山本伸裕

要請・提言書 2018年


県政の重要課題に対する対応と、2019年度県予算編成への要望 2018年12月3日

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2018年12月3日
 経熊本県知事 蒲島郁夫 様
 日本共産党熊本県委員会
 委員長   日高 伸哉
 県議会議員 山本 伸裕
 

 県政の重要課題に対する対応と、2019年度県予算編成への要望
 
 蒲島知事をはじめ、県職員の皆様の活動に敬意を申し上げます。
 熊本県の来年度予算編成にあたり、日本共産党熊本県委員会は、県民の暮らし・福祉の向上に軸足を置いた編成がなされるよう、県政の重要課題に対する対応をはじめ、具体的要望事項を提案いたします。提案をぜひ積極的に予算編成に活かしていただきますよう、申し入れるものです。


 はじめに-「地方創生」どころか「地方壊し」の政治を進める安部政権への追随では、地方政治は破綻する
 安倍政権はいま、憲法と地方自治を破壊する暴走を続けています。今臨時国会での所信表明演説や代表質問への答弁では、九条改憲への執念を表明しました。行政府の長であり、最も憲法尊重擁護義務を負っている首相が、国会に対し、「(改憲の)国民的議論を深めるためには、具体的条文案を示す必要がある」、「憲法審査会で政党が具体的改正案を示すことで、国民の理解を深める努力を重ねていくことは、国会議員の果たすべき重要な役割」と号令をかけることは、立憲主義の乱暴な否定にほかなりません。
 地方政治においても全国的に矛盾が広がっています。地方に対し、「国際競争力」の名のもとに、大都市圏環状道路、国際戦略港湾、国際拠点空港の整備などを押し付けています。多くの自治体で、不要不急の大型事業、大規模開発が大問題となっています。
 その一方で、医療や介護など、福祉施策の後退が、多くの自治体で深刻な問題となっています。安倍政権が強行した「国保の都道府県化」は、国保料(税)の更なる大幅引き上げの危険を作り出しています。中枢中核都市に集中投資して近隣市町村を寂れさせる「広域連携」、都市部での中心市街地への開発と立地の集中、公共施設の統廃合、上下水道の広域化と民間委託の押し付けなども、住民の暮らしへの深刻な打撃となっています。いま安倍政権がやっていることは、「地方創生」どころか、「住民の福祉のための機関」としての自治体の機能を破壊する「地方つぶし」の政治にほかなりません。
 そうした状況のもと、まさに熊本県は市町村を包括する広域地方公共団体としてのあり方が問われています。政府の出先機関のような役割を果たすのか、それとも「住民の福祉を守る」という本来の役割を果たすのか、という問題です。
 安倍政治に追随する道に未来はありません。ぜひ熊本県におかれましては、国の悪政から県民を守る防波堤としての役割を発揮され、国の悪政には毅然として立ち向かい、「県民が主役」の熊本県政の発展をはかっていただくよう求めます。

1、県政の重要課題
 ①被災者切り捨てでなく、苦難に寄りそった震災からの再建支援を国に求めよ
 熊本地震発災から2年7カ月が経過し、取り残された被災者の実態はますます深刻化しています。住まい再建の見通しが立たない世帯の中心は生活弱者です。仮設住宅からの実質的な追い出しや医療費免除制度の打ち切りなど、過去の大震災と比較しても前例のない冷たい支援打ち切りの姿勢を直ちに改め、実情に寄り添ったきめ細かな支援の継続を強く求めるものです。
 ・被災者・被災自治体の負担をゼロとし、全額国庫負担とする東日本震災時と同等  の財政的支援を国に求めること。
 ・被災者生活再建支援金を最大500万円に引き上げる事や一部損壊家屋にも公的支援制度を適用させるなど、被災者生活再建支援制度の改善、被害の実態に見合った災害救助法の見直し、基金拡充への支援を国に求めること。
 ・被災者向けの諸々の免除制度の期限を延長するよう国に求めること。
 ・応急仮設住宅の集約は、残されている方々の要望に寄り添い、強引な進め方をしないこと。
 ・被災者向け医療費免除制度を復活させること。
 ・応急仮設住宅での不安な生活をサポートする見守り活動への支援を強化すること。
 ・希望するすべての方々の仮設住宅入居延長を認めること。
 ・希望する規模に見合う災害公営住宅の建設。またペット可の災害公営住宅を各被 災自治体それぞれに設置すること。
 ・応急仮設の空き部屋への転居、一世帯複数の部屋の提供など、状況に応じて柔軟  に容認すること。
 
 ②高すぎる国民健康保険料を引き下げ、住民と医療保険制度を守る
 高すぎる国民健康保険料(税)に県民が悲鳴を上げています。県内の滞納世帯は5万3千、全加入世帯の20%を超え、東京都に次ぐ全国二番目の比率となっています。また短期被保険者証の公布割合は全国一となっています(厚生労働省保険局国民健康保険課調べ。2017年6月1日現在)。
 国保加入者の平均保険料(一人当たり)は、政府の試算でも、中小企業の労働者が加入する協会けんぽの1.3倍、大企業の労働者が加入する組合けんぽの1.7倍という水準です。全国的に見れば、この25年間に、国保加入世帯の平均所得は276万円から138万円へと半減しているのに、一人当たりの国保料(税)は6.5万円から9.4万円へと引き上げられています。所得は低いのに保険料は一番高いという、国保の構造的問題を打開し、公的医療保険としての国保制度を立て直すことが求められています。
 ・国保料(税)を「協会けんぽの保険料なみ」に引き下げることを求めた全国知事会の決議に賛同し、一兆円の公費負担を政府に要望すること。
 ・人頭税と同じ均等割、平等割を廃止し、国保料を引き下げるよう国に求めること。
 ・国の責任で、生活に困窮する人の国保料(税)を免除する仕組みを作るよう求めること。
 ・被保険者の保険料軽減にあてるための財源として県独自に一般会計からの繰り入れをおこなうこと。
 ・無慈悲な保険証とりあげや強権的な差し押さえをやめさせること。
 ・国保都道府県単位化は実施されたが、厚生労働省は国会で「一般会計の繰り入れは自治体の判断でできる」「生活困窮者への自治体独自の軽減は問題ない」と答弁している。この趣旨を市町村に徹底すること。
 
 ③介護保険の連続大改悪を許さず、高齢者も現役世代も安心できる公的介護制度の確立
 財務省は、10月の財政制度等審議会の分科会において、新たな提言を出し、負担増と給付の抑制・削減を迫る社会保障大改悪メニューを示しました。そこでは、この間厚労省の内部で利用抑制に肯定的な委員からさえも「重症化を招く」と批判が噴出し、移行を見送ってきた、要支援や要介護1、2の人を「軽度者」として給付の対象からはずす制度について、その実施を改めて求めるものとなっています。さらに総合事業の内容について、現状は次々と事業者が撤退している実態には目を向けず、市町村にいっそうのサービス切り下げを求めています。介護保険のサービスについても、利用割合の多い訪問介護や通所介護を「供給が需要を生んでいる面がある」などと、限度内の利用までも過剰だといわんばかりの主張を展開しました。
 市町村に対しては、認定段階からの軽度者はずしの徹底を要求。給付の総量規制を強化することや、財調交付金を使ったインセンティブによって、自治体間を競わせる仕組みの導入が提案されています。
 安倍政権が強行した相次ぐ介護改悪は、特別養護老人ホームの入所条件を要介護3以上に厳格化するなど、軽度者切捨てが際立っています。軽度者が必要なサービスを利用できなくなれば、早期に適切な支援が受けられなくなり、「重症化」を招く自体を広げる危険があります。
 ・利用者と家族の安心を脅かす制度改悪は中止するよう、政府に求めること。
 ・要支援者サービスを保険給付に戻し、「要介護1、2」を特養の入所対象に戻すなど、給付の拡充と基盤の整備を国に求めること。
 ・利用料の2割負担、3割負担を撤回し、施設の食費居住費の改悪を全面的に見直すよう、政府に求めること。
 ・介護難民の解消は、特養ホームの増設が決定的。ところが政府は給付費抑制のために有料老人ホームやサービスつき高齢者住宅など、低所得者には利用できない施設の整備を応援している。待機者解消へ特養ホームの抜本的増設を図るよう国に求めること。
 ・廃止された特養建設に対する国庫補助復活、用地取得への支援を国に求めること。
 ・小規模多機能型施設、グループホーム、宅老所など多様な施設についても基盤整備を進め、食費や部屋代への公的補助など、低所得者が利用できるよう改善を進めること。
 ・軽度者に対する利用制限など介護とりあげの制度改悪中止を求めること。要支援者サービスの保険給付はずしを中止させること。
 ・低所得者の利用料を減額・免除する制度を作り、経済的な理由で介護を受けられない人をなくすこと。
 ・施設の食費・居住費負担の軽減を進め、自己負担から保険給付へと戻すよう求めること。
 ・保険料の実効性ある減免制度創設を国に求めること。
 ・介護報酬の削減路線を改め、削減された報酬を元の水準に戻して、介護職員の賃金の引き上げ、職員配置基準の改善、長時間・過密労働の是正につながる報酬体系への転換を求めていくこと。
 ・介護の質を高め、介護職の技能と社会的地位を向上させるため、資格取得一元化の早期実施、研修事業の充実と機会保障、介護職のキャリアアップに向けた職員・事業所への支援を進めること。
 
 ④安心して子育てできる、希望ある社会に
 ・児童手当を拡充し、現在中学卒業までの支給期間を18歳までに延長すること を国に求めること。
 ・子どもの医療費無料化を国の制度として確立するよう求めること。小学校入学前の子どもの医療費を所得制限なしで無料化するよう求めること。
 ・全国最低である熊本県の子ども医療費免除制度を抜本的に拡充すること。
 ・子ども医療費助成制度(現物給付)をしている自治体に対するペナルティを全面的にすべて廃止するよう求めること。
 ・学校給食の無償化を実現させること。自校方式、地産地消、直営方式を進め、学校栄養職員・栄養教諭を一校に一人配置すること。
 ・小中学校の教育費負担を解消すること。給食費、副教材、修学旅行積立金など義務教育期間中の教育費の父母負担をなくすこと。
 ・就学援助金を拡充すること。
 ・一人親家庭への支援を強めること。
 ・公立も含めた認可保育所の増設、保育士の賃上げと配置基準の引き上げで待機児童を解消すること。
 ・学童保育を量的にも質的にも整備し、多くが非正規雇用である指導員の待遇改善を進めること。高すぎる利用料の改善を進めること。
 ・男女がともに仕事と家庭が両立できる人間らしい働き方のルール作りを進めること。長時間過密労働の是正、サービス残業の根絶、子育て期の労働者の時間外労働の免除など。
 ・育児休業制度を男女がともに取得できるよう、所得補償の改善、男女賃金格差の是正を図ること。育児休業期間取得により昇進・昇格や賞与・退職金などで不利益な扱いを受けないようにさせること。
 ・産科・小児科・救急医療などを確保する公的支援を抜本的に強化し、安心して医療を受けられる小児救急医療体制の全県的確立を県の責任で整備すること。
 ・子育ての不安を解消する相談体制の拡充。職員の抜本的な増員と専門性向上のための研修の充実を図ること。
 ・児童虐待の防止、早期発見、子どもと親への専門的な支援など独自の施策を強めること。
 ・経済的、社会的に困難な事情を持った親や予期せぬ妊娠に悩んだりしたときに、身近に相談できる体制を整備すること。
 ・子どもたちの生活圏内に安全で安心して遊べる公園や児童館、プレイパーク、青少年が楽しめる広場や体育館の確保・増設を進めること。
 ・通学路の安全対策。通学路の安全確保、車の台数・速度制限のための措置を図ること。

⑤若者が安心して学び、働ける社会へ
 ・公立高校学費不徴収を国の原則にするよう求めること。私立学校への支援を増額し、私立高校も授業料無償にすること。
 ・日本政府も承認した国際人権規約の「大学教育の段階的無償化」へ、国立大学運営費交付金、私学助成の金額を引き上げるとともに、公立大学への補助制度を創設するよう国に求めること。
 ・給付型奨学金制度を創設すること。
 ・育英資金返済滞納者を裁判に提訴するやり方をやめること。
 ・ブラックバイト根絶へ、学生にも労働関係の法令が適用されるよう労働行政改善を求めること。
 ・家賃補助、若者向け公営住宅建設など若者が安心して暮らせるように支援を強めること。
 ・憲法で定められた政治活動の自由を高校生にも認めること。
 
 ⑥教職員を増やし、異常な長時間労働を是正し、学校をよりよい教育の場に
 ・持ち時間の条件を一日4コマを目安に定め、そのための定数改善計画を実施すること。
 ・教員の負担軽減を加速させるため、定数外で短時間勤務教員(再任用など)を配置すること。
 ・熊本県学力調査「ゆうチャレンジ」の実施によって、子どもたちはさらに競争に駆り立てられ、学校は子どもらの点数獲得に躍起になり、先生たちは過去問対策や採点に追われ多忙化に拍車をかけている。大きな弊害をもたらしているゆうチャレンジを廃止すること。
 ・免許更新制を廃止すること。
 ・カウンセラーなど教員外の専門職は非常勤ではなく、常勤とすること。
 ・業務改善等に関する文科省通知(2018年2月)なども生かして学校の業務を削減すること。
 ・同和加配を中止すること。「同和」と名のつく行事への教員の強制的動員をやめさせること。
 ・私学助成を拡充し、公立、私立での非正規教職員の正規化と待遇改善を進めること。
 ・全小学校に英語の専科教師を配置すること。
 
 ⑦水俣病問題の解決
 公式発見から62年が経過したにもかかわらず、いまだに解決のめどが立たない状況が続いています。最大の原因は、特措法で明記された、不知火海沿岸住民を対象とした健康調査が、法制定から9年も経過しながらいまだに実施されないなど、被害の実態に向き合うことを拒み続けている国・県の姿勢があります。
 特措法では、約6万5千人もの方々が救済を求め、医療費のみ救済を含めると約5万5千人が対象となりました。そしてこの中には、対象地域外の方々が3千人を超えていました。この事実は、水俣病の健康被害が、行政や加害企業の想定をはるかに上回り、いかに広範かつ深刻なものであるかを証明しています。
 ・不知火海沿岸住民の健康調査を実施し、水俣病被害の実態や広がりを明らかにすること。
 ・昭和52年判断条件を改め、少なくとも1993年の認定義務付訴訟最高裁判決や、昨年11月の東京高裁判決などが示した基準に改めること。
 ・新潟県の泉田元知事は、環境省の見解とは異なり特措法に基づく非該当処分につき異議の申し立てを受理しており、逆転該当となった例も出ています。泉田元知事は、行政が不利益な処分を課すのだから異議を受理し審査するのは当然であるとしています。法に基づく適正な行政の要請を考えれば、至極当然な対応といえます。これに対し、熊本県の蒲島知事は、行政処分ではないとの環境省の見解を無批判に受け入れ、異議を受理していません。知事が住民の側に立って健康調査、昭和52年判断条件の変更、特措法の再受付、異議の受理などの方針を打ち出していたら、事態は全面解決に向け大きく動いていたことでしょう。知事は被害者に寄り添った対応へと姿勢を改めるべきです。
 
 ⑧立野ダム中止を国に求めよ
 平成30年度末までを目標に進められてきた白川の河川整備計画によると、基準点である代継橋地点においては、スライド堤防高で左岸、右岸ともに毎秒3,746トンの洪水を流せることが、国交省が示した流下能力表で明らかとなりました。これは河川整備計画の目標である2,300トンはおろか、過去最大流量とされる昭和28年大水害のときの流量である毎秒3,400トンさえも流せることになります。現に、2015年3月時点での流下能力は3,500トンを超えています。つまり、堆積土砂を定期的に適切に除去すれば、立野ダムはなくても、すでに国交省が目標としている150年に一度の洪水でさえ、流下させることができるまでに白川の河川改修は進んでいるということです。立野ダムはもはや必要ありません。
 むしろ逆に、ダムを建設することによって下流域は甚大な水害に見舞われることが懸念されます。過去に例のない規模の水害など、異常気象による大規模な水害が、日本だけでなく世界各地で発生しています。過去最大の雨量などを考慮して計画された日本の治水計画は、温暖化による雨量の増加という、新たな脅威には対応できていません。
 県都熊本市を水害から守るために、2002年に策定された白川の河川整備計画では、立野ダムによって基準点である代継橋地点の水位を45センチメートル低減させる計画となっています。しかしダムは決壊を防止するためにオーバーフロー対策が講じられているにもかかわらず、下流の堤防の高さはあくまでダムによる洪水調節を前提とした高さにとどめられているというのは、明らかに行政不作為といわなければなりません。ましてや、もし立野ダムの放流孔が流木などで閉塞すれば、短時間のうちにダム湖は満水となり、下流住民は避難する時間さえなく濁流に襲われるという、最悪の事態さえ想定しなければならなくなります。白川が県都熊本市で決壊すれば、未曾有の大惨事につながりかねません。こうした危険なダムを前提とした河川行政から脱却し、堤防強化を基本とした施策への転換を求めます。
 ・立野ダム建設の中止と決壊しない堤防の整備を国に求めること。
 ・流域住民に向けた現地説明会を開催し、国・県が住民の疑問、意見に耳を傾けること。
 ・ダムの洪水調節を前提とした堤防の高さではなく、緊急放流を想定した高さへと、堤防建設の計画を見直すこと。
 ・越水しても破堤しない堤防であれば住民の避難する時間は確保され、住宅が押し流されるような惨事にもならない。耐越水堤防の整備を進めること。
 
 ⑨憲法違反の日米軍事一体化、安保法制の発動を許さず、平和・安全な日本を
 2016年に施行された安保法制のもと、日米軍事一体化が進められ、憲法とも日米安保条約とも相いれない、武力衝突を想定した実践的な訓練が熊本で実施されています。またそうした任務を遂行するためのたたかう部隊づくりが熊本でも進められています。こうした動きは自衛隊員や熊本市民の安全を脅かすものであり、熊本県は以下の点について国に強く要請すべきです。
 ・大矢野原演習場を中心に数年おきに実施されている日米共同訓練の中止を求めること。
 ・熊本県内の米軍機・自衛隊機の低空飛行訓練や夜間飛行訓練を中止させること。
 ・高游原分屯地へのオスプレイ暫定配備をしないよう要請すること。

2、各部への要請項目
 (1)総務部、知事公室
 ・近年の異常気象は、いつ、どこで、想定外の大規模災害が発生するかわからない状況となっています。市町村ごと、地域ごと、集落ごとの防災対策、避難計画の整備を急ぎ、災害危険個所の総点検と対策に力を入れること。地域の自主防災組織の確立・体制強化へ県が支援すること。
 ・改正水防法の趣旨を踏まえ、高齢者や障がい者らが入る施設に避難計画の策定、訓練が義務付けられることとなった。すべての施設において計画策定や訓練が実施されるよう県として必要な指導・援助を強めること。浸水想定区域が設定されていない中小河川でも、過去の大雨による浸水状況を住民らに周知するなど万一に備えた対応の徹底をはかること。
 ・事前防災行動計画(タイムライン)を、県が管理する河川において速やかに策定すること。すでに策定したとされている河川流域においても内容の改善・充実を常に図ること。
 ・復興基金の積み増し。市町村が主体的に基金事業を創設できるよう、市町村本位の運用に改善すること。
 ・市町村からの支援職員派遣要請に迅速に応じること。また県職員は正規を基本に必要・十分な配置を進めること。特に技術系職員の増員をはかること。
 ・道州制・州都構想を見直し、地方自治・住民自治を尊重した県政運営に徹すること。
 ・非核自治体宣言を行なっている熊本県として核兵器廃絶を求める取り組みに積極的役割を果たすこと。
 ・私学助成を増額すること。私立高校の授業料免除の所得要件を引き上げること。
 ・知事は、核兵器禁止条約への賛同を表明し、条約への調印・批准を政府に求めること。
 ・県・市町村は学校卒業予定者の名簿を自衛隊に情報提供しないこと。
 ・来年10月に予定されている消費税10%への増税を中止するよう求めること。
 ・公的書類における不必要な性別欄を撤廃すること。
 ・同姓カップルを「結婚に相当する関係」と認定する条例や施策を実現すること。
 ・滞納を理由に強権的な徴収、違法な差し押さえをしないこと。
 
  熊本県は自民党熊本県連、自民党熊本県選出国会議員と一体となり、「チーム熊本」と称して、予算編成に向けての要望活動など政府・自民党への働きかけを行なっています。自民党は熊本県議会で多数の議席を占めているとはいえ、あくまで一政党であり、熊本県が来年の政府予算編成に向けて政党と一体に、政党に対し要望するという行為は、地方公共団体が堅持すべき政治的中立性、公平性をないがしろにするものであり、自民党の政治的活動に熊本県が渾然一体に取り込まれることも懸念されます。熊本県と蒲島知事には、節度と良識を保った対応を求めるものです。
 
 (2)企画振興部
 ・大空港構想は緊急性、必要性の観点から計画を検証し、不要不急の事業は復興優先の立場で再検討すること、また開発行為は環境影響調査を実施し、特に地下水への影響について慎重に検証すること。
 ・地域振興策は呼び込み型偏重ではなく、地場産業・地元企業への支援を強めること。
 ・2019年に熊本で行なわれるワールドカップ、女子ハンドボール世界選手権大会に向けた準備が進められているが、関係者やファンの気持ちに沿いつつ、過度な投資にならないよう努めること。
 ・南阿蘇鉄道の復旧に関しては特例的に支援の拡充が図られたが、それでも全線復旧に必要とされている70億円程度の数%は地元負担が生じる見通しとなっている。自治体負担ゼロとなるよう独自の支援を。
 ・新幹線の騒音対策。県として定期的な調査を実施し、基準値を超える騒音・振動が発生している場合は国、JR九州に直ちに是正するよう求めること。
 ・新幹線ホームの無人化推進をやめさせること。
 ・SOGI、LGBT対策に積極的に取り組む企業の顕彰をおこなうこと。

 (3)健康福祉部
 ・希望するすべての仮設住宅入居者の入居延長を無条件で認めること。
 ・地震災害関連の支援制度がすでに終了していても、支援を要する被災者が存在する限り、個別の事情をくみ取り、柔軟に対応するよう、市町村に徹底すること。
 ・応急仮設住宅に入居している被災者の多くは生活弱者であり、日常生活へのきめ細かい支援が求められる。取り残され孤立することがないよう、支援の体制を市町村と連携し確保し、被災者の生活環境改善につとめること。
 ・あらゆる年金削減に反対し、年金カット法の発動中止を求めること。
 ・無年金・低年金の解決に足を踏み出して、最低保障年金制度の導入を国に求めること。
 ・年金の株式運用に反対し、利権と腐敗の温床ともなっている過大な年金積立金を計画的に取り崩し、給付水準を維持・拡充させるよう求めること。
 ・生活保護基準の切り下げをストップし、給付の改善を図るよう国に求めること。
 ・減らされてきた高齢者医療への国庫負担を抜本的に増額し、保険料・窓口負担の軽減を国に求めること。
 ・在宅医療は、本来必要な医療体制を確立させようと思えば大きなコストがかかるのは当然のことである。必要な医師・看護師を確保し、全地域的に提供体制を整備し、家族の負担に依拠しなくて済むレベルの在宅医療体制を確立すること。
 ・様々な病気の予防に大きな効果がある口腔ケアの体制充実へ、歯科、保健所、医療、介護など関係機関の連携強化を図ること。
 ・国保の都道府県単位化のもとでも事業主体である市町村の独自裁量を尊重し、一般会計からの繰り入れ中止や圧力的な徴収強化要請など、行き過ぎた市町村への介入は行なわないこと。市町村国保会計への財政支援を県独自に行うこと。
 ・公的医療施設等の病床削減を強引に進めないこと。熊本県は県立の総合病院を持たない県であり、それだけに市町村の公的医療機関への積極的支援が求められる。
 ・子どもの医療費助成制度の拡充をはかり、県として中学卒業までの無料化を実現させること。
 ・一人親、貧困、DV,子どもの非行、犯罪被害など家庭の悩みは多様化、潜在化している。一人で悩まず気軽に相談できるワンストップの相談窓口を設置し、専門的に対応できる人員の増員など対応体制の充実を図ること。
 ・待機児童の解消へ、保育所の増設と保育士の増員、待遇改善をはかること。
 ・重度心身障がい者医療費助成の対象枠を拡大すること。また自治体格差をなくし、すべての自治体で全額助成されるよう改善をはかること。
 ・障がい者の入院給食費、差額ベッド料に対する助成を実施すること。
 ・単身者用・家族用の障がい者公営住宅を増やすこと。
 ・無料低額診療事業が拡充されるよう県としても支援を。
 ・生活保護の住宅扶助費の引き上げをおこなうこと。
 ・被災者に対する義援金・生活再建支援金等については原則収入認定しないこと。
 ・保険適用に性同一性障害を加え、治療のできるクリニックを拡充すること。
 
 (4)環境生活部
 ・地下水涵養や汚染対策など、熊本の宝である地下水保全の取り組みが進められているが、将来にわたり安定的に地下水が保全されるためにも、涵養域における一定基準以上の規模の開発行為に関しては地下水への影響調査を義務付けることなど、涵養域の開発行為を抑止する制度の確立が必要である。
 ・原発依存から脱却し、再生可能エネルギーへの転換をはかるよう国に求めること。熊本は風力、地熱、波力、水力、太陽光など豊富な自然エネルギーに恵まれている。新たなエネルギーの開発・普及に力を注ぐこと。
 ・温暖化による農業、漁業、県民生活への影響を調査し、対策に万全をはかること。
 ・災害ゴミからのアスベスト飛散に継続的に注意を払い、また解体に関わる労働者の健康被害防止へ専用マスク着用の徹底など対策を繰り返し呼びかけること。
 ・防疫体制の強化。ヒアリなど害虫侵入の防止に万全の体制をとること。
 ・同和行政の終結。一般行政の施策に移行すること。部落解放熊本県研究集会に行政、学校関係者を動員することをやめるよう指導すること。
 ・多重債務者向け貸付事業を拡充すること。貸付限度額の引き上げ、年利の引き下げ、償還期間の延長など。
 ・動物愛護センターと愛護団体、NPO、地域の住民の協力も得られる仕組みを改善しつつ、譲渡促進、殺処分を根絶すること。
 
 (5)商工観光労働部
 ・グループ補助制度について、希望がある限り制度を継続すること。
 ・小規模事業者持続化補助金の増額・継続を国に求めること。
 ・マイナンバー制度は中小業者にとって負担が大きくメリットはない。国民的な理解も進んでおらず、制度の廃止を国に求めること。
 ・建設業許可申請等での社会保険未加入事業所への加入推奨は、実情に十分配慮し、許認可権限を持つ他省庁への制裁要請はやめること。早急に中小企業に対する社会保険料率引き下げ等の制度改善をはかるよう、国に求めること。
 ・社会保険強制適用でない事業者を現場排除しないように指導すること。
 ・経営、雇用、技術、金融、法律相談を総合的に受け付ける相談窓口の設置。
 ・呼び込み型開発から地場産業育成重視へ経済政策の転換をはかり、経営、雇用拡充への支援を強めること。
 ・中小企業・小規模事業者についての信用保証協会の保証は、「責任共有制度」ではなく、100%補償に戻すよう、国に要望すること。
 ・所得税法56条は家族労働の働き分を認めず、個人の尊厳と両性の平等に反する差別的な税制であり、国に対し、56条廃止を求めること。
 ・地方税の徴収行政について、納税者の権利を守る立場で、営業や生活再建に向けて親身な助言を行なうこと。徴収にあたっては、実情を十分に把握し、営業と生活を困窮させることのないよう配慮すること。納税の猶予、換価の猶予など、納税緩和措置を個別の実情に応じて柔軟に行うこと。
 ・国際スポーツ大会は財政状況も考え県民参加型で過剰な投資を抑制すること。
 ・住宅リフォーム助成制度を県として創設すること。
 ・消費税増税を中止し、大儲けしている富裕層・大企業に応分の負担をさせるよう求めること。
 ・最低賃金を大幅に引き上げ、時給1,000円の実現を。そのために、社会保険料の減免や賃金助成など、中小企業の賃上げに対する支援を行なうこと。最低賃金の地方間格差を是正し、全国一律最低賃金制度に踏み出す制度を作ること。
 ・労働者派遣法を抜本改正し、派遣労働は一時的・臨時的なものに限定すること。
 ・非正規から正規への流れを作り、同一労働同一賃金、均等待遇を進めること。
 ・異常な長時間労働を是正し、サービス残業を根絶すること
 ・男女の賃金格差是正、シングルマザーへの経済的支援の拡充、女性の無年金・低年金問題の解消をすすめること。
    原発に固執する九州電力は、電力供給量が需要を上回っているとして出力制御を実施しながら、原発は制御の対象外とし、太陽光発電を遮断しました。世界では原発依存度は低くなる中で、日本の突出した原発固執政策は国民の安全安心の願いにも背くものです。また気温上昇を抑えるために石炭火力発電の段階的解消がパリ協定で強調されており、苓北火力発電が稼動している熊本県としてはこの点からも再生可能エネルギーへの転換促進、九電に対し要請を強めることが求められます。
 ・危険な原発から撤退し、再生可能エネルギーに全面的にシフトするよう国に求めること。
 ・九州電力に対し、2030年までに出力ゼロにできるよう、苓北火力発電の段階的廃止を要請すること。
 
 (6)農林水産関係
 ・安倍政権による農産物輸入拡大のもとで食料自給率は38%にまで低下し、さらに日米首脳会談で日米FTA交渉を開始することで合意したことは、日本の農林水産業を極めて深刻な危機に立たせています。日本の経済主権、食糧主権を投げ捨てる亡国の農政からの抜本的転換が求められています。
 ・日米FTA交渉を中止し、各国の多様な農業の共存、食糧主権を尊重するルールを確立することを政府に強く求めること。
 ・有明海再生へ、諫早湾干拓の潮受け堤防開門調査を実施するよう国に求めること。
 ・漁民の共同を基本に営まれてきた沿岸漁業と水産資源管理の中に企業優先のルールを持ち込み、漁場利用の混乱と漁村の衰退を招く水産改革法案の廃案を求めること。
 ・農産物の価格保障を中心に、所得補償を組み合わせ、生産費をカバーする仕組みをつくること。
 ・国民の主食である米の需給と価格の安定に政府が責任を持つこと。
 ・農地の集積が進み、大規模化が進んでいるとはいえ、農業と農村の多くが、専業や兼業など大小多様な家族経営や、その共同で成り立っていることには変わりなく、今後の担い手対策も、農業の「経営安定対策」や大規模化、法人化を条件にせず、各種補助金も地域に存在する「続けたい、やりたい人(法人を含む)」すべてを対象とすべきである。
 ・財界主導の農協「改革」を中止し、農家の共同や農協の自主性・独立性を尊重し、協同組合の原点に立った役割を果たせるよう支援すること。
 ・被災農業者の営農再開・経営再建へ、農地や農機具・施設の復旧に手厚い支援を行なうこと。
 ・森林整備は、防災の観点からも早急な対策が求められている。近年急増してい  る記録的豪雨はいつどこで発生してもおかしくない。人工林が多く存在する地域など、災害危険個所について国とともに総力をあげて治山対策にとりくむこと。
 ・農業競争力強化支援法は、農村で地域を支えて頑張っている農家も競争にさらされ、体力の弱いものがさらに加速的に衰退していくことになりかねない。小規模家族農業が食料生産、国土保全、生物多様性の維持、文化伝承で大きな役割を担っていることに光を当て、地場の中小流通業者と連携した産直運動、地産地消の学校給食運動などに対する支援を強めること。
 ・農業・水産研究体制と関係職員の身分保障を充実させること。
 ・新規就農者に対する支援を拡充すること。
 ・民間所有の森林の植栽・下刈、間伐等の造林事業に助成をすること。
 ・諫早干拓の調整池に毎年夏に発生する大量のアオコは猛毒を持っており、海に流出した後もその毒素は残り、食物連鎖による人的被害も心配される。研究体制を強め、その調査結果を公表し、必要な対策を講じること。
 ・鳥獣等による農作物被害が拡大し、営農意欲の減退につながっている。対策として狩猟者の育成・確保、被害防止策の拡充をすすめること。中長期的には、緩衝帯となる農地や山村の復旧・再生が必要である。被害対策に取り組んでいる現場を支援する施策と予算の充実を図ること。
 
 (7)土木部
 ・公共事業は、大型開発や新規事業優先から、防災と老朽化対策に重点を移すべきである。維持・管理費の増額を求める。
 ・河川の堆積土砂の除去を定期的に適切におこない、水害防止に努めること。
 ・災害公営住宅を要望に応じて増設すること。建設場所は、従来のコミュニティの維持がはかれるよう考慮すること。
 ・耐震補強工事への助成をおこなうこと。
 ・応急仮設住宅の環境改善を、住民の要望に迅速にこたえて進めること。深くて危険な浴槽の改善、補修改修など。
 ・排水管、浄化槽などの破損に対しても宅地復旧と同様に支援対象とすること。また地震により地下水、井戸水の出方が変わった所についても、そのことにより余儀なくされた対策工事について支援すること。
 ・地盤が軟弱のため自宅再建の際に必要となるくい打ちに対する補助をおこなうこと。
 ・球磨川・川辺川の水害危険個所の改修を急ぐこと。
 ・瀬戸石ダム撤去を電源開発に求めること。ダム湖に沈殿した土砂の除去を国と電源開発に求めること。
 ・急傾斜地など災害危険個所の総点検と対策工事をおこなうこと。
 ・県内の道路橋、トンネル、歩道橋などの道路付属物について、措置が必要と判断される箇所については早急な対策をおこなうこと。
 ・公契約条例を制定し、下請け企業や労働者の権利を守るルール作りを進めること。
 ・私道、里道の復旧を支援し早急に改善をはかること。
 ・甲佐町の田口橋の復旧の際には、歩行者の安全をはかる歩道を設置すること。
 ・災害関連には改良復旧が柔軟に適用されるよう国に改善を求めること。
 ・県営住宅の数を増やすとともに老朽化した施設の補修改修を進めること。
 ・相続未登記が解体や住宅再建の重大な足かせとなっている。個別事例について柔軟な対応を行なうことや、制度の運用改善・見直しを国に求めること。
 ・県管理漁港の維持管理、必要な改修を地元漁民、住民の要望に沿って進めること。
 ・海岸線上の堤防を総点検し、高潮、洪水時にでも安全な堤防の高さを確保すること。
 ・工事下請け業者への賃金不払いなどの紛争や民間同士のトラブルについて相談窓口を作り、解決を後押しすること。外国人実習生に対しても相談窓口の存在を周知すること。
 
 (8)教育委員会
 ・教職員の勤務実態を調査し、公表すること。
 ・教員不足が深刻化している。定員を増やし、全小学校に英語専科教員を配置すること。
 ・県が小・中学校で実施している学力調査『ゆうチャレンジ』を廃止すること。
 ・学童保育の経費を支援し、保護者の負担軽減と支援員の待遇改善・増員をはかること。
 ・発達障害、不登校児童・生徒の受け皿体制充実へ、相談窓口の充実や専門員の配置、フリースクールの増設や発達障がい児を受け入れる施設の拡充を進めること。スクールソーシャルワーカーの配置を拡充すること。
 ・特別支援学校の寄宿舎は、仲間と暮らしを共にすることで人とかかわる力を培い、生活技術が身につく貴重な場となり、障がい児の自立を支援するものとなる。県立の支援学校に寄宿舎を設置し、指導員を配置すること。
 ・兼任や複数校かけもちでなく、全小中学校の図書室に司書を配置すること。
 ・様々な理由で義務教育を終えていない人や外国人国籍の人、不登校の生徒などを受け入れ、義務教育課程を学べる夜間中学を設置すること。
 ・道徳授業は教科化になじまない。国に対し反対の声をあげること。
 ・子ども食堂や見守り隊など、子ども支援グループへの支援をつよめること。
 ・PTAは任意加入の組織であるにもかかわらず、県立高校などではエアコン電気代をPTAに請求し、しかも高額な徴収を行なっている場合がある。教育環境維持のために必要とする経費は基本的に学校側が負担すべきであるが、保護者・生徒に負担を求める場合に基本的な考え方を示したガイドラインを県として策定すべきである。
 ・同和に偏重した人権教育をみなおすこと。熊本県こども人権フェスティバルを中止すること。同和加配をやめ、教師の多忙化解消のためにこそ教職員数の増加を図ること。
 ・定時制、通信制学校の運営費を増額すること。
 ・学校と社会がいじめと向き合い、学校では、どんなことより子どもの命が大切だという、子どもの安全への深い思いを確立することが大切である。いじめに真剣に対応する学校の様々な創造的な実践を広げること。
 ・教師の多忙化が深刻化しているもと、いじめの相談があっても「忙しいから」と後回しにしてしまうようなことがあってはならない。学校教育においてどんな大切な仕事があろうと、子どもの命が一番大切だという、子どもの安全への深い思いを確立することが必要である。人権侵害と暴力であるいじめの放置・隠蔽が、学校における「安全配慮義務」違反に当たることを明確にし、学校と教育行政の基本原則とすること。
 ・具体的なことをどこまで言うかは別にして、「いじめが起きている」際は速やかに全保護者に伝え、保護者たちも子どもの様子や変化を見守れるようにし、保護者と教員とのコミュニケーションを密にすることが大切である。いじめがあることをみんなが知り、大人たちが心配し、力を合わせる姿を示すことは、子どもたちを勇気づける。
 ・保健室の先生の複数配置などいじめ対策の予算措置を拡充すること。教員の多忙化の解消、少人数学級の拡充、養護教諭・カウンセラーの増員、いじめ問題の研修の充実などを進めること。
 ・子ども達にひらかれた児童相談窓口の拡充を図ること。
 ・不登校の子どもらを受け入れている民間・ボランティアのフリースクールや学習支援組織への支援を拡充すること。
 
 (9)警察
 ・信号機設置等、地元要望に迅速にこたえられるよう予算を増額すること。
 ・要望が寄せられた箇所について速やかに音声信号機が設置されるよう予算増額をはかること。
 ・性犯罪に関する被害者支援、二次被害の防止などのトータルな対策、加害者教育、再発防止策など被害者、支援者、専門家も含めて引き続き改革への検討を進める事が必要であり、性暴力・性犯罪を許さない世論と社会の構築へ、県としても啓発活動など取り組みを強める事。
  以  上

 

太陽光発電「出力制御」に関する申し入れ 2018年10月22日

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九州電力株式会社 社長  池辺和弘 様
    
 2018年10月22日
 日本共産党 福岡県委員会
 同   佐賀県委員会
 同   長崎県委員会
 同   熊本県委員会
 同   大分県委員会
 同   宮崎県委員会
 同   鹿児島県委員会
 同 国会議員団九州沖縄ブロック事務所

 太陽光発電「出力制御」に関する申し入れ
 
 貴社は10月13日(土) と14日(日)、離島を除き国内で初めて再生可能エネルギー・太陽光発電の受け入れ量を一時的に減らす「出力制御」(出力抑制)を実施した。電力供給量が、需要を大きく上回ることによる「大規模停電」を回避するためとして、太陽光発電事業者とつながる送電線を遠隔操作で一部切り離すことで「出力制御」を実施した。
 貴社は原子力発電4基(414万キロワット)を稼働し、「ベースロード電源」として「出力制御」の対象外としているが、この原発優先の姿勢が今回の事態をもたらした。ベースロード電源などという定義は国際的にはない。欧州では、再エネ優先給電の立場から、原発を含めた他の電源を出力変動させることで対応している。原発をフル稼働させ、再エネを遮断するのは世界の流れ、再エネ普及の取り組みに逆行している。
 なによりも国民は、安心・安全のためにも、原子力発電を停止することを望んでいる。 世界では原発依存度は低くなる中で、日本だけが2030年度には22%〜24%をめざすとしており、この異常さこそ、たださなければならない。
 太陽光発電をはじめとした、再生可能エネルギーに新規参入した事業者への制御は、実施日数の制限がなくなり、制御が頻発化した場合、補償もないだけに大きな打撃となる。九州電力では、再生可能エネルギー導入量の半数を占める太陽光発電は8月末で807万キロワット、そのほかを合わせると1160万キロワットとなっている。
 今回の出力制御に関して、原発を止める調整の選択肢がなく、太陽光発電を停止する考え方は、国民の安全安心の願いに背いていると言わざるを得ない。
 わが党は、危険な原発から撤退し、再生可能エネルギーに全面的にシフトすべきことをあらためて求めるものである。   
               
 以上
 申し入れでは、電力供給量が需要を大きく上回っているとして「出力制御」を実施しながら、稼働している原発4基は「出力制御」の対象外としていることを指摘。原発を動かし太陽光発電を停止する考え方は再生エネルギー普及や安全安心を求める国民の願いにそむくと訴えました。
 九電に対し、仁比氏は「九州の自然エネルギーの潜在力を引き出す経営をすべき」と迫り、田村氏は「再生可能エネルギー主力化を目指すと言いながら逆行している」と批判。「再生可能エネルギーだけでは脱炭素社会はできない」と言い逃れる担当者に真島氏は「定期点検で止まる原発の代替として火力発電をセットで増やしてきた」と指摘しました。
 かわの祥子参院福岡選挙区予定候補、大森ひとし参院佐賀選挙区予定候補、たかせ菜穂子、山口りつ子両福岡県議、むとう明美、井上ゆうすけ両佐賀県議、安江綾子長崎県議予定候補、山本のぶひろ熊本県議、えんど久子大分県議予定候補、前屋敷えみ宮崎県議、まつざき真琴鹿児島県議らが参加しました。(しんぶん赤旗 2018年10月23日)  
 九州電力が太陽光発電の事業者に発電の一時停止を求める「出力制御」を繰り返している問題で10月22日、九州7県の日本共産党の代表と仁比そうへい参院議員、田村貴昭衆院議員、真島省三前衆院議員らが福岡市の九州電力本店と九州経産局に申し入れを行いました。

 九電の担当者に要望書を渡す仁比参院議員ら要請行動参加者=22日、福岡市