明らかにすることを求めます。
 
 以上の点についての見解および回答を、10月末日までいただけるようお願いします。

 
被災者・流域住民を主役にした球磨川治水検証を 2020年9月30日
印刷用PDFをダウンロードするには、ここをクリック(867KB)

熊本県知事 蒲島郁夫様 
    
 2020年9月30日
 日本共産党熊本県委員会
 委員長      松岡勝
 熊本県議会議員  山本伸裕
 日本共産党南部地区委員会
 委員長      野中重男

被災者・流域住民を主役にした球磨川治水検証を
 「11月中をめどに県の方針をとりまとめた後に『民意を問う』との知事の定例記者会見での発言が伝えられています。
 被災地では、「後片付けがまだ終わっていない」「考える余裕がない」「ダムがいいか、そうでないか話し合う時間もない」などというのが実情です。
 「民意」を大事にしようと考えるならば、被災者、被災地の声を十分くみとるべきです。
 日本共産党熊本県委員会・同南部地区委員会は、9月3日、「球磨川豪雨検証を通じて『ダムなし流域治水』を」と題して、知事に対して「申し入れ」を行いました。
 その後の状況を踏まえて、表記の趣旨に沿った問題提起と要請を以下いたします。ご検討のほどよろしくお願いいたします。
 
 1、積み重ねられてきた民意、
 公正・中立・民意尊重を貫いた熊本県
 知事は、2008年9月、「川辺川ダム中止」を表明しました。知事表明に先立ち、相良村長、人吉市長の中止表明がありました。
 知事は中止表明の中で、「川辺川ダムの最大受益地である人吉市では、田中市長が現行のダム計画の白紙撤回を求めることを表明されました。ダム建設予定地である相良村の德田村長も、川辺川ダム建設は現時点では容認しがたいと意見表明されております」と、流域の声を尊重する姿勢を示しました。
 相良村長、人吉市長、知事の「川辺川ダム中止」表明の背景には、流域住民、漁民、農民の「川辺川ダム中止」への長期にわたる、血の滲むような運動、営みがありました。
 同時に、「ダム推進」という既定方針のもとでも、流域住民の声に真摯に耳をかたむけ、球磨川治水にとって、川辺川ダムか、そうでない治水の方法があるのかを公平・中立に、住民とともに考える熊本県の強い関与がありました。
 
 ①川辺川ダム住民討論集会
 住民討論集会は、2001年12月に第1回が開かれ、2003年12月まで9回開催。討議時間は53時間、参加者は12、000名余、熊本県が総合司会を執り行いました。ダム推進・中止の双方の代表(推進側は、国交省・人吉市議・免田((当時))町議など、中止側は、中止を求める市民団体・球磨川漁協有志など)による事前協議でテーマや討議方法などを話し合い「公平・公正」に運営する措置がとられました。本集会と変わらないほどの時間をかけた事前協議がたびたびでした。人吉市カルチャーパレスで開かれた第5回で異変が起きました。開会は午前10時と事前協議で確認されていました。ところが、深夜からダム推進側が約1、200席分すべてを占めるよう組織動員し、会場入り口が占拠状態になっていました。この時、総合調整役の熊本県は、緊急に事前協議を開き、ダム推進側のやり方を厳しく批判し、「推進派」「異論派」のそれぞれの受付をつくり、1人づつ入場させ双方同数の参加者による公平な討論会にしました。住民討論集会は当初、双方の激しいヤジの応酬で対論者の発言が聞き取りにくい状況でした。これに対して熊本県は、事前協議で、「ヤジはやめて、真摯に対論する集会に」と提案し改善を図りました。
 住民討論集会は、国交省にも、自民党県議団にも媚びず、公平・中立を名実ともに貫いた熊本県のリーダーシップによって、全国的にも大きく注目され、実りある集会になりました。
 
 ②川辺川利水
 2003年5月、福岡高裁は3分の2以上の同意がないことを理由に、川辺川利水事業と区画整理事業に異を主張する原告勝利判決を下しました。その後判決は確定しました。「身の丈に合った利水を」求める農民866名と補助参加を含めると2110名が裁判に立ち上がったことによる原告農民の勝利でした。その後、川辺川利水に頑なな農水省と原告農民の協議をはかるために熊本県が総合調整役として、78回、311時間の協議が行われました。ここでも熊本県は、公平・中立の立場を貫きました。
 
 ③県収用委員会
 国土交通省は、2001年12月、漁業権と水没予定地内にある土地や家屋等の所有権を対象に、熊本県収用委員会に対して、収用裁決申請を提出しました。
 収用委員会の審理は、2002年2月から2005年8月まで(途中、一時中断)重ねられました。この間、住民討論集会が開催され、川辺川利水訴訟では、ダム利水に異を唱える原告が勝利し判決が確定しました。2005年8月、県収用委員会は国交省に収用裁決申請取り下げを勧告、取り下げない場合は、却下裁決をするとしました。国交省は9月、収用申請を取り下げました。
 収用委員会は、国交省・球磨川漁協執行部と川辺川ダムに反対する漁民、住民、弁護士、研究者との間で徹底した議論が交わされました。全国初の漁業権の収用という収用委員会の審理に対して、熊本県は終始公正な立場を貫きとおしました。
 
 ④流域市町村長の要望=民意か?
 「住民討論集会」「利水協議」「収用委員会」、それに先立つ球磨川漁協での漁業補償契約案の否決、人吉市、坂本村(当時)での住民投票要求署名運動(人吉では有権者の約過半数、坂本では3分の1の署名。それぞれ議会での否決は1票差)等々、球磨川流域では、住民、漁民、農民の粘り強い、運動、たたかいがありました。そうした流れの中で、相良村長、人吉市長の「川辺川ダム中止」表明となりました。
 これぞ「民意」と言えるもので、知事の「川辺川ダム中止」表明はその民意に応えたものでした。
 7月豪雨災害後の「川辺川ダム建設促進協議会」(流域市町村長)による「川辺川ダム建設に関する要望」が出されていますが、市町村長の要望は、地域説明会、アンケート、討論集会、住民投票など、民意をはかる手段を一切実施していないもので、民意とはとうてい言えないものです。 
 むしろ、長きにわたって積み上げられてきた様々な取り組みの結果、導き出された民意を分断し、流域に新たな混乱を持ち込むものです。
 
 ⑤熊本県が果たしてきた役割
 熊本県は「住民討論集会」「川辺川利水協議」「収用委員会」等で、様々な困難ななか、その公正な運営に心血を注ぎました。
 知事による公聴会の開催、有識者会議の設置と熟議も大きな役割を果たしました。これらは、「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担う」とする地方自治法第1条2項にそう画期的なものです。
 現在進行中の「球磨川治水検証」においてもこの立場を貫かれることを強く要請します。
 
 2、住民不在の「審議」の行き着くところー「ダムありき」に
 
 ①川辺川ダム事業審議委員会
 1995年に設置、審議がされた「川辺川ダム事業審議委員会」は、その構成が、3人の有識者と熊本県知事、人吉市長、相良村長、五木村長、熊本県議会議長、相良村議会議長、五木村議会議長ということに示されているように、流域住民の審議への継続的参加、川辺川ダム中止の有識者を含む審議ではありませんでした。住民の民意反映の機会はただの1回の公聴会だけで、「意見を聞き置く」程度のもので、「川辺川ダム事業」「利水事業」とも「妥当」との結論をだし、本体着工への「正当性」をアピールする「出来レース」でした。
 この後、下流域の川辺川ダム中止の住民運動、農民、漁民の運動は大きく盛り上っていきました。
 
 ②「ダムなし治水」協議
 10年余も費やして、まとまらなかった治水対策
 知事の「ダム以外の治水を極限まで追求」表明後設けられた「ダムなし治水」協議は、「ダムによらない治水を検討する場」12回、同幹事会5回、球磨川治水協議会9回、九地整局長・知事・市長村長会議4回、計32回開かれましたが、住民の協議への継続的参加はもとより、「検討する場」「協議会」での発言の機会も一切排除されました。その結果、河川整備計画はつくらず、河床の掘削、宅地・堤防の再嵩上げ、遊水地などのダムなし治水の具体化・実行はなされませんでした。川辺川ダム建設の根拠法である「特定多目的ダム法」に基づく廃止手続きをしなかったのは、「川辺川ダム」復活の機会を伺っていた国交省の強い意志によるものです。
 
 3、川辺川ダム検証-「ダム効果」検証の前にすべきことが
 川辺川ダムについては、「ダム効果」の前に、検証すべきことがあります。
 
 ①多くの住民の不安―緊急放流
 2018年7月の西日本豪雨では愛媛県・肱川で国交省の野村ダム・鹿野川ダムの緊急放流により、8人の死者が出ました。鹿野川ダムの流入量が、600㎥/秒から3500㎥/秒まで上昇するに約5時間かかっているのに対して、ダムからの放流量はわずか数十分で1500㎥/秒にも増加しています。これによって被害が拡大しました。
 2018年7月、川内川本川の中流に,7,500万m3の洪水調節容量(総貯水容量1億2,300万m3)をもつ鶴田ダムの放流が下流に大きな被害をもたらしました。  
 鶴田ダムの洪水調節計画は、4,600万㎥の流入があった場合、2,200万㎣をカットして下流には2,400万㎣を流すというものでした。ところが実際の流入量は4,042万㎣に対して、放流は3,571万㎥で、計画の2,400万㎥をはるかに上回るような放流がなされました。放流によって、13km下流地点では,計画高水
 位を約3.0mも上回り、大きな被害をもたらしました。
 異常降雨によってダムの緊急放流の頻度は以前より高まっており、今後はさらに高まることは明らかです。
 球磨川流域住民の命と財産、歴史と文化のまちを守る球磨川の治水においては、「川辺川ダムの効能」の前に、市房ダムの緊急放流、川辺川ダムの緊急放流、市房ダムと川辺川ダム同時の緊急放流が下流にどのような被害をつくるのかの検証とその公表が大前提であるべきです。
 
 ②瀬戸石ダムによる被害
 瀬戸石ダムのバックウオーターのよる上流域の被害、放流による下流域の被害の検証を早急に実施すべきです。瀬戸石ダムの検証にあたっては、上下流の住民の証言を聞く場を設定すべきです。
 
 ③気候変動に対応できない、時代おくれの川辺川ダム計画
 2020年7月に公表された国土交通省・社会資本整備審議会答申「気候変動を踏まえた水災害対策のあり方についてーあらゆる関係者が流域全体で行う持続可能な『流域治水』への転換」(答申)は、次のように指摘しています。
 「これまで災害対策は過去に発生した災害の経験を踏まえて講じられてきたが、気候変動によってこれまで経験したことのない事象が発生し、また、社会や科学技術も時代とともに大きく変化することを考えると、これからは、時代とともに様々な変容を遂げることを前提に、水災害対策は気候変動などの将来のリスク予測に基づくものへと転換させていかなければならない」「産業革命以前と比べて世界の平均地上気温が4℃上昇した場合は、20 世紀末と比べて21 世紀末には、全国の一級水系で治水計画の対象とする降雨量の変化倍率が約1.3 倍、治水計画の目標とする規模の洪水の流量の平均値は約1.4 倍になり、洪水の発生頻度の平均値は約4 倍と試算された。また、産業革命以前と比べて世界の平均地上気温を2℃に抑えるシナリオ(パリ協定が目標としているもの)でも、20 世紀末と比べて2040 年頃には、全国の一級水系で治水計画の対象とする降雨量の変化倍率が約1.1 倍、治水計画の目標とする規模の洪水の流量の平均値は約1.2 倍になり、洪水の発生頻度の平均値は約2 倍と試算された」「気候変動の予測には幅はあるが、長時間をかけて進める河川整備やまちづくりについては、将来の気候変動の変化等を評価して対策を講じ始めなければ、計画の見直しや追加的な対策の実施に迫られ、必要な河川整備に要する期間が長期化するおそれがあるなど、速やかに気候変動を考慮したものへの見直しは急務である」「気候変動によってこれまでとは異なる現象が将来発生することが想定され、これまでの手法では気候変動によって度々計画の見直しや施設の補強等、非効率な対応が必要となる。このため、過去に発生した現象に基づくものではなく、あらかじめ気候変動によって将来発生することが想定される現象を予測し、それに基づく水災害対策を講じることを基本とするべきである」。
 さらに「気候変動をふまえた治水計画のあり方」提言(2018年 10 月・「気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会)」は、「施設の設計に気候変動の影響を取り込むにあたっては、耐用年数経過時点の降雨量変化倍率を活用して外力を見直すことが必要である」「ダムや堰、大規模な水門などの耐用期間の長い施設については、必要に応じて、更なる気温上昇(例えば4℃上昇相当-降雨量1・3倍、流量1・4倍、洪水発生頻度4倍)にも備えた設計の工夫を行うこと」と指摘しています。
 「答申」「提言」の指摘で明らかなことは、
 ①川辺川ダム計画では、今後の気候変動による降雨量、洪水流量には対応できなくなるということ。
 ②対応できないということは、対応できない降雨量、洪水流量の場合は、洪水調整は不可能となり緊急放流をせざるを得ないこと。
 ③ ①②については伏せて、計画の見直しが必要なダム計画でありながら、「川辺川ダムがあったら」との推計を発表することは、世を欺く「不実」極まりないことです。
 
 4、川辺川ダムができていたら
 ー清流、尺鮎、球磨川下り、ラフティングに致命的な影響
 「宝」の球磨川を汚してはならない
 
 球磨川は宝
 「球磨川の河畔の家は川に向かって玄関がある。水の手口がある。神社の門もここでは川に向かっている」(「新・球磨学」(熊本日日新聞社刊)-この表現に象徴されるように、球磨川は流域の住民にとってかけがえのない「宝」です。
 熊本商科大学(現学園大学)産業経済研究所の「球磨川が人吉地域経済に及ぼす影響についての調査報告書」は、「市民生活の基礎としての就業の場、所得原泉の場を提供してきた球磨川は、就業活動の果実としての税源の提供の場であり、したがって市民共同の財政的補償を提供する基礎の一つとして機能している」と分析しています(同「報告書」は1986年刊だが137ページに及ぶ詳細な「報告書」)。球磨川は、漁業、観光(「球磨川下り」「ラフテング」「釣り」)、農業と地域経済全体に大きな寄与し、住民の生活、生業を支えています。球磨川は「宝」です。
 川辺川ダムは、「宝」の球磨川を環境を壊す「川辺川ダムと環境」については「住民討論集会」でもテーマとして論議されました。環境影響評価を求める運動が大きく広がりました。
 「ダムなし治水が究極まで追求」されなければならないのは、川辺川ダムが「宝」の球磨川の生命線である「環境を壊す」からです。
 以下は、住民討論集会などで問われてきた主な問題です。
 *清流が「ため池」に 
 アオコ・赤潮で知られる植物プランクトンが増え水質が悪化。水質の悪化による悪臭、景観の悪化。ダム湖底での酸素不足。プランクトンが死んで湖底に堆積するとその体をなしていた窒素・リンが湖底の堆積物に。堆積物に亜鉛やヒ素が吸着。これらが下流に流されて下流の環境悪化に。
 珪藻類は清流川にしか繁茂しない。えさに珪藻類を食べる川辺川の鮎のおいしさの秘訣。
 *冷たい水が下流に。稲・鮎に影響
 ダムの下の方から水を流すことにより、冷たい水が流れ、稲の成長、鮎などの生物に影響。
 *海への砂の供給が減る。干潟がヘドロに
 砂を海に供給する川にダムができると海への砂の供給が減る。球磨川に荒瀬ダム、瀬戸石ダム、市房ダムができて砂の供給が激減。八代海の干潟はヘドロになりアサリなどが激減した。クマタカの生息、水生昆虫などへの影響も。
 7月の豪雨災害後、「川辺川ダムができていたら」と「ダムなし治水」の究極までの追求をはかってきた蒲島知事を非難する識者や政治家外ますが、「川辺川ダムができていたら」球磨川の環境が壊され、地域経済を支えてきた球磨川下り、ラフテング、釣りなどの観光、漁業はどうなっていたか。球磨川を汚してしまって人吉・球磨の未来図はどうなるのか。 
  「球磨川は宝」という意味を改めて検証することが求められています。
 
 5、「治水専用」(穴あきダム)について
 知事は、2008年11月の「川辺川ダム中止」表明のなかで、「国土交通省から、新たな手法として、環境に配慮した穴あきダムの提示」があったこと、その案を採用しなかった理由を述べています。
 国交省が改めて「治水専用ダム」(穴あきダム)を提示することが想定されます。
 ①構造の検討、設計、「環境アセス」-治水対策を大きく遅れさせる
 現在の川辺川ダム計画とは異なるダムとなるので、構造の検討から設計と作業を行わなければなりません。そのぶん時間と費用がかかり、治水対策をさらに遅れさせることになります。
 現在の川辺川ダム計画は、「法制定前」ということで「環境影響評価」がなされていませんが、新たな構造・設計のダムになるので「環境アセスメント法」にもとづく環境影響評価を実施すべきです。
 「環境アセスメント法」は、「この法律において『環境影響評価』とは、事業(特定の目的のために行われる一連の土地の形状の変更(これと併せて行うしゅんせつを含む)並びに工作物の新設及び増改築をいう。)の実施が環境に及ぼす影響(当該事業の実施後の土地又は工作物において行われることが予定される事業活動その他の人の活動が当該事業の目的に含まれる場合には、これらの活動に伴って生ずる影響を含む)について環境の構成要素に係る項目ごとに調査、予測及び評価を行うとともに、これらを行う過程においてその事業に係る環境の保全のための措置を検討し、この措置が講じられた場合における環境影響を総合的に評価することをいう」(第2条)と定めています。
 国交省は、「環境影響評価」を実施しない理由をあれこれ挙げることが予測されますが、「宝の球磨川」の環境を守るために、法律に基づく「環境影響評価」を実施し、その結果について住民が審議する機会を保障するよう対応すべきです。
 ②「安全性」「環境への影響」ともに、重大な欠陥
 「穴あきダム」の欠陥は多岐にわたりますが以下の通りです。
 1-流木、岩石などで穴がつまる。穴がつまれば洪水時には急激に水位が上昇しあふれ下流に大きな被害を及ぼす。下流域はダムの洪水調節を計算に入れた堤防高、河道っているのでその分被害が大きくなる。「河川砂防技術基準」では、トンネル河川についての記述はあるが、穴あきダムは想定外。技術基準が確立されていない。
 
 2-ダム湖岸における斜面崩壊の危険
 貯水池の水位の上下動により、河岸斜面内の間隙水圧(地下水位)が変動し、斜面崩壊が発生する可能性が増す
 
 3-洪水調節ができない
 超過洪水発生時には全くお手上げ。二波・三波の洪水に対して、事前に予測された場合でも、予備放流ができない。   
 地すべりや斜面崩壊が発生するような兆候が発見された場合にも対応できない。
 
 4-下流の河川環境の悪化
 年間を通じて洪水流量が平準化される。河川の流量は、平水、低水、渇水と一定ではなく、日変化、季節変動を繰り返し、河川環境は形成されている。「穴あきダム」は、年間を通じて洪水流量が平準化され河川環境をこわす。
 
 5-動植物の生存環境への悪影響
 通常のダムに比べて水位変動の範囲が大きく、湖水面積がゼロからの急激な水位上昇を起こし動植物の生息環境を壊す。
 
 6-堆砂により下流部への土砂供給を断ち切る
 放流口による効果は放流口直近の堆砂に限定。ダムによる堆砂象は、ダムサイトより上流のダム湖の上流端付近。
 以上のような点について、専門家を入れた検証が必要です。
 
 6、日本共産党は、改めて要請します
 1-被災住民、流域住民の声、要求を正確に反映させるために、町内会・校区ごとの「住民集会」「懇談会」を開くこと。
 2-「ダムありき」の国交省ペースに偏らないように「検証委員会」メンバーに、「住民討論集会」などに関わった「ダム以外治水」の専門家・研究者、市民団体代表などを入れること。
 3-国交省、県、市町村長と「住民討論集会」などに関わった「ダム以外治水」の専門家・研究者、市民団体代表などとの協議の場を設けること。
 4-公聴会、住民討論集会などを開催すること。

 
7月豪雨災害による仮設住宅に関する申し入れ 2020年9月11日
印刷用PDFをダウンロードするには、ここをクリック(239KB)

熊本県知事 蒲島郁夫様 
    
 2020年9月11日
 日本共産党熊本県委員会
 同    南部地区委員会 委員長 野中重男
 熊本県議会議員     山本伸裕
 人吉市議会議員     本村令斗
 同           塩見寿子
 八代市議会議員     橋本徳一郎
 芦北町議会議員     坂本 登

新型コロナ感拡大に係わる労働者の雇用と生活擁護対策について
 7月豪雨災害で被災された方々のための仮設住宅整備・入居が進められています。県や被災自治体が、被災者に一刻も早く安心して入居できるようにと、スピード感を重視して整備を進めてこられてきたこと、またこの間の災害の教訓を生かして木造仮設を中心に建設されるなど、被災者の生活に配慮した建設が進められていることに敬意を表するものです。
 いっぽうで、被災者の自宅再建はそう簡単に進むものではありません。加えて今回のような未曽有の豪雨災害のもとでは、「元住んでいた場所に自宅再建できるだろうか」といった、先の見えない不安で先に進むことができないという被災者の苦悩も、一層深刻なものがあります。一定期間の仮設住宅での生活を余儀なくされることが予想されるだけに、何よりも被災者の要望に十分に寄りそい、中長期的にも安心して暮らしていくことができるような仮設住宅の整備が必要です。
 そこで下記の通り、仮設住宅の整備に関して要望致します。
 
 1、建て方に関する問題
 ・希望者数に見合う戸数を建設すること。
 ・希望に対して建設型応急仮設の建設戸数が不足している場合、みなし仮設を確保するなどして、希望者全員が入居できるようにすること。
 ・令和2年5月の内閣府「災害救助事務取扱要領」においては、公有地のほか、無償提供される被災者の土地や、借り上げた民有地においても応急仮設住宅の建設が認められている。そして被災者の実情を踏まえて一戸からでも自治体の判断で建設できることとなっている。仮設入居希望者の要望をよく聞き、その必要があると判断される場合には、要望に最大限応えられるような柔軟な建設を進めるべきである。
 ・「もともと住んでいた、住み慣れた場所に住みたい」との思いは誰しも持っている。安全の確保に十分配慮しつつ、例えばピロティ型仮設、宅地かさ上げ、輪中堤などの手法で集落ごとに仮設住宅を建てるなど、可能な限り集落のコミュニティが維持されるよう配慮すること。
 
 2、生活環境改善に関する問題
 ・買い物や通院、通学の利便性について十分配慮し、改善に努めること。
 ・部屋の改造(物置棚の設置、バリアフリー化等)については柔軟に認め、必要に応じた財政補助をおこなうこと。
 ・仮設団地での新しいコミュニティ形成促進を支援すること。集会所設置、自治会の結成、住民懇談会等。
 ・仮に遠隔地の仮設住宅に入居せざるを得なかった場合でも、もしもより条件の良い場所に仮設住宅が後に建設されたら、そこに転居できることを認めるべきである。
 ・子どもの安全な遊び場、来客用駐車スペース、街灯、家庭菜園ができるスペース確保など生活環境改善に配慮すること。
 
 3、被災者の生活支援
 ・仮設入居者の多くは、高価な家財道具を含め、大半の持ち物を失う被害に見舞われている。せめて生活必需品である家財道具については設置を支援するべきである。冷蔵庫、洗濯機、テレビ、扇風機、ベッド(高齢者、障がい者等)、掃除機、炊飯器など。
 ・被災者の中には親せきや子どもなど、知人を頼って避難している方の中にも、「仮設住宅が建設されたらそちらに移りたい」と思っている方は少なくないと思われる。すべての仮設入居資格者に対し、情報提供、入居案内がもれなく行き届くようにすべきである。
 ・孤独死などを生み出さぬよう、安否確認や定期的な健康相談が行き届く体制を確立すること。
 ・他自治体の協力により、被災者が公営住宅に無償で入居できているが、被災した自宅の片づけに通う際の交通費負担が深刻となっている。そうした被災者に高速道路の通行証を発行するなどして負担軽減をはかること。
 以上 

 
球磨川豪雨検証を通じて「ダムなし流域治水」を 2020年9月3日
印刷用PDFをダウンロードするには、ここをクリック(420KB)

国土交通大臣 赤羽一嘉様 
    
 2020年9月3日
 日本共産党熊本県委員会
  委員長   松岡 勝
  日本共産党南部地区委員会
  委員長   野中重男 

球磨川豪雨検証を通じて「ダムなし流域治水」を
 
 「2020年球磨川豪雨検証委員会」が設置され、8月25日、第1回検証委員会が開かれました。
 日本共産党として、「球磨川豪雨の検証」について、以下の問題提起と要請を行います。
 
 1、10年余、「ダム以外治水」を進めなかった国交省の責任
 河川法第9条は、「一級河川の管理は、国土交通大臣が行なう」。第16条の2 は、「河川管理者は、河川整備基本方針に沿つて計画的に河川の整備を実施すべき区間について、当該河川の整備に関する計画(以下「河川整備計画」という。)を定めておかなければならない」「河川整備計画は、河川整備基本方針に即し、(略)降雨量、地形、地質その他の事情によりしばしば洪水による災害が発生している区域につき、災害の発生を防止し、又は災害を軽減するために必要な措置を講ずるように特に配慮しなければならない」と国交省の管理義務と「災害防止・軽減」責任を明確に定めています。
 2008年11月、蒲島郁夫熊本県知事が「ダム以外の治水を極限まで追求する」との表明後設けられ、国交省九地整が主導した「ダムなし治水」協議は、「ダムによらない治水を検討する場」12回、同幹事会5回、球磨川治水協議会9回、九地整局長・知事・市長村長会議4回、計32回開かれましたが、河川整備計画はつくらず、河床の掘削、宅地・堤防の再嵩上げ、遊水地などのダムなし治水の具体化・実行はなされませんでした。
 ダム計画を前提とした治水計画は「ダムによる調節」量を計算に入れた河川整備になります。現在の球磨川の堤防高、川幅、嵩上げなどは、川辺川ダム建設を前提にして河川整備が計画されており、その分被害の増大をもたらしました。川辺川ダム建設に固執する国交省によって、ダムなし治水が意図的に棚あげされた球磨川を未曾有の洪水が襲い甚大な被害が生じました。
 10年余にわたって「ダムなし治水」の具体化をなさなかった国交省の責任が厳しく問われており、国交省の自己点検と総括、謝罪と説明が求められています。
 
 2,「球磨川豪雨検証委員会」の構成の見直し
 住民の意見聴取、住民参加による検証を
 国交省・社会資本整備審議会答申(2020年7月)「気候変動を踏まえた水災害対策のあり方について~あらゆる関係者が流域全体で行う持続可能な「流域治水」への転換」は、「気候変動による影響や社会の変化などを踏まえ、住民一人ひとりに至るまで社会のあらゆる関係者が、意識・行動・仕組みに防災・減災を考慮することが当たり前となる、防災・減災が主流となる社会の形成を目指し、流域全員が協働して流域全体で行う持続可能な『流域治水』へ転換するべきである」と述べています。国・県・市町村長だけの閉ざされた「検証」協議ではなく、「流域全員が協働して流域全体で行う持続可能な『流域治水』」に向かう「検証委員会」にすべきです。そのために以下、提案します。
 ①被災住民、流域住民の声、要求を正確に反映させるために、町内会・校区ごとの「住民集会」「懇談会」を開くこと。
 ②「ダムありき」の国交省ペースの「検証」にならないよう「検証委員会」メンバーに、「住民討論集会」などに関わった「ダム以外治水」の専門家・研究者、市民団体代表などを入れること。
 ③国交省、熊本県、流域市町村長との「住民討論集会」などに関わった「ダム以外治水」の専門家・研究者、市民団体代表などとの協議の場を設定すること。
 ④公聴会、住民討論集会などを開催すること。
 
 3、豪雨検証の対象について
 ①人吉地点のピーク流量について
 第1回検証委員会での「人吉地点のピーク流量は概ね8000㎥/s」で、「川辺川ダムがあった場合、人吉地点のピーク流量は概ね4700㎥/s」との数字を「今後精度をあげ、検証結果について次回提示予定」と検証の仔細を示さず、低い「精度」のまま発表したことは、「ダムがあったら人吉の水害は防げた」との世論を醸成し、「ダムありき」の自らの意図を推しとうそうとするもので、厳しく抗議します。
 8000㎥/s,4700㎥/sの結論を導き出す根拠データを明らかにすることを求めます。
 7月4日豪雨は、球磨川本川・支流において、上流から下流まで水位が一気に上がり、人吉地区、中流域に大きな被害を及ぼしました。「川辺川ダムがあったとしても治水効果はあまりなく、きわめて限定的だった」との河川工学の専門家は指摘しています。科学的総合的な検証が必要です。
 
 ②ダムの危険性についての検証
 市房ダムについて
 熊本県営市房ダムは、7月4日午前11時には、緊急放流基準貯水280・6mに対してわずか10センチ差の80・6メートルとなり緊急放流「危機一髪」という状況でした。かろうじて緊急放流は回避されましたが、「もし緊急放流が実施されていたら」と住民の不安が広がりました。線状降水帯、極端豪雨が頻発する状況でダムの緊急放流が常態化しています。2018年の西日本豪雨での肱川の野村ダムの緊急放流では下流で9名が死亡しました。緊急放流された場合、下流にどのような影響がもたらされたのか、詳細な検証と説明を求めます。
 川辺川ダムについて
 もし川辺川ダムが存在し、川辺川ダムの集水域でも今回のような線状降水帯による未曽有の豪雨あれば、川辺川ダムは満水となり、緊急放流を行わざるを得ないことになっていたのではないでしょうか。川辺川ダムが緊急放流した場合、下流にどのような影響をもたらしていたのか検証と説明を求めます。
 緊急放流はないということであれば、その根拠を具体的に明らかにすること。
 市房ダム、川辺川ダムが緊急放流したら
 ①②が同時になされた場合はどうなるのか。検証を。
 瀬戸石ダムについて
 川辺川ダム住民討論集会で、国土交通省側(ダム建設推進側)の論者として参加した小松利文氏(現・九州大学大学名誉教授)は、2012年の九州北部豪雨などの検証を行った国交省も深く関与した研究会、シンポジウムで、「近年の気候変動下の水・土砂災害にどう備えたらよいか」として、「河川横断構造物の危険性」として、「近年、地球温暖化によると思われる災害外力の増大下では,現存する取水ダム、橋梁、堰、頭首工などの河川横断構造物が洪水に対して更に水位を上昇させる等、非常に危険な状態を招くことが近年の洪水災害から明らかになってきた。従ってこれらの河川横断構造物のチェック、改善、撤去などが急務となっている.また土砂だけでなく流木の影響も合わせて考慮した河川計画・管理が不可欠となってきている。治水の根幹は『洪水の水位を下げる。1cmでも10cmでも下げる』ことであり、このことを忘れてはならない」「電力会社管理の河川構造物や橋の点検・見直しが急務である」と指摘しています。
 今回の豪雨で、小松氏の指摘に照らして、瀬戸石ダムによって水位が上昇下のはいかほどか。
 ダム上流に対するバックウオーターによる被害の検証を求めます。
 ダムの放流による下流の被害の検証を求めます。
 以上のためにも、7月4日の水量の貯留・放水の状況についてのデータをJパワーが全面的に開示するよう措置することを求めます。
 
 ➂地域ごとの氾濫の分析・検証
 人吉市、球磨村、八代市坂本町の氾濫と雨量、水位、流量、地形の相関関係をデータに基づいて分析し、地域ごとの氾濫の特性を明らかにすることを求めます。
 
 ④支流と本川の合流点での氾濫、支流の氾濫の検証
 支流と本川の合流点での氾濫、支流の氾濫の検証を行い、対応策の検討・具体化を求めます。
 
 ⑤球磨村渡地区について
 小川出口に設置した導流堤がバックウオーター被害を拡大したのではないかーとの指摘がなされています。この点では、河川工学の専門家からも指摘がなされていました。小川とJR肥薩線と交差する部分で堤防が低くなっている地点の対策も前々から求められてきたが対策が実現していませんでした。「想定外の洪水だった」と安易に済ませるのではなく、甚大な被害に遭った渡地区についての科学的検証と責任の所在を明らかにすることを求めます。
 
 ⑥気候変動と線状降水帯予測について
 異常気象のもとで多発する線状降水帯の正確な予測がでず、今回の豪雨災害への対応が遅れ、多数の死者を出してしまいました。国の予算措置による技術開発、気象庁の体制強化など、根本的な検証と対策が必要です。
 
 4,五木村について
 五木村は、1966年以来55年、川辺川ダム建設計画に翻弄され、村人口も4分の1に減り、疲弊を余儀なくされてきました。県・国のダム中止表明後、村づくり、村おこしを国・県・村で推進し、観光客も増え(10年間12万人から17万人に)、水没予定地に宿泊施設建設などが進められています。
 再び川辺川ダム建設推進ということになれば五木村はどうなるのか、再び、苦渋の決断を五木村に求めるのか。真剣な検証が不可欠です。

 
感染震源地の徹底検査を―――新型コロナ対策に関する緊急申し入れ 2020年7月29日
印刷用PDFをダウンロードするには、ここをクリック(240KB)

熊本県知事 蒲島郁夫様
    
 2020年7月29日
 日本共産党熊本県委員会
  委員長   松岡 勝
  県議会議員 山本伸裕 
 新型コロナウイルスの感染拡大は、極めて憂慮すべき事態となっています。
 特に熊本県の場合、県内感染者数が、7月後半の二週間足らずの期間だけで80名を超えるなど、急激に感染者数が拡大しています。とりわけ熊本県が直面している特別な困難は、甚大な被害を生み出した熊本豪雨災害の復旧と被災者支援の活動に総力を上げて取り組んでいる時に、かねてから懸念されていたコロナ感染の第二波が重なって襲来しているという問題であります。
 政府は、全国的な感染拡大傾向が発生している重大事態であるにもかかわらず、実効ある方策を打ち出さず、反対に感染拡大を加速させる危険を持つ「GoToトラベル」の実施を強行し、結果的に全国に感染を拡大させてしまっています。この間の政府の対応はきわめて重大であり、熊本県としても国に対し、感染拡大抑止の緊急対策に全力で取り組むよう求める事は当然であります。同時に熊本県独自にも、豪雨災害と新型コロナという複合災害から県民を守る取り組みを、いま進めていかなければなりません。
 感染拡大を抑止するには、PCR等検査を文字通り大規模に実施し、陽性者を隔離・保護する取り組みを行なう以外にありません。その際重要なことは、感染震源地(エピセンター)を明確にし、そこに検査能力を集中的に投入して大規模で網羅的な検査を行ない、感染拡大を抑止することであると考えます。もはや事態は一刻の猶予もなりません。あらゆる検査能力を総動員し、すみやかに行動されるよう強く求めるものです。
 この立場から、以下、熊本県に対し、緊急に申し入れます。
 
 1、感染震源地域(エピセンター)を明確にし、その地域の住民、事業所の在勤者の全体に対し、PCR等検査を実施すること。
 現在の全国的な感染拡大は、いくつかの感染震源地(エピセンター)…感染者・とくに無症状の感染者が集まり、感染が持続的に集積する地域が形成され、そこから感染が広がることによって起こっていると考えられる。
 熊本県においては、クラスターが発生した長洲町の造船大手事業所と山鹿市の介護老人保健施設、さらに感染者が発生している熊本市内の病院、飲食店、八代市の小学校、菊池市役所など、感染者発生地域に検査能力を集中的に投入し、大規模で網羅的な検査を行ない、感染拡大を抑止すべきである。
 今回の、大規模で網羅的な検査を行なう目的は、診断目的でなく防疫目的であること、すなわち無症状者を含めて「感染力」のある人を見つけ出して隔離・保護し、感染拡大を抑止し、安全・安心の社会基盤を作ることにあることを明確にして取り組むことが重要であると考える。
 
 2、感染状態の情報開示は、あらゆる感染対策の土台となるものである。少なくとも保健所管内ごとの検査数、陽性率を公表すること。
 
 3、医療機関、介護施設、福祉施設、保育園・幼稚園、学校など、集団感染によるリスクが高い施設に勤務する職員、出入り業者への定期的なPCR等検査を行なうこと。必要に応じて、施設利用者全体を対象にした検査を行なうこと。
 
 4、検査によって明らかになった陽性者を、隔離・保護・治療する体制を、緊急に作り上げること。医療機関への支援が絶対的に必要である。
 県はこの間、無症状・軽症の陽性者を隔離・保護するための宿泊療養施設の確保を進めてきているが、体調の変化を常時監視できる体制の確保が必要である。
 中等症・重症のコロナ患者を受け入れる病床を確保すること。新型コロナの影響による医療機関の減収補償は急務である。減収によって、医療従事者の待遇が悪化するなどは絶対にあってはならない。医療従事者の処遇改善、危険手当の支給、心身のケアのために、思い切った財政支援を行なうこと。
 
 5、保健所(帰国者・接触者相談センター)、地方衛生研究所の人員体制を緊急に強化すること。公立病院の再編・統廃合計画を中止するよう国に求めること。
 
 6、感染が広がっている地域と業種を定めた、徹底した補償とセットにした休業要請を行なうこと。
 以上

 
7月4日熊本豪雨災害に関する申し入れ 2020年7月15日
印刷用PDFをダウンロードするには、ここをクリック(348KB)

熊本県知事 蒲島郁夫様 
    
 2020年7月15日
 日本共産党熊本県委員会
  委員長   松岡 勝
  県議会議員 山本伸裕 
 7月4日未明から県内をはじめ九州各地、そして本州各地をも襲った豪雨災害は、これまでに経験したことのない降雨量を各地で更新しています。人吉市では過去最大の浸水範囲と浸水高となり、人吉・球磨・八代・芦北など県南地域をはじめ、県北、天草、県央の県内各地に甚大な被害をもたらしています。繰り返し襲い掛かる豪雨により、いまだ被害の全貌はつかめない状況ですが、まさに未曽有の「過去最大級の被害」(松村政秀・熊本大学教授)が発生している状況であると言わなければなりません。今回の災害により亡くなられた方々に心からのお悔やみを、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。そして救援・復旧活動に尽力されている皆様方の献身的な活動に敬意を表するものです。
 日本共産党は4日以降、連続的に人吉市、球磨村、芦北町、八代市、荒尾市、小国町、天草市など被災地に入り、被害の実態を調査するとともに被災者からお話を伺ってきました。「コロナで深刻な打撃を受け、借金もしました。何とかこれから立ち上がっていこうというときにこの水害。再び立ち上がれるかどうか、今は展望が持てない」、「心が折れそうだ」といった、たくさんの声をお聞きしました。新型コロナ感染症によるダメージを受けている最中での、未曾有の豪雨災害発生というダブルパンチにより、被災地と被災者が置かれている状況は極めて深刻なものとなっています。それだけに、地域と被災者が再び立ち上がり、前に向かって進んでいこうという決意と展望を抱かせることができるよう、国や県からの、従来の規模とスピードを上回る力強い支援策が示され、実行されていくことが求められています。
 熊本県におかれましては、発災直後から被災者の救助活動や避難者の生活支援など、総力をあげて取り組まれているところですが、もとより災害時における、県が果たすべき役割は相当大きなものがあります。国へのいっそうの支援拡充を堂々と要請すること、市町村が躊躇なく復旧と被災者支援活動に取り組むことができるよう、県独自の積極的できめ細やかな支援策を力強く、すばやく打ち出していかれることを求めます。私達日本共産党としても、党派を超え救援・支援活動に全力で貢献してまいる決意です。
 被災者が求める支援が迅速に現場に届くよう、現段階で必要とされている改善・強化項目について、以下の通り申し入れます。
 
 1、被災者救援の拠点として、避難所の機能・環境改善を緊急にはかること
 コロナ禍により分散型避難が強調されているもとで、これまで以上に避難所の能動的・積極的役割発揮が求められています。生活に必要なすべてのものを失った、という方も多数おられます。また山間に集落が点在しており、在宅被災者への支援の手を行き渡らせることも特別の手立てが必要です。
 孤立集落の被災者はその地域から救出され、別の地域の避難所や親類宅へ移動されていますが、被災した自宅の復旧活動のために、日中は自宅に戻り作業しておられます。こうした地域の避難所を一方的に閉鎖してしまうのではなく、必要な役割を発揮させることが必要です。
 また、内閣府は7月に入って「災害救助法の概要」を改定し、新しい被災認定基準など示しました。この中で避難所の環境改善についても具体的に明記されています。「概要」にてらして直ちに徹底をはかるべきです。
 
 ①従来の指定避難所以外にも、公共施設や民間施設への協力を求めるなどして、被災集落ごとなどに避難所(あるいは災害救援センター)を設置し、人員を配置し、避難可能な環境を作り食料など提供するともに、手袋、タオル、スイーパー、高圧洗浄機、一輪車、ゴミ袋など復旧作業に必要な資材を提供(貸し出し)すること。
 ②避難所の体制を充実させ、身を寄せている避難者の要望を丁寧に聞き取り、対応をはかるとともに、在宅被災者の実態や要望を掌握し必要な資材を届けるために、避難所ごとの責任エリアについて各世帯を訪問すること。
 ③自宅は到底生活できる環境でないにもかかわらず、「コロナが気になる」「知らない地域の避難所には行きたくない」など、避難所には行かず、在宅、親戚宅に避難している方々が多い。車中泊の避難者もおられるが、エコノミークラス症候群など健康被害も懸念される。誰がどこに避難しているかをすべて掌握し、避難所に物資を取りに来る方だけでなく、取りに来ることが困難な方に対しても、必要な情報や物資を届けていくこととともに、保健指導員の派遣など被災者の命と健康を守る手立てを強化すること。
 ④避難所の食事や生活環境の改善について。「概要」で示されているとおり、すべての避難所で「温かく栄養バランスの取れた食事」が提供されること。「避難所環境整備のための冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、掃除機等のレンタル(レンタルが困難な場合は購入しても差し支えない)」、「暑さ対策として、エアコン、扇風機のレンタル(同)」、「仮設風呂ができるまでの間、入浴施設への送迎と入浴料の支払い」など徹底すべきである。政府が激甚災害に指定すれば、市町村の財政負担は実質ゼロになることも周知徹底し、思い切った避難所環境の改善をはかること。
 ⑤災害救助法に基づく国の制度をフル活用すれば、実現できる事はたくさんあることを現場に知らせ、遠慮なく積極的に導入を図るべきである。
 ・炊き出しのための食材、調味料、調理器具の購入、炊事場の確保などは国の負担でできる。
 ・栄養士や調理師など、炊き出しスタッフの雇い上げにも国の財政支援がある。
 ・毛布、タオル、下着、歯ブラシ、消毒液、市販薬、携帯電話の充電器なども、国の負担で購入できる。
 ・病院には、保険証がなくても受診できる。
 ・医療費、介護利用料(自己負担分)は、「被災した」旨を医療機関の窓口などで申し出れば、市町村、健保組合などの判断で減免できる。
 ・介護職員の配置、ポータブルトイレの借り上げ費用、紙おむつなどの購入費は、避難所の災害救助費の基準額(1人1日330円)に加算して国が負担する。
 ⑥体育館等、公共施設における避難生活は、被災から約一週間が限界といわれている。「概要」には新たに、「避難の長期化が見込まれる場合や要配慮者を対象に旅館やホテルを借り上げて、避難所とすることも可能」との内容が盛り込まれた。避難者や家族の要望により沿い尊重しつつ、住まいを失った避難者への支援を本格化させる必要がある。
 ⑦在宅避難者に対し、避難所の避難者と同等の支援をおこなうこと(食事や物資の提供、要望聞き取りと情報提供、給水車、仮設トイレ、入浴支援など)。
 ⑧女性、子ども、高齢者、障がい者への配慮と必要な環境改善をはかること。避難所や避難生活での「ジェンダーの視点」にたった取り組みは極めて重要な課題である。これまでの災害において、避難所での女性たちの生活は大きな困難が山積していた。政府は今年5月、「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災、復興ガイドライン」を発表し、7つの基本方針を明記し、チェックシートで課題を点検できるようにしている。直ちに現状を把握し、必要な改善をはかるべきである。
 
 2、災害廃棄物、土砂の片付けについて
 大量の流木やゴミ、土砂など、大規模な浸水被害によってもたらされた膨大な廃棄物の搬出・片付けが、依然として大きな問題となっています。すでに発災から10日が経過している状況ですが、相次ぐ悪天候、ボランティア受け入れの制約などにより作業の進捗には困難が続き、悪臭も発生しています。個々人の責任と負担で搬出するには無理があり、直ちに公的な支援を強化し改善をはかる必要があります。
 環境省は7月4日に、「令和2年7月3日からの大雨により発生した災害廃棄物の処理等にかかる補助制度の円滑な活用について(周知)」で、国土交通省「堆積土砂排除事業」と環境省「災害等廃棄物処理事業」の連携で、一括撤去ができるとしています。県から市町村、住民への周知徹底をはかるべきです。
 
 ①「軒先回収」を徹底すること。これが実現すれば渋滞緩和、住民の負担軽減に大きくつながる。
 ②仮置き場の増設と受け入れ時間の拡大。
 ③掃除・片付け道具が不足している。ホームセンターでも長靴や軍手、消毒液、マスク、ゴミ袋、シャベル、スイーパー等が不足している。政府にプッシュ型支援の強化を促し、避難所や公的施設に行けば必要な器具や道具が提供(貸し出し)される環境を作ること。
 ④片付け作業をしている人達が使用できる仮設トイレの設置が切実に求められている。ある地域の町内会長は「人権に関わる問題」とまで強調。直ちに適切な箇所箇所に設置されること。
 ⑤被災家屋の写真撮影の問題。行政などから「被災後直ちに写真を取るように」と言われ、あわてて自宅に写真を撮りに危険な現場に足を運んだが、そこで釘が足に刺さって転倒し、ついた手にも釘が刺さり、破傷風になった女性の声が寄せられた。一帯が浸水した地域については危険を冒してまでの写真撮影を求めず、面的に判断して被災認定するなどの弾力的対応をとる必要がある。
 ⑥断水地域での片付け作業のために、散水車を必要な場所に行き渡らせること。
 ⑦別の場所に避難しているために被災家屋の住人が不在になり、連絡困難になっている家屋の復旧が放置され片付け作業が遅れてしまうと、破損が進行し住宅再建そのものが困難になってしまう。復旧を希望している住家が一軒たりとも放置されないよう目配りし、個別対策にも力を入れるべきである。
 ⑧住人やボランティアによる作業が危険な廃棄物の撤去については、消防や自衛隊などに協力を要請すること。
 ⑨受け入れるボランティアの要員を大幅に拡充する必要がある。他県からのボランティア受け入れをストップしているが、出発地でPCR検査を受け、陰性が証明された方については受け入れるなどの改善も検討されるべきではないか。
 ⑩災害救助法では、被災地における救助事務をおこなうため、臨時の賃金職員等を雇いあげることを認めている。圧倒的に不足している復旧作業の促進のために臨時職員を採用することは、緊急の雇用対策としても有効であると考える。
 ⑪甚大な被害を受けた人吉市街地では、国道445号線沿いに出されたごみの回収に自衛隊員も協力した。被災各戸の土砂・災害廃棄物の搬出に自衛隊員の協力が得られれば、片付け作業は劇的に負担軽減される。自衛隊への協力要請をおこなうべきである。
 
 3、農業再建への支援を
 今回の豪雨災害による農、林、水産業への被害も深刻です。田畑が広範囲で浸水した地域もあります。ビニールハウスが水に浸かって収穫直前の作物が全滅した農家もあります。地域経済を支えてきた農林漁業の再建なくして被災地の再生はできません。営農再開へ向けて希望が持てる支援策が急がれます。
 
 4、被災地の復旧促進のために
 ①国道219号線をはじめ、作業のために復旧が欠かせない道路の早期開通を図る必要がある。八代市坂本町など八代~人吉間の地域は、現状高速道路からの出入りを余儀なくされているが、坂本PAから臨時に車両が出入りできるようになったことは良かった。加えて、作業用車両が出入りしているゲートについても、安全に出入りできるよう、新たに左折レーンの確保や速度制限など安全策も講じた上で、一般車両が出入りできるようにすべきである。
 ②事業者はコロナ禍で深刻な打撃を受けていた中での今回の複合災害。被災地では「もうこれ以上の借金はできない」の声が蔓延している。地域でこれまで頑張ってきた事業所が再建できなければ街の復興はない。事業所向け持続化補助金を適用し、被災事業所の再建を後押しすること、また給付金額は現行制度では一律であるが、億単位の損失が生じている事業所もある。事業の規模、被災の規模に見合った、段階的な支給額とするよう国に検討を求めるべきである。
 ③県独自にも補助制度を積極的に創設すること。事業所再建までのつなぎ資金として、使途を限定しない持続化補助金を実現すること。無利子無担保・返済猶予の融資制度を創設すること。
 ④グループ補助制度を今回の被災でも創設すること。実態に応じて弾力的に適用を拡大すること。
 ⑤鉄道の復旧は被災地復興のために絶対に必要な要件となる。国、JRに強く働きかけるなどして、肥薩線、くま川鉄道、肥薩おれんじ鉄道の早期の復旧をめざすこと。復旧までの代替バスを運行させること。
 ⑥仮設住宅の建設の準備が始まっている。スピード感を持った対応とともに、住民(被災者や家族)の要望が最大限尊重されること。仮設に入居すれば一定期間の生活をそこで被災者は営んでいくことになる。多くの孤独死を生んでしまった熊本地震の教訓を生かさなければならない。仮設住宅建設地の安全性、立地条件、利便性、広さの確保や物置の改善、コミュニティ形成に配慮した建設が求められる。
 
 5、被災者への生活支援
 ①ワンストップ相談窓口の設置と周知徹底。
 ②寸断された道路等の復旧見通しなどについて、住民への情報提供を。
 ③今後も断続的に大雨の懸念が報道されている。住民への情報提供と的確な避難誘導の体制をとっておくこと。
 ④準半壊と認定された世帯についても、希望される場合は仮設住宅への入居を認めること。
 ⑤水害による家屋被害は、畳や家財道具が根こそぎ壊されるため、もしそこで自宅を再建するとしても、当面の生活拠点の確保が必要となる。災害救助法では「応急修理制度」と「仮設入居」の併用ができないこととなっているが、改善すべきである。
 ⑥事業所が再建され、軌道に乗るまでの期間、相当数の雇い止めや解雇が生じることが懸念される。働く方々の雇用、暮らしを守る対策を講じることが必要である。雇用調整助成金や失業保険など、コロナ特例に準じる、もしくはそれ以上の措置をはかること。
 
 6、子どもたちの就学支援
 学校施設が被災したり、学用品や制服が流出したり、児童生徒が村外避難を余儀なくされるなど、子どもらの就学・学習の機会が脅かされています。コロナ対策による臨時休校が開けた矢先に再び休校となり、保護者や子どもらの不安が増大しています。失われてしまった学用品の支給や心のケア、学びの場の確保と通学支援など、支援を強めることが求められます。
 ①被災した学校の早期復旧、学校再開へ力を尽くすこと。直ちに復旧が困難な場合は代替施設により学習できる場を確保すること。
 ②子どもらの通学路の安全確保、スクールバスなどの通学支援。
 ③住所変更などの手立てをとらなくても、避難先の学校に通うことができるようにすること。
 ④子どもたちの心のケアのためにSC、SSWを増員し、各学校に配置できるようにすること。
 ⑤コロナ感染症対策として1クラス20人程度以内の少人数学級編成とし、必要な教員数を増員すること。
 ⑥学校図書が被害を受けている場合、子どもらが触れることのできる書物を確保すること。
 ⑦むやみに学習の遅れを取り戻そうと過密な教育スケジュールを押し付ければ、子ども等にさらなるストレスを与え、習熟度の格差が拡大しかねない。丁寧な対応が求められる。
 ⑧安全に運動や遊びができる場所の確保。
 
 7、決壊、氾濫、土砂崩落現場の早期復旧を
 依然として気象状況は予断を許しません。決壊箇所や破壊された堤防、土砂崩れ発生箇所などが大雨によってさらに破壊され、住民に危険を及ぼすような事態にならぬよう、国にも支援を求めて、すべての危険箇所について至急の対策をとること。また、作業中の住民、ボランティアの皆さんが緊急避難しなければならないような事態が生じた際には、混乱を生じさせず安全が確保されるような誘導支援についてよく検討されておくべきである。
 
 以 上

新型コロナ感拡大に係わる労働者の雇用と生活擁護対策について
 
 4月の労働力調査(総務省発表)によると、非正規労働者が、前年同月比で97万人減、そのうち女性が71万人をしめています。女性の占める比率が高い「宿泊業・飲食サービス業」が、前年同月比で46万人減となっているのが大きな要因とみられます。約100万人が派遣切りされたリーマンショックを超える重大の雇用危機が予測さえ得ます。
 4月の有効求人倍率は、前月比1・32で、4ケ月連続減少、4月の新規求人は、前年比31・9%減少しています。会社から仕事を休まされた休業者は、前年同月比で、リーマンショック時の約4倍も多い420万人になっています。
 熊本県内でも事態は深刻であり、悲痛な声、要望が数多く寄せられています。
 「新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響」(5月29日現在集計・厚労省)によると、熊本県内の雇用調整の可能性がある事業所数117、解雇見込み労働者数132人となっています。
 「子どもの休校にともない休職を申請したが特別有給休暇は認めてもらえなかった」「妊婦だが、休職を認めてもらえない」「公務の職場で正職は休んでいるが、非常勤は休めない」「従業員の給料を遅滞している。長引くのであれば営業をやめざるを得ない」「大学生の子どもの学費が払えない」「アルバイトができなくて生活できない。大学を辞めることも考えざるを得ない」(「いのち・平和ネット熊本」が実施した「コロナ被害相談ホットライン」に寄せられた相談)等々です。
 こうした状況は、今後さらに悪化すると考えられます。
 日本共産党熊本県委員会は、県内野党と共同し、労組・市民団体とも力を合わせ、「自粛要請と補償は一体で」「PCR検査体制の抜本的拡充」「医療体制の強化と支援」「学生への支援」などと合わせて、コロナ禍のもとでの労働者の雇用と生活擁護のための国の施策を求めてきました。
 これらの取り組みをふまえて、ここにあらためて、「新型コロナ感染禍のもとでの労働者の雇用と生活擁護について」、労働行政が正面から取り組みを強化されることを願い、以下、要請するものです。
 
 1、新型コロナウイルス感染拡大を「理由」にした解雇がなされないよう指導を強化・徹底すること。
 突然雇い止めの通知がなされ、社員寮の退去を迫られる事例(宮城県・ホンダ系企業)も起きており、県内企業の実態把握と指導徹底を。
 派遣・有期契約労働者が一方的に契約解除されないよう指導を強化すること。
 労働契約法第16条「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」としており、至当な理由がない解雇は無効です。新型コロナ禍で一時的に経営が困難になったからとしての整理解雇は、整理解雇4要件(①人員整理の必要性②.解雇回避努力義務の履行③被解雇者選定の合理性④解雇手続の妥当性)に照らして適法的ではありません。
 有期雇用契約の解雇・雇い止めについては、労働契約法第17条「使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない」こと。さらには、裁判例で、契約形式ではなく実態に基づいて有期労働者の保護をはかるとした雇止め法理(①過去に反復して更新されたことがある有期労働契約で、その雇止めが無期労働者を解雇することと社会通念上同視できると認められるもの②労働者において有期労働契約の期間満了時に当該有期労働契約が更新されるもの)の趣旨を徹底すること。
 「新型コロナ関連で休業したが休業手当が支給されない」という事態が広がっています。「新型インフルエンザ等対策特別措置法による対応が取られる中で、協力依頼や要請などを受けて営業を自粛し、労働者を休業させる場合であっても、一律に労働基準法に基づく休業手当の支払義務がなくなるものではありません」(「新型コロナウイルスの関するQ&A」)の基づく指導の徹底を。
 大企業の内部留保の活用で雇用確保を。
 労働界からも、「大企業では、将来の危機を理由に、内部留保を積み上げてきた。今回の新型コロナ拡大という危機にその内部留保を活用すべきだ」(連合・神津里季生会長)との声が上がっています。過去に経験したことのない新型ロナ感染という重大事態に際して、今こそ大企業は、460兆円とされる内部留保を労働者の雇用確保と社会的貢献に生かすべきです。
 雇用保険の失業手当の「離職日からさかのぼった2年間に被保険者期間が12ケ月以上」との要件を特例として緩和すること。
 派遣労働を臨時的・一時的業務に厳格に制限し、製造業派遣や日雇い派遣を全面的に禁止し、「使い捨て」労働をなくすために労働者派遣法の抜本的改正を求めます。
 コロナを名目に最低賃金引き上げの「凍結」を求める動きがあります(日本走行会議所「要望書」等)。最賃引き上げ「凍結」は、コロナ禍で苦しむ労働者にさらに苦を強いるものです。「骨太方針2019」は、「より早期に全国加重平均が1000円になることをめざす。合わせて、我が国の 賃金水準が他の先進国との比較で低い水準に留まる理由の分析をはじめ、最低賃金の在り方について引き続き検討する」と記しています。
 日弁連・会長声明は、「労働者の生活を守り、新型コロナウイルス感染症に向き合いながら経済を活性化させるためにも、最低賃金額の引上げを後退させてはならない。多くの非正規雇用労働者をはじめとする最低賃金付近の低賃金労働を強いられている労働者は、もともと日々生活するだけで精一杯で、緊急事態に対応するための十分な貯蓄をすることができていない。ここに根本的な問題がある。また、今般の緊急事態下において、小売店の店員、運送配達員、福祉・介護サービス従事者等の社会全体のライフラインを支える労働者の中には、最低賃金付近の低賃金で働く労働者が多数存在する。これらの労働者の労働に報い、その生活を支え、社会全体のライフラインを維持していくためにも最低賃金の引上げは必要である」「低賃金の地域間格差が依然として大きく、ますます拡大していることも見過ごすことのできない重大な問題である。2019年の最低賃金は、最も高い東京都で時給1013円であるのに対し、最も低い15県は時給790円であり、223円もの開きがあった。(略)当連合会は、2020年2月20日付けで「全国一律最低賃金制度の実施を求める意見書」を発表したところであるが、政府においても早急に、全国一律最低賃金制度の実現に向けた検討が開始されるべきである」と指摘しています。
 コロナ後の日本社会と労働環境を考えた場合、全国一律の最低賃金・15、000円の実現が求められています。
 
 2、国として、リーマンショック時を上回る「緊急雇用対策」を
 リーマンショック後の雇用対策として、雇用調整助成金のほかに、公共職業訓練やく4000億円、緊急人材育成支援事業(雇用保険を受給できない求職者に無料の職業訓練、訓練期間中の生活給付)約4000億円、求職者支援785億円、雇用創出基金(都道府県が基金を造成し、地域の実情に応じた雇用機会創出のため)1兆500億円などを実施しています(「リーマンショック後の雇用対策の効果の検証」2012年厚生労働省職業安定局・職業能力開発局)。
 リーマンショックを超える雇用危機が懸念される状況からして、「リーマンを超える」緊急雇用対策の具体化を求めます。
 
 3、雇用調整助成金、「持続化給付金」給付をスピーデイに
 雇用調整助成金は、「事後審査」を基本に相談・申請があれば迅速に支給するように措置すること。社会保険労務士に手続きを依頼した場合、その費用を助成すること。
 「持続化給付金」の対象を拡大するとともに、給付額を家賃やリース代などの固定費を補償できる額へと引き上げ、一回きりでなく継続的な補償を行うこと。
 「地方創生交付金」を、観光や運輸をはじめ地方で重要な位置を占める産業・業種への支援や地方独自の外出自粛・休業補償などをすすめる重要な財源として抜本的に拡充し、関係する労働者の雇用の維持、生活擁護をはかること。
 
 4、ジェンダ―の視点で、女性の雇用・権利・くらし擁護を
 新型コロナ感染のよる医療・社会・経済・教育の激変は、女性に重くのしかかっています。働く女性の多くが、低賃金・不安定な非正規雇用の状況なります。コロナウイルス対策の最前線である医療従事者の70%が女性で、保健師、看護師、准看護師は、女性が9割以上、介護職員も7割が女性です。
 コロナ対策のあらゆる面で、ジェンダーの視点で対応・具体化をはかることを求めます。
 「一律1人10万円」の給付金が,DV被害者にも迅速に給付されるよう特別の対策を講じること。
 女性が多いパート、派遣など非正規労働者の不当な解雇、雇い止めをやめさせるための監視・指導を強化すること。
 生活福祉資金貸付制度において、収入は減っていなくとも、子どもの休校による出費増で困窮している世帯、シングルマザーに対して、「新型コロナによる収入の減少」要件にこだわらず柔軟に対応するよう、関係省庁に働きかけること。
 「新型コロナ感染症に関する母性健康管理措置」の周知・徹底をはかること。
 
 5、新型コロナ感染禍のよる内定取り消しについて
 新型コロナ感染による業績悪化により、内定取り消しが生じています。
 採用内定によって雇用契約は成立しており、労働契約法第16条「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」に沿って、内定取り消しを防止のために取り組みを強めること。
 休職扱いにし休業手当を受給できるなど、国の支援策を具体化すること。
 
 6、ワンストップ型で相談に乗れる充実した相談窓口を熊本労働局関係、熊本県、熊本市に開設し、テレビなどを活用して周知すること。
 
 以上

 
「緊急事態宣言」解除にあたっての日本共産党の提言 2020年5月29日
印刷用PDFをダウンロードするには、ここをクリック(443KB)

熊本県知事  蒲島郁夫様
    
 2020年5月29日
 日本共産党熊本県委員会
  委員長   松岡 勝
  県議会議員 山本伸裕 

「緊急事態宣言」解除にあたっての日本共産党の提言
 県民の命とくらしを守るため、補償と支援を継続的に行うとともに、感染第二波・第三波も見据え、PCRなど検査体制と医療体制の抜本的強化を

 新型コロナウイルスの猛威から県民の暮らし・いのちを守るべく、連日ご尽力されている関係者の皆様に心からの敬意と感謝を申し上げます。
 蒲島郁夫県知事は5月14日、政府が39県の「緊急事態宣言」を解除するという状況をふまえ、5月21日から休業要請を全面解除することを表明しました。政府は5月25日、緊急事態宣言を全面解除しました。
 外出自粛や休業など県民や事業者による必死の努力で、新規の感染者は減少しました。
 ところが日本のPCR検査数は他国に比べて桁違いの少なさです。人口1000人あたりのPCR検査人数は、イタリア29.7人、ドイツ25.1人、アメリカ15.6人、韓国11..6人で日本は1.8人、0ECD36カ国平均22.9人です(4月30日現在OECD調べ)
 熊本県の場合、5月26日までのPCRの検査件数は3878件(うち陽性は48件)熊本県の人口は約174万8千人ですから、人口1000人あたりのPCR検査数は、2.21人です。
 発表されている感染者数自体が、感染の実態を十分反映しているとはいえません。むしろ、感染状況の全体像は未だ把握されておらず再び感染する危険をはらんでいるのではないでしょうか。
 医療の専門家は、ほとんどの人がウイルスへの免疫をもっていない現状では、今後「第二波、第三波」の可能性が高いと指摘しています。
 世論調査では、新型コロナウイルスへの感染が再び拡大することについて「大いに心配」(45%)「ある程度心配」(47%)と合計9割を超える人が不安を感じていることが明らかになっています(「朝日」5月25日付)
 新規感染者が減少している今の時期にこそ、今後の感染拡大(感染第二波、第三波)を見据えて、検査体制と医療体制の抜本的強化を急いで行う必要があります。
 「宣言」が解除されたからといって、補償と支援が終わるわけではありません。これからも、「新たな生活様式」を求める以上、自粛にともなう補償はセットであるべきです。コロナ感染は長期化が予想されています。県民の営業と生活を守る支援と補償を事態が収束するまで継続的に行うことが引き続き重要となっています。
 こうした観点から、県民の命と暮らしを守るため、感染第二波、第三波も見据え、いま熊本県が緊急におこなうべき対策を以下、提言するものです。
 
 (提言1)県民の切実な声と要望にもとづき、今後も、以下のような補償と支援を継続的に行うこと
 
 (1)県独自の「休業要請にもとづく事業者の支援」について
 ・県は接待を伴う飲食店などへの休業要請を5月⒛日まで延長している。休業要請と一体で補償する立場からすれば、協力金を加算し、7日以降に協力した事業者にも支給すること
 ・休業要請協力金と事業継続支援金を大幅に増額し、対象を拡大すること(最近開業して前年や前月と売上が比較できない事業者、売上減少30%未満の事業者など)
 ・県の事業継続支援金の対応が遅く、早急に給付されるようにすること
 (2)熊本市は独自に休業・時短事業者に家賃8割補助を決めている。県としても対象者を広くして家賃、リース料などの固定費支援を行うこと
 (3)事業者などへの支援策にともなう添付書類は簡素化し、スピード感を持って対応し、給付を急ぐように国に求めること
 (4)融資の活用にあたっては、税金滞納等があってもコロナで影響を受けているところには門前払いをしないこと
 (5)県の融資にあたって、セーフティーネット保証について性風俗とは無関係の風営法許可を受けているスナック等にも対応すること
 (6)中小業者、フリーランスの売上げが対前年比30%以上減少する場合は租税関係を免除、執行停止にすること
 (7)国の「小規模事業者持続化補助金コロナ特別対応型」の対象外となる事業者に対して県独自の支援行うこと
 (8)事業者の固定資産税の減免を行うこと
 (9)イベント中止、延期によるキャンセル料、会場費などの必要経費を補てんすること。文化分野への支援を強化すること。
 (10)国保税減免を市町村に急いでつくるように要請すること
 (11)コロナの影響で内定取り消しとなったり失職したりする方が急増しており、県として雇用支援を強めること
 (12)ひとり親の支援について
 第二次補正予算で具体化された「ひとり親世帯」に5万円の臨時特別給付金について、県として上乗せを行なうこと
 (13)子育て世代の支援について
 ・山鹿市は、今年度(来年3月末)生まれてくる子どもに一人10万円の給付金支給、今年6月から来年3月末まで学校給食費と保育園の副食費の無償化を実施。山鹿市のような子育て支援策を県独自で行うこと
 ・子ども医療費助成制度の対象年齢を引き上げること
 (14)農家の支援について
 ・肉用牛肥育経営安定交付金制度(牛マルキン)で補てんできない肥育農家分(一割分) を県単独事業で支援するとともに、マルキンで補てんできない収入の減少分について県単独で支援すること
 ・コロナの影響でスイカ農家、メロン農家などの収入が減少しているので、支援を具体化すること
 ・今年度「次世代人材育成事業」を終了する農家が、コロナの影響で安定した収入が確保できない場合、県独自に支援を行うこと
 (15)県復興基金を活用して災害復興住宅の家賃の減免、猶予を行なうこと
 被災者は、4月から新たに家賃の負担が増えた上にコロナ危機で収入減も予想されるので家賃の減免、猶予を検討すること
 (16)県営住宅家賃の新型コロナ減免を行うこと、新型コロナの影響で住まいをなくした人へ県営住宅を提供すること
 (17)学校休校にともなう学校給食食材の補てん(3、4月の発注した分は補てんされるが5月は補てんしていない)は、すべて補てんすること。要保護・準要保護世帯(就学援助世帯)に対して、休校期間中の給食費分を支援すること。
 (18)コロナ禍のもと安心して過ごせる学校を~学校再開にあたっての提言
 ・感染抑止の「物理的距離」を確保し、学習指導を進めていくために、少人数学級(20人以下)の実施を。当面、教職員の加配や空き校舎を活用するなどの緊急対策をとる。
 ・特別支援学校については設置基準を策定し、過大・過密の解消をすすめる。
 ・教育課程については、学習指導要領に拘束されるのでなく、子どもや学校の実態を踏まえて教職員の集団的議論にもとづく柔軟な教育課程づくりを
 ・熊本市がタブレットなどによる学習を推進している。県の責任で全児童・生徒がオンラインで授業できるようにタブレットなどの環境の整備をすすめること
 (19)外出自粛によって増加が懸念されるDVや子どもの虐待に対して、相談・支援体制の拡大と緊急避難先の確保につとめること
 (20)学生への支援について
 ①「生活維持者が住民税非課税である」という条件をつけず、すべての生活に困窮している学生に5万円の支援を行うこと
 ②県立大学の学費の減免を実施すること
 (21)クラスターを生まない避難体制を
  自治体の防災計画では、小中学校などの体育館が主要な避難所になっている。しかし、体育館は新たな感染クラスターになる危険性があるので、体育館でコロナ感染症が発生しないように、何に留意し、設備(敷物、マスク、消毒剤、食料と水の備蓄など)をどう整備するかなどの備えを急ぐこと。解体していない仮設住宅の活用なども検討する。
 
 (提言2)PCRなどの検査体制の抜本的強化についての提言
 「相談センターに何度電話してもつながらない」、「かかりつけ医から相談しても検査が受けられなかった」「38度を超える熱が出たので保健所に電話したが、濃厚接触者との関係がはっきりしないということでPCR検査が受けられなかった」という県民の声にこたえて、以下3つの点を検討することを求めます。
 
 1、本県のPCRなどの検査体制の抜本的強化は、「医療と社会経済を維持するための社会基盤の整備」(日本医師会のCOVID-19有識者会議の中間報告書)であり、感染第二波、第三波を見据えた「出口戦略」のカナメという位置づけを明確にすること
 日本共産党熊本県委員会は、「緊急事態宣言」の解除という事態に際して、PCRなど検査体制の抜本的強化で感染の全体像を把握することが、いわゆる「出口戦略」のカナメであり、感染拡大防止と経済活動再開を両立させる最大のカギであると考えます。
 日本医師会有識者会議の「中間報告書」の「提言」は、次のように述べています。
 「COVID-19患者の診断・治療と救命とともに、院内感染による一般医療に対する医療崩壊を防ぐことが喫緊の課題となっている。それと同時に、検査体制の拡充は、パンデミックにおいて継続して戦略的な対策が必要な医療と社会・経済・生活の基盤維持のためのバイタルサインとして必要不可欠なことは明らかである。すなわち、世界的にも、緊急事態の発動・解除や都市封鎖においては、PCR検査に基づく再生産数(℞、感染者一人が感染させる人数)がその指標として活用されている。また、緊急事態が繰り返し発動され、社会経済が疲弊することを防ぐためにも、医療や介護施設などのハイリスク群を保護しつつ、社会経済活動へ参加の指標として、PCR検査や抗体検査を参考とすることが望ましい。
 すなわち、COVID-19と共生していく上でPCR検査は医療と社会経済を維持するための社会基盤であると認識する必要がある」(「中間報告書」12㌻)
 PCR検査の拡充を求める声は経済人からもあがっています。通商産業省(現・経済産業省)出身で政府の新型コロナウイルス対策のための諮問委員会のメンバーでもある経済学者の小林慶一郎氏(東京財団政策研究所研究主幹)は、3月に自らが発起人となって発表した共同提言で「検査体制の整備」を提起。「検査の目的は感染拡大の防止から、実態把握(エビデンス)確保に転換させる」ことが重要と指摘しています。
 蒲島知事は、5月14日の臨時記者会見で第二波に備えた対策として、本県のPCR検査について述べています。本県のPCRなどの検査体制の抜本的強化は、「医療と社会経済を維持するための社会基盤」の整備であり、感染第二波を見据えた「出口戦略」のカナメという位置づけを明確にして、具体化すべきではないでしょうか。PCR検査体制強化のための予算措置は、「医療と社会経済を維持するための社会基盤の整備」強化のための予算化であることを明確にすべきではないでしょうか。
 
 2、集団感染(クラスター)を追求するため検査を絞るというこれまでの検査方式を転換し、第二次医療圏ごとに最低一箇所以上(10か所以上)の「PCR検査センター」の設置と設置のための予算措置を決断すること
 蒲島知事は、5月14日の記者会見で、感染第二波にむけ「検査件数を拡大するため、PCR検査センター設置に向けた検討を進めています」と言っていますが、「設置に向けた検討をすすめる」という発言に留まっています。
 しかし、安倍首相の検査方式の転換表明(4月17日記者会見)を受けて、全国の自治体ではPCR検査センターをつくる動きが始まっています。全国の自治体は、第二波、第三波に備え、1カ月間で東京都29カ所、神奈川県16カ所など全国でPCR検査センターが110カ所で設置されています(「日経」5月21日付)
 長野県では、4月24日に発表した県の補正予算でPCR検査センターを県内20カ所に設置する予算を10億3千万円計上しました。1か所平均5000万円です。
 
 熊本市は、6月中にPCR検査センター開設のため9760万円の予算計上
 熊本市は、5月の臨時議会で、6月中にPCR検査センター設置(運営は熊本市医師会に委託)のため、9760万円の予算を決めました(施設整備費助成5670万円、運営委託費4090万円)。設置の目的として「かかりつけ医の紹介により、保健所を通すことなくスピーデイーに検査を実施。今後の感染拡大(感染第二波)を見据えた検査体制をつくる」としています。検体採取はウオークスルー方式で検体目標は、一日40人80検体を目標にしています。
 
 熊本県は、PCR検査センター設置の予算を計上していない。
 5月1日決定された専決予算の「PCR検査体制の強化」1億2千万円は、検査試薬購入、PCR検査機器導入支援であり、長野県、熊本市のようなPCR検査センター設置の予算ではありません。
 「感染第二波、第三波」を見据えた本県の「出口戦略」のカナメとして、少なくとも第二次医療圏ごとに最低一か所以上のPCR検査センターを設置する(10箇所以上)ことを決断し、その設置のための予算措置をただちに具体化することを提言します。
 
 3、公費によってPCR検査をうけることができる対象者を拡大する
 ①妊婦及び立ち会いを希望するパートナーが公費でPCR検査を受けられるようにすること
 ②介護、福祉、保育、教育等の現場で働く人たちが、公費で定期的にPCR検査を受けられるようにすることを提言します。
 
 (提言3)新型コロナ患者に対応する万全な医療体制を確保するとともに、新型コロナウイルス患者を受け入れている医療機関とともに、すべての民間医療機関とそれらの医療従事者の活動に本格的財政支援を行なうこと
 
 新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れた全国269病院では、収入に対する利益の割合を示す4月の利益率が、前年同月比12.2㌽減のマイナス11.8%に落ち込み、平均1億円の赤字に陥った事が、日本病院会と全日本病院協会、日本医療法人協会の合同調査結果で明らかになりました。院内感染などで病棟を一時的に閉鎖せざるを得なかった146病院の経営悪化はより顕著で、4月の利益率はマイナス16%、平均1億2,245万円の赤字に追い込まれました。新型コロナの感染患者を受け入れていない病院を含め、外来患者が感染を警戒して大幅に減ったことなどが影響しています。有効回答を得た1,049病院全体でも、前年同月比10㌽減のマイナス9%で、平均3,600万円の赤字でした。3団体は、「緊急な助成がなければ、今後新型コロナへの適切な対応は不可能となり、地域での医療崩壊が強く危惧される」と警鐘を鳴らし、早急な支援を国に求めています。
 政府は重症感染者の受け入れ病院に対して一部の診療報酬の倍増を決めましたが、「全体の収入が下がる影響の方がはるかに大きい」と批判の声が上がっています。感染者受け入れのために病床を空けることや、医師・看護師の特別の体制をとること等により、医療機関の経営は危機に直面しています。
 一方、新型コロナウイルス患者を受け入れていない医療機関でも新型コロナの対応に大きな力と費用を集中しなければなりません。発熱者のトリアージや動線の区分、医療スタッフの防護服装備などの負担が生じる他、通常の検査や診療を一部縮小・停止している事態が生じています。救急患者の受け入れ中止や健診の先延ばしなども広がっています。患者も院内での感染を懸念して受診抑制の傾向が強まっています。医療従事者への心ない差別・偏見などにより離職を余儀なくされる懸念も生じています。コロナウイルスとのたたかいに、医療機関がまじめに立ち向かえば向かうほど経営難とならざるを得ないのが実情です。
 医療機関を守り、医療機能を立て直すために、県が国とともにあらゆる支援を急いで行なうことが求められています。医療現場の危機的な状況を直視し、支援の拡充を求めるものです。
 
 (1)大規模災害時と同様、前年度の診療報酬支払額に基づく概算請求を認めて医療機関の収入確保をはかることを国に求めること
 (2)院内感染を防ぐため、医療用マスク、防護服、消毒液など医療物資の確保、供給を進める財政支援を行なうこと。
 (3)人工呼吸器、ECMO(エクモ)の確保とともに、医療機器の管理・運用のための専門スタッフの要請・配置を急ぐこと。
 (4)新型コロナウイルス患者を受け入れる医療機関だけでなく、発熱者の対応のための設備や人を配置している医療機関に対しても財政支援を行うこと
 (5)医療従事者を対象にした危険手当の対象と額を大幅に拡充すること
 (6)今秋以降のインフルエンザの流行を抑え、医療崩壊を食い止めるために、インフルエンザワクチンが十分に供給されるよう、国とともに準備を進めること。同ワクチンの摂取を促進するために患者負担をなくす財政措置を講じること。
 (7)医療施設内で感染者が発生してしまった場合、事業所は倒産・廃業の危機に直面することになる。経営を守る損失補てんをおこなうこと。
 (8)医療従事者に対する心無い誹謗中傷、誤解や差別・偏見を払拭するための情報発信・啓発に努めること。
 
 (提言4)介護・障害者施設での感染防止、事業者の受けている損失と負担を補償するための提言
 
 (1)訪問サービスを含む新型コロナウイルスに対応した事業所の従事者への特別手当を県独自に創設する。
 (2)介護事業所の感染症対策の必要経費を補償し、感染防止に最善をつくす。
 (3)不足しているマスク、防護服、消毒液などを病院と同等に優先的に支給する。
 (4)デイサービス中止などによる減収分を全額補償する。
 (5)障害者施設についても、感染防止、事業者の受けている損失と負担を補償する。
 
 (提言5)県民の営業と生活に対する補償と支援を継続的に行ない、PCRなどの検査体制と医療体制の強化をはかるため、国に対して「臨時交付金」「緊急包括支援交付金」などの大幅増額を引き続き求めるとともに、県独自の財源を確保することで、国の範囲を超えた県独自の新型コロナ対策を具体化すること
   
 (1)感染症対策という期間限定の対策に対する財源の基本的な考え方について
 新型コロナウイルス感染症は、県民の命を大きく脅かすとともに、長期の休業要請と外出自粛により県民の営業と暮らしに多大な苦難をもたらすものです。大規模災害と同様にスピード感を持って、新型コロナウイルス感染症から県民の命と暮らしを守るため緊急の予算措置が求められています。社会保障のような恒久的な財源措置と違い、感染症の対策費用は、期間が限定されており、とりあえず借金でまかなっておいて、今後ある程度長時間かけて返済していくという方法が合理的です。
 仮に「財源がないから」という理由でコロナ対策の費用を出し渋ったり、「財源確保の方策を固めてから」といって対策を遅らせたりすれば、感染が拡大、長期化して、国民の命が脅かされるだけでなく、経済もますます疲弊し、財政危機がいっそう深刻化することになってしまいます。
 
 (2)「大空港構想」(空港アクセス鉄道事業費380億円など)、立野ダム本体工事費(本年度国の事業費101億3千万円うち県負担分約30億円)、県央広域本部及び防災センターの合築庁舎(約100億円)など不要不急の大型公共事業は、見直し、中止を決断し、新型コロナウイルス感染症から県民の命と暮らしを守るための財源にあてること
  ①蒲島県知事は、4月16日、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、政府が緊急事態宣言を全国に拡大するとの報道を受け記者会見を行い、「休業補償など国の財政支援がない限り県が率先して要請するのは難しい。全国知事会と歩調を合わせて要望していく」と述べています(「熊日」4月17日)。しかし、他方、同じ4月17日の「熊日」の蒲島知事インタビューで次の様に述べています。
 「熊本空港の『大空港構想』を進め、周辺や空港アクセス鉄道の沿線を(先端産業が集積する米国の)シリコンバレーのようにしたい。空港は4月に完全民営化したが、新型コロナの影響でやや順調でない。八代港のクルーズ拠点もそうだが、(インフラ整備の)効果は百年の単位でみると必ず生きる」。
 このように蒲島県知事は、新型コロナウイルス感染症最優先で財源も人員も集中させるのが当然という時期に、あえて「大空港構想」などの大型開発の推進に言及しています。
 4月の外国人の入国者は県内ゼロ(八代港、熊本空港)、九州では37人。 
 外国人観光客頼みのインバウンド経済は新型コロナの影響で大きな行き詰まりに直面しています。5月23日「熊日」は、「九州運輸局が22日発表した4月の九州への外国人入国者数(速報値)は前年同月比99・9%減の37人にとどまった。県内の調査対象である八代など4カ所の港と熊本空港はいずれもゼロ」と報道しています。
 インバウンド頼みでなく、農林漁業、中小商工業、地域経済を強力に応援する県政運営に切り替えることが求められています。
 ②大西熊本市長は、5月7日の市議会の新型コロナウイルス対策会議で、「新型コロナ対策に人員や財源を優先的にあてるために、市役所本庁舎の建て替え、市電延伸は中断したい」と発言しました。市庁舎の現地建て替え456億円、移転建て替えで390億円と試算されています。市電延伸の総事業費は100億~130億円が見込まれています。熊本市は、大型公共事業の中断を決断し、それらの財源で市独自に約1万事業者への家賃の助成、6月中にPCR検査センターの設置の予算などを計上しています。
 ③熊本県の新型コロナウイルス対策予算の財源は、「いずれも国の臨時交付金(県分65億円)国庫支出金などを当て込む」(5月24日「熊日」)となっています。県の独自支援といっても、あくまで国からの財源の範囲内の補償、支援にとどまっています。そのため、学生の支援は「親が所得税非課税世帯」という条件をつける、休業要請協力金の対象も限定されています。
 しかし、熊本市の大西市長が決断したように、熊本県でも、「空港アクセス鉄道事業費380億円」「防災センター100億円」「立野ダムの本体工事費」(県負担分約30億)をコロナ対策優先で中断・凍結するだけで、県独自の財源が生まれてきます。これらの財源を生かして、国の範囲を超えた県独自の新型コロナ対策を具体化することを提言します。
 
 以上

 
新型コロナウイルス感染症から県民の命と暮らしを守る緊急提言 2020年5月1日
印刷用PDFをダウンロードするには、ここをクリック(330KB)

熊本県知事  蒲島郁夫様
    
 2020年5月1日
 立憲民主党熊本県連合    代表 矢上 雅義
 国民民主党熊本県総支部連合 代表 中山 弘幸
 日本共産党熊本県委員会  委員長 松岡  勝
 社民党熊本県連合      代表 今泉 克己
 新社会党熊本県本部    委員長 岩中 伸司
 くまもと民主連合      代表 鎌田  聡

新型コロナウイルス感染症から県民の命と暮らしを守る緊急提言
 
 4月22日~24日、県内6野党は、新型コロナウイルス感染症問題で県民からの聞き取り調査を行いました。飲食店、理容店、商店街関係者、商工会議所、旅館、旅行業者、フリーランス、シングルマザー、非正規労働者、医師会・医療関係者、学校、教育関係者、大学生、農協関係者、熊本地震被災者など多くの県民から切実な声や要望を聞きました。すでに、3月2日、県内6野党は、蒲島郁夫県知事に対して、新型コロナウイルス感染症への万全の対策をとることを申し入れましたが、今回の聞き取り調査などを通じて、改めて、県民から切実な声、要望が寄せられました。これらの切実な声、要望に対して、国、県がスピード感を持って対応することが求められています。以下の点で緊急提言を行います。
 
 1.国の予算措置に対して、「全国知事会の緊急提言」(4月23日)もふまえて以下の要望を行うこと
 ・国の責任として、「外出自粛・休業要請と一体の補償を行う」ことを求めるとともに「臨時交付金」(1兆円)の大幅増額を求めること
 ・「医療現場に対する財政支援がほとんどない」との声にこたえ、「緊急包括支援交付金」(1490億円)の大幅増額、マスク、消毒用アルコール、防護服などの医療物資の調達、供給を国の責任ですすめること
 ・新型コロナウイルスの影響で患者が減少し、病院の経営が急激に悪化するとともに、感染対策のための負担は増加している。国の責任でコロナ対応病院と一般患者病院それぞれに対する財政支援をおこなうこと
 ・検査体制の抜本的な改善・強化は緊急課題となっている。国の責任でPCR検査センターを各地につくり、その予算を具体化すること
 ・雇用調整助成金の手続きの簡素化を図り、敏速に支給されるように改善をはかるとともに一日あたり労働者8330円という上限を大幅に引き上げること
 ・国の「持続化給付金」は、「売り上げが半数以上」の条件がついている。支給要件を緩和して対象を広げるとともに、一回だけでなく、複数回支給することを求めること
 ・事業者に対する家賃、リース料などの固定費支援を国に求めること
 ・コロナ問題で学生アルバイトもなくなり窮状に陥っている学生の支援を国の対策に位置づけること
 
 2、 県民の切実な声、要望にこたえた県独自の対策について
 (1)外出自粛・休業要請と一体の補償で県民の生活・営業を守る支援を事態の収束まで継続的に行うこと
 ①4月21日県発表の「休業要請にもとづく事業者の支援」(42億円)についての提言
 ・休業要請協力金と事業継続支援金を大幅に増額し、対象を拡大すること
 ・外出自粛によって売上に影響が出ている飲食店への支援金と国の持続化給付金で対象にならない事業者など(最近開業して前年や前月と売上が比較できない事業者、売上減少30%未満の事業者)に対する支援金を県独自で支給すること
 ・県が休業要請したネットカフェについては、「休業したネットカフェの宿泊者に県営住宅の無料提供」(兵庫県)など県の責任で宿泊場所を確保すること
 ②熊本市は独自に休業・時短事業者に家賃8割補助を決めている。県としても対象者を広くして家賃、リース料などの固定費支援を行うこと
 ③固定資産税の減免を行うこと
 ④イベント中止、延期によるキャンセル料、会場費などの必要経費を補てんすること
 ⑤働く女性、シングルマザー支援について
 ・兵庫県明石市で支給している児童扶養手当の緊急支援金(5万円)を参考にして県も緊急支援金を創設すること
 ・生活福祉資金貸付制度や住宅確保給付金、フリーランスも対象とされる持続化給付金など、くらしの維持に緊急に必要となる支援が迅速に受けられるよう、県として柔軟な対応をすること
 ・学校休業が続くもとで「小学校等休業対策助成金」を活用して労働者が特別の有給休暇取得できるよう県として制度の周知と手続きの迅速化、柔軟な対応をすること
 ⑥農家の支援について
 ・肉用牛肥育経営安定交付金制度(牛マルキン)で補てんできない肥育農家分(一割分)を県単独事業で支援すること(鳥取県、京都府の補正予算案で具体化)
 ・学校給食に農産物を納入している農家の損失を補てんすること
 ・コロナの影響でスイカをカットして売り出すことができなくなっているので、県として、食の安全性を訴えるコマーシャルや宣伝をすること
 
 ⑦観光業の支援について
 ・固定資産税の減免を
 ・コロナ収束後活用できる「未来の宿泊券」「エリア限定の旅行券」に対する助成を
 ⑧交通や物流、流通等の休業できない業種で働く人の感染防止対策を支援すること
 ⑨県復興基金を活用して災害復興住宅の家賃の減免、猶予を行なうこと
  被災者は、4月から新たに家賃の負担が増えた上にコロナ危機で収入減も予想されるので家賃の減免、猶予を検討すること
 ⑩感染者の居住地公表について
 県民がより感染予防・防止に努めることや不安感解消の観点から、感染者の居住地公表については、現行の保健所単位を改めて、九州各県と同様に市町村単位で公表すること
 ⑪ワンストップ相談窓口の設置について
 ・新型コロナウイルス対策に関する県民の様々な相談・要望に対応できるワンストップ窓口を設置すること
 ・飼い主が感染した場合のペットの預かりについて早急に相談対応窓口を明確にすること
 
 (2)院内感染、医療崩壊を止めるため、県独自にPCR検査体制を強め、医療現場に対する財政的支援を行う
 ①医療機関で不足するマスク、フェイスシールド、消毒液など医療物資への財政支援を急いで行うとともに医療従事者の同居家族の感染を避けるための宿泊施設の提供を行うこと
 ②ドライブスルー方式などPCR検査センターを県独自に設置すること
 ③感染症対策病院への人的・財政的支援を行うこと
 ④行政が情報を積極的に発信し、医療従事者への差別、偏見対策をとること
 ⑤県独自の対応として、それぞれの医療機関まかせとすれば、感染が爆発的に拡大した場合、医療体制は崩壊する危惧がある。様々なケースを想定しながら、県内の専門家を結集して医療機関への支援や連携などの対策と早急に具体化すること
 
 (3)介護・障害者施設の感染防止と事業所の損失と負担の補償を
 ①介護事業所、障害者施設について、不足しているマスク、防護服、消毒液などを優先的に供給すること
 ②高齢者や障がい者を持つ家族を介護している方が感染した場合の対応、介護事業所が感染した場合の事業所を越えたヘルパーの相互支援について早急に検討すること
 ③現場の声にもとづき、障害者施設への県独自の支援策、具体的な支援策をまとめること
 ④受給者証の利用制限を緩和・延長を
 
 (4)コロナ対策でのジェンダー平等の視点を重視する ①外出自粛によって増加が懸念されるDVや子どもの虐待に対して、相談・支援体制の拡大と緊急避難先の確保につとめること
 ②一人⒑万円の特別給付金は、住民票が現在の居住地にないDV(パートナー間暴力)被害者が加害者に居場所を知られることなく受け取ることができるようになったことを被害者に周知徹底すること。4月30日までの申請期間の延長を求めること。
 ③コロナ感染症問題が妊婦にさまざまな影響と不安を広げているので、ネットや電話での特別な相談体制をとること、妊婦検診の時にPCR検査を全員に実施し、その費用を無料にすること
 ④保護者が感染して子どもの面倒を見る人がいない家庭への対応について児童相談所や養護施設での預かりについて早急に検討すること 
 ⑤学童保育の支援員の負担軽減に向けて、市町村を越えた支援員の相互支援の仕組みづくりとマスク・消毒液などの感染予防資材の確保に取り組むこと
 
 (5)学校休校にともなう諸問題について、専門家の意見も聞きながら対応をはかること
 ①子どもの学習について。
  熊本市がタブレットなどによる学習を推進するなどの動きもあり、県の責任で、学校休校中に誰もが公平にICT教育を受けることができるように全児童・生徒にタブレットなどを準備すること
 ②子どもの心のケアについて
  相談窓口を設置するともに、養護教諭やスクールカウンセラーなどによる支援など児童生徒の心にケアに配慮すること
 ③子どもの栄養について
 給食が休止されているので、子どもたちに栄養のある食事が確実に提供されるように手だてをとること
 
 (6)学生への支援について
 ①アルバイトもできない生活困窮の学生に対して、県独自に給付型奨学金を新設すること
 ②県立大学の学費の減免を実施すること
 ③親からの支援を受けずに完全に自活している学生がアルバイト先の休業によって収入減で家賃の支払いができなくなっている場合にも、厚労省は「住居確保給付金」の対象なることを認めている。県はこのことを周知・徹底すること
 
 (7)社会福祉協議会の生活福祉資金の緊急小口貸付の運用改善をはかること
 熊本県は、熊本地震の特例貸付の滞納がある人は半分以上返済していなければ借りることができない対応をしている。コロナ問題で収入が減少して非常にきびしい生活を強いられている県民が、今を乗り越えられるように、残債があっても貸付を認めるように運用を改善すること
 
 3、新型コロナウイルス感染から県民の命と暮らしを守るため、緊急の予算措置の提言
 ・2020年度一般会計「肉付け予算」(9月議会)の編成方針は、空港アクセス鉄道事業・立野ダム建設費(県負担分)など不要不急の大型開発の予算を緊急に見直すことを前提にし、直ちにコロナ対策のための補正予算を組むこと
 ・2020年度当初予算の中で、「不要不急の事業」の思い切った見直しを行い、コロナ感染対策の財源に充てること
 ・コロナの感染から県民の命と暮らしを守るための緊急の財源措置として、民間の金融機関からの借り入れ、県債の発行を検討すること
 
 以上

 
新型コロナウイルス惨禍から県民の命と暮らしを守るための対策強化を求める要請 2020年4月23日
印刷用PDFをダウンロードするには、ここをクリック(226KB)

熊本県知事  蒲島郁夫様
    
 2020年4月23日
 いのちとくらし・平和を守る熊本ネットワーク 共同代表 楳本 光男
   同   木原 望

新型コロナウイルス惨禍から県民の命と暮らしを守るための対策強化を求める要請
 
 県民のいのちとくらしを守るため新型コロナウイルス感染防止に向けた日々のご活躍に心から敬意を表します。
 2019年10月からの消費税増税にともない、景気が大幅に後退し、県内中小業者にも打撃的な影響が出ています。さらに今般の新型コロナウイルス感染拡大によって、中国、韓国のインバウンドを頼りにしていた観光地やホテル、商店はじめ、全ての業種にわたって更なる深刻な影響が出ています。
 「休みたいけど補償がないから自粛できない」「売り上げが激減しテナント料や人件費など払えない」など、経営への影響を危惧する声とともに、「会社が特別休暇を認めてくれない」、「休みたいけど収入が減るので休めない」という労働者の声など、4月16日~21日だけでも45件の相談や要望(別紙資料)が寄せられています。特に個人事業主、零細企業、母子家庭など社会的に弱い立場の人たちに大きな負担がシワ寄せされているのが目立ちます。
 熊本県におかれましては、政府に対して引き続き対策の強化を求めると同時に、県としても不要不急の大型公共事業を凍結し、その予算を補償にまわすなど対策を強化していただくことを強く求めます。
 以下、緊急対策として要望します。
 
 記
 【県に求める項目】
 1、業者・労働者・個人事業主などへの支援策の拡充
 ①.県融資制度の融資利率を引き下げること。また感染症被害収束の見通しが立たないなか、据置期間は少なくとも3年に伸ばすこと。
 ②.繁華街のバーやキャバレー、ナイトクラブは感染拡大のリスクが高いことから多くが営業自粛に追い込まれており、これを契機に廃業を考えている店も少なくない。県外では自粛要請に応じた場合、最大100万円の補償を行う自治体も現れている。熊本県としても、独自にフリーランスを含む個人事業主に100万円、中堅・中小法人に200万円を上限とした休業補償金(協力金)を実施すること。
 臨時休業や営業時間短縮を行った中小業者をはじめ、学校と契約を結んでいる納入業者の損失額が上記給付金を上回った場合、緊急事態宣言や自粛要請がやむまで損失補償として給付金の支給を継続すること。
 ③.セーフティネット保証を活用する融資について、認定作業を簡素化するとともに、審査基準の緩和を行うなど、切迫する融資の実行が手遅れにならないようにすること。住民税の滞納があっても融資対象から除外しないこと。
 ④.固定費負担の軽減として、貸店舗所有者が店子への家賃を減額した場合、固定資産税の新たな軽減措置に加え、その減額割合に応じて固定資産税、所得税・法人税、消費税の減免を行うこと。
 店子の家賃を減額した貸店舗所有者には、店舗取得のために使った借入金の返済猶予もしくは無利子融資への借り換えを行うよう金融機関に働きかけること。
 ⑤.収入減となることを懸念して休むことができない労働者が多数いることから、県としても国の雇用調整助成金に上積みの助成を行うこと。
 ⑥.コロナの影響で内定取り消しとなったり失職したりする方が急増しており、県としても雇用支援を強めること。
 ⑦.収入減により家賃負担が困難となり住居を失う恐れが生じている方に対する住居確保給付金を創設すること。
 ⑧.企業が特別有給休暇を認めない事例が増えていることから、企業に対する周知を改めて徹底すること。
 
 2、学校・教育に関する支援
 ①.学校休校は全県下一律の対応とせず、地域の実情に即してそれぞれに判断されるべきである。
 ②.小中学性を抱える生活困窮世帯の中には、学校給食が一日の中で、子どもに対し栄養のバランスが取れた食事が保障される大切な機会となっているところも少なくない。ところが学校休業となると他の世帯には給食費が返還されるが生活保護世帯にはない。そして新たに子どもの昼食の費用負担が生じることになる。こうした事情に鑑み、生活保護世帯に対して学校休校の間の昼食代の補償が必要である。
 ③.私立学校、通信制学校における休業に伴う損失補償を行なうこと。
 ④.学校や企業においてマスクの色を理不尽に強要するということが起きている。
 そういうことがないよう周知および指導をすること。
 ⑤.親の収入やアルバイト等の収入が減ったことで学費を払えず「退学」という選択を迫られている学生が増えている。学費の免除や補助などさらなる支援の拡充を。
 
 3、感染防止対策費の予算確保にむけて
 ①.次の大型公共事業を凍結し、感染防止対策予算に充当すること。
 ・大空港構想
 ・熊本空港アクセス鉄道(シリコンバレー構想を含む)については検
 討作業を凍結すること。
 ・立野ダム建設については建設を凍結すること。
 
 4、医療機関への財政的保障および地域医療・介護を守るための財政支援
 次の①~⑧の項目について対策を講ずるようお願いするとともに、県独自で困難な場合は国に要望して下さい。
 
 ①.国は医療費削減のため、地方に地域医療構想の策定を求め、公的医療の縮小・統廃合や病床数の削減を進めてきた。病床を満杯にしなければ採算が取れない診療報酬や、空きベッドがあれば統廃合の攻撃にさらされるという状況では、医療崩壊になりかねない。こうした方針を転換し、非常時に医療崩壊を起こさない医療体制を早急に構築すること。
 ②.医師が必要と判断した場合はPCR検査を受けられるよう、PCRセンターを県下全域に立ち上げること。
 ③.不足している医療用マスク、防護服、消毒液など衛生材料備品について必要数を確保すること。
 ④.新型コロナウイルス対策にあたる医療機関をはじめ、一般の医療機関についても受診抑制による深刻な減収となっていることから、地域の医療提供体制の維持のための財政的保障すること。
 ⑤.新型コロナウイルス対応を行う医師をはじめとした医療従事者で自宅へ帰ることができず宿泊している者に対する宿泊費用について補填すること。
 ⑥.デイサービスや訪問介護の中止・縮小を余儀なくされる事業所は大幅な減収となることから損失への財政支援をとること。
 ⑦.介護事業所の感染症対策にかかる必要経費について補償すること。
 ⑧.不足しているマスク、防護服、消毒液などを医療機関と同等に優先的に供給すること。
 
 5、税と社会保障
 ①.税金や社会保険料の滞納により発生した延滞税等について、すでに本税等の納付が完了している場合は、納付を猶予し、執行停止にすること。
 住民税や事業税、固定資産税等も同等に扱うこと
 ②.国保料(税)の緊急減免を行なう市町村に対する助成をおこなうこと。
 ③.生活福祉資金の緊急小口資金及び総合支援資金の上限を引き上げるとともに、償還免除の対象を住民税非課税世帯に限定せず、売り上げが6カ月で対前年比30%以上減少した世帯まで拡大すること。
 総合支援資金がほとんど活用されていない地域の実態を調べ、周知徹底や要件緩和を図り、積極的な貸し付けが行われるようにすること。
 
 【県から国に求めていただきたい項目】
 1、自粛要請と一体に補償を行うこと
 ①.緊急に、すべての国民(日本に居住している外国人を含む)を対象に一人10万円の給付金を支給すること。これはあくまで緊急の措置であり、一回きりの現金給付で終わりにせず、賃金・収入補償の仕組みを急いで作ること。
 ②.雇用保険加入者か否かにかかわらず、非正規雇用労働者、フリーランス、自営業者も含め、通常の賃金・収入の8割以上を補填し、速やかな支給ができる手立てをとること。
 ③.自粛要請によって直接・間接に影響を受けているすべての中小・小規模事業者に対して、家賃・地代・水光熱費・リース代などの固定費への直接助成をはじめ、自粛要請による損失を補填すること。また国保料(税)の緊急減免をはじめ税・社会保険料の減免を行なうこと。
 ④.イベント中止などに伴うキャンセル料・必要経費の補填を行なうこと。
 ⑤.リーマン・ショック時の20兆円を上回る規模の中小・小規模事業者向け無担保・無利子融資制度を創設し、受付窓口の体制を強化し、審査の迅速化をはかること。
 ⑥.フリーランスを含む個人事業主に100万円、中堅・中小法人に200万円を上限とした「持続化給付金」の売り上げ減少条件を緩和して支給対象を広げ、不課税とすること。
 ⑦.特別融資の要件として雇用の維持を明記するなど、リストラ解雇を起こさないよう経済界・大企業に求めること。
 ⑧.雇用調整助成金は10割助成とし、手続きの簡素化、支給の迅速化をはかること。
 ⑨.各自治体が取り組む地域経済対策の支援のため、「地方臨時交付金」制度を創設すること。
 ⑩.政府が行う税金、社会保険料の支払い猶予については、中小業者・フリーランスの売り上げが6カ月で対前年比30%以上減少する場合の規定を設け、所得税、法人税、消費税、固定資産税などは延滞税も含めて免除し、執行停止とすること。
 
 2、医療・介護・障がい者等の社会保障の体制を崩壊させないための予算措置を行なうこと。
 ①.政府は「ベッドの確保」「患者の受け入れ」を要請しながら、それに伴う必要な財政措置を行なっていない。要請にこたえて施設外でトリアージをおこなうための臨時の建物設置、施設の改修など行っている病院もあるが、これらは全く財政支援が行われていないことは問題である。医療体制・感染症対応で必要となる経費は、全額国が負担することを明確にすべきである。
 ②.政府は、ホテルなどを借り上げた宿泊・療養施設を確保することを自治体に要請しているが、ここでも財政措置をとっていない。確保と運営に必要な経費は、国の責任で確保すべきである。
 ③.医療関係者を観戦から防護するために、医療用マスク、ゴーグル、防護服などを速やか、かつ十分に供給すること。人工呼吸器の供給を抜本的に強化すること。
 ④.患者発生に伴う減収及び、外来患者の減少に伴う損失など、医療機関への補償を行なうこと。
 ⑤.急性期病床の大幅削減となる公立・公的医療機関の再編・統合を直ちに凍結し、撤回すること。
 ⑥.介護事業所の感染症対策の必要経費、デイケア中止などによる減収分を全額補償すること。
 ⑦.障がい者施設に対する報酬を月額方式にすること。就労支援施設での自粛の影響による減収、利用者の工賃について全額補償すること。
 
 3、PCR検査の問題点を明らかにし、直ちに改善策をとること。
 ①.医師が必要だと判断したら、速やかに検査が受けられる体制を作ること。そのための財政措置を行なうこと。
 ②.相談センター、行政検査、クラスター対策など、対策の中核となる保健所体制の抜本的な強化に予算措置を含め国が全力で支援すること。
 ③.抗体検査を早期に導入すること。
 ④.帰国者に対して、公共交通機関の利用をしないよう求めるだけでなく、ホテル等の待機場所の確保や必要経費の補償をすること。
 
 4、予算確保に向けた財政措置と、経済対策
 ①.消費税5%への減税に踏み切ること。
  大企業・富裕層を優遇してきた不公平な税制を正し、低所得者ほど負担が重く格差を拡大する消費税に頼らない財政運営に転換すること。
 ②.不要不急の大型開発をストップし、コロナ対策に力を注ぐこと。
 ③.不要不急の防衛費を削減し、コロナ対策に充当すること。
 ④.政党助成金を廃止し、コロナ対策に充当すること。
 
 以上

新型コロナウイルスの影響による労働者、中小業者、自営業者、フリーランス救済を求める緊急要請 2020年3月17日
印刷用PDFをダウンロードするには、ここをクリック(183KB)

熊本県知事  蒲島郁夫様
    
 2020年3月17日
 いのちとくらし・平和を守る熊本ネットワーク 共同代表 楳本 光男
   同   木原 望

新型コロナウイルスの影響による労働者、中小業者、自営業者、フリーランス救済を求める緊急要請
 
 2019年10月からの消費税増税にともない、景気が大幅に後退し、県内中小業者にも打撃的な影響が出ています。さらに今般の新型コロナウイルス感染拡大によって、中国、韓国のインバウンドを頼りにしていた観光地やホテル、商店はじめ、全ての業種にわたって更なる深刻な影響が出ています。
 「去年ゼロは1回だけだったが、今回4日続けて客がゼロ」(居酒屋)「宴会の予約が3月は全部キャンセル」(中華料理)「カラオケに来る人がほとんどいない。夜の街も閑散」(スナック)「石材や墓石が来ない」(石材業)など、経営への影響を危惧する声とともに、「会社が特別休暇を認めてくれない」、「休みたいけど収入が減るので休めない」という労働者の声などが多数寄せられています。そのうえ、総理の「一斉休校」要請で、仕事を休まないといけない場合の所得補償も自営業とフリーランスは除外され融資で対応とのことです。
 熊本の経済は、四重苦(復興需要の後退、消費税の増税、新型コロナウイルスの影響、暖冬の影響)に見舞われて、他県より経営状況はさらに深刻です。そういうなか、鳥取県は個人事業主に対して県独自の支援策を発表し、東京港区は利息をゼロにする融資制度を実施するなど、自治体独自での支援策が全国では拡がっています。
 熊本県におかれましても、新型コロナ対策予算の大幅な増額を国に要求すると共に、県内中小業者と労働者への影響の実態調査をただちに行い、早急に対策を取ることを求めます。
 以下、緊急対策として要望します。
 
 記  
 
 1. 売上げ激減、注文キャンセル、資材の調達不能による稼働停止などにみまわれた中小業者に対して、固定費(店舗家賃、リース代、従業員給与など)を補助、休業中の中小業者に最低生活費を補償する制度を作ること。
 
 2. 新型コロナ対応緊急融資制度を拡充させ、せめて返済据え置き期間は5年、返済は10年の長期にすること。利子・保証料をゼロになるように補給すること。
 
 3. 国にならって、保証料だけでなく、利子も全額支援すること。
 
 4. 正確な情報提供とともに各種会議・イベントが自粛・中止の場合、被害が出た中小業者、自営業者、フリーランスへの県独自の補償を検討すること。
 
 5. 二重ローン解消のため、熊本地震対応融資だけの一本化でなく、全ての融資の一本化と返済の長期化をすること。3年間元金返済猶予をすること。
 
 6. 小規模事業者持続化補助金を熊本地震対応の時のように増額し、使いやすい制度にするように国に要望すること
 
 7. 国税や地方税、社会保険料の納付の延長、猶予を関係機関に要請すること。
 
 8. 雇用調整助成金の要件緩和、補助率の引き上げを国に要望すること。
 
 9. 国の特別休暇に対する支給額8,330円に、県として上積みの補助をすること。
 
 10.新型コロナウイルス対策に関する政策や情報など県民への周知を徹底すること。
 
 以上