議会質問・討論・意見書 2019年


知事提出議案に対する反対討論

印刷用PDFをダウンロードするには、ここをクリック(220kb)  知事提出議案に対する反対討論
 2019年12月県議会本会議 日本共産党 山本伸裕 2019年12月13日
 日本共産党の山本のぶひろです。
 まず請第11号、教育費負担の公私間格差をなくし、子ども達に行き届いた教育を求める私学助成請願でありますが、委員会の不採択という議決結果に反対し、採択するよう求めます。私学に通う生徒さんや保護者、先生方から毎年この請願は提出されていますが、残念ながらことごとく不採択とされております。一方、ほぼ同じ主旨の請願が、前回9月の定例県議会では採択されております。こちらのほうは、熊本県私立中学高等学校協会および熊本県私立中学高等学校保護者会の皆さんからご提出いただいたものであります。こちらの請願は採択されているのに、今回、ほぼ同じ内容の請願を、自民党、無所属の議員各位、そして、今回は公明党の皆さんも請願不採択という対応であります。前回はすべての会派が一致して賛同した内容に、なぜ反対されるのでしょうか。
 毎回、熊本私学助成を進める会の皆さんは請願提出に当たり、集められた署名をもって議会に訴えに来られます。今回は私学に通う生徒さんたちも大勢、請願採択を求めて直接議員に訴えを聞いてほしいということで参加されました。生徒さんらは口々に、自分が私学に通っているために親に負担をかけてしまっているのがつらい、弟や妹らの進学先の選択肢を狭めてしまっているのが申し訳ないと、声をつまらせながら訴えておられましたが、私はこうした私学に通う生徒さんたちの思いを受け止めたいと議員各位がもし考えておられるのならば、この請願は党派の垣根を超えて全会一致で採択していただきたいと思います。
 熊本県は高校生の約37%が私学に通っており、その比率は全国5番目の高さであります。しかもその人数、割合は2009年度から上がり続けています。けれども熊本県の私学助成は、5年前からほとんど補助額が変わっておりません。
 2017年度より、東京では国の就学支援金に都が上乗せすることで、全体の30%に当たる年収760万円未満世帯まで授業料無償となり、同じく埼玉では600万未満世帯まで、大阪では590万未満世帯までが授業料無償となりました。今年度、東京や大阪では補助がさらに増額され、神奈川でも無償化が進みました。お隣りの大分県では350万円未満世帯までが授業料無償となり、590万円未満世帯まで補助が拡充されました。私学助成拡充の流れは各都道府県それぞれに大きく広がってきています。来年4月からは高等学校等就学支援制度が変わり、年収590万円未満世帯を対象に支給上限額が引き上げられると言います。県が補助を削減させず、さらに拡充を図るならば、私学無償化の流れを大きく前進させることができます。ぜひ本請願について採択されるよう、議員各位のご理解ご賛同を求めるものであります。
 次に議案第40号、熊本県一般職の職員等の給与に関する条例等の一部を改正する条例の制定についてであります。一般職の職員の皆さんの給与を見直し、引き上げることについては賛成であります。県職員の労働条件の向上、賃金の引き上げは県職員の皆さんの生活を守るという問題だけでなく、民間事業所の処遇改善や地方経済の活性化にもつながることであり、積極的に賛同いたします。一方で、知事や教育長、議員など特別職の賞与について引き上げが提案されておりますが、こちらのほうは引き上げる必要はないと考えますので反対であります。したがってこの議案第40号と、そして議案第33号、令和元年度熊本県一般会計補正予算(第4号)には反対いたします。以上で討論を終わります。

決算認定に対する反対討論

印刷用PDFをダウンロードするには、ここをクリック(283kb)  決算認定に対する反対討論
 2019年12月県議会本会議 日本共産党 山本伸裕 2019年12月13日
 日本共産党の山本伸裕です。第25号、平成30年度熊本県一般会計歳入歳出決算の認定について、および第33号、平成30年度熊本県育英熊資金等貸与特別会計歳入歳出決算の認定について反対討論をおこないます。
 決算委員会は第一に、予算の執行は、議決の趣旨に沿って、合理的かつ効率的に行われ、所期の目的が達成されたか。第二に、財産管理は十分であったか、第三に、執行体制に問題はなかったか、第四に、法令違反等はなかったか。こうした審査方針のもとで慎重に審査が行われたとの事であります。まず第一項目、予算の執行は、議決の趣旨に沿って合理的かつ効率的に行われ、所期の目的が達成されたかという項目の中のカッコ1、歳入は適正に確保されたかという点に関して委員長報告では、貴重な自主財源の確保と県民負担の公平・公正の維持の観点から、費用対効果も踏まえ、効率的な徴収の促進に引き続き取り組むよう指摘した、とのことでありました。これに関して、熊本地震被災者までも滞納を理由に熊本県が裁判を起こし、県民からの大きな批判を受けたことについては肝に銘じるべき一件ではなかったかと思います。貸し付けた県育英資金の返済について、当初県教育委員会は、被災者であっても「例外は認めない」という対応をとっておられたわけであります。ところがこのことが県民からの批判を受けることとなり、結局熊本地震被災者については返済猶予の延長など、運用の見直しがはかられました。私が強調したいのは、相手の実情を考慮せず、寄りそう事の出来ない機械的な対応では相手を追いつめることになるし、また徴収促進にもつながりません。中小企業高度化資金の債権放棄の問題では地域経済を疲弊させてはならない、労働者の生活を守らなければならないとの考慮のもとで方針が決定されたわけであります。債権放棄という手法そのものの評価については別にして、相手の実情に寄りそった対応が不可欠であるという事を指摘しておきたいと思います。育英資金の返済滞納者を提訴するというやり方そのものについても見直しが必要であると考えます。
 カッコ2、歳出の執行に遺憾な点はなかったかという点についてでありますが、まず指摘したいのは立野ダムの直轄事業負担金であります。平成30年8月、同ダムの本体工事起工式が行われました。近年、想定を超えるような豪雨が各地で発生しているもとでダムの危険性が叫ばれており、ましてや県都熊本市を縦断する天井川である白川の上流に立野ダムを建設するということは、今後数十年という長期間にわたり、豪雨発生時には洪水調節機能を失う可能性がある巨大なコンクリート構造物が上流に存在し続けるという、大変危険なリスクを抱え込むことになってしまいます。今日の気候変動、極端豪雨の頻発という状況をふまえるならば、今後の河川改修はダム前提の考え方から脱却し、堤防強化、川幅の拡幅、河床掘削、ソフト対策の強化、そしてたとえ越水したとしても決壊しない堤防の建設。こうした方向に転換すべきであります。
 また、大蘇ダムを水源とする国営土地改良事業についてですが、ここまで事業が進められてきた以上、これからの農業振興にいかにしてつないでいくか、その可能性を見出そうと努力している県の努力は評価したいと思いますが、やはり当初の計画から5・5倍も総事業費が膨れ上がってしまったという状況は、当初の見通しに甘さがあったのではないかと感じざるを得ません。もちろん国営事業でありますから国におおもとの責任があるわけでありますが、ただ事業費の増大については国に苦言を呈するとともに、熊本県や農家の負担増にならぬよう注視していく必要があるものと考えます。
 次に、同和関連事業についての歳出の執行は適切ではありません。すでに国の同和対策事業は2002年3月に終結しており、それから17年が経過した今日、社会問題としての部落問題は基本的に解決された到達点にあります。にもかかわらず平成30年度の主要な施策の成果を見ると、人権教育・啓発に名を借りた同和問題に関する講演会、研修会などの事業が依然として継続されています。行き過ぎた同和対策は、それ自体が国民の内心を侵害し、何もなければ分け隔てなく生活できるはずの旧地区住民とそうでない者との間に新たな壁を持ち込み、部落問題についての自由な意見交換を逆に困難なものにし、部落問題の解決に逆行する結果をもたらします。人権教育、啓発に名を借りた同和事業というものは終結させるべきであります。
 次に審査方針の3、執行体制に問題はなかったか、審査方針の4、法令違反等はなかったかという点に関して意見を申し上げます。
 まず県職員、および学校教職員の不祥事が残念ながら平成30年度も、多く発生してしまっております。相次ぐ職員の不祥事は、県民の県行政、教育行政に対する信頼を損ねてしまうという点からも、軽視できない問題であります。研修マニュアルの改定などをはじめ、県や県教委が再発防止に一定の努力を図ってこられたことは承知しております。ただし警鐘乱打にとどまるだけでなく県職員、教職員の働き方改革の問題にまで踏み込んで検討する必要があるのではないでしょうか。とりわけ教員の多忙化は深刻な社会問題となっております。正規の教職員の数を増やし、異常な長時間労働の是正をはかることや悩み事、ストレスなどを相談できる環境づくりなどをはじめとして、学校現場もそして県庁内もストレスをため込まず健康的に働き続けることのできる職場環境へと改善をはかられることを強く求めるものであります。
 次に、県職員の採用問題では、平成30年、障がい者雇用者数の不適切な算出という事態も明らかになりました。県は蒲島知事ら関係者23人を文書訓告の処分とし、知事は記者会見で「法定雇用率の早期達成に努める」と謝罪されました。やはり決算認定に際しても、職場の差別解消や合理的配慮の徹底など、障がい者の働く環境を守る取り組みの先頭に県が引き続き立つよう、求めていくべきであろうと考えます。
 以上、ここで取り上げた以外の点でも諸々ございますが、申し上げた事柄をぜひとも今後の県政運営に活かしていただくことを願いまして討論を終わります。

日米貿易協定等を踏まえた国内対策の充実に対する意見書に対する反対討論

印刷用PDFをダウンロードするには、ここをクリック(247kb)  日米貿易協定等を踏まえた国内対策の充実に対する意見書に対する反対討論
 2019年12月県議会本会議 日本共産党 山本伸裕 2019年12月13日  
 日本共産党の山本伸裕です。
 議員提出議案第4号、日米貿易協定等を踏まえた国内対策の充実に対する意見書について反対いたします。
 TPP11、日欧EPA、そしてそれに続く日米貿易協定は、重要品目を含め農産物の関税の大幅な引き下げ・撤廃をおこない、国内農業に深刻な打撃を及ぼすものであります。提案されております意見書案は、農畜産物の更なる市場開放、あるいはグローバル化による競争の激化などが、あたかも避けることのできない世界の流れでもあるかのように表現されておりますが、それは一面的なとらえ方ではないかと考えます。実際には、際限のない市場開放が、多国籍大企業を潤し、競争を激化させ、中小企業や家族農業を衰退させ、貧富の格差拡大や地域経済の衰退をもたらしているとして、世界の各地で新自由主義と貿易拡大一辺倒の政策に対する批判や抵抗の声が広がっている現実があります。一例を挙げれば、アメリカの国際農業貿易研究所と全米家族農業者連合の声明であります。その内容を紹介します。農産物の自由化は、日本の農業、農民への打撃だけではなく、アメリカの農業にとっても重大な打撃を与える。なぜならそれは、両国の市場を開放し、農村経済に対する企業支配を強化することのみに奉仕する協定だからであり、アメリカの輸出向け畜産部門(特に豚肉、牛肉)は、極めて集約的で、集中家畜飼育施設で育成され、牧草にもとづく持続可能生産を脅かしている。動物たちは劣悪な状態に置かれており、生産された食肉は、サルモネラ菌など危険な細菌で汚染されている恐れがあり、水の汚染や温暖化効果ガスの排出量を増大させて、健康と環境を破壊している。これ以上の自由化は、それをいっそう激しくする。輸出国では、輸出向け穀物、果実などに対してポストハーベスト(収穫後農薬使用)が常態化しており、残留農薬の検出など、輸入国の食の安全を侵害している。こうした内容が指摘されているのであります。
 もともと貿易協定をはじめとする日米協議は、トランプ大統領がアメリカに有利な協定を日本に押し付けるためにはじまったものであります。日本政府は、アメリカトランプ大統領の要求を先取りするように、世界の規制の流れに反して、人に対する発がん性が指摘される農薬用グリホサートの残留基準値の規制を大幅に緩和しました。食の安全を脅かす重大問題であります。
 TPP11は2018年1月に、日欧EPAは4月に発行しましたが、その直後から乳製品、食肉、ワインなどの輸入が急増し、国内農業や地域経済に対する影響が現れています。政府は、仮に関税が全面的に撤廃された場合、食料自給率は14%に減少、コメの生産は90%減少、豚肉・牛肉は70%減少という試算を2010年に行なっていますが、このまま自由化が進めば、こうした事態が現実のものとなりかねません。
 日米貿易協定の承認案は12月4日、自民・公明の与党などの賛成多数で可決され、成立しました。承認案の審議は10月末の衆院本会議で始まったものの、菅原前経産相や河井前法相の辞任があったため実質的な審議入りが遅れ、衆院でもわずか数回の委員会だけで可決されました。参議院の審議も数回の委員会審議のみ、わずか10日余りしかたっていない中での採決であります。野党が繰り返し、協定実施による国内経済や農畜産業への影響試算を求めたのに、安倍政権は不十分な暫定値や暫定試算しか出しませんでした。協定実施による国内対策も、本年秋をめどに示すという事が10月1日に決められていたのに、いまだに示されていません。こうした審議の前提がないまま協定の承認案採決を強行したことは到底容認できるものではありません。
 よって県議会として政府に求めるべきは日米協定承認の撤回であり、日本の経済主権、食料主権を守るよう強く安倍政権に求めていくことであると考えます。こうしたことから、日米貿易協定等を前提とした意見書案は採択しないことを求めて、討論を終わります。

委員長報告に対しての反対討論

印刷用PDFをダウンロードするには、ここをクリック(272kb)  委員長報告に対しての反対討論疑
 2019年9月県議会本会議 日本共産党 山本伸裕 2019年9月30日
 日本共産党の山本のぶひろです。
 まず議案1号、一般会計補正予算案について申し上げます。今回補正予算の中に生活保護事務費として808万円、難病対策費として23万5千円の補正予算が計上されておりますが、この中にマイナンバー連携のためのシステム改修が含まれております。
 いま安倍政権のもとで健康保険法や戸籍法が改定され、個人の戸籍関連情報や健康保険関連情報がマイナンバーにひも付けされるといったシステム整備が進められております。個人の利便性の向上という事が強調されておりますが、障がい者や高齢者など、デジタルを使いこなすことが困難な条件や環境にある人、あるいは経済的な事情でITが利用できない人などへの具体的な対策が取られているのかといえば、それはデジタルに対応せよ、と求めているだけであります。また行政の手続きや業務に用いる情報を、紙からデジタルデータに変換しオンラインを原則とする「デジタル手続き法」が今年の通常国会で成立しましたが、これは暗証番号入力を要しない方式で利用できる方法を入れ込むなど、個人情報保護が後退したものとなっています。私は一般論として言えば、情報技術の発展を行政手続きに活用していくこと自体に反対するものではありませんが、しかし個人情報保護などに十分配慮をし、真に国民・県民の利益になる方向でどう進めていくのかという事について慎重な検討が不可欠だと考えます。もともとマイナンバー制度は、日本に住むすべての国民・外国人に生涯変わらない12桁の番号をつけ、様々な機関や事務所などに散在する各自の個人情報を名寄せし、参照できるようにし、行政などが活用できるようにすることを目的としています。しかし各分野の個人情報をひも付けして利用できるようにすること自体、プライバシー権の侵害の危険が生じるという重大な問題がありますし、またそのシステム改修のための余計なコストと手間がかかってしまうというのが実態ではないかと考えます。したがってマイナンバー連携のための関連予算には反対であります。
 次に議案8号、熊本県工業用水道料金の徴収等に関する条例の一部を改正する条例の制定についてであります。これは県工業用水道事業において、公共施設等運営権の導入を図るため、関係規定を整備するというものであります。
 熊本県の工業用水道事業は厳しい経営状況が続いております。けれどもコンセッションが水道事業体の赤字対策の特効薬にはならないという事は、政府も認めているところであります。コンセッションによって経営基盤の強化、支出の改善が見込まれるという説明を、すんなりと受け入れることはできません。さらに、今後利用料金の改定については、議会の同意を必要とするとの事でありますが、採算を考えると料金を上げざるを得ないような事態になることも、当然起こりうるわけであります。けれども利用料金をあげれば、企業が来なくなってしまうのではないか、という懸念も当然出てくるわけであります。そうなると水道事業の経営改善の決め手は、人員削減をはじめとした徹底的なコストカットという事にならざるを得ません。
 こうした厳しい状況を考えると、私は率直に言ってコンセッション方式の導入が工業用水道事業のみにとどまる限りにおいては、そこに参入する団体・企業が出てきたとしても、やはり厳しい運営を迫られることになるのは明らかであろうと思います。ただし、将来において市町村の上下水道など、今後広域にコンセッション方式が広げられていくという見込みがあれば、話は別であります。それは広域に、大規模に事業を運営することにより、事業の効率化・コストダウンが、はかりやすくなるからであります。つまり今回の工業用水道事業へのコンセッション導入が、今後地域において大規模な上下水道事業等へのコンセッション方式導入の突破口となっていく可能性が高まっていくのではないでしょうか。しかし公共性の担保への懸念や受益者への負担増などという危険性を考えるならば、上下水道の民営化・あるいは広域化、コンセッション方式の導入というのは決して賛同できるものではありません。
 以上のような不安要素を考えると、議案8号には賛同しかねるものであります。
 次に、請第10号、生活保護基準引き下げ中止を求める請願に関してであります。委員会の採決結果は不採択でありますが、これに反対し採択を求めるものであります。
 昨年10月、生活保護基準の改定が行われました。この改定は、食費や光熱費など生活費に当たる生活扶助基準を今後3年間で平均1.8%、最大5%、ひとり親世帯を対象とする母子加算を平均で月額2万1千円から1万7千円、3歳未満の児童養育費加算を月額1万5千円から1万円へと引き下げる、といった内容であります。一方で級地の見直し、基準額の改定など生活扶助基準の見直しなども行なわれています。このため、熊本県内では今回の基準改定によって、保護費が逆に増えているというところが多いといった議論も厚生常任委員会では行なわれました。確かに都市部よりも地方では保護費が増えるケースもございます。だからといって、熊本にとっては結構な話だという事にはなりません。今回の基準改定によってどういうご家族に負担増が押し付けられているのかを考える必要があります。それはおもに、子どもさんのいる世帯であります。近年子どもの貧困対策、あるいは貧困の連鎖解消という問題の重要性が叫ばれておりますが、まさに子育て中の保護世帯の生活を直撃する、子育て支援に逆行する基準改定だと言わなければなりません。生活保護基準の引き下げはこれまでも繰り返しおこなわれてきましたが、そのような中で、国連人権口頭弁務官事務所の人権専門官からは、いまの日本の生活保護基準は、貧困層の社会保障を脅かす水準だ、との指摘がなされています。「この基準に基づいて決定される最低生活水準は、国連人権法で要求される適切な生活水準と合致しない」との勧告を受けていることを日本政府は重く受け止めるべきであります。生活保護は憲法25条に基づく国民の権利であり、国はすべての国民に対し、健康で文化的な最低限度の生活を保障する責任があります。食事や入浴の回数を減らしたり、交際費を捻出できず親類や友人との交流を断ち、孤立してしまっている。こうした生活水準が、健康で文化的な生活とは到底いえないことは明らかでありますが、保護受給世帯にはこのような厳しい生活の実態があるわけであります。こうした点を考えると、生活保護基準の引き下げを直ちに中止するよう国に求めていくことは喫緊の重要課題であると考えます。請願は採択されるべきであります。
 以上、委員長報告に対しての反対討論を終わります。

「千興ファームに対する債権放棄」に関しての質疑

印刷用PDFをダウンロードするには、ここをクリック(258kb)  「千興ファームに対する債権放棄」に関しての質疑
 2019年9月県議会本会議 日本共産党 山本伸裕 2019年9月17日
 日本共産党の山本のぶひろです。
 議案11号、財産の減額譲渡についてお尋ねします。
 熊本県は平成12年度から13年度にかけ、株式会社千興ファームに対し、中小企業高度化資金として、合計26億9,400万円の貸付をおこないました。ところが千興ファームグループは、厳しい経営状況を理由に、法に基づき県中小企業再生支援協会に支援を申請。事業再生計画が作成されました。この中で熊本県は、貸付残高16億5千万円について、熊本再生ファンドに対し12億8千万円で減額譲渡すること、すなわち3億7千万円の債権放棄が求められているわけであります。
 中小企業高度化資金の目的自体は、もちろんわたしたちも賛成でありました。しかしながら貸し付けられる資金は県民から納められた税金であり、債権放棄となると県民に対して納得が得られるような説明責任が熊本県に求められることは当然であります。また議会に対し債権放棄への同意が求められておりますが、それならばやはり議会に対する丁寧な説明も必要であろうと考えます。
 私はまず、今回の貸付が、はたして企業の返済力量を超えない、身の丈に見合ったものであったのかどうか、そしてその貸付額26億9,400万円は、申請された基盤整備に本当に必要な適正な金額であったのかどうか、客観的に審査する必要があると考えます。
 そこで具体的に、まず第一点、私は、貸付対象物件とされた土地の住所、面積、評価額、それから排水施設やと畜棟、食品加工棟などの施設の図面、建設費用の見積もり金額などについて明らかにするよう、商工振興金融課にお尋ねしましたが、現時点ではまだご回答をいただいておりません。このままでは貸付額が適正なものであったのかどうか、判断のしようがありません。明らかにしていただき、その上で審査すべきだと考えますがいかがでしょうか。
 次に第二点目、会計検査院は平成16年度決算検査報告において、「中小企業高度化資金事業における不良債権が多額に上っており、その解消を図るため、よりいっそうの債権管理体制を整備することが必要な事態となっている」と指摘しています。ところが県の中小企業高度化資金の貸付残高62億円のうち、9割にあたる約57億円で回収が滞っていることが、熊本日日新聞で報じられました。このうち不良債権化した回収困難な未収金額は2018年度末で9団体27億5,200万円とのことであります。商工振興金融課によると、「売り上げの見通しなど事業計画は適正に審査している。廃業や収益悪化は外的な要因が大きい」とのことであります。しかし会計検査院が指摘していたもとで、熊本県の中小企業高度化資金もまた不良債権の問題が出てくるというのは偶然でしょうか。千興ファームの場合、債務残高は売上高を上回るきわめて高い水準となり、大幅な債務超過の状態となり、現在の経営状況では借入金の返済のみならず資金調達も困難であると指摘されていますが、そうなる前に何とかできなかったのかという疑問もわいてきます。会計検査院の報告も踏まえ、熊本県は不良債権解消に向け、千興ファームに対し事前に適正な指導を行なっていたのでしょうか。お尋ねします。
 次に第三点めですが、減額譲渡の理由として、国の再生支援や地域経済活性化支援機構の支援を受けて、着実な再生が見込まれること、千興ファームの馬肉製造・提供体制は全国で唯一の肥育から加工までの一貫生産体制により全国トップのシェアを有するなど、有用な経営資源を有していることなど、とされています。経営の改善が見込まれるというのであれば、債権放棄せず返還を猶予して、経営が改善したのちに回収すれば千興ファームにとっても県にとっても、さらにはほかの債権者にとっても県民にとっても、みんなにとって一番いいやり方ではないでしょうか。なぜそうした提案を熊本県はやろうとしないのでしょうか。
 以上三点、商工観光労働部長にお尋ねします。
 
 (磯田商工観光労働部長の答弁骨子)
 ・千興ファームの現状、再建減額譲渡等の要請にかかる経緯及び今回の議案提案の理由について説明
 ・質問①について:中小企業基盤整備機構とともに、中小企業診断士等専門家による事業診断をもとに、設備投資規模や金額について適切であると判断し貸し付けを実施した。
 ・質問②について:貸し付け後の経営状況の把握等については、毎年決算報告を受けている。当初9年間は計画通り返済されていたが、その後リーマンショック等経営環境の悪化、平成28年の熊本地震により収益がさらに悪化。県ではこのような状況を関係機関と共有し、指導等に努めてきた。
 ・質問③について:債権放棄をせずに返済猶予でよいのではないのかとの点について。千興ファームは熊本地震で深刻な影響を受け、売り上げが戻らず、大幅な債務超過の状況にあり、運転資金の確保も困難な状況にある。今後事業継続をはかるためには大幅な債務の圧縮等、財務内容の抜本的な改善が不可欠。このため、再生支援協議会の支援により再生計画が策定された。
 ・再生計画では、抜本的な経営改善を図ることで将来に向け300名の雇用や馬食文化を守ることができると判断し、本議案を提出させていただいた。
 
 (答弁を受け再登壇)
 磯田部長に置かれましては、限られた質疑時間を考慮していただき、早口でのご答弁ありがとうございます。けれどもやはり短時間でのご答弁だけではすっきりできません。
 もちろん地域経済や社員の雇用問題を考えた時に企業を倒産させてしまうのでなくて再建の道を選ぶという考え方は私も賛成であります。しかし何度も強調しますが、債権放棄するお金は県民の税金であるということを忘れてはなりません。中小企業高度化資金において、ほかにも不良債権を抱えているのならばなおさらのこと、貸付が適正なものだったのか、企業に対する指導はどうだったのか、県の課題として改善すべきところはなかったのか、真剣に検討すべきであります。ぜひ、皿を叩き割る勇気を求めたいと思います。

加齢性難聴者の補聴器購入に対する公的補助制度の創設を求める意見書について

印刷用PDFをダウンロードするには、ここをクリック(229kb)  6月議会質問
 2019年6月県議会本会議 日本共産党 山本伸裕 2019年6月24日
 日本共産党の山本伸裕でございます。議員提出議案第3号、加齢性難聴者の補聴器購入に対する公的補助制度の創設を求める意見書について提案理由説明をおこないます。この議案は◎議員との共同提案でございます。
 本意見書は、加齢性難聴者、つまり高齢に伴う難聴の方が補聴器を購入するときに公的な補助制度をつくってほしいという内容であり、兵庫県議会では全会一致で採択されております。
 加齢性難聴は、日常生活を不便にし、コミュニケーションを困難にするなど生活の質を落とす大きな要因になっております。さらに加齢性難聴によりコミュニケーションが減り、本来会話することで脳に入ってくる情報が少なくなってしまい、そのことが脳の機能の低下につながり、うつや認知症の発症につながるということが最近では考えられてきています。
 近年は定年延長や再雇用など、働けるうちは働き続けたいとか、働かないと生活していけないとか、高齢者の社会参加の流れが加速しております。しかし一方で社会参加、あるいは働く際に耳が聞こえにくいというのは大きな障害要因となります。補聴器は高齢者の社会参加のための必需品といえる存在であります。
 ところが日本の難聴者率は、欧米諸国と大差がないにもかかわらず、補聴器使用率は欧米諸国と比べてずいぶん低い水準にとどまっております。これは公的補助制度に大きな格差があるためであります。欧米では様々な公的補助がありますが、日本の場合は聴覚障害6級以上として身体障害者手帳が交付された方、両耳の聴力レベルが70デシベル以上の方、若しくは、片側の耳の聴力レベルが90デシベル以上であって、もう一方の耳の聴力レベルが50デシベル以上の方を対象に、補聴器購入等に要する費用に対する一部補助が存在しているのみであります。ちなみに聴力レベルが70デシベルというのは、40センチ離れると会話が理解できないという、相当重度の難聴の方であります。
 一方、WHO、世界保健機関が奨励する補聴器装着の聴力レベルは41デシベルであり、これは基本的には聞こえるけれども時々人の言うことがちょっと聞き取れない、聞きづらいというレベルであります。なぜWHOがそのレベルでも早く補聴器をつけたほうがいいといっているかということには実は大きな意味があります。そのレベルをほっておくと更にひどくなる、そのまま放置すると、認識できない音が増えていく、それで補聴器をつけて音の認識が保てる状態を維持しておいたほうが、加齢性難聴への進行を防ぐことができるというそのレベルが41デシベルだということであります。
 残念ながら日本の場合は障害者手帳が交付されるような重度の難聴の方以外には公的補助がなく、しかも補聴器の値段は極めて高額であります。補聴器工業会が発表した補聴器一台の平均価格は15万円との事であります。しかし補聴器は大変な精密機器でありまして、実際には30万円以上のものでないと人それぞれの聞こえに合わせるような調節ができないというのが専門家の御意見でございます。
 そうすると、収入が少なくなっていく高齢者あるいは年金生活の方々にとっては、30万円以上となりますとかなり負担が大きいわけであります。片方でも30万円以上、両耳だともう50万、60万円ということになると、低所得の方々、生活保護を受けている方々などはもう諦めてしまうという傾向に陥ります。他者とのコミュニケーションがほとんどとれない、他人の話を聞き取れないまま毎日を過ごされている、というようなことが今実際にあるわけで、大変深刻な社会問題といわなければならないのではないでしょうか。
 日本国内における難聴者は推計で1430万人、しかし補聴器をつけておられる方は210万人、14,4%にしかすぎません。欧米の半分以下の比率ということであります。やはり欧米諸国が実施しているように補聴器利用の促進を図る、そのためにも公的補助で利用の促進を図ることが、重度の難聴への進行を抑えることにもなり、高齢者の社会参加を促すことにもつながり、うつや認知症の進行を予防することにもつながるわけで、それが結果的には医療・介護の費用抑制にもつながってまいります。
 地方自治体レベルでは、補聴器購入に独自の補助をおこなうところも生まれてきています。こうしたことから、やはり国として、加齢性難聴者の補聴器購入に対する公的補助制度を創設することが切望されているわけでございます。以上の理由により共同提出させていただきました本議案に、議員各位のご賛同をいただきますようお願い申し上げまして、説明を終わります。よろしくお願いします。

6月議会質問

印刷用PDFをダウンロードするには、ここをクリック(427kb)  6月議会質問
 2019年6月県議会本会議 日本共産党 山本伸裕 2019年6月13日
 1、気候変動に伴う適応計画の策定について
 まず、気候変動に伴う適応計画の策定についてお尋ねします。昨年、気候変動適応法が施行されました。それまでわが国においては、地球温暖化対策の法律はありましたが、気候変動による被害の防止や軽減を図るための措置を位置づけ、推進をはかる法的根拠は存在しませんでした。そこで策定されたのが気候変動適応法であります。地球温暖化を防止するための緩和策と、温暖化による被害軽減を図る適応策は車の両輪であり、両者それぞれに推進をはかることが重要であります。
 適応法では地方公共団体に対し、地域気候変動適応計画等を策定し、地域の実情に応じて細やかに適応策を推進するよう求めています。
 私は昨年6月の有明海・八代海再生及び地球温暖化対策特別委員会で、この適応計画の策定状況についてお尋ねしました。県はすでに平成27年度から策定に取り組んでいるとのことでありました。ちなみに鹿児島県の計画ですが、農林水産業、水環境、生態系、自然災害、健康、産業、国民生活などなど、各分野についてそれぞれに起こりうる変動を予測し、必要な対応策がかなり詳細に検討されています。私は、わが県としても、新しく制定された法に即した適応計画書を策定する必要があるのではないかと考えますがいかがでしょうか。環境生活部長にお尋ねします。
 
 (環境生活部長答弁骨子)
 現計画は、2016年度に他県に先駆け策定し、4分野について対策をまとめ、毎年度フォローアップを実施している。現計画が2020年度までとなっていることから、次期計画は2021年度スタートと考えている。
 国の計画に明記された7分野について、最新情報等を収集・整理の上地域への影響を精査し、本県の実情に応じた計画策定を進める。
 
 (山本切り返し)
 熊本県が他県に先駆け、全国に活用されるような適応計画を策定し、取り組まれて来たことは積極的に評価します。次期策定予定の第6次環境基本計画において、気候変動的応法に基づく適応計画を策定されると伺っております。加速度的に気候変動が進行するもとで県民の生命や生活環境を守り、社会の持続可能な発展を図るためには、温室効果ガスの削減に全力で取り組むとともに、被害の防止・軽減をはかる適応策に、国・県や市町村、多様な関係者の連携・協議の下、一丸となって取り組むことが重要であります。ぜひ熊本県も全庁挙げた積極的・先進的な取り組みを展開していただきたいと思います。
 
 2、ダムによる治水対策の見直しについて
 さて、その気候変動のもとで、これまでのやり方を見直すべきではないかと思われるものの一つが治水対策であります。資料1をご覧ください。これは全国の一時間降水量50ミリ以上の年間発生件数を、1976年から2018年の期間について示したものであり、気象庁がホームページに掲載しています。最近10年間の平均年間豪雨発生回数は、グラフにある最初の10年の平均件数と比べて1.4倍に増加しています。次に資料2のグラフは、気象庁のデータをもとに東京大学の中村尚教授が作成されたグラフであります。日本上空1500メートルの水蒸気量の変化を表したものですが、これも増加傾向であります。近年は記録的豪雨が各地で報告されていますが、それは発達した積乱雲が発生しやすくなっているからであります。
 現在、日本の治水対策は、30年に一回とか、150年や200年に一回降る雨に対応するものとしておこなわれています。しかし過去最大規模の大雨が今年来るかもしれないし、また来年はさらにそれを上回る大雨が降るかもしれません。何年に一回という発想がもはや通用しなくなっています。
 そこで土木部長にお尋ねしますが、
 まず一点目。これは一般論として伺います。これまで経験したことのないような大雨が右肩上がりで増加しているという今日の気候変動のもとで、河川の上流に水をためこみ洪水調節をおこなうという治水ダムは、極めて危険な構造物となりはしないでしょうか。なぜならダムは想定を超える雨が降れば洪水調節機能が失われ、緊急放流、自然放流に任せるしか手立てがなくなってしまうからであります。自治体研究社出版の「豪雨災害と自治体」という本の中で、神戸大学の田結庄良昭(たいのしょう・よしあき)名誉教授は、ダムによる洪水被害について書かれています。要約して一部紹介します。愛媛県の肱(ひじ)川では洪水により家屋が浸水し、9人が亡くなるなど大きな被害が生じた。上流のダムからの計画量を越える放流も水害を大きくさせた要因と思われる。愛媛県の鹿野川ダムは、安全とされる基準の6倍の水量を放流し、堤防から水があふれ家屋浸水、4人が亡くなった。また野村ダムのある西予市でも、放流量が最大になり、5人の死者が出た。ダムの放流による洪水の拡大については、2011年の紀伊半島豪雨水害など枚挙に暇がなく云々、とあります。
 私は、これまでに経験したことのないような大雨が毎年のように発生する今日の気候変動のもとでは、ダムを前提とした治水政策は危険であり、見直す必要があると考えますが、土木部長の見解を伺います。
 二点目です。建設中の立野ダムについてお尋ねします。
 熊本地震とその直後の豪雨災害によって、立野峡谷はあちこちに大規模な土砂崩落が発生しました。立野ダム湛水地周辺の地盤にも崩壊が多数発生し、直後の6月豪雨災害で崩壊地がさらに拡大しました。この場所にダムを作るなどということはあまりに危険だと誰もがそのとき感じたことだと思います。ところが国交省とかかわりの深い方々で構成された技術委員会は報告書をまとめ、この中で、土砂の崩壊は数年かけて少なくなっていく。斜面の安定化対策や土砂の流出抑制対策は技術的には可能であり、崩壊斜面の対策が順次講じられることで土砂の流出は抑制していく。さらに、流木については水理模型実験を行なって、閉塞を生じることはないと確認した。立野ダム建設は十分可能であると結論付けたのであります。
 はたして最近の湛水地付近の現状はどうなっているか。写真①は6月9日に撮影されたものであります。この写真は建設現場付近の村道から北向山方面を撮った写真ですが、土砂崩れを起こした斜面はブロックで固められたり緑地化がはかられたりしております。ただまだまだ人工林が残っており、また今後の大雨で大量の木々が流されるのではないかという不安があります。またもやでわかりにくいですが、奥の斜面を見ると幾筋ものがけ崩れが現在も発生していることがわかります。次の写真②ですが、北向山の崖崩れが発生している箇所を拡大して撮影したものです。更なる崩落がいつ発生しても不思議ではありません。次の写真③は川からそそり立つ斜面で大量の土砂崩落が発生している箇所であります。ダム湛水時にこのような土砂崩落が起きればダム津波が発生し、下流域に甚大な被害を及ぼす危険があるのではないのでしょうか。次の写真④は、長陽大橋の上から真下の土砂崩落の岩石を撮影したものですが、そこに置かれている重機と比較して、岩石の大きさがどれだけ大きいものかがわかります。地震や豪雨が発生すれば、このような巨大な岩石がダム湛水域に流れ込んでくる懸念があります。
 土木部長に伺いますが、ただでさえ熊本地震や豪雨災害で生じた崩壊地の多くがそのまま放置されているわけであります。加えて、現在の活発な地殻活動、先程申しました気候変動のもとで、3年前のような、あるいはそれを上回るような大災害の発生さえありうる状況であります。そうすればさらに大規模な崩落が発生する危険性があります。ダム津波、穴づまりの発生など、ダムの存在が危険な事態を引き起こすのではないでしょうか。
 次に三点目、白川の河川改修について、やるべき箇所の改修をやらずして立野ダム建設を推し進めることは許されないという点であります。私は先日県管理区間である白川中流域の状況を見てまいりました。写真⑤は三協橋であります。少しわかりにくいですが、左岸側の橋のたもと付近の護岸が出っ張り、橋梁によって河道が狭くなり流れを妨げる状況となっております。洪水時には非常に危険な個所になるのではないかと懸念されます。中流域にはこのように洪水時、流下の妨げになると思われる橋梁が複数ありますが、こうした箇所こそダム建設に予算をつぎ込む前に、最優先で改修を取り組まなければならないのではないでしょうか。
 以上三点、土木部長にお尋ねします。
 
 (土木部長答弁骨子)
 1、治水に対する考え方について
 治水計画は、河川ごとの特性を踏まえつつ、様々な手法を適切な役割分担のもと策定するものである。近年、全国で記録的豪雨が発生しているため、流域市町村と連携してソフト対策も含めた総合的な取り組みを推進してまいる。
 
 2、立野ダムにおけるダム津波や穴づまりについて
 ダム津波について、原因になると危惧される斜面崩壊のうち、湛水予定地斜面については、国が設置した「立野ダム建設にかかる技術委員会」で「必要に応じて対策を打を実施することにより、湛水に対する斜面の安定性を確保できると考えられる」との結論が出されている。
 一部の斜面では対策に着手されており、残る斜面についても、ダム
 建設事業完了までには必要な対策を適切に実施すると伺っている。
 穴づまりについて、技術委員会で「放流孔内に流木や大きな石が固定化されるような閉塞が生じることはなく、洪水調節能力にも影響はないと考えられる」との結論が得られている。
 
 (山本切り返し)
 私は一点目に、一般論として、ダムは想定を超える雨が降れば洪水調節機能を失い、逆に緊急放流など下流に危険を及ぼすことなるのではないかということをお尋ねしました。そのことにお答えいただいておりませんのでもう一度ご回答をお願いします。
 
 (土木部長再答弁。最初と同様の内容)
 
 (山本切り返し)
 結局ですね、ダムは想定を超える雨が降れば危険な構造物になるのではないか、との私の質問については、結局否定されなかったように思います。たとえ想定外の大雨が降ったとしても、決して住民の生命・安全・財産を脅かすような事態を招かないようにすることが、ハード対策の大命題にすえられなければならないと思います。そういう点でダムを前提とした治水対策は大きなリスクが生じるということを確認しておきたいと思います。
 そして、土木部長がご回答されるのではないかと予測していた問題についてもお話しますが、「ダムがあれば避難する時間が生まれる」とのお話がございます。しかし緊急放流によって一気に水かさが増し、堤防決壊の危険性があるという点については否定できないと思います。現に、死者が発生するなどの被害が現実に起こっていると指摘されていることを、もっと重大に考えるべきだと思います。なぜならダムを含む治水策の場合、堤防の高さや川幅の広さは、ダムによる洪水調節を前提に設計されているからです。ダムが洪水調節機能を失えば、より甚大な被害が下流域に及ぶことは明白ではないでしょうか。
 
 第二点目、斜面崩壊については、技術委員会において必要に応じて対策を実施することにより、安全性を確保できるとの結論が出されているとの答弁でありました。ただ蒲島知事は昨日の本田議員の質問に対し、北向山の崩壊は自然の力での復旧、との立場を強調されました。文化庁、環境省、林野庁、そして蒲島知事の見解はそうだけれども、しかしダム建設推進の国土交通省からすれば、技術委員会が指摘するように対策工事を実施すると。結局、ダム建設と北向き谷原始林を自然のまま残すということは両立できないということがはっきりしたのではないでしょうか。天然記念物を破壊し、コンクリートで固めた地域を景勝地に、というのはいかにも国土交通省らしい発想かもしれませんが、しかし巨大な人工的構造物であるダムは阿蘇の雄大な自然・景観を壊してしまうものだということを指摘したいと思います。
 さらに穴づまりの件ですが、技術委員会は放流孔内に大きな石や流木が固定化される状況はないと断言しました。ところがそのことを検証する実験は、つまようじ等を流木に見立てて模型で流してみるという事件は行なっているけれども、岩石については行なわれておりませんし、ましてや実際の洪水で想定される水気をたっぷり含んだ枝葉、根っこのついた流木、岩石、土砂が混ざり合って押し寄せてくる。そうした想定での顕彰は行なっていないのであります。これでどうして穴づまりを起こさないという結論をうのみにできるのでしょうか。私にはずさんであるとしか思えません。
 三点目、国土技術研究センターがまとめた河川を横過する橋梁に関する計画の手引きによると、河川を横ぎる橋梁は、狭窄部など河川流況が変化する区間を避けることとあります。河川の流れを妨げるような箇所があればその箇所から越水したり堤防が決壊する危険が高まります。
 現に国管理区間の代継橋、龍神橋は河道拡幅にともない橋の架け替えをおこないました。龍神橋は私の地元渡鹿にあり、地元の人たちから永く親しまれてきた橋で、何とか残せないかという要望がありましたが、河道が狭くなる箇所を解消しなければ洪水被害につながるとの説得にやむを得ず承諾した経緯がありました。一方で中流域ではこのような狭窄部が放置されています。洪水発生の原因箇所となりかねない危険個所を残したままでは行政の瑕疵が問われる。ダム建設の前に先にやるべきことがあるのではないでしょうか。 
 
 3、立野ダム問題について
 蒲島知事に見解をただしたいと思いますが、ダムを一旦作れば少なくとも半世紀あるいはそれ以上という長い期間、ダムは存在することになります。毎年のように、これまで経験したことのないような豪雨が発生している気候変動。そして活発な地震活動も今なお各地で発生しています。島原地溝帯が走り、断層が集中している立野峡谷、しかも崩れやすい、大変もろい地質から成り立っており、湛水域上部の斜面には広大な人工林が広がっています。こんなところにダムを作れば、極めて深刻な人災をもたらしかねない危険な構造物を後世に残すことになります。国土交通省が示した流下能力算定表を見ても、日常的な河道掘削と堤防強化により、ダムによらない治水対策は十分に可能であります。
 立野ダム建設がもたらすものは人災の危険だけではありません。公益財団法人日本交通公社は、阿蘇山岳を日本を代表する観光資源である特A級の指定をおこなっています。また立野峡谷は世界が認定した阿蘇ジオパークのジオサイトの一つでありますが、ジオパークは地層、地形、断層などを保護し研究に活かし、科学教育や防災教育の場、観光資源として地域振興に生かすことなどを目的にしています。その世界の阿蘇の玄関口である立野峡谷がダムと土砂崩落対策のコンクリートで固められてしまったら、雄大で貴重な自然、景観を壊し、教育面でも後世に残すべき貴重な財産を失ってしまうのではありませんか。
 こうした点からも立野ダム建設は中止すべきであると考えますが、知事のご見解を伺います。
 
 (知事答弁骨子)
 立野ダム建設については、国による技術的な確認・評価の結果、支障となる課題はないという結論が出されている。
 市町村も、ダムの早期完成を強く要望している。
 県としての治水対策の方向性は、これまでと変わるものではない。
 ダム建設予定地周辺の景観・環境の保全については、十分検討していただくよう国に要望してきた。その結果、国は検討委員会を設け、良好な景観を保全するための検討をおこなっている。
 加えて、阿蘇ジオパーク推進協議会や地元市町村と連携しながら、観光振興や学びの場などの取り組みも進めている。
 県としては、しっかりと取り組まれるよう、引き続き国に対し要望してまいる。
 
 (山本切り返し)
 昨日の北向谷原始林についての答弁の中で蒲島知事は、「阿蘇は熊本県民の宝であると同時に世界の阿蘇でもある。阿蘇北向谷原始林は太古の自然を今に残す貴重な財産だ」と強調されました。私はふと、「球磨川は守るべき宝」と強調された知事のかつてのご発言を思い起こしましたが、結局立野ダムについては、従来の立場から一歩も変わらない答弁でありました。残念でありますが私は、知事の判断が熊本の後世の歴史に重大な影響を及ぼしかねないということ、ぜひもう一度しっかり考えていただきたいと思いますし、また私たちとしても十分な県としての主体的な検証を今後も求め続けていくことを申し上げて、次に移ります。
 
 4、仮設住宅の供与期間について
 仮設住宅の供与期間の問題についてお尋ねします。昨年、民間賃貸住宅を探しているが見つからないという理由では仮設入居の延長が認められなくなった事により被災者を追い詰める深刻な事態が広がっております。
 先月、一般紙で、「強制退去 焦る被災者」と題する記事が掲載されました。退去の期限が7月に迫っているけれども、行く当てが見つからないという方の事情が紹介されております。私たちのもとにも、延長が認められずどうすればいいだろうかという相談が複数件寄せられております。4月、5月に入居期限を迎えたみなし仮設入居者の74%が延長が認められなかったと報道されています。みなし仮設の入居延長をしない場合は、入居者を無理やり退去させなくても、県としては業者との契約を終了すれば済むわけで、つまり延長を打ち切りやすいわけであります。なぜ、熊本県は強制退去と報道されるほど、仮設からの退去要請が強められてきたのでしょうか。私は、蒲島知事がご自身の三期目の任期までに、すなわち2020年の4月までに、仮住まいゼロを実現し、住まい再建を終えると宣言されたことと無関係でないと感じています。しかし仮設住宅から強制的に退去させたとしても、それで住まい再建完了と宣言できるような状況には決してなりません。いまだ自宅再建の見通しが立たず仮設住宅にとどまっている方々は、その多くがいわゆる災害弱者であり、収入や健康面で心配を抱えておられる方々です。生活状態や健康に不安を抱えた状態のままで退去すれば、いっそうの生活悪化に陥ります。そこでまず一点目に、入居延長要件を狭めたことを撤回し、基本的には延長を希望する方々の要望を受け入れるべきだと考えますがいかがでしょうか。この点は蒲島知事にお尋ねします。
 次に、被災者の孤立と生活悪化の問題であります。熊本地震における医療費の窓口負担等の免除措置を求める会の皆さんが、昨年11月から今年3月にかけて、益城町、西原村、甲佐町、熊本市の9つの仮設住宅団地と一部のみなし仮設入居者について、被災者の健康と生活に関する実態調査に取り組まれました。その中で寄せられている被災者の訴えは切実であります。地震後眠れなくなった、病院に行く回数を減らした。収入が少なく、貯金を取り崩して生活している。電気代が高いのでエアコンは使わない。特に食費を切り詰めている。近所に知り合いはおらず、挨拶もしない。地域活動に参加することもない。相談相手は特にいない。などなどであります。こうした方々がこれからどんどん仮設から退去されていく事になれば、いっそうの健康悪化、孤立、生活困窮が進行することが心配されます。こうした方々に、必要なサポートを行なっていかなければならないことは当然だと私は考えます。
 国も、被災者の生活再建について継続して行政が支援を行なっていくことの必要性を認めています。「被災者見守り・相談支援事業」について厚生労働省は、熊本地震については2020年度まで国の100%補助を継続し、さらに仮設退去後も、災害公営住宅や民間賃貸物件に入居された方、あるいは自宅に戻られた方々も含め、支援の対象とすることを表明しています。私はこうした国の支援なども積極的に活用し、まずは県として仮設入居中の世帯、退去された世帯について、その後の生活実態を調査すること、その上で支援が必要と判断される方々についての情報を市町村や関係機関、医療や介護、福祉、ハローワーク、教育などの機関との連携をはかっていく。こうした取り組みが重要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 また関連して、孤独死調査について県は災害公営住宅入所者を含めないと発表しました。しかし災害公営住宅は、仮設団地などと比べても集会所も少なく、入居者同士のコミュニティ形成も困難となります。災害公営住宅での孤独死の増加は、他の被災地でも大きな問題となっています。被災者を孤立させない取り組みが効果を発揮しているかどうか検証するためには、孤独死の調査は必要な調査だと考えますがいかがでしょうか。以上、これは健康福祉部長にお尋ねします。
 三点目の質問は、災害公営住宅の家賃の問題です。災害公営住宅に入居される方の大きな心配の一つは家賃負担であります。東日本震災では建設から最長10年の、収入が少ない方を対象とした特別低減措置が作られました。そのため最大で通常の家賃のおおむね三分の一程度に家賃負担が抑えられました。熊本地震で、災害公営住宅に入所される方々も、低所得者の方々が多数であります。県独自にでも家賃低減措置を設けるべきであると考えますがいかがか。土木部長にお尋ねします。
 
 (知事答弁骨子)
 私は、「被災者の住まいの再建なくして、熊本地震からの復興はない」と常々申し上げてきた。
 仮設住宅は、被災者の一次的な仮の住まいであり、恒久的な住まいへの一日も早い再建が大事だと考えている。そのためには3期目の任期中に仮設住宅の入居者をゼロにするという目標を掲げて被災者の早期の生活再建に全力で取り組んできた。
 本年度末時点で、自宅の建設工期の関係など、やむを得ない理由で仮設住宅に入居されている世帯が約1,700世帯おられ、この方々には、供与期間の延長が必要であり、今後、国との協議を進めてまいる。
 このほかにも、希望する民間賃貸住宅の物件が見つからないなどの理由で、再建が見通せていない148世帯に対しては、地域支えあいセンターや住まいの再建相談員が重点的に訪問し、被災者の希望に沿った物件の案内や災害公営住宅での再建を提案するなど、伴奏型の支援をおこなっており、再建先が決まっていないまま強制的に退去を求めることはない。
 今後も、被災者お一人お一人の実情や意向を踏まえ、一日も早い恒久的な住まいの再建に向けて、市町村と連携しながら全力で支援してまいる。
 
 (健康福祉部長答弁骨子)
  【仮設退去後の被災者の見守りや相談支援活動について】
 県では、仮設住宅を退去された方々が、再建先で孤立することな く安心して生活を営んでいただくことが、本当の意味での「生活再建」であるとの認識のもと、被災者支援を進めている。
 そのため、住まいを再建された方々についても、地域支えあいセンターの訪問等を通じて、生活状況の実態把握や必要に応じた見守りの支援等をおこなっている。
 国においても、地域支えあいセンターの支援対象について、「仮設住宅に入居中の方に限らず、必要に応じ、災害公営住宅や再建した自宅へ転居した方なども含める」としており、引き続き、国の補助事業等を活用し、市町村と連携して見守り活動や相談支援などに取り組んでまいる。
 
 【孤独死の実態把握について】
 県ではこれまで、仮設住宅での孤独死について、市町村を通して把握をし、対策につなげてきた。災害公営住宅についても、関係機関と連携して孤独死の実態を把握し、今後の被災者支援の施策等に活かしてまいる。
 仮設住宅を退去された方々が、再建先で孤立することなく、安心して生活していただけるよう、引き続き市町村をはじめ関係機関と連携し、きめ細かな支援をおこなってまいる。
 
 (土木部長答弁骨子)
 熊本地震被災者の方々のための災害公営住宅は12市町村で整備中。その家賃は市町村が定めるもので、民間賃貸住宅と比べて低く設定されている。また、入居される方の収入が低い場合には、家賃を減免する制度がある。
 独自の家賃低減措置は困難だが、被災者の経済負担軽減のため、減免制度の活用等を市町村に働きかけ、公営住宅への入居を支援していく。また、仮設住宅からの転居費用や公営住宅への入居支度費用を助成するなど、被災者の方々の不安解消をはかって参る。
 今後も、被災された方々が安心して生活を送っていただけるよう、住まいの再建支援に取り組んでいく。
 
 (山本切り返し)
 私は、知事が任期中に仮住まいゼロを実現する、住まい再建を終える、と宣言されたことによって、結果的にその目標が独り歩きしてしまったのではないか、数追いになってしまったのではないかということを申し上げております。
 実際に、仮設供与期間の延長についてはどのような検討がされたでしょうか。仮設入所者に対し一枚の調査票によって延長を希望するかどうかの意向調査が行われました。その内容ですが、まず住まいの再建について、自宅再建か民間賃貸住宅への転居か、公営住宅入居を希望するのか、その他か。該当する項目にチェックする。また供与期間内に退去できない理由は何か、下に書かれた三つの項目のうち該当するものにチェックする、というものであります。三つの項目とは、先ほど知事が言われた項目ですが、これではご家族がどんな困難を抱えているのか、わかりようがありません。なぜ延長を希望しておられるのか、理由を書ける場所はどこにもありません。これで一軒一軒の実情に寄りそった対応が担保されるでしょうか。
 ピーク時には4万8千人もの方が仮設住宅などの避難生活を余儀なくされました。延長を希望したが認められなかった、あるいは本当は延長したかったのだが、要件を見てあきらめたという方も多数いらっしゃいます。もちろん、順調に生活再建の道を進んでおられる方もおられるでしょう。ただその一方で、無理して仮設を退去したがために、健康が悪化した、生活が困窮している、商売が立ち行かなくなったなどの困難に直面しておられる方の数も多数に上ると思われます。お一人お一人の被災者、一つ一つの被災家族に寄り添って支援するというのであれば、当然県としてすべての仮設入居者、退去者の生活実態の追跡調査を行なうことが必要であります。住まいを失った方がその後どこに居住し、どんな生活を送っているのか、どのようなサポートが必要なのか、そうした実情を把握している支援団体と行政との情報共有、支援活動が継続されるための体制的、財政的な保障など、国の支援も積極的に活用し、県が市町村としっかりと連携して取り組んでいただきたいと思います。
 災害公営住宅の家賃補助の問題でありますが、これも東日本震災の被災者と熊本地震の被災者で格差が作られた問題です。蒲島知事は、東日本震災のような特措法は実現しなかったが、様々な支援により東日本と同等の、あるいはそれを超えるような支援が実現したと強調されてきました。しかし岩手、福島ではいまだに継続している被災者向け医療費免除制度が熊本ではわずか1年半で打ち切られ、仮設住宅からの強制退去と批判されるような延長要件が持ち込まれ、家賃補助は実現せず。被災者向け生活支援という点では非常に大きな格差がつくられました。一人ひとりの被災者からすれば、自宅をなくした、生活が困難になったという実情は東日本も熊本地震も変わらないのであります。被災者に寄りそうという言葉がスローガンだけでなく、実態あるものになるよう、今後の県の取り組み強化を求めたいと思います。
 
 5、国民健康保険料の問題
 国民健康保険制度についてお尋ねいたします。
 高すぎる国民健康保険料・保険税が、住民の暮らしを苦しめています。国保料が払えず、滞納している世帯数は2018年、全国で267万世帯にも上り、全加入世帯の約14.5%にも上っています。国保制度の最大の問題は、加入者の平均所得は他の保険制度に比べて低いのに、保険料負担率は逆に一番高いという問題であります。例えば、熊本市に住む給与年収400万円の4人世帯というご家族の場合で比較しますと、仮に協会けんぽに加入していた場合、保険料の本人負担分は年24万円でありますが、同じ年収・家族構成の世帯が国保加入だと保険料は年48万円と、ほぼ倍額になります。
 知事にお尋ねしたいことのまず一点目は、この高すぎる保険料問題を解決する事は、県民の暮らしと健康を守るためにも、重要な政治課題であること。そして高すぎる保険料を引き下げるためには、公費を投入する以外に道はないことは明白ではないかと考えますが、こうした認識を共有していただいているかどうかについてまずお尋ねします。
 全国知事会、全国市長会、全国町村会なども、国保の定率国庫負担の増額を政府に要望しております。ところが安倍政権は、国民健康保険料・保険税のさらなる大幅な値上げを検討しています。5月31日、安倍首相が議長を務める経済財政諮問会議では、「国保の都道府県内の保険料水準の統一などに取り組む先進・優良事例を全国展開すべきだ」との提言が出されました。もともと国保都道府県化は、これまで市町村ごとに分かれていた国保の財政を都道府県に集約し、一般会計からの繰り入れなど市町村独自の国保料軽減策をやめさせ、その分を保険料に転化させるというところに大きな狙いがありました。また差し押さえなどの収納対策の強化、病院統廃合や病床削減による医療費削減などの推進について、都道府県と市町村の取り組みを政府が採点し、実績をあげた自治体に予算を重点配分するという保険者努力支援制度も導入されました。
 こうした政府のやり方を熊本県は追随し推進するのか、それとも住民を守る防波堤となるのか、熊本県の役割が鋭く問われています。そこで二点目の質問ですが、あくまで国保の運営主体は市町村と都道府県であることを踏まえ、保険料の設定や一般会計からの法定外繰り入れは自治体の判断でできることを保障すること、生活困窮者への自治体独自の軽減策は尊重されること、強権的な保険料取り立てをしないよう市町村に徹底を図ること、こうした姿勢を知事に貫いていただきたいと思いますがご見解を伺います。
 
 (知事答弁骨子)
 国保は、被保険者の年齢層が高く医療費水準が高い、所得水準が低く保険料負担が大きいという構造的問題があると認識。
 県としては、他の医療保険制度との保険料負担の格差をできる限り縮小するため、さらなる財政支援の拡充について、引き続き、全国知事会と連携して、国へ要望してまいる。
 あわせて、毎年増え続ける医療費の伸びを抑えるために、健康づくりをはじめとする医療費適正化の取り組みも進めていく。
 保険料率の決定や法定外繰り入れを行なうかどうか等については、各市町村の判断。いっぽう、「熊本県国保運営方針」において、法定外繰り入れについては、被保険者の急激な負担増にならないよう十分配慮しつつ、健全な制度運用の観点から、計画的・段階的に解消していくこととしている。
 保険料の徴収については、お一人お一人の実情をよく把握し、必要に応じて分割納付や減免の措置を講じるなど、丁寧に対応するよう市町村に助言している。
 
 (山本切り返し)
 
 (切り返し)
 健康づくりをはじめとする医療費適正化を進めていくためにも、病気の早期発見、早期治療が大事であります。ただ、昨年度に厚生労働省が実施した調査によると、国保料が払えていない滞納世帯の比率は、熊本県は全国3番目の高さです。また滞納世帯の中で、正規の被保険者証を取り上げられてしまっている世帯の比率は、全国平均34%に対し熊本県は42.3%であります。安心して医療を受けられない深刻な状況にあります。受診抑制によって病状が悪化し、結果的に医療費がさらに膨らんでしまう。そうするとますます保険料が上がり、払えない世帯が増えるという悪循環に陥ります。この悪循環を断ち切る上でも、公費投入で保険料を引き下げる以外に道はありません。都道府県知事会が提案しているように、公費を1兆円投入すれば、協会けんぽ並みに保険料を引き下げることができます。これが実現すれば、がんばって法定外繰り入れをおこなっている市町村も救われます。引き続き、ぜひ国に強く声をあげていただきたいと思います。
 政府が保険料徴収率を自治体に競わせるようなことになると、当然強権的な、あるいは違法な取立てが横行する状況になりかねません。このことについて熊本県がしっかりと被保険者の立場に立って対応されるよう改めて強く求めたいと思います。
 6、LGBTについて
 LGBTについてお尋ねします。         
 県議会でも鎌田議員、城下議員がすでに質問で取り上げられ、県の取り組みをお聞きしております。今年、同姓婚を容認することを求める訴訟が全国4都市で始まりました。同姓パートナーシップ条例・制度を持つ自治体は今年の4月現在で、全国20自治体に広がっています。日本経団連が実施した「LGBTへの企業の取り組みに関するアンケート」では、90%以上の企業が「性的少数者に関して社内の取り組みが必要」と回答しています。性的マイノリティに対する差別をなくすための運動が、社会を大きく動かしております。
 質問準備でこの問題を学習いたしまして、私自身もつくづくこれまでの認識不足を痛感しました。多様な性のあり方への無理解や偏見に苦しみ、自尊感情を育てることができずにいる子どもや若者たちが、実は身近なところに存在している可能性があり、知らず知らずのうちにそうした方々を苦しめるような言動を取っているかもしれないということを自覚しなければならないと思いました。そういう点ではあらゆる分野で理解を深め、取り組みを促進しなければなりません。多様な性のあり方を認め合う社会ほど、社会のすべての構成員が個人の尊厳を大切にされ、暮らしやすい社会になります。
 こうした立場で、熊本県もすすんだ他の自治体の取り組みにも学び、さらに積極的な施策の推進をご検討いただくよう求めたいと思います。
 具体的取り組み強化方向として、
 ◎公的書類における不必要な性別欄の撤廃。
 ◎同性カップルを「結婚に相当する関係」と認定する条例や施策を制定する。
 ◎それぞれ企業が、規模に応じて、相談窓口の設置や福利厚生、社内研修など適切なSOGI、LGBT対策を実施する。
 ◎県として、SOGI、LGBT対策に積極的に取り組む企業の顕彰をおこなう。
 こうしたことを要望したいと考えますが、環境生活部長の見解を求めます。
 
 (環境生活部長答弁骨子)
 LGBTの方々は、偏見や無理解からさまざまな困難に直面している現状がある。社会の関心が高まり、マスコミ報道の増加、法制定に向けた動きも。
 性の多様性が尊重され、当事者に安心して暮らしてもらうことは重要な人権課題。県では、職員や県民が正しい知識を持って対応できるよう研修会を開催、啓発資料を作成。昨年度から、各種申請書等の性別記載欄の見直しも進めている。
 引き続き、県民の正しい理解が深まるよう、啓発等に取り組んでまいる。
 
 (山本切り返し、最後のあいさつ)
 性の多様性を認め合い、性的マイノリティへの差別をなくし、尊厳を持って生きることを求める運動が年々大きくなっています。こうしたLGBTの問題も含め、一人ひとりが大切にされ、誰もが自分らしく生きることができる社会、個人の尊厳とジェンダー平等が守られる社会を実現することが大切だと思います。私たち日本共産党としましてもこうした考え方を共有できるすべての皆さんと党派立場を超えて手を取り合って、差別や分断のない社会を作るためにがんばってまいりたいと思います。そうした決意を最後に申し上げまして私の一般質問を終わります。有難うございました。

平成31年度熊本県一般会計予算についての反対討論

印刷用PDFをダウンロードするには、ここをクリック(278kb)  平成31年度熊本県一般会計予算についての反対討論
 2019年3月県議会本会議 日本共産党 山本伸裕 2019年3月15日
 日本共産党の山本伸裕です。平成31年度熊本県一般会計予算について反対討論を行ないます。
 新年度予算編成の基本的な考え方として熊本県は、復旧・復興の着実な実施に加え、戦略的目標達成に向けた取り組みや人口減少問題への対応、さらには国際スポーツ大会の成功を実現するため、「重点加速化枠」を設け、より実効性の高い施策が大胆に展開される予算となるよう編成した、との事であります。熊本地震関連予算として総額761億円、当初予算の規模は7,915億円となっております。平成30年度当初予算と比べて423億円のマイナスであります。さらに熊本地震発災以前からの当初予算額の推移と見比べてみても、新年度予算額の規模は、ほぼ発災前の予算額の延長線上にあるといってもいいほどに抑制されていることがわかります。こうした予算編成の結果、通常債の新規発行額は元金償還額以下に抑制され、県債残高が減少しております。また財政調整用四基金残高は前年度から2億円増となり、84億円が確保されております。このような指標をみると、予算編成に多大な苦労と工夫がなされたであろうことが感じられるわけであります。熊本地震の苦難を乗り越え、再び熊本県が財政健全化の方向へ流れを切り開いていこうとする努力の様子もうかがい知ることができます。借金返済至上主義と緊縮財政志向は全国の地方自治体の共通した努力方向でありますが、しかし一方で、行政サービスに本来当てられるべき予算までもが圧縮され、あるいは基金積み立てに溜め込まれていくとするならば、私はもろ手を挙げて賛同することはできません。
 日本共産党熊本県委員会は昨年12月、蒲島知事に対し、2019年度県予算編成への要望書を提出いたしました。その中で私達は、いま安倍政権が国際競争力強化の名のもとに、大都市圏環状道路、国際戦略港湾、国際拠点空港の整備などを地方政治に押し付け、その一方で医療や介護など福祉施策の後退が深刻な問題となっていることを指摘いたしました。そして熊本県に対し、住民の福祉を守るという本来の地方公共団体としての役割をしっかりと果たすよう求め、具体的には199項目の要望項目を示し、ぜひ予算編成に反映していただくよう求めました。その要望項目のすべてをここで申し上げる時間はございませんので、重要課題として強調した項目の一部を再度強調しておきたいと思います。
 まず、被災者の苦難に寄り添った熊本地震からの再建支援策の拡充であります。一部損壊家屋に対しても公的支援制度を適用するなど、被害の実態に見合った生活再建支援制度へと改善をはかること、また入居延長を希望する仮設暮らしの方々に対し、延長希望を認めないという冷たいやり方を改めることなど求めます。
 次に、国民健康保険制度の問題であります。2017年の厚生労働省の調査によると県内の国保滞納世帯は5万3千世帯。全加入世帯の20%を超え、東京都に継ぐ全国2番目の高さとなっています。また、短期被保険者証の交付割合は全国トップであります。これは保険料が高すぎて払えないと悲鳴を上げる方々が広がっているからであります。実施主体である市町村への財政的支援を強く求めるものであります。
 子育て・教育支援の問題では、全国でダントツに最悪レベルとなっている子どもの医療費助成制度の対象年齢を引き上げること、教育費負担の軽減・解消をすすめること、私学助成の増額、給付型奨学金制度の拡充など実現を求めます。
 立野ダム建設の問題では、すでに河川整備計画で目標とされた白川の流下能力は達成されており、ダム建設の必要性はなくなっております。逆に想定外の水害が発生すればダムは大変危険な存在となってしまいます。ダム建設の中止と堤防強化など河川改修を中心とした対策に方針転換するよう求めます。
 まだまだございますが、すでに県には要望書を提出しておりますので割愛いたしますけれども、わたしたちが提案した要望項目について、ぜひ取り入れていただき、予算措置がはかられるよう今後も求めていきたいと考えております。
 ところで、県財政の安定的な財源保障という点では、地方交付税など国からの財源措置が重要な柱となるわけでありますが、トップランナー方式やKPI・重要業績評価指標による地方創生事業の管理など、成果主義が持ち込まれ、国が主導し自治体を一定の枠組みに追い込むようなやり方を危惧するものであります。
 一方、地域医療構想や国民健康保険の都道府県単位化、大規模災害での独自の支援制度、あるいは大型公共事業など、熊本県の姿勢が住民生活を左右する場面が増えつつあります。それだけに、熊本県、および県職員がどれだけ県民の実体、願いに寄り添って仕事を進めていくかがますます重要になっているように感じます。国に対して十分な財源保障を求めるとともに、対等・平等の国と地方自治体との関係性を堅持し、住民自治、地方自治を尊重することを貫き、県民に寄りそった財政運営を図っていただくよう求めて討論を終わります。

2019年2月県議会本会議 補正予算など提出議案に対する反対討論

印刷用PDFをダウンロードするには、ここをクリック(238kb)  補正予算など提出議案に対する反対討論
 2019年2月県議会本会議 日本共産党 山本伸裕 2019年2月27日
 日本共産党の山本伸裕です。
 まず最初に議案45号、および46号、熊本県育英資金貸付金の支払い請求についての訴えに関する専決処分についての報告、承認を求める議案であります。昨年9月議会において、熊本地震被災者までも提訴するということが承認されましたが、これに対してはさすがに批判的な県民の世論がおこりました。県教育委員会は、育英資金返還中に熊本地震を被災した方については、一年ごとに再申請することを条件に、最長5年間へと猶予期間を変更しました。このこと自体は一歩前進であると評価しますが、育英資金制度の維持を根拠に、滞納者を名指しし、裁判に訴え、延滞金および延滞利息金、訴訟費用も含めて一括して返還を請求するという県の手法そのものはなんら変わっておりません。県が発行している、熊本県育英資金予約奨学生募集のしおりを見ると、まず表紙の冒頭に「育英資金は貸与されるものですので、必ず期限どおりに返還していただく必要があります」との注意書きから始まっています。学ぶ意欲を持つ若者を積極的に応援したい、心配せずに安心してぜひ育英資金制度を活用してほしいというメッセージこそ、熊本県は発信していただきたいものだと私は思います。しかし「必ず期限通りに返還」という文言を強調せざるを得ないところに、育英資金制度そのものの問題点と改革の必要性があると私は思います。アメリカでは学生の35%、学費無償の国でさえドイツでは27%、フランスでは35%の学生が給付制の奨学金を受けています。日本と同様、高学費の韓国では2016年時点で学生の36%が給付制奨学金を利用しています。いっぽう残念ながら日本は全国平均で240万円から340万円の奨学金ローンを抱え、この数年で約1万9千人の若者が自己破産し、結婚できないと悩んでいる人も少なくありません。未来を担う若い世代が安心して学び、働ける社会をつくることが、若者の権利を守り、ひいては社会の発展につながります。県、および県教育委員会は国に対し、教育の無償化と給付制奨学金制度の抜本的拡充を求めていただくことと同時に、安心して利用できる県育英資金制度へと、改革を進めていかれることを強く求めるものであります。
 次に議案1号、平成30年度一般会計補正予算案であります。反対理由は何点かございますが、一点だけ申し上げます。人権啓発業務の中で、バス車内放送を活用した人権啓発のための業務委託に関する債務負担行為であります。放送内容は5パターンございますが、特徴的なのは、部落差別の解消の推進に関する法律をご存知ですかとか、部落差別につながるような、結婚や就職に際しての身元調査をしてはなりませんとか、部落差別についての正しい認識を持ち、差別のない熊本を一緒につくりましょうなどなど、ことさらに部落差別ばかりが強調されていることであります。なぜ熊本県は、人権問題といえば、部落差別なのでしょうか。今日、子どもへの虐待、いじめ、ジェンダーによる男女差別、外国人への偏見や差別など、人権侵害が深刻な社会問題となっている事例は無数にございます。車内放送を聞いた方々が違和感を感じ、熊本県の人権問題に対する認識や、取り組み姿勢に疑問を感じておられることは、私は当然であろうと思います。分け隔てなく生活しておられる圧倒的多数の住民の中に、部落問題は特別であるという新たな差別意識をわざわざ持ち込み、脳裏にすり込まれ、結果的に部落問題の真の解決にも逆行することになります。こうした車内放送は中止すべきであるということを訴えるものであります。以上で討論を終わります。