議会質問・意見書


熊本県議会 平成26年度一般会計決算の認定に反対する討論 2015年12月17日 山本伸裕
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 日本共産党の山本伸裕です。
 決算認定審査は、違法不当な収支がないか、財政運営の妥当性はどうかという審査のほか、政策や事業の効果、成果について評価し、今後の予算編成に生かしていくという役割があります。
 このような観点から2014年度決算を見た場合、私は主として以下のような問題点を指摘したいと思います。
 第一に、子ども医療費助成制度、少人数学級の実施学年など全国最低レベルにある施策が改善されることなく放置されていることであります。全国的には子ども医療費助成制度の拡充は大きく進んでいますが、熊本県は平成12年以来見直しを行なっておらず、完全に全国の流れから取り残されています。いまや就学前までの医療費助成を行なっていない県は通院では熊本含めわずか7県、入院に至っては熊本ただ一県であります。いっぽう少人数学級の実施状況ですが、熊本県の場合35人学級の実施学年は小学1,2年の2学年にとどまっており、これも全国最低水準であります。今後直ちに改善を図るべき政策課題ではないかと考えます。
 第二に、立野ダム建設の負担金には賛同できません。平成26年度の直轄負担金は6億7,420万円余であります。立野ダム建設は阿蘇の貴重な自然と景観を壊し、世界ジオパーク認定を危うくするものであります。国土交通省が公表したデータによっても白川の流下能力は大きく改善しており、ダムによらない治水対策に転換すべきであります。立野ダムに毎年つぎ込まれている県の負担金を子ども医療費にまわせば、すぐにでも就学前までの医療費無料化実現することができるではありませんか。
 人権教育に関しては、同和・部落差別に偏重したものになっているのではないかということを委員会でも指摘させていただきました。すでに社会的な差別問題としての部落問題は基本的に解決しており、新たな偏見を生み出すことにつながりかねない同和偏重の人権教育は見直すべきであります。
 農業問題では、政府が本格的にTPP対応、農政構造改革推進の予算を組んだことを反映し、農地の集積・集約や法人経営体数を増やす事業が積極的に推進されました。しかしTPP参加そのものが、最悪の農業破壊、地域破壊につながるものであります。TPPからの撤退を国に求めるとともに、価格保障と所得補償を柱にすえ、農家経営を支える施策を国とともに推進していくよう求めるものであります。
 産業政策としては、依然として企業誘致事業に多額の財政をつぎ込んでおります。26年度一般会計決算における企業誘致に関連する事業費は約28億4,900万円であります。全否定するわけではありませんが、しかし工場閉鎖や移転、人員削減など、誘致企業への依存が大きい経済政策は、しばしば大量リストラによって地域経済に深刻な影響を及ぼしています。農林水産業の振興や地場企業、中小企業の振興、住宅リフォーム助成や公契約条例の制定などにより、地域でお金が回る地域循環型経済こそ重視し、拡充を図るべきであります。
 歳入確保の面では、収入未済の解消に向け、組織をあげて徴収促進に取り組むことが委員長報告の中で強調されました。ただ、格差と貧困の広がりの中で、納税義務を果たしたくても果たせないという状況が少なくないことに配慮し、生活と生業の改善などきめ細かい相談や助言なども適切に行いながら、分納や減免などの措置の検討も含め、くれぐれも実情を鑑みない取り立てや差し押さえなど、相手を追い込むような強権的措置を行なわないことを求めたいと思います。
 以上、平成26年度一般会計決算に対する意見を表明させていただきました。県政の主人公は県民であり、ぜひ県民目線で財政運営状況の検証を深め、来年度以降の予算編成に生かしていただくよう要望し、討論を終わります。

熊本県議会 委員長報告に反対する討論(私学助成、指定管理、マイナンバーなど) 2015年12月17日 山本伸裕
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 日本共産党の山本伸裕です。委員長報告に対する反対討論を行ないます。
 まず議案21号、県伝統工芸館の指定管理者の指定について、および23号、県立美術館分館の指定管理者の指定についてであります。2007年、日本学術会議は「博物館の危機を乗り越えるために」と題する声明を発表されました。そこには、博物館や美術館が深刻な問題を抱えていることを紹介しています。「現在、国公立の博物館をめぐる制度的環境は、昨今の行財政改革により激変しております。」こう述べて、指定管理者制度、市場化テスト等々をあげ、「日本学術会議は、学術・芸術・文化の蓄積・普及装置としての国公立の博物館が、その機能充実を目的とした改革ではなく、財政及び経済効率を優先する改革に影響されて、社会的役割と機能を十分に発揮できない状況に陥る可能性があることを憂慮するものである」と指摘しています。当時の高木国務大臣も、文部科学委員会でこのように答弁されています。「指定管理者制度の導入により、公立博物館としての機能低下、そういう課題が指摘をされておりまして、私はこれも重く受け止めております。」と。
 さらに、東京大学文学部名誉教授で、美術史家であり美術評論家でもある高階秀爾さんが、展覧会の開催についてこういうふうにお書きになっています。展覧会は、必要な調査に始まる準備段階から作品借用の交渉、調整を経て実現に至るまで、何年もかかるのが普通だと。特に、最も必要な作品の借用に関しては、国内外の美術館や個人の所蔵家から十分な信頼感を得ることが絶対的な条件となる。作品を貸す方にしてみれば、信頼のおけない相手に貴重な作品を預けることができないのは当然の話だと。だから、そういう信頼関係というのは一朝一夕に形成されるものではなく、多年にわたる実績やさまざまの交流、協力を重ねることによって築き上げられるものだと。この点で、近年問題になっている指定管理者制度というのは、美術館の活動にはなじまないことの大きな理由の一つなんだと。つまりきちっと公的に責任を持つ必要があるということを高階さんも指摘をしておられます。少なくとも、美術館や博物館、図書館など社会教育施設には指定管理者制度はなじまないというふうに私は思いますので、これらの議案には反対をいたします。
 議案15号、熊本県工場等設置奨励条例及び熊本県税特別措置条例の一部を改正する条例の制定についてであります。本社の地方移転で税制優遇措置を適用するという、地域再生法の一部改正に伴うものでありますが、地域経済にプラスの効果がもたらされるならばもちろん良いことだと思います。しかしそこにはリスクもあり心配される面もあります。共同通信社が今年9月、東京に本社を置く企業455社を対象に、本社機能の地方移転を検討しているかを尋ねたアンケートの結果を公表しました。回答した147社のうち、移転について検討中と答えたのはわずか2社にとどまり、可能性があるとしたのは9社、一方92.5%にあたる136社が検討していないと回答しました。一番多かった移転しない理由は機能や利便性の問題であり、次いで取引先や官庁が東京に集中しているからというものであります。本社機能移転にどれだけの企業がこたえるのか、それは地方を拠点とした利益獲得がどれだけ具体的になるのかによらざるを得ないのは当然のことでしょう。注意しなければならないのは、地方創生法に基づき閣議決定された総合戦略の中に、企業の地方拠点強化と合わせ多様な正社員の普及と拡大をうたっていることであります。多様な正社員とは、この場合地域限定正社員のことであり、賃金や一時金を低く抑えるなど、正社員未満の雇用条件でよいと厚生労働省は認めています。本社機能の移転・拡充が労働条件の格差拡大、雇用の流動化につながらないようにしなければなりません。
 一方、立地補助金を受けていながら、経営不振などを口実に工場を縮小・撤退する事例が各地で大きな問題となっています。もちろん、今回の法改正で熊本にも本社機能の移転を呼び込もうとする取り組みを、私は全く否定するものではございませんが、果たして地元経済への貢献や雇用の拡大、税収増など経済的な効果が見込まれるのかどうか、慎重な見極めが必要であろうかと思います。
 むしろ、地域にある力を生かし、伸ばす経済政策への転換こそが必要ではないかと考えます。地域に根を張ってがんばっている中小企業、産業を応援し、地元の資源を生かした魅力ある事業発展を支援してこそ、本当の地域再生を図ることができるのではないでしょうか。ぜひ県としての経済政策の力点の置き方についてご検討いただきたいと思います。
 議案第6号、10号、12号はマイナンバー制度導入に関連した条例制定であります。マイナンバーは番号を通知するカードの郵送が大幅に遅れたり、カードそのものが印刷されていない地域が発覚したりと、混乱が収まりません。国民の不信や不安は募るばかりです。そもそも一ヶ月余りで5,600万世帯に簡易書留を届ける計画に無理がありました。受取人不在が数百万単位で発生することも当初から指摘されていたことであります。住民票を変えずに特別養護老人ホームで生活する高齢者、家庭内暴力から非難している人などへの手立ても本人任せです。認知賞などでマイナンバーをしっかり管理できない人への対応の仕方も不明確で、医療・介護・福祉の現場は苦悩を深めています。一人ひとりの生活の状況を考慮せず、大切な管理が必要な番号通知を一律に送りつけるという、政府の乱暴なやり方は厳しく問われなければなりません。住民全員に番号通知が終わるめどもないのに、政府は1月から個人番号カードを1,000万人に交付する計画であります。身分証明以外にはほとんど使い道がなく、むしろ紛失すると個人情報が漏れるリスクが極めて高いカードです。申請は任意であるにもかかわらず、カードの危険性はほとんど触れずに普及ばかりに力を入れる政府の姿勢は、国民のプライバシーを危うくするものであります。
 マイナンバー差し止め裁判が提訴されるなど、実際に番号を手にしてからも国民の不安は広がるばかりです。1月実施を延期して制度の危険性を検証・再点検し、廃止へ向け見直すことも必要ではないでしょうか。
 次に、請第9号、教育費負担の公私間格差をなくし、子どもたちに行き届いた教育を求める私学助成請願であります。委員会採決結果は不採択でありますが、これは採択すべきであると考えます。請願の趣旨にもありますように、本県は高校生の3割、熊本市では5割の生徒が私立高校に通っています。しかし公立と私立の学費負担は、なんと79.4倍というとんでもない大きな格差が拡大しています。今回の請願にあたり、私は西議員とご一緒に、私学の先生方から現場の実態についてのお話を聞かせていただきました。家庭の経済的な事情から学費が払えない生徒がクラスに2~3人はいると。親に苦労かけていいのかと悩みながら登校してくる生徒も少なくない。修学旅行に行かず学費を工面しているなどなど、胸が痛むお話を伺いました。だいたい3ヶ月学費滞納で出席停止、6ヶ月滞納で除籍と定められているそうなのですが、何とかして卒業させてあげたい。先生方の苦悩が伝わってまいりました。私学もれっきとした公教育の場であり、教育に公平を、公教育は公費で、との訴えは全くそのとおりだと思います。9月議会においては私学助成の拡充を求める意見書が全会一致で採択されましたが、今回不採択にすれば県議会は本気で私学助成の拡充を求めているのかと疑われても仕方がありません。ぜひ採択すべきとの県議会の一致した意思を示していこうではありませんか。以上で討論を終わります。

熊本県議会 自衛隊増員、西部方面隊強化の意見書に反対する討論 2015年12月17日 山本伸裕
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 日本共産党の山本伸裕です。議員提出議案第2号、陸上自衛隊定員の増員ならびに中枢部局および部隊の熊本県駐屯を求める意見書に対する反対討論を行ないます。
 意見書案は、第一に、自衛隊の確実な定員の増員を図ることを求めています。自衛隊員の定員割れは防衛白書においても指摘されており、「自衛官の募集環境はますます厳しくなっている」と書かれてあります。今年3月31日現在、自衛官の定員24万7,160人に対して現員は22万6742人、充足率は91.7%ですが、中でも下位の階級に当たる士、すなわち諸外国の兵卒に相当する階級でありますが、この士が最も充足率が低く、74.6%という状況であります。ちなみに年度によって高低のばらつきはありますが、10年前の士の充足率は現在より10%以上高い85.8%でありました。最下級である士の充足率不足が進行する中で、政府・防衛省は自衛官の募集において、ますます企業や自治体などと連携を強め、露骨な若手獲得策を進めています。2013年、防衛省は民間企業の新入社員を、任期制の士として2年間自衛隊に入隊させる制度を検討し、経済同友会に示していたことが判明しました。また政府は集団的自衛権の行使を容認する閣議決定をした昨年7月、全国の高校3年生の自宅に、住民基本台帳を利用して自衛官募集のダイレクトメールを一斉に送りました。北海道では今年10月、自衛隊が市役所から18歳から26歳の若者の住所、氏名、性別、生年月日のリストを出させ、書き写し、戸別訪問して入隊を呼びかけるということが起こりました。これは道議会でも取り上げられるなど問題となり、北海道新聞は「自衛官志願者減少は安保関連法の影響か」と報道しました。
 意見書案において求められている、確実な定員の増員を図るというのは、つまりこの間各地で問題となっている露骨な若者勧誘をより強化すべきだという方向につながるのではでしょうか。
 また意見書案では二点目として、西部方面隊における中枢部局及び部隊の駐屯を引き続き求めています。わたしは、集団的自衛権行使容認の閣議決定、そして安保法制の採決が強行されたもとで、熊本の自衛隊組織はどう変わろうとしているのかということを冷静に見る必要があると考えます。
 2013年防衛大綱で自衛隊が大改編されました。陸上自衛隊では防衛のための師団・旅団が14から7に半減。7個の師団・旅団は海外展開型の機動師団に変えられることになりました。北熊本駐屯地に司令部を持つ第八師団は最初の5年間の中期防計画で機動師団化されます。機動師団の中には800人規模の機動連隊が創設され、機動師団の中核部隊としての、海外の戦場での最前線投入も視野に入れた戦闘集団となるのです。また、新型地対艦ミサイルも熊本に集中配備されます。「12式地対艦ミサイル発射機搭載車両」は、2013年8月の富士総合火力演習で初公開された最新型のもので、陸上から発射され、低空を飛翔して来襲する海上の敵艦船を攻撃します。現在配備されている88式地対艦ミサイル「SSM-1」よりも敵の攻撃に対する残存性が向上され、また命中精度も向上しています。来年2016年には16両、搭載ミサイル数で192発が健軍駐屯地にある西部方面特科隊・第5地対艦ミサイル連隊に配備される予定となっています。南西諸島の防衛体制強化の一環とされており、島嶼防衛が発動されれば直ちに大型輸送艦あるいは新造の空自大型輸送機で、前線となる沖縄本島・宮古島・石垣島などの基地に展開し、来襲する敵艦艇を迎撃するという想定であります。
 このように、熊本の自衛隊基地は集団的自衛権行使容認の閣議決定と安保法制のもとで、大規模災害対応などとは全く関係のない、戦争出撃基地としての機能を強化しており、つまり有事の際には真っ先に命を危険にさらす最前線に立たされる部隊になるということなのです。集団的自衛権の名のもとに、日本の防衛とは関係のないアメリカの先制攻撃・侵略戦争にさえ熊本の、および日本の若者たちが参加していかなければならなくなるのです。
 議員の皆さん、県内外の未来ある多くの若者を戦闘の最前線に送り出すようなことがあってよいでしょうか。私は自分の子ども達、あるいは地域の子どもたち、知人の子どもらを戦場には絶対に送り出したくはありません。
 私たちは安保法制の問題に関してこの間ずっと継続して宣伝や署名活動を続けてきました。どれだけ多くの自衛隊関係者の方が署名に協力してくださったでしょうか。あるお父さんは、息子は自衛隊に行きたいと言っとったけど命が危ないと思って警察官にならせたとか、娘の夫が自衛隊員で心配だとか、そんな話はたくさん伺ってきました。自衛隊が海兵隊化されつつある危険な空気を感じ取っていらっしゃるからこそ、家族として心配でならない。やむにやまれぬ思いで署名に協力してくださったのではないでしょうか。
 東日本大震災の復旧活動で、あるいは災害現場の救出活動で奮闘する自衛隊員の姿を見てあこがれて、自分も人の命を救う仕事につきたい、そう思って自衛隊に入隊するような青年は、本当に立派な志を持っておられるなあと思うわけですが、そんな彼らこそこれからの日本の未来を担っていく宝のような人材ではないでしょうか。そんな若者を、殺し殺される戦場に送り出すことは絶対にあってはならないと私は思います。議員各位の皆さん、ぜひこの際、思想信条の違いを超え、党派立場の違いを超えて、子どもたちや若者の未来を守るべき同じ一人の大人として、呼び掛けたいと思います。この際、この意見書の採択はやめようではありませんか。以上で討論を終わります。

熊本県議会 TPP批准撤回、交渉からの撤退を求める意見書趣旨説明 2015年12月17日 山本伸裕
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 日本共産党の山本伸裕です。議員提出議案第7号、TPP合意内容の公開と徹底審議、国会決議遵守を求める意見書案についての提案説明を行ないます。本議会には、TPP対策特別委員会提出の意見書案も提出されております。私も同委員会所属の委員でございまして、大筋合意前の段階では、これまで委員会提出の意見書に賛成をしてまいりました。しかし大筋合意という段階に至っては、もはや政府のTPP推進の動きに待ったをかけ、撤退を求めるという意思がはっきり示されるべきではないかとの思いにいたり、反対の態度を取らせていただいております。
 大筋合意で日本政府は、史上最悪の農林水産物輸入自由化を約束しました。農産物重要5項目で3割の品目の関税を撤廃。関税が残った品目でも、コメで特別輸入枠の新設、牛肉・豚肉で関税の大幅削減など、国会決議は総崩れであります。過去に関税を撤廃したことのない農林水産物834品目のほぼ半数で関税撤廃。甘利TPP担当大臣は、交渉結果として最善のものとなったと言いますが、どういう根拠なのか全く理解できません。日本農業新聞が10月に行った農政モニター調査でも、回答者の69%が国会決議違反だと回答しています。大筋合意は、農業と農村の危機的状況に追い打ちをかけるとともに、農村や国土の荒廃を広げ、世界最低水準の食料自給率をさらに低下させ、国民の生存基盤を根本から脅かすものであります。政府は11月25日にTPP関連対策大綱を決定し、大筋合意の詳細を国会にも説明しないまま、すでに対策へと動き出していますが、しかし自由化の打撃を国内対策で防げないことは、過去の牛肉・オレンジ・コメなどの実例でも明らかではないでしょうか。対策大綱によると、農林水産物・食品の輸出額を現在の6,117億円から2020年に1兆円に伸ばす、としています。しかしその内訳を見ると、純粋の国産農産物は牛肉、野菜、果物、米、花、お茶など835億円、全体の8%にしか過ぎません。いっぽう即席めんであるとかレトルト食品、あるいは清涼飲料水や菓子類、さらに原料の多くを輸入に頼っている味噌・しょうゆなど、外国産農産物を加工する分野がおよそ半分を占めています。攻めの姿勢で日本の農産物の輸出を増やし、農家の所得を増やすといううたい文句はごまかしではありませんか。それに農産物の輸出のためには病害虫防止などの厳しい基準をクリアしなければならないし、運賃など経費も当然多くかかることになります。輸出補助金の制度があるアメリカとは違い、日本の農家の輸出用価格は赤字を迫られる状況ではありませんか。
 さらにTPPは、国民の安全や暮らしに関わる制度も、非関税障壁として扱います。政府は、医療や食の安全などの制度で変更はないと主張しますが、食品添加物の認可拡大や、国家主権を侵害する投資家対国家紛争解決(ISDS)条項なども盛り込まれています。
 特に、TPP交渉とともに行われた日米並行交渉に関する両国の交換文書は、保険、投資、知的財産権、政府調達、衛生植物検疫など9分野で非関税障壁の除去に取り組むことを確認。また、日本政府の税制改革会議に外国企業の意見を反映させることも明記しました。これらはアメリカ大企業の積年の要求であり、国民の暮らしを守る諸制度がアメリカ多国籍企業の要求に沿って改変されかねないことを示しています。保険分野では、米国の保険会社が日本郵政の販売網に参入できるようにすること、かんぽ生命をほかの保険会社と同じ扱いにすること。投資分野では、日本の諸制度に対してアメリカの多国籍企業が口出しする経路が作られました。食の安全の分野では、防カビ剤の承認の簡素化、食品添加物の承認拡大、ゼラチンとコラーゲンの輸入規制の緩和を確認しました。さらにTPP条文案には、発効から7年以降に、関税などの日本の約束について協議することなど、追加的な交渉が定められています。非関税障壁の撤廃についても追加的な交渉が予定されています。官公需の発注を外国企業にも開放する取り決めは政府、独立行政法人、都道府県、政令指定都市が現在対象となっていますが、TPP発効から3年以内に適用範囲を拡大し、発注額の最低額を引き下げる目的で追加的な交渉が行われることになっています。国有企業と民間企業を同等に取り扱う取り決めでも、発効から5年以内に適用の拡大で追加的な交渉を行うとしています。
 今回の大筋合意にとどまらず、もともとのTPPの原則である関税ゼロ、非関税障壁除去にむけてのレールがすでに敷かれてしまっているのであります。安倍首相が聖域なき関税撤廃を前提としないなどという発言には根拠がなく、たとえ大筋合意の時点で関税が残ったとしても、関税ゼロへの圧力がかかり続けるのです。大筋合意後にアメリカオバマ大統領は豚肉保護策の見直し要求を突き付けてきましたが、これは始まりにすぎません。
 政府は、TPPによってアジア太平洋地域でビジネスチャンスが広がる、外国の公共事業の入札に参加できるなどと強調します。しかしそれで利益を得るのは一握りの大企業にすぎません。むしろそれと引き換えに、米国などの多国籍企業に国内市場を明け渡すことが深刻です。中小企業や地場産業、地域経済が衰退するのは明らかではないでしょうか。
 さて、日本の農業はすでに高齢化や担い手の減少が限界まで達し、崩壊の危機が広がっています。TPPの大筋合意がさらに農林水産業の危機に拍車をかけるのは必至であります。農林水産省は11月に「品目ごとの農林水産物の影響について」を公表し、多くの品目で価格下落が懸念されることを認めましたが、そのうえで、さらなる競争力の強化、環境整備が必要だなどとしました。競争できない経営や産地は淘汰されても仕方がないという立場であります。しかし農家経営の破綻や産地消滅は農村社会の崩壊にとどまらず、国土の荒廃、国民の生活基盤、食料主権・食料安全保障をも根底から脅かすことになります。
 県は先日行なわれたTPP対策特別委員会において、TPP協定交渉の大筋合意に伴う熊本県への影響(農林水産物・暫定版)を提出されました。今後、国による影響分析や試算等を参考にしながら精査して行くとされています。一方熊本と同じく農業大県である新潟県は、TPPによる新潟県の米産出額への影響が最大限のマイナスの場合92億円減少するという試算を発表しました。地元への影響の大きさを考えて緊迫感を持って政府の動向を注視しなければならないということではないかと思います。
 安倍首相は、美しい田園風景を守るとよく言われますが、その言葉を聴くと私はいまも脳裏に残る一つの情景をよく思い出すのです。それはおそらくは小学校低学年のころだったかと思いますが、近所の農家のご夫婦が、小さな畑で農作業されていらっしゃるのを私はぼんやりと眺めていました。そのとき夕方5時を知らせる役場のサイレンが鳴ったのです。そうすると二人は、それまで黙々と腰を曲げて作業していたその腰を伸ばし、背伸びをし、お互いの顔を見合わせてにっこりと笑顔を交わしあったのです。きれいな夕焼けを背景に、とても印象的な光景が記憶に残りました。温かい幸せを感じました。これがかつての、当たり前の農村風景ではなかったでしょうか。しかしいま、その地は荒れ地となり、家は空き家となり朽ち果てようとしています。かつて地域に広がっていた農村の風景は大きく失われつつあります。TPPによってさらに零細の家族経営が、あるいは中山間地農業が追い込まれてしまうのは明らかです。それでよいのか、再考すべき時ではないでしょうか。
 わたしは、生産コストに見合う価格保証と、国土保全という役割もしっかり評価した所得補償制度を柱として、後継者対策を抜本的に強化することこそ、いま政府が進めるべき農業政策ではないかと考えます。日本の農業を支えてきた中山間地を大切にし、家族経営を守ることは、日本の気象や地形や風土に見合った農業形態の発展という観点からも、必ず国家の利益にかなうものだと確信するものであります。
 TPPはまだ、署名も批准もされておらず、発効してもおりません。TPPへの政府の前のめり姿勢を改めさせ、推進姿勢に待ったの意思を示すうえでもぜひ本意見書案へのご賛同をお願いして発言を終わります。

2015年9月議会 議員提出議案(地域経済対策、ふるさとテレワーク推進)に対する反対討論 2015年10月6日
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 日本共産党の山本伸裕です。議員提出議案1号、3号に対する反対討論をおこないます。 議案1号、地域経済の再生に向けた経済対策を求める意見書でありますが、アベノミクスにより景気回復が続いているという現状分析、そしてアベノミクスの効果を地方の隅々にいきわたらせるという今後の方策についての考え方には、賛同できません。 日銀が1日発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業製造業でプラス12となり、前回6月調査を3ポイント下回り、3四半期ぶりに悪化しました。賃金の低迷と個人消費の低迷と新興国経済の減速などが要因だと言われています。大企業を優遇して経済の回復を図るとしてきたアベノミクス(安倍晋三政権の経済政策)の破綻ぶりを映し出しました。
 3カ月後の見通しは、企業規模や製造業・非製造業を問わず、現状比で悪化。大企業製造業が2ポイント減のプラス10、大企業非製造業が6ポイント減のプラス19となりました。安倍政権が描く「景気回復シナリオ」とは反対に、先行きに不透明感が広がっていることを示しています。
 公共事業に関してですが、本年度の国の関係予算でも言葉の上では防災・減災や老朽化対策を掲げられていますが、実際はアベノミクスの三本の矢の一つとして、ますます高速道路や巨大港湾、大規模再開発プロジェクトなど新規の大型開発事業に多額の予算が投入されています。2050年を視野に、今後の国土づくりの理念や考え方を示した新たな「国土のグランドデザイン2050」によると、リニア中央新幹線建設をはじめ首都圏空港、国際コンテナ戦略港湾、首都圏三環状道路をはじめとする大都市圏環状道路、整備新幹線など、一層の東京一極集中を加速させ、ストロー効果により地方を衰退、疲弊させ、地域間格差を拡大させる超大型開発が目白押しです。地域経済の活性化のためには、大型開発中心からくらし・福祉など生活密着型事業に軸足を移し、耐震化、・老朽化対策、交通安全対策などを重視した公共事業に転換することが重要であると考えます。
 次に農林水産業でありますが、アベノミクス農政はTPP推進の日本再興戦略に基づいて策定されたもので、その骨格は、今後十年間での担い手の農地利用が全農地の8割を占める農業構造の確率、コメの生産コストを現状全国平均費四割削減、法人経営体数を五万法人に増加する事などを柱にしています。さらに、TPP反対運動の中心になっている農協を抑え込むための農協改革も進められようとしています。意見書で書かれております農業農村整備事業は農地の大区画化、汎用化、新たな農業水利システムの構築、国土強靭化のための農業水利施設の長寿命化・耐震化対策などを推進するとしているものであります。農地中間管理機構とも連携して担い手への農地集積・集約を進めるとしています。しかし、TPP推進を前提とした政策では日本の農業に未来はありません。日本は中山間地が多く、農業は家族経営が中心であります。農業の大規模化一辺倒の施策をやめ、だれもが安心して農業を続けられる農家経営への支援を重視するべきであります。稲作への直接支払いの削減を中止するとともに、米菓変動補てん交付金を復活すること、食料自給率50%への引き上げをめざし、価格保証や所得補償、後継者支援を強化すること、公共建築物や民間住宅への国産材の使用促進対策を強めること、魚価下落に歯止めをかけ、漁業用燃油対策を抜本的に強化するなど、地域経済への支援を強めること。そして日本農業に壊滅的な打撃を与え、地域の雇用と経済を破壊するTPPから直ちに撤退すること。こういった対策こそが必要であると考えます。以上の理由により、アベノミクス政策からの転換を求め、意見書案への反対を表明するものであります。
 次に第3号、ICT利活用による地域活性化とふるさとテレワークの推進を求める意見書についてであります。近年の情報通信技術の急激な発展は、一面ではインターネットや携帯電話の普及など、生活の利便性を高めていますが、もう一方ではICTが経営と労働の効率化の手段に使われ、リストラ・人減らし、非正規雇用への切り替え、賃金抑制が強められてきました。ICT革命は、大企業の利潤を急増させた反面、社会的な貧困と格差を拡大してきた面もあります。他の発達した資本主義国を見ると、雇用拡大と環境保護がイノベーション戦略の基本的な政策目標に位置づけられ、それを実現させるために、イノベーション戦略とCSR、つまり企業の社会的責任が明記されています。昨年11月、ドイツの政労使代表団が来日し、日本経団連と懇談した際、イノベーションについてドイツの代表は、厳しい国際競争の中でも決して労働条件を引き下げるようなものであってはならないと強調したと伝えられています。EU諸国の財界や大企業も労働法制の規制緩和や成長優先の政策を求めているといわれていますが、しかし一方でEU首脳会議では5年間で600万人の雇用を創出する目標を掲げるなど、CSRの位置づけは明確です。日本のICT戦略の中にも明確に位置づけられるべき事柄ではないでしょうか。
 また、テレワークについては、現在在宅勤務型、モバイルワーク型、在宅ワーク型、SOHO型などに分類されますが、自宅残業など長時間労働につながりやすいことや、労働法や最低賃金の適用を受けないなど長時間・低賃金・劣悪な労働環境に陥る危険性をはらんでいます。意見書でも労働者の権利と暮らしを守るルール作りの必要性に言及すべきであることを表明し、討論を終わります。

2015年9月議会 マイナンバー制度の来年1月からの実施中止を求める意見書(案) 2015年10月6日
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 日本に住む人に一人残らず12ケタの番号を割り振り、国が情報管理するマイナンバー制度の本格運用に向け、準備が加速されています。しかし多くの国民は制度を詳しく知らず、むしろ情報漏れへの不安を広げています。地方自治体や企業の対策も遅れています。こんな状態で厳重な保管が必要な番号の通知を始めることは個人情報を危険にさらします。
 マイナンバーは、行政側からすれば、国民の所得や社会保障給付の状況を効率よく把握できる半面、国民にとっては、分散していた個人情報の収集を容易にするもので、ひとたび外部に漏れだせば、悪用され、個人のプライバシーが侵害される危険は飛躍的に大きくなります。
 政府は、10月からの番号通知後、来年1月から税金事務、雇用保険などの事務で使用する計画です。個人番号カードを希望者に発行し身分証明書として使えると便利さを売り込みますが、他人に見せてはならないマイナンバーを持ち歩くことは、個人情報の保護にとってマイナスだという指摘が上がっています。
 さらに、検診情報や銀行口座などとマイナンバーを結びつけるなど民間分野へ拡大する内容も改定で盛り込まれました。範囲を広げるほど情報漏れリスクは高まります。
 また、財務省は消費税10%引き上げ時に検討している還付を、マイナンバーカードを利用して行うことを検討しています。そもそもマイナンバー制度は消費税還付を想定したものではありません。またカードを持たない人は還付を受けられなくなり、税の公平性からみても問題があります。
 日本年金機構から125万件もの情報流出が発覚し、政府の情報管理への不安が高まりました。情報漏れ発覚後政府が行った地方自治体への緊急調査では、情報保全措置が不十分な自治体が存在する実態が判明しました。マイナンバー運用までに対策が間に合う保証はありません。マイナンバー情報が流出した場合、被害の大きさと深刻さは計り知れません。
 従業員や家族のマイナンバーを集め、罰則付きで厳格に管理することが求められている民間企業の対応も立ち遅れています。中小企業は業務の煩雑さや出資の重さなどに頭を抱えている状況です。
 内閣府の世論調査ではマイナンバーの内容を知らない人が半数以上、情報保護に不安を感じる人も増えています。国民の支持や理解が広がらない制度を急ぐ必要はなく、延期しても国民に何の不利益もありません。よって以下のことについて政府に要望します。

一、 マイナンバー制度の来年1月からの本格運用を中止すること。

2015年9月議会 マイナンバー制度の来年一月からの実施中止を求める意見書の提案説明 2015年10月6日
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 日本共産党の山本伸裕です。議員提出議案4号、マイナンバー制度の来年一月からの実施中止を求める意見書の提案説明をおこないます。
 今月からいよいよ番号通知が始まります。マイナンバーを知らせる通知カードが、昨日時点で住民票登録をしている住所にあてて、市区町村から世帯全員分まとめて簡易書留で送られてくることになっています。国内約5600万世帯のほぼすべてに書留を送ったことは日本の郵便史上例がありません。留守にしていた人からの再配達要請の殺到、夜間休日の郵便窓口の大混雑など多くの混乱が心配されています。東日本大震災の避難者、家庭内暴力で住民票を移さず転居中の人、特別養護老人ホーム入所者などで、住所変更手続きをしていない人の手元にはそもそも通知カードは届きません。大切に扱うことが必要な番号を知ることすらできない人が、制度スタート段階で100万人以上見込まれること自体、仕組みの矛盾とほころびを浮き彫りにするものではないでしょうか。
 制度導入のための初期費用だけで約3000億円の費用がかかるといわれておりますが、総務委員会で県の負担をお尋ねしたところ、昨年度、今年度で約3億6800万とのことでありました。全体として、年間経費約300億円、民間事業者の負担を含めると一兆円とも言われています。国民にも自治体・企業にも多大な負担と労力が求められますが、果たしてそれに見合うメリットが国民にとってあるのでしょうか。政府はマイナンバーによって、年金申請や転居のときの手続きが簡単になるといいます。しかし年金の申請といってもせいぜい生涯に一度きり。ほかの利用も年に何回あるかないかのわずかなもので、しかも所得証明書の添付など一部が省略できるという程度のものでしかありません。むしろ個人情報を簡単に引き出せるマイナンバーを、他人に見られないようにしたり紛失しないようにしたりする手間の方が大変であります。
 私はマイナンバー制度について前回6月議会で四つの問題点を指摘しました。すなわち第一に、情報漏えいを100%防ぐシステムは不可能であること、第二に意図的に情報を盗もうとする人間が一人でも入り込めば、大量の情報が漏れ出す危険があること、第三に一度漏れ出し流通し売買されてしまった情報は取り返しがつかないこと、第四に情報は集積されればされるほど利用価値が高まり攻撃にさらされやすくなること、であります。
 そもそも、国が国民に番号をつけて個人情報を収集し、官民が利用すること自体、漏えいの危険性を高めるものであり重大問題です。政府は、ファイアーウォールもあり、個人情報にアクセスできる人も限られるといいますが、しかし年金機構が125万件の情報漏えいを起こしたように、事故は絶対に防げるというものではありません。プライバシーの保護は憲法で保障された権利であり、むやみに知られることのないようにすべきものであります。
 政府は第三者機関である個人情報保護委員会が監視するとしていますが、例えば警察による刑事事件の捜査利用といった名目がつけば監視の対象外となります。情報漏えいなどのリスクを分析するアセスメント・特定個人情報保護評価も、行政などが自分で自分に大丈夫と言えば終わりで、歯止めにはなりません。しかも700を超える自治体が、決められた手順で手続きを行っていないことが判明し、今なお2割の自治体で個人情報を保管するコンピューターがインターネットと接続されたままだという情報もあります。
 このまま運用を開始すると国民に大きな被害と混乱が生じる危険性が極めて高く、実施を延期しても国民には何の不利益もありません。にもかかわらず、なぜ政府はあくまで実施を強行しようとしているのでしょうか。もともと、国民の税や社会保障情報を一元管理する共通番号を求めてきたのは財界であります。日本経団連は、社会保障の個人会計を作り、収めた税・保険料に応じた給付にするよう求め、給付額の2割程度の削減が必要だなどと主張しています。権利として保障されるべき社会保障制度が、税額や保険料額に応じた対価としての制度に変質されてしまう重大問題です。さらに、政府の説明によると、マイナンバーによる行政効果については、税収増2400億円とのことですが、これは番号制導入で手の空いた職員1900人が税金の徴収に回り、一人当たり約1.3億円も徴収額が増えるという、かなりの期待値が込められた机上の試算ではありますが、いずれにせよ、強権的な徴収強化にさらに拍車がかかることが懸念されるところであります。
 来年一月からの年金情報との連結は先延ばしせざるを得なくなりましたが、政府は、あらゆる分野への利用拡大を計画しています。国会では金融機関の預金口座や健康診断情報にも利用を広げる法律が強行されました。国民の要求から出発した制度ではなく、政府や財界の意向によって進められているというのが実態ではないでしょうか。
 ちなみに、主要国首脳会議(G7)7か国で、日本のように全員強制・生涯不変、官民利用の番号制度を導入している国はありません。アメリカ、カナダは任意の社会保障番号、フランスは社会保障番号、ドイツ、イタリアは納税分野の番号を導入していますが、イギリスは国民IDカードを導入しようとして国民の反対にあい中止になりました。導入したアメリカや韓国では、銀行口座など大量の個人番号が流出して被害が発生し、見直しに追い込まれています。マイナンバー制度は、世界の流れに逆行するものではないでしょうか。
 今一度、立ち止まって冷静に再検討すべきではないかと考えます。意見書は来年一月からの実施中止を求めるものであり、制度そのものの賛否の違いを越えてご賛同いただけるものではないかと思います。ぜひ議員各位のご理解とご賛同をお願いしまして、提案説明を終わります。

2015年9月議会 知事提出議案についての反対討論 2015年10月6日
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 日本共産党の山本伸裕です。知事提出議案についての反対討論をおこないます。
 まず第1号議案でありますが、6~7月期における梅雨前線豪雨災害復旧関係の29.3億円、阿蘇降灰対策関係の4.1億円等は住民の願いに応えるものであり評価するものでありますが、社会福祉総合情報システム運営費、および保健医療推進対策費として計上されている236万円余はマイナンバー導入に向けての経費であり賛同しかねます。また農業法人の広域展開支援事業、および産地形成大規模農業参入促進事業で計737万円余が計上されております。これはTPPに対応するために、優良農地において大企業が主体の大規模農業生産法人への農地集中を進めようとする国の農業戦略に基づくものであり、農業構造の改革と生産コストの削減を強力に推進する手段とされています。しかしもともと農村に足場がない企業の落下傘型参入となると、地域との信頼関係も醸成されず、これまで話し合いで農村の農地管理と水路や畦畔(けいはん)の管理を行なってきた農村が解体してしまうのではないか、中山間地のいっそうの荒廃を招きかねないのではないかという懸念もあります。以上のような点を指摘し、よって1号議案には反対の態度を表明いたします。
 議案第5号、第6号はマイナンバー制度関連の条例制定であり反対であります。マイナンバーに反対する理由は後の意見書提案理由説明の際に述べさせていただきます。
 議案28号、熊本県育英資金貸付金の支払い請求にかかる訴えの提起でありますが、滞納者を裁判に訴えるというやり方には反対であります。
 次に請願第5号、川内原発2号機の再稼動に、九州電力に対して住民説明会開催を申し入れることを求める請願についてであります。
 住民が説明会を求めているのに、これを不採択にするという理由が私には理解できません。川内原発は再稼動されましたが、多くの住民は納得しているわけではありません。しかも信じがたいことに、これまでに経産省、規制委員会、九州電力が主催した住民説明会というものは一度も行なわれていないのです。鹿児島県では、県と4市1町の主催で昨年10月に規制委員会の審査結果の質問に限った住民説明会が5回開かれましたが、そこでは、避難計画や再稼動の是非に関わる質問は受け付けられず、どこの会場でも抗議の声が上がりました。それで、昨年10月29日に県主催の補足の説明会が開かれ、エネルギー庁、内閣府、県の担当者、九州電力などが出て、説明をされていますが、こういった関係者が出ての説明会はこの一回だけであります。政府は再稼動に向けて、安全第一で地元の理解が得られるように丁寧に対応すると繰り返し説明してきましたが、実際の対応は、到底地元の理解が得られるような丁寧な対応とはいえないものではないでしょうか。そんな中で鹿児島、熊本、宮崎などの地方議会で九州電力に対して公開の場で住民説明会の開催を求める決議や陳情が相次いで採択されています。県内自治体では大津町、荒尾市、水俣市が意見書を採択しています。にもかかわらずいまだに九電が一度も住民説明会を開催していないというのは、きわめて不誠実な対応だといわなければなりません。水俣市議会は昨年9月に意見書を出していますが、そこにはこのように述べられています。「水俣市は川内原発から50キロ圏内。福島県でいうと飯館村と同じ距離になり、風向きによっては避難地域となります。出水市との協定では、避難者を受け入れるということですが、避難しなければならないものが避難者を受け入れることができるのか、地域住民としては混乱しているのが現状です。ひとたび原発の事故が起これば、すべてが水俣病の惨禍以上の状態となってしまいます。そして、何より孫や子どもたちの故郷が亡くなることは、許しがたいことであります」と。このような意見書が上げられているというのに、政府・経産省は九電に対して住民説明会の開催を促すことさえやっていなかったということが、日本共産党真島昭三衆院議員の国会追求で明らかになりました。こんなことが許されるでしょうか。津奈木町と芦北町は、阿久根市と協定を結んで約5,000人の避難者を受け入れられる施設を準備したそうですが、やはりこちらも実際にどうやって住民を避難させるのか、放射能対策はどうすればいいのか、何の備えもできていない。そもそも避難しなければならない我々がよそからの避難者をどうやって受け入れるのかと大問題になっているそうです。住民が万が一に備えて危機意識を共有し、正しい危機管理をするためにも、再稼動されてしまって遅きに失したとはいえこれからでも九電は誠意を持って住民に納得のいく説明をすべきであり、県土の大半が150キロ圏内に位置し、ひとたび事故が起きれば放射能汚染は熊本県全域に及ぶことが懸念される熊本県におきましても、国や九電にしっかりと説明を求めて行くべきではなかろうかと思います。請願は採択すべきであります。 次に請願第6号、消費税の再増税を中止し、生活費非課税・応能負担の税制を求める意見書提出を求める請願についてであります。
 9月24日付、日本経済新聞の記事によりますと、自民党の野田毅税制調査会長は、「消費税の軽減税率を導入するには、システムなどいろいろ準備がかかる。税率が10%に上がる2017年4月は同意できない。出来ないことは約束できない」と発言したと報道されています。しかし軽減税率の導入は、もともと消費税の増税を決めた際に与党が持ち出した公約であります。消費税が昨年4月、8%に増税され、消費が大きく落ち込み、景気が低迷しました。そのため2015年10月から予定されていた10%への再増税は2017年4月に延期をされ、それまでには軽減税率を具体化し、間に合わせるということが改めて約束されたはずであります。軽減税率の公約は守りません、だけども10%増税は予定通りやりますというのは、果たしていかがなものでしょうか。とうてい国民の理解が得られるものではありません。政府は、低所得者対策として新たな負担の還付案を持ち出していますが、そもそも低所得者に重い負担が押し付けられるのをどうにかしなければならないと考えるのであれば消費税増税を中止し、大企業やら大金持ち減税をやめればよいのであります。請願では、再び増税すれば国民・中小企業の暮らしが危機に直面すると訴えていらっしゃいます。この切実な訴えに応え、請願は不採択とせず採択すべきものであろうと考えます。
 以上で反対討論を終わります。

2015年9月議会 TPP関連の意見書に対する反対討論 2015年10月6日
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 日本共産党の山本伸裕です。委員会提出議案2号、TPP関連の意見書に対する反対討論を行ないます。
 昨日、アメリカアトランタで開かれていたTPP閣僚会合は「大筋合意に達した」と発表しました。この間、安倍政権は、「早期妥結」を最優先にしてアメリカへの譲歩に告ぐ譲歩を繰り返してきました。その内容は、コメでは、アメリカやオーストラリアに「特別枠」を設定して輸入を大幅に増やす、酪農製品の輸入拡大のための輸入枠を設定する、牛肉、豚肉の関税を大幅に引き下げ、廃止するなどとされています。どれをとっても重要品目について「聖域を守る」とした公約を、安倍政権は公然と投げ捨てたことになります。その一方、自動車の関税は、日本は無税であるのに、アメリカは今回の合意でも関税撤廃の時期を「TPPの関税交渉の中でもっとも遅くした」とのことであります。
 こうして、大筋合意の内容は、TPPは、地域経済・雇用、農業、医療、保険、食品安全、知的財産権など国民の生活・営業に密接に関わる分野で、日本の国民の利益と経済主権をアメリカや多国籍企業に売り渡すものであり、断じて容認できるものではありません。
 加えて異常なのは、広範囲に重大な影響を国民経済にもたらす条約であるにもかかわらず、日本政府の諸提案も、交渉相手からの要求も、いっさい明らかにしないまま、国民の目から隠れて徹底した秘密交渉で、大筋合意に至ったことであります。自民党が自ら賛成した2013年の国会決議でも、交渉により収集した情報については、速やかに国会に報告するとともに、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行なうよう措置すること」と明記されています。安倍政権の交渉姿勢は、国会決議さえ踏みにじる国民無視の暴走といわなければなりません。
 安倍政権は大筋合意をしましたが、TPP交渉が決着したわけではありません。これから協定文書の作成とその調印、さらに各国の批准、国会承認という段階があります。政府はTPP協定書作成作業から撤退し、調印を中止すべきであり、そのことを明確に政府に求めるべきであります。
 提案されました意見書案ですが、国民に対する詳細な情報提供、国民生活や地方経済、地方産業に与える影響分析と公表、合意内容の国会における十分な審議、基幹産業である農林水産業への必要な施策の実行を求めています。
 県議会では、これまで繰り返し意見書を国に挙げ、国会決議の順守、国益を守ることを繰り返し求めてきました。これら意見書に託された思いが、今回合意された内容では無残に踏みにじられてしまっているといわなければなりません。
 また平成25年2月県議会において、TPP交渉参加に対する意見書が採択されています。その意見書においては、日米首脳会談において聖域なき関税撤廃が前提とされるものではないことが確認されたという政府の説明を追認し、交渉参加を前提としたものでありました。これに対し日本共産党の松岡徹議員(当時)は、TPPに参加すれば、関税撤廃の例外が認められる保証はなくなること、非関税障壁の問題でもアメリカのルールをそのまま日本に押し付けられることになることなど、交渉参加には重大な問題点があることを指摘しておりました。県議会としても、政府の姿勢追認で果たして本当に農業や地域経済を守れるのか、検証が必要ではないでしょうか。
 今回の合意を受けての記者会見において安倍首相は、「今後将来にわたって、意欲ある農林漁業者が希望をもって経営に取り組めるようにすることにより、確実に再生産が可能となるよう政府全体で責任をもって国内対策を取りまとめ、交渉で獲得した措置と合わせて、万全の措置を講じてまいります」と、依然として根拠のない説明を繰り返しておられます。政府の責任で美しい田園を守っていくとも表明しておられますが、そうであるならばTPPから撤退する以外にありません。
 国民の食と安全を脅かし、日本経済と暮らしに深刻な影響を及ぼす大筋合意の内容とアメリカに大幅譲歩を繰り返した交渉の実態が明らかになれば、国民のより大きな反対世論が沸き起こらざるを得ません。日本と熊本の農業生産、地域経済、国民生活を守るために、本議会が断固とした姿勢を政府に示すことを求め、討論を終わります。

2015年9月議会 知事に対する質疑「水俣病問題の解決に向けて」 2015年9月25日
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 日本共産党の山本伸裕です。
 知事が議案説明の中で触れられた、水俣病問題への対応についてお尋ねをいたします。熊本県は、特措法で救済対象とされた2万2,816人のうち、16.5%に当たる3,761人の方が対象地域外の住民だったと発表しました。
 ところが蒲島知事は、定例会見で、「対象地域外に汚染が広がっていたということを科学的に示すものではない」「特措法による救済は、公健法の判断条件を満たさないものの、地域の紛争を終結させるための、政治的救済策である」と発言されました。長年水俣病の被害に苦しみ、誠意ある対応を県に求めてきた方々を突き放すような発言であり、決して看過できません。
 まず知事に第一点、基本的な認識の問題についてお尋ねします。知事は、いまだに救済されない水俣病被害者が数多くいらっしゃるという認識はお持ちでしょうか。お答えください。
 民間医師団が行った倉岳町沿岸四地区での健診では、特措法対象地域外でありながら全住民の3割に水俣病症状に似た感覚傷害が認められました。また先日鹿児島県出水市で行われた集団検診では、対象地域外に居住していた54人中53人、98%に感覚障害が認められたとのことであります。
 なぜこのような状況となっているのでしょうか。それは第一に、水俣病症状に対する認識不足が、地元不知火海沿岸住民の中にさえもあるということです。めまい、ふらつきやしびれなど体の不調がありながらも、年のせいにしてしまう。診断を受けてはじめて「自分の体の異常の原因がやっとわかった」と驚かれるわけです。第二に、水俣病被害を訴える人には「ニセ患者」とのつめたい非難が浴びせられてきた歴史があります。そのため長年苦しみを抱え続けながらも声をあげられなかった方々もたくさんおられます。こういった現状があるから、民間調査団が手弁当で患者救済の掘り起こし活動を続けてきたのです。そうして、特措法対象地域外にも多くの水俣病症状の広がりがあることが明らかになりました。県がまとめた特措法判定結果も、そのことを裏付けています。県は被害者の長年の苦しみにより沿い、汚染がどこまで広がっているのか実態をしっかり調査し、救済に力を尽くすのが、加害者として断罪された立場からすれば当然のことではないでしょうか。
 9月11日付熊日新聞の記事を紹介します。「汚染された食品による被害は広がっていても、汚染の広がりは示されていない」と言う県の論理は、被害を矮小化するすり替えではないか。こんな強引とも言える論理がまかり通るのは、大規模食中毒事件の実態解明に不可欠な総合的な住民健康調査がいまだなされず、被害の全体像を把握する基本的なデータが少ないことが一因だ。政治学者だった蒲島知事は、理論を豊富なデータで裏付ける実証主義で知られた。教え子の研究発表に対しても、徹底した実証性を強調し、できる限りのデータ収集を求めたと、たびたび著書に記している。その心情からすれば、混迷を重ねてきた水俣病救済策の歴史をどう受け止めているのか。学問的真実を求め続けてきた学者として、あるいはその理論を実践する政治家として、蒲島知事は内心忸怩たる思いを抱いているのではないか」と。そこで2つめの質問ですが、知事は実は内心は、忸怩たる思いでいらっしゃるのでしょうか。おたずねします。
 歴代知事の、水俣病への対応はどうだったでしょうか。1989年、水俣病全国連が、熊本県と被害者救済方法を協議したいと申し入れました。当時の細川知事は「それも一つの方法だ」と、話し合いを進めました。
 90年代に入ると、熊本・京都の両地方裁判所が原告勝訴の判断を示し、裁判所から解決勧告が出されました。当時の福島知事は、「地裁判決は国、県も責任を感じるべきだと言ってきた私の主張の延長線上にある」と述べ、国が受け入れを拒否する中、県は勧告を受け入れ、解決に向け協議を始めました。
 関西訴訟最高裁判決を受けて、当時の潮谷知事は国に対し、水俣病の判断条件の見直し、沿岸住民の健康調査を提案しています。
 こうした3人の歴代知事に共通している姿勢は、被害者の立場に立ち、国に対してものを言い、行動するというものでした。
 今回の知事の発言は、歴代知事の中でも一番水俣病に取り組む姿勢が後退しているのではないかと感じざるを得ません。ぜひ全面決着に尽力されることを求めます。具体的には、不知火海沿岸全住民の健康調査の実施と昭和52年判断条件の見直しを国に求めること、司法救済制度の確立に向けた具体的な検討を行うことであります。いかがでしょうか。おたずねします。

(知事答弁後)
 現在唯一の救済策は公健法に基づく認定審査のみであります。しかしながら、審査会再開の根拠とされた、不服審査会の当事者は2004年の関西訴訟最高裁判決で水俣病だと認められた患者さんであります。最高裁判決で水俣病と認められた患者が、行政の判断では水俣病ではないとされてしまう。このこと自体が異常なことだとは思われませんか。結局、総合的に判断するとは言うものの、現実においては52年判断条件に固執し、認定のハードルが依然として実態に合わない高いものになっており、多くの患者切り捨てがまたしても繰り返されようとしています。そんな中で、救済を求めて裁判に立ち上がらざるを得ない方々が1,000名を超えました。公式発見からやがて60年という長い年月が経過するにもかかわらず、水俣病問題は解決に向かうどころか、さらに混迷を深めようとしているのではないでしょうか。
 私は、知事が繰り返し、言葉の上で強調されているように、すべての水俣病被害者に寄り添い、被害者救済と水俣病問題の解決に向けて、全力をあげて取り組みを強化されることを求めて質疑を終わります。

2015年6月議会 6月議会補正予算その他提案に対する反対討論 2015年7月6日
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 日本共産党の山本伸裕です。
 知事提出議案1号、一般会計補正予算についてでありますが、阿蘇火山活動等に伴う降灰対策関連事業予算が計上されており、この点については評価・歓迎するものであります。私は5月臨時議会におきまして、現地の方々からの聞き取り調査などに基づき、降灰対策については農業関係者の支援強化、降灰除去作業については地元市町村への支援強化、そして防災の観点から観測地点を増やすなどの対策強化を提案させていただきました。今回の補正予算では、土壌矯正、除灰機器の導入など農業関係、そして小型路面清掃車の導入など土木関係合わせて8千200万円が計上されています。降灰に悩んでおられる関係者の皆さんの喜ぶ顔が目に浮かび私も嬉しく思いました。降灰対策については、引き続き、現地の状況、要望に沿って適切に対応していただくよう願うものであります。
 一方で、県税事務オンラインシステム維持管理費として3,000万円余の補正が計上されています。これはマイナンバー制度導入に伴い県税システム番号制度対応をすすめる事業であり賛成できません。
 マイナンバー制度は、国民一人ひとりに背番号をつけ、各自の納税、保険料納付、医療機関での受診・治療、介護・保育サービスの利用などの情報をデータベース化して、国が一元管理するというものです。既存の住基ネットなどとは比較にならない大量の個人情報が蓄積され、税・医療・年金・福祉・介護・労働保険・災害補償などあらゆる分野で活用されます。役所への申請はもとより、病院の窓口や介護サービスの申し込みに使われるなど、公務・民間にかかわらず、多様な主体がそこにアクセスをしていきます。これが導入されれば、個人情報が芋づる式に引き出され、プライバシーを侵害する危険性が高まることは明らかです。
 日本年金機構のコンピューターがウイルスに感染し、判明しただけで約125万件もの年金個人情報が流出し、年金受給者、国民に大きな衝撃を与えました。以前にもベネッセからの個人情報流出、韓国でもクレジットカード会社から二千万件の個人情報流出などの事態が発生しています。
 いま情報管理に関してはっきりしてきたことは、第1に、情報漏えいを100%防ぐシステムを構築することは不可能であること、第2に、たとえ仮に完璧に近いシステムを構築したとしても、それを扱う人間の中に情報を盗んだり売ったりする人間が一人でも入り込めば、そこから大量の個人情報が流出する危険性があること、第3に、一度漏れた情報はまさに覆水盆に返らずで、流通され、売買されてしまうということ、第4に、個人情報が集まれば集まるほど、攻撃にさらされるリスクが高くなるということ、であります。すなわち、現時点でマイナンバー制度を進めることはあまりにも危険だといわざるを得ません。いま立ち止まって考えなければならない時です。少なくとも、10月から予定されている番号通知、来年1月からの運用開始は中止するよう国に働き掛けるべきです。マイナンバー問題については、これまでも中止を求めてまいりました。問題点が一層明らかになってきました。そういった点から知事提出議案第一号には反対であります。
 第5号、条例制定についての議案もマイナンバー関連のものであり反対であります。
 第6号、県税条例改正は、法人実効税率を引き下げ、外形標準課税拡大を進める内容であります。その狙いは、稼ぐ力のある企業の税負担を軽減することで、成長につなげていくというものです。しかし、これは黒字企業には減税、赤字企業には増税となるものであり、本来応能負担であるべき税負担の原則に反するものです。政府与党の税制改正大綱によると、法人税改革として今後さらに外形標準課税の拡大を検討していくとなっていることから、中小企業への深刻な影響も懸念されます。このような税制改革の方向には反対であります。
 第12号、熊本県鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律等に基づく標識の寸法を定める条例の一部改正についてでありますが、もともとこの法律は、生物の多様性の確保、生活環境の保全及び農林水産業の健全な発展に寄与することを通じて、自然環境の恵沢を享受できる国民生活の確保及び地域社会の健全な発展に資することを目的として制定されたものであり、鳥獣の保護及び狩猟の適正化を図るためのものであります。
 今日、深刻化する鳥獣被害と捕獲の担い手の減少のもとで、従来の「保護」の観点に立った対策では被害に対応できないとして、昨年、法律の名称と目的が、「保護」から「管理」へと大きく転換されました。これにより、従来の特定鳥獣保護管理計画が「保護計画」と「管理計画」に分離され、被害を起こす鳥獣の管理(捕獲)を進めるものとなりました。
 この法改正により、事実上、国から都道府県や認定事業者に捕獲事業が丸投げされました。しかし国による地方行政機関などへの専門家の配置や捕獲事業への財政的支援もなく、安全性や効果の保証もありません。鳥獣保護という根幹思想を転換し、環境行政自らが鳥獣管理という捕獲事業に身を置くこととなり、鳥獣保護行政に禍根を残しかねません。
 もちろん、シカやイノシシによる農林業被害や自然生態系への被害を減らしていくことは当然必要であり喫緊の課題です。しかしだからといって鳥獣保護という法律の根幹を転換したことは適切ではないと考えます。
 したがって、このような法改正に基づいて行われる条例改定には反対の立場を表明するものであります。
 なお、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律について、日本共産党は国会において以前からその問題点を指摘し、修正案を提案してまいりました。
 第一に、鳥獣管理制度を廃し、目的に鳥獣の保護管理を明確に位置付けて、保護管理計画の拡充強化を図ること。第二に、現行特定計画制度の失敗の教訓となっている地方行政機関及び研究機関への専門職員の配置を義務付けることを明記し、科学的知見に基づく計画の策定、事業の推進や住民合意への役割を果たしていくこと。第三に、国による地方行政機関等への専門職員の配置に係る費用等の支援措置を明確に規定することで、保護管理制度に基づく対策が効果的に行われるようにすることであります。人間生活において野生鳥獣との共生及び生物多様性の保全が重要であると認識し、国の環境行政が国民の理解を得ながら鳥獣保護及び鳥獣被害への適切な対策に責任を負う行政を進めることを求めるものです。
 第23号議案は県育英貸付金の支払い請求に係る訴えの提起です。5月臨時議会で私は同様の議案に反対討論を行いましたので詳細は述べませんが、滞納者を裁判に訴えるというやり方には反対であります。
 以上で討論を終わります。

2015年6月議会 70年談話反対、安保法制断念を求める意見書の賛成討論 2015年7月6日
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 日本共産党の山本伸裕です。まず、議員提案第一号の、戦後70年の節目に未来志向の内閣総理大臣談話の発出を求める意見書案についての反対討論を行ないます。
 戦後70年談話に関しては、安倍首相が談話を発表する考えを表明して以来、それがどのような内容のものになるのかについて、世界から大きな関心が寄せられています。日本の同盟国アメリカからは、ジェン・サキ報道官が「アメリカは、日本に、話し合いを通じて友好的な方法で隣国との歴史をめぐる問題を解決するよう促す」とのべ、日本が戦時中の軍の行為に関して、1990年代に行なった謝罪は、近隣諸国との関係改善のための努力として重要な出来事だったと、70年談話の内容に釘を刺しました。
 なぜ70年談話が世界から注目されているのか、アメリカコロンビア大学のキャロル・グラック教授は、過去の戦争の記憶について、原住民の奴隷化、虐殺、植民地支配、原爆投下、慰安婦問題などの歴史を、国際的に共同して記憶しようという考え、記憶の文化が今世界に広がっているからだと指摘しています。そして戦争の記憶についてどのように対処すべきなのか、日本政府と国際社会の理解に大きな違いが生じているとも、同氏は述べておられます。日本は過去の歴史とどう向き合うのか、このことが世界から注目されているということを、私たちもわきまえる必要があろうかと思います。
 そこで意見書案についてですが、第一の問題点として、戦後70年という節目の年に出される首相談話は、日本がアジア諸国と本当の「和解と友好」に向かう転機となるような内容にすることが求められると考えます。
 提出された意見書案では、「過去への反省」「平和への歩み」「国際貢献」との表現が盛り込まれていますが、この間の経過を踏まえれば、村山談話の一番の核心的な部分、すなわち「植民地支配と侵略」、これに対する「痛切な反省」、この核心の部分をしっかり継承し、それにふさわしい行動をとるということを明確に示す必要があると思います。
 第二に、意見書案の「積極的平和主義の旗を一層高く掲げ」という文言であります。安倍政権は、国際協調主義に基づく積極的平和主義を掲げ、そのもとで集団的自衛権の行使を可能とする憲法解釈の変更を含めた安保法制整備の基本方針を閣議決定しました。つまり積極的平和主義の旗に基づくならば、日本を戦争する国に作り変える安保法案を早く成立させるべきだということになります。こういったことには賛成できません。以上の点から、第一号意見書案については反対いたします。
 
 次に、第二号、安全保障法制の今国会での成立を断念することを求める意見書案についての賛成討論を行ないます。
 安倍政権は数の力で会期延長を強行し、なんとしても法案を成立させる構えですが、法案の審議が進めば進むほど、反対の声が広がっています。産経新聞が行なった調査でさえ、安保法制が憲法違反だとの声は57.7%に上り、合憲だとの意見は21.7%であります。日経新聞でも違憲56%、合憲22%。朝日新聞でも違憲56%、合憲29%です。政府が提出している法案を、憲法違反だと考える人がこれだけ多くを占めるのは異例の事態だといわなければなりません。
 国会審議でも、議論をすればするほど法案の違憲性は明らかになるばかりであります。自衛隊がこれまでの憲法解釈では許されないとしてきた戦闘地域まで出かけ、弾薬の補給や武器の輸送を行なうことについて政府は、「憲法に違反しない」といいますが、そんな議論は世界に通用しません。小林節慶応大学名誉教授は、自衛隊が行なう後方支援は他国の武力行使との一体化そのものだと指摘、「兵站なしに戦闘はできない」、「露骨な戦争参加法案」だと厳しく批判しました。国連平和維持活動(PKO)と関係なく、戦乱が続く地域に自衛隊を派兵して治安活動を行なうことについて宮崎礼壹・元内閣法制局長官は、停戦合意が崩れればたちまち深刻な混乱を招き、結果的に憲法違反の武力行使にいたる恐れが大きい」と指摘しました。自民党推薦の長谷部靖男早稲田大学教授は、集団的自衛権を発動して米国の戦争に自衛隊が参戦し、海外で武力行使に乗り出すことは憲法違反だと断言しました。阪田雅弘元内閣法制局中間は、政府がホルムズ海峡の機雷掃海を実例に上げていることについて、「わが国の重要な利益を守るために必要があると判断すれば集団的自衛権を行使できるといっているのに等しい。そうだとすると、到底、従来の政府の憲法解釈の基本的な論理の枠内とはいえなくなる」と指摘しました。法案の違憲性はいよいよ明白であります。
 長谷部教授は、政治家が大事だと思うことを政治の仕組みや国家の独占する物理的な力を使って社会全体に押し及ぼそうとすることは、大きな危険を伴うと指摘し、立憲主義の重要性を強調しています。法律を決めるのは学者ではなく政治家だなどという発言は、まさに政権与党の傲慢、おごりを露呈したものであり、すべての政治家は立憲主義の大原則に忠実であるべきことを肝に銘じる必要があります。
 ところで、共同で提出しております意見書案は、安保法制が憲法違反であること、海外で戦争する国への道を開く危険な内容であるという問題点を指摘しておりますが、主たる趣旨として、今国会で採決強行しないよう求めているのであり、これは多くの国民の不安・懸念に答えるものであろうかと思います。法案そのものに賛成、反対という立場を超えて、民主主義の大原則に立ち返るならば、議員各位のご賛同が得られる内容ではないかと思うものであります。
 6月28日の熊日新聞に、元県議会議長で自民党県連副会長などを歴任された杉森猛夫さんが、安保法制の整備は絶対許されないと、その思いを語っておられます。記事の一部を紹介させていただきます。「憲法9条には多くの戦争犠牲者の悲しみや苦しみ、無念さがいっぱい詰まっている。いまは国会議員のほとんどに戦争体験がなく、悲惨さが想像できないのだろうか。集団的自衛権の行使を認める安保法制は戦争への道を開き、明らかに憲法に違反している。自衛隊の武力行使を認め、活動領域を広げるということは、隊員が命を落とす危険が広がるということだ。安保法制に賛成する議員らは、自分の子や孫を隊員として海外に派遣できるというのか。国民が納得できないことを政治がやってはいけない」。県議会議員の大先輩、自民党の重鎮であった方の言葉は傾聴に値します。ぜひ自民党、公明党議員各位、あるいは無所属議員各位も自らの政治家としての良心良識に立ち返り、意見書案へのご賛同をいただきますよう呼びかけまして討論を終わります。

2015年6月議会 政府に少人数学級実現を求める意見書(案) 2015年7月6日
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 子どもは社会の宝です。
 学校における学級という単位は、子どもたちが学び、生活する基本的な場です。しかし2010年中央教育審議会初等中等部会「提言」によると、「生徒指導面等の課題が複雑化、多様化し、学級の秩序が確保できなくなる事態も生じるなど、40人という学級規模では学級経営が困難になっている」と指摘し、小人数学級実現が必要であることを強調しています。いわゆる発達障害のある子どもたち、貧困や虐待などしんどい家庭を背負っている子どもたちも増えています。先生が、子ども一人一人の学習や生活でのつまずきを手のひらにのせて指導するには、少人数のほうがいいことは明らかです。また、子ども一人ひとりの発言や発表などの機会も少人数になればぐんと増えます。
 2012年、小学1年生を35人学級にする義務教育標準法が全会一致で改正され、同年4月から実施されました。そこには、次のような附則が盛り込まれています。
 ――「政府は、……公立の小学校の第二学年から第六学年まで及び中学校に係る学級編成の標準を順次に改定することその他の措置を講ずることについて検討を行い、その結果に基づいて法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとする」(附則第二項)
 ――「政府は、前項の措置を講ずるにあたっては、これに必要な安定した財源の確保に努めるものとする」(同第三項)
 すなわち、政府は中学3年生までの学級編成改定を順次検討し、法改正などの必要な措置をとる、そのために安定した財源を確保する、ということです。
 安倍首相も2月の衆議院予算委員会において、同法に関して「全会一致ということの重さもかみしめながら」と断ったうえで、「35人学級の実現にむけて鋭意努力をしていきたい」と答弁されました。
 これから概算要求がおこなわれます。政府におかれましては、少人数学級の推進へ、以下の措置を講じていただきますよう要請します。
 
 一、 順次各学年で少人数学級の実現を図るため、必要な予算措置を講じ、教職員増員計画を立て推進すること。

2015年6月議会 少人数学級意見書趣旨説明 2015年7月6日
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 日本共産党の山本伸裕です。意見書案第○号、国に少人数学級実現を求める意見書案についての提案理由説明を行ないます。
 意見書案の趣旨は、順次各学年で少人数学級の実現を図るため、必要な予算措置を講じ、教職員増員計画を立てて推進されるよう国に求めるものであります。
 提案理由の第一は、少人数学級によって大きな教育成果が得られることがすでに実証されているからであります。
 1985年にテネシー州で行なわれたSTAR計画では、13人から17人の少人数学級、22人から26人の普通学級、さらに常勤の補助職員を配置した3種類の学級を編成し、幼稚園から小学校3年生までの4年間に渡って教育効果の検証が行なわれました。79校、329学級、6,000人強が参加した大規模なものでありました。この検証は、追跡調査も実施されています。
 その教育効果は明瞭です。STAR計画を分析した教授によると、第一に、少人数学級に在籍した子どもの成績はすべての学年、教科で向上した。少人数学級に早期に在籍し、在籍期間が長い子どもの成績が上がった。第二に、少人数学級から普通学級に変わった四年次から八年次までの成績を追跡した結果でも、少人数在籍の子どもの成績は優位であり、少人数学級に早期に在籍期間が長いほどその効果がより長く持続している、というものでした。このSTAR計画の検証結果が出てから、多くの州で学級規模縮小の取り組みがなされています。
 日本においても35人学級の教育効果について、様々な研究報告がなされています。山形県では2002年から小学校全学年を21人から33人の少人数学級編成にする「さんさんクラブ」が取り組まれ、今では中学校にまで広がっています。それによると、学力の向上とともに出席率の向上、不登校率の低下という効果が報告されています。
 2007年3月、東京大学による教職員配置に関する調査研究委託事業、「少人数教育に関する調査研究事業」の報告書によると、日本での教育効果を実証した結果、少人数学級の場合、生活集団と学習集団の一体化を基礎として学習意欲の形成・喚起を図ることができるとともに、40人学級より小さな集団となることにより、子供同士の学び合いがより深まって、学習指導がより効果的なものに変わる、としています。
 さらに、学校現場教員の方の声を紹介します。これは他見のある先生の声であります。「2011年に35人学級が実現されたことに伴い、それまで小学1年生で36人だった学級が、18人ずつの二つの学級に分けられました。そうすると子どもたちが落ち着いて、教員もその影響を受けてゆっくり子どもの話が聞けるようになりました。『この子は、ここが分からない』が見えてきて、『困った人は手を挙げてね、先生が助けてあげるよ』といつも言うことができました。一人ずつ発表する場面でも、周りの子は待てるようになりました。なぜなら、自分も順番が回ってきて発言できることが分かっているからです。給食も早く配膳でき、ゆっくり食べることができます。」これが、35人学級を体験した先生方の実感であります。
 提案理由の第二は、安倍政権も少人数学級に対して肯定的に捕らえ、実現に意欲を示しておられることであります。
 2月23日の衆議院予算委員会において、下村文部科学大臣は、財務省は少人数学級の政策効果はないから40人学級に戻せという議論があるがどう考えるかと問われ、以下のように答弁されました。「いままで以上に学校を取り巻く環境が大変に複雑化また困難化し、教員に求められる役割も拡大する中、教員が授業など子どもへの指導により専念できる環境をつくることが必要だと思います。その時に、40人学級に戻すとの主張は、文部科学省の考え方や、あるいは学校現場、また保護者の声とは全く相容れないものであります」と。さらに、少人数学級についての効果を問われ、下村大臣は、「子どもたち一人ひとりに眼が行き届く決め細やかな指導や、思考を深める授業作りがいっそう可能となる、あるいは教員と児童の関係が緊密化するとともに、家庭との緊密な連携がより可能となるといったような調査結果が出ております。子どもたちの学習意欲の向上や決め細やかな指導による学力の向上にとって、効果があるものというふうに考えています」と答弁をされました。
 そうして、意見書文案の中でも紹介していますが、安倍首相自身も「全会一致ということの重さもかみしめながら、35人学級の実現に向けて鋭意努力をしていきたい」と述べておられるのであります。本意見書は政府の以降を支持し、しっかりと推進をはかるよう求めるものであります。反対される理由はないものと考えます。
   提案理由の第三は、いまや少人数学級の推進は子どもたち、教職員、保護者、行政、さらに全国民的な願いになってきているという点であります。
   2010年に文部科学省は、27の教育団体からのヒヤリングを受け、少人数学級の推進を要望した団体は、全国知事会、全国都道府県教育長協議会、全国連合小学校長会、全日本中学校校長会、全国高等学校校長会、日本PTA全国協議会など23団体、残り4団体も少人数学級については賛成であったことを下村大臣が明らかにされました。
   さらに、全国の自治体でも少人数学級の実施が広がっています。1986年に長野県小海町で日本で初めて少人数学級が実施され、2001年度から秋田県、山形県で県独自で先行実施されました。いまや小学校1年生から中学校3年生まで少人数学級を実施しているのは、全日本教職員組合の調査によると山形、福島、山梨、長野、静岡、和歌山、鳥取、岡山、山口、香川など十県にも上っています。いまこそ国が、法律に基づいて、35人学級を小学校一年に続いて小学校2年生、3年生と順次中学校まで制度化する時期に来ているのではないでしょうか。
   それに伴う国庫負担も決して大きくはありません。少子化による児童、生徒の減少により、これから教職員定数も減っていくことになります。2016年度を起点として小学2年生への35人学級を実現するとすれば、必要な教職員数は全国で4,300人。いっぽうで教職員の定数減は3,600人であります。差し引き700人の象で済むということになります。国庫負担としては15億6,000万円です。全体からすればわずかな額であります。その意味では、まさにいまが少人数学級実施への絶好のチャンスだといえるでしょう。
   以上が少人数学級実現を求める意見書の提案理由であります。議員各位におかれましては、政府自身がいま推進をはかろうとしているだけに、それに水をささずに、ぜひご賛同いただきますようお願い申し上げまして説明を終わります。

2015年5月臨時議会 降灰対策についての質疑 2015年5月14日
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 日本共産党の山本伸裕です。議案第3号、阿蘇山噴火に伴う降灰対策への対応のため措置された、一般会計補正予算に関して質疑を行ないます。

 阿蘇中岳の火口状況は依然として噴火警戒レベル2が継続されており、断続的に噴火、降灰が続き、地域住民の生活に支障をきたすとともに、観光業や農林水産業への影響など、県民の社会生活に長期にわたって広範囲に影響を及ぼすことが懸念されております。
 本年2月、熊本県は、阿蘇山噴火降灰対策計画を策定されました。基本的な考え方として、現時点における降灰状況や市町村からの要望などを踏まえ、考えられる様々な対策を講じる。特に、現に確認されている影響や被害に、迅速、的確に対応するなどの姿勢を打ち出しておられます。
 今回提案されています補正予算は園芸作物等の除灰機器の導入整備に対する助成であり、これ自体は前向きな対応と考えるものでありますが、先ほどの降灰対策計画の趣旨に照らすならば、関係住民や市町村の負担軽減のためにも、さらに県がもう一歩足を踏み出すような積極的な対応が求められているのではないかと思い、質疑を行なうものです。
 第一に、園芸関係降灰対策事業の補助対象について、お隣の大分県では洗浄機器のほかに、ビニールなどの被覆資材購入経費も補助の対象としています。熊本県としましては、ビニール購入経費などについても対象に加えるべきではないでしょうか。
 第二に、降灰除去対策です。幹線道路でなく町道、村道など細く入り組んだ道の多くは清掃車が入らず、住民の皆さんの努力で灰が取り除かれています。ところが自治体から支給されている灰の回収袋が圧倒的に足りないのでどこそこに山積みされたままであり、風が吹くと灰が舞い上がって大変だとのことでありました。昨年、県は高森町からの要請に基づいて町道の降灰除去作業を行なったとのことですが、さらにこの取り組みを拡充して、予算措置も講じて関係自治体の灰の除去作業を強力に支援すべきではないでしょうか。
 第三に、防災対策であります。昨年12月議会の一般質問で、日本共産党の松岡徹議員が、1989年と90年に中岳の噴火が続く中、同年7月の集中豪雨で阿蘇一宮が土石流災害に見舞われた事例を紹介し、降灰量の観測など具体的な災害の予防等の対策を尋ねました。知事公室長の答弁は、現時点では直ちに土石流が発生する状況にはない、今後土砂災害の発生する恐れが高まった場合には、国土交通省が土砂災害防止法に基づき、降灰の堆積状況などを確認する緊急調査を実施するとのことでありました。それから5ヶ月が経過しています。依然として活発な火山活動が継続しているもとで、万が一にも住民の安全や財産が危険にさらされるようなことがないよう、観測点を増やすなどの対応は必要ではないでしょうか。以上三点について第一を農林水産部長に、第二、第三を土木部長にお尋ねいたします。

<続き> 降灰対策についての質疑(再登壇) 印刷用PDFをダウンロードするには、ここをクリック(207kb)

 ご答弁ありがとうございました。
 一点目についてでありますが、確かに大分県が実施している補助はトンネル栽培用のビニールに対してであり、ハウスビニール購入についての補助はありません。ところが農水部長がおっしゃったように、本県の場合はハウスが主体であります私はハウス農家の方からお話を伺いましたが、灰が降ってくるときはまだ熱を持っているというんです。熱いと。それがビニールに降り積もると、くっついてしまって高圧洗浄機を使っても取れないというんですね。農作物への影響も心配だという深刻な訴えでありました。ぜひビニール購入経費への補助を検討してもらいたいという、農家からの切実な要望が確かにございますので、先ほど申しましたとおり、県の降灰対策計画の趣旨を生かし、ぜひ積極的な一歩踏み込んだ対策を重ねてお願いいたします。
 なお、今回提案されている議案につきましては、これ自体は積極的なものとして賛成の立場を表明するものであります。
 それから第三点目の問題です。先ほど申しました1990年7月の土砂災害について、わたくし砂防学会の災害調査団がまとめた報告書を読みました。時間の都合上内容をはしょらなければならないのが残念ですが、一部紹介します。古恵川流域の山崩れの大部分は、斜面の表層に積もった黒色火山灰層が、下層(下の層)の褐色火山灰層を境にして滑り落ちた表層崩壊であると。災害発生前の数ヶ月間、阿蘇中岳はたびたび噴火を繰り返し、降灰をその周辺域にもたらした。古い降灰層の上に積もった新しい降灰層との境から崩壊が起こったと指摘しています。この時の災害で一ノ宮では11名の尊い人命が奪われました。現在設置されている降灰状況観測地点ですが、この災害が起こった地域には置かれておりません。
 その後2012年にも、記憶に新しいところでございますが、阿蘇市で21名が亡くなる土砂災害がありました。私が申し上げたいのは、災害が起こってからでは遅いということです。阿蘇はこの四半世紀のうちに二度のこれほど甚大な災害を繰り返しておりますし、また大雨を心配しなければならない時期にさしかかってきています。災害対策には万全の上にも万全を期すということをぜひお願いしまして、質疑を終わります。

2015年5月臨時議会 議案11号、県育英資金貸付金の支払い請求にかかる訴えの提起に対して反対討論 2015年5月14日
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 日本共産党の山本伸裕です。議案11号、県育英資金貸付金の支払い請求にかかる訴えの提起に対して反対討論を行ないます。

 県育英資金は、経済的理由により就学困難な人に対し、学資を貸与して教育の機会均等を図り、将来社会に貢献しうる人材を育成することを目的として設けられています。資金の返還金は再び後輩の育英資金として活用されており、返還金がなければ将来の育英資金の運営に重大な支障をきたすとして、奨学生に対し返還の手引書を渡し、返還を延滞した場合は裁判所の手続きを経て、育英資金の回収を行なうこと、また、卒業後に進学などによる理由により、希望するならば返還猶予の制度があることなどが説明されています。今回の提訴に関して、担当職員の皆さんが決して機械的な対応をとらず、育英資金制度の趣旨に基づいて粘り強く働きかけ、返済を求める努力を尽くされてきたことは十分理解するものであります。
 しかしながら、今日多くの学生が育英金・奨学金返済に関して大きな不安と負担を抱えている状況が広がっているもとで、いま切実に求められていることは、学生の皆さんが本当に安心して使える育英資金制度に改善していくことであり、滞納者を裁判に訴えるというやり方は、返済に苦しんでいる人、あるいは育英金を借りようかどうしようかと悩んでいる人にますます大きな不安を与えてしまうことになるのではないかと思うわけです。将来の返済が心配だから、経済的な困難はあるけれども奨学金・育英金を借りるのはやめようと。がんばってバイトするとか、食費を切り詰めるとか、ほんとはやりたかった部活をあきらめるとか、買いたい本を我慢するとか、それでも厳しいからとうとう就学断念を決断してしまうとか。こうなってきますと、せっかくの就学困難な人に手を差し伸べようという育英資金制度の趣旨が全く生かされないということになってしまいます。
 いま、全国的に見て奨学金制度は大きな社会問題となっています。大学教育のケースになりますが、奨学金は1998年から2014年の間に、貸与額で4・9倍、貸与人員で3・7倍に急速に拡大してきました。なぜそうなるのか。大学や短大を卒業した30代から50代の三分の一以上が年収300万円以下の賃金で働いています。この間、勤労者の所得は平均年収で60万円減少。学生への親からの仕送りも平均で月額10万円から7万円に減りました。その一方で大学の学費は上がり続け、初年度納入金は国立で83万円、私立は文系約115万円、理系約150万円にもなります。こうして奨学金に頼らざるを得ない人々が急速に増加してきたのであります。いまや学生の2人に一人が奨学金を借りています。
 ところが、いま奨学金を借りた既卒者の8人に一人が滞納や返済猶予になっているんです。深刻な状況です。これはもちろん国の奨学金制度の問題も含めて改善を進めていかなければならない問題であろうかと思いますが、そういう状況であるからこそ、私は県の育英資金制度が、その本来の趣旨どおり、教育の機会均等を保障するにふさわしい制度となるよう、制度の改善をはかるべきではないかと考えます。そこで以下の提案させていただくものであります。
 第一に、返済について減免制度を設けるということです。卒業後の進路さえ見当もつかないのに、あらかじめ毎月の返済額が決まる現行制度を改め、所得に応じた返済制度にすることを提案します。
 第二に、滞納者の事情を全く考慮せずに一律に課せられる延滞金制度、また親が高齢になった時に借金返済を迫られるという事態が問題になっている連帯保証人制度は廃止すべきです。返済困難者への相談窓口の充実を提案します。
 第三に、返済猶予制度はありますけれども、猶予期間が終了すれば本人の経済状況が改善しているという保障はどこにもありません。例えば一定の返済期間が経過した、あるいは返済者が一定の年齢に達したなどの状況を考慮して残額の免除を行なうなど、返済方法の改善を提案するものであります。
 最後に、日本の教育への公的支出はOECD加盟国の中で5年連続の最下位となっています。日本の高等教育は家計の重い負担で支えられてきましたが、それも限界に達しています。給付型の奨学金制度など、安心して使える奨学金制度の実現も当然国の責任で実現させるべきでありますし、憲法が定める教育の機会均等への責任をしっかり果たすべきだということを、熊本県としても強く政府に声をあげていくことを求めて反対討論を終わります。

2月議会 少人数学級、道徳の「教科化」意見書説明 2015年3月13日
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 日本共産党の松岡徹です。議員提出議案第3号少人数学級の拡充を求める意見書、第4号道徳の「教科化」中止を求める意見書についての提出者説明を行います。
  
 少人数学級の拡充については、保護者、教育関係者をはじめ、多くの国民の長年にわたる願いです。
 貧困、格差の広がり,DVなど、さまざまな要因で、援助が必要な子どもが増え、教育現場も、学級崩壊やいじめ問題など困難が広がっており、35年前からの現行40人学級での学級運営は大変になっています。
 こうした状況に対応するため、現在、全都道府県が独自に少人数学級の拡大に取り組み、10県が中学3年生まで実施しています。
 少人数になったクラスの教師は「ゆっくり子どもの話が聞けるようになった」「どの子がどこでつまずいているかわかる」などと語っています。少人数学級実施で欠席率や不登校が減ったり、人数の多い学級よりいじめの件数が少なかったりという成果が出ています。国際的にも欧米では30人以下学級が普通です。韓国でも35人学級を目標にしており、少人数学級は世界の流れです。
 熊本県では、全県的には、小学校2年まで少人数学級を実施していますが、教員の援助が児童生徒にゆき届き、学習や個々の問題の解決でも効果をあげています。
 
 少人数学級の拡充を求める声、世論が高まるなかで、いま、大きな変化が起きています。
 昨年11月、日本PTA全国協議会や全国市町村教育委員会連合会、各種の校長会や教頭会など23団体が「子どもたち一人一人へのきめ細かな教育を実現するため」に少人数学級の推進を求めるアピールを発表しました。
 国会では、2011年に義務教育標準法が全会一致で改正され、小学1年での35人学級が実現しました。その際、付則で、小学2年以降についても、政府が少人数学級を検討、実施することを定めました。
 12年度は、小2を35人学級にする予算がつき、その後も小3、小4と順次実施されるはずでした。ところが12年末に発足した安倍政権がこれを止めてしまいました。15年度予算編成では、財務省が「小学1年も40人学級にもどせ」ととんでもないことを言い出しました。
 これに対して、大きな批判が巻き起こりました。
 そうしたなか、2月23日の衆議院予算委員会での、日本共産党の畑野君枝衆院議員の質問に対して、安倍首相が、初めて「35人学級の実現に向けて鋭意努力していきたい」と答弁するに至りました。 
 安倍政権が、35人学級を止めてきた経過からみて、注目すべき変化です。
 日本の教育への公的支出のGDP比は経済協力開発機構(OECD)加盟国で最下位です。段階的にOECD平均並みに教育費を引き上げる計画を立て、その中で少人数学級の拡充を位置づ、実施学年を拡大していくことを求めるべきです。
 
 次に、道徳の「教科化」について、述べます。
 安倍首相は、「規範意識を教えることが重要だ」と繰り返し発言しています。しかしながら、安倍政権の閣僚などの献金問題、不適切行為などを散見していますと、この言葉は、自らに言い聞かせるべきではと思わざるを得ません。
 道徳の「教科化」を提起した教育再生実行会議は、その意味付けとして、大津市の男子中学生いじめ自殺事件(2011年)をあげていますが、いじめ自殺事件が起きた中学校は文部科学省指定の「道徳教育実践研究事業」推進校でした。同事件に関する第3者委員会の報告書は、「道徳教育や命の教育の限界」をあげ、「学校間格差、受験競争の中で子どもたちもストレスを受けている」と述べ、競争主義が社会的背景にあると指摘し、「学校の現場で教員が一丸となったさまざまな創造的な実践こそが必要なのではないか」と強調しています。
 もちろん、子どもたちが市民道徳を身につけることは重要です。しかし、、国家が特定の価値観を決めて押し付けるべきものではありません。
 ところが、中教審答申は、道徳を「特別の教科」として強制する体制を敷き、検定教科書を使用させ、評価を行うというものです。評価にあたっては、作文やノート、発言や行動の観察、面接などで資料を収集し、考え方から行動に至るまで全面的な評価を行うよう求めています。これでは、憲法が定める「内心の自由」(憲法19条)を侵し、国家が個人の考え、発言、行動まで強制することになりかねません。
 文部科学行政トップの下村博文文部科学大臣は、教育勅語の「中身はまっとうなことが書かれている」と発言しています。
 教育勅語は、「一旦緩急(かんきゅう)あれば義勇公に奉じ以て天壌無窮(てんじょうむきゅう)の皇運を扶翼(ふよく)すべし」、つまり「重大事態があれば天皇のために命を投げ出せ」と子どもたちに徹底して教え込むものでした。親孝行や兄弟仲よくするなども徳目として並べていますが、それらをすべて天皇への命がけの忠義に結び付けたのが特徴です。この中身を「まっとう」という下村氏の発言は、国民主権や基本的人権を定めた憲法に基づく教育の否定につながるものです。
 下村大臣の発言は、文部科学行政のトップとしての資格が問われるものです。同時に、そうした考えを持つ人物の下で進められようとしている「道徳の教科化」に強い危惧を持つものです。
 戦前、教育勅語で「道徳」の内容を定め、「修身」などで教え込み、若者たちを戦争に駆り立てた軍国主義教育の誤りを絶対繰り返してはなりません。
 
 学問、教育という点でも、道徳の「教科化」は重大な問題を含んでいます。
 教科であるからには、それに対応した科学がなければなりません。自然科学、社会科学それぞれの科学があり、それをもとに教科というのは形成されるわけです。
 道徳に関する学問、科学としては、倫理学、哲学がありますが、そこには、それぞれの内容についての批判も含めての科学的論究、検証が、当然存在します。ところが、道徳とか徳目とかいうのは、そもそも批判的検証、科学的探究の対象となりえないものです。道徳、徳目の特性です。この点でも道徳の「教科化」は、なされるべきものではありません。
 それとも、文部科学省や中教審は、「道徳」という科学をつくれるというのでしょうか。空恐ろしいことです。
 道徳の「教科化」の中止を求めるものです。
 
 以上で意見書についての説明を終わりますが、これが私の熊本県議会での最後の発言となります。この4年間、一般質問、質疑、討論、意見書説明と、多くの発言の機会をいただきました。前川議長はじめ歴代の議長、議員のみなさん、蒲島知事をはじめ、施行部のみなさんのご配慮、ご協力によるものであり、厚く感謝を申し上げます。
 振り返りますと、私が、日本共産党員となり、政治の道に踏み出したのは、50年前の2月でした。以来、その大半を党の専従として活動し、そして、2期8年間を県議として努めさせていただきました。 
 今期で、県議としては身を引きますが、生涯を通して、平和で、人々に幸多い、民主主義が行き渡った社会をめざして、ひたむきに歩んでまいる所存です。
 最後に、議員のみなさん、執行部のみなさんのご健康、ご活躍を祈念し、お礼とお別れのあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。

2月議会 一般会計予算、多良木高校請願など反対討論 2015年3月13日
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 日本共産党の松岡徹です。
 2015年度一般会計予算をはじめ、知事提出議案の7議案、請願1議案についての反対討論を行います。
 
 まず、2015年度一般会計予算です。
 子ども医療費補助は、通院は全国最下位、入院は下から4番目です。市議会議長会から、せめて「就学前まで無料に」の要望が知事あてに出されています。貧困の連鎖、いじめ、不登校など厳しい環境にある児童生徒に、目配りと援助がよりゆきわたる少人数学級も全国最低レベルです。将来を担う子どもたちへのもっとも基本的な施策の重大な立ち遅れはそのままです。
 その一方で、世界の阿蘇の環境をこわし、想定外洪水では役に立たず、熊本市をはじめ下流に甚大な被害をもたらす立野ダム建設の15年度負担金として、7億449万円、路木ダムに3140万円、逆差別を助長する同和関係団体への補助金3200万円など、住民の福祉の増進を基本任務とする自治体予算としては、逆立ちした、ゆがんだ予算となっています。
 消費税は8%に増税しながら、特養ホーム入居用件を、原則介護度3以上に狭め、、要支援1・2は、介護保険から排除する、介護報酬は大幅引き下げ、保険料引き上げと徴収強化につながる国民健康保険の都道府県化、生活保護の住宅扶助の削除など、国が進める社会保障の連続的な改悪をそのまま、県民にかぶせるだけで、県民のくらしや福祉を守るための県として独自の支援策については、私学助成など一部を除いて、ほとんど見られない、国追従の社会保障抑制型予算となっています。
 地域創生を言うならば、地域の中小企業、農林水産業の振興を基本に据えなければなりません。しかしながら、大きな経済効果を生むことが検証済みの住宅リフォーム補助制度は今回も見送り、企業誘致予算に25億円もの多額を振り向ける予算となっています。農業では、日本農業の一番の強みである家族経営型農業と土地所有を支える抜本策を講じるのではなく、逆に、企業参入と土地集約に偏重した予算になっています。地域の過疎化をくいとめ、活性化にとって大事な多良木高校廃坑に絡む、球磨地域の「新校開設準備室」予算は削除すべきです。
 以上の理由で、2015年度一般会計予算には反対します。
 
 請第53号、高校再編整備・後期計画(球磨地域)の「新校開設準備室」予算及び『後期実施計画(球磨地域)の策定の凍結を求める請願は採択すべきであり、不採択には断固反対です。
 大都市などとの不均衡、格差を是正し、地方から日本の社会、経済を立て直していくことが大きな課題となっているなかで、地域の人材育成、文化的教育的センターとしての高校の役割はますます重要性を増しています。地域活性化の核、重要な推進力である高校を地域からなくすことは、こうした流れに逆行するものです。
 教育の面では、今まさに、少人数学級の効果が明らかになり、小・中学校はもとより高校においても、少人数学級が求められています。
 秋田県では、少人数学級導入が、全公立高校の39・3%、青森県では、41・5%になっています。
 また、1学年下限4学級を「適正規模」とすることは、それによる教育効果について、客観的に証明する研究成果はみられず、根拠に乏しいものです。 
 逆に、少人数学級、小規模校の教育効果を示す研究、検証は、国内的にも国際的にも多数あることを指摘しておきます。
 1学級40人を固辞し、1学年4学級を下限とする熊本県教育委員会のやり方は、時代に逆行するものです。 
 多良木高校存続を求める署名が、町の人口を大きく上回る3万2千人分も集まり、町議会が全会一致で決議をあげ、町も、近隣自治体も、入学奨励金、祝い金を出すことを決めるなど、多良木高校存続を求める多良木町を中心にした動きは、上球磨地域の地域おこしへの限りないエネルギーと可能性を示すものです。これを大事に育て、援助するのではなく、一方的、強権的に抑えることは、県教育行政、県の地域政策上の失策として歴史的な汚点となるもので、断じてしてはなりません。
 高校再編・統合計画については、根本的に再検討すべきです。
 
 知事提出議案第66号は、介護保険で措置してきた要支援1・2の訪問介護、通所介護を、市町村に丸投げ、移行することを含むもので賛成できません。
  
 知事提出議案第67号は、精神科患者の長期入院を解消するために、地域での生活、医療、就労、相談などの支援体制の整備を抜本的に進めるのではなく、病院敷地内に居住施設をつくり、そこに入院患者を移すというもので、障害者団体、日弁連などが反対し、厚労省の入院者への意向調査でも反対が多数となっているものです。第67号には同意できません。
 
 知事提出議案第58号、59号、78号、79号、80号は、いずれも、道路などの占用料について引き下げるもので、たとえば第78号だけで600万円の減収になります。
 「地価に対する賃料の水準の変動」をふまえるという、政府の方針に基づくものですが、結果として、大手電力会社、通信会社の負担を軽減するものです。大企業には法人税減税、その一方で、赤字の中小企業にも外形標準課税対象の拡大で増税、庶民には、消費税増税、物価高、社会保障の切り下げと負担増です。
 格差拡大を助長し、地方自治体の貴重な財源を削るやり方には反対です。
  以上で討論を終わります。

2月議会 球磨川のダムなし治水、立野ダム問題についての質疑 2015年3月4日
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 日本共産党の松岡徹です。2015年度一般会計当初予算の国直轄事業負担金について、質疑を行います。
 まず、6億1千180万円余の球磨川の河川改修についての県負担金に関連して伺います
 「ダムによらない治水を検討する場」の最終会議で確認された「共通認識」として、「国土交通省および熊本県は、『検討する場』で積み上げた対策について、流域市町村の協力を得ながら、地域の理解が得られたものを着実に実施していく」ことを確認しています。
 「検討する場」では、人吉地区の「安全度」がしばしば問題になってきました。「検討する場」では、人吉地区で「直ちに実施する対策」として、「人吉橋下流左岸の掘削・築堤」「堤防の質的強化」があげられています。「追加して実施する対策」として、「遊水地の確保」があげられています。
 「下流から上流へ」「安全を確保するための緊急性」「当該自治体の協力」という点で、いよいよ人吉の番だと思います。
 知事はこれまでも、国への要望・提案なども含め、度々、急いでやるべきところから治水対策、安全性の向上に取り組んでいくことを国に求めてこられました。
 スピーデイに事が進むよう、いろんな形で国に求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  
 次に、立野ダム建設事業です。負担金7億440万円余が計上されています。現在仮排水路工事が進行中で、立野ダム建設により、刻一刻と阿蘇の自然が壊されています。
 知事は、12月県議会で私の質問に対して、「放流孔の穴づまりなど様々な意見に対して、国交省に説明責任を果たすよう引き続き求める」と答弁されました。その後、国交省に対して、どうされたのでしょうか。
 
 地元紙社説は、「球磨川流域は全国で初めて国直轄ダム計画を拒み、代替案を選択した。全国が注視するその歴史的試みを、住民の期待を得ながら成就させてほしい」と書いています。全国注視の歴史事業です。ソフト対策を含め、人吉をはじめとする防災治水対策、さらには、五木村の振興策推進に大いにリーダーシップを発揮していただきたいと思います。
 
 私は12月県議会の質問で、立野ダムの5メートルの3つの穴に流木が詰まるか詰まらないかという問題で、国土交通省の説明文には、1.8ミリメートルの爪ようじを切断した材料を使用した実験で安全を検証したとあること。堰堤業務検討報告書では、ボーリングの穴から地下水が噴出する現象が発生している。万一この部分の塞ぎが不完全な場合には、直ちに周辺の立野層を巻き込んだ大きな浸透破壊につながると。それで、グラウチング対策も普通以上の対策をやる、それでおおむね安全性を確保できるが、それで不十分だったら、追加工事をやる。
 第4期断層調査検討業務報告書では、立野周辺の9つの断層とも第4期断層が分布する、あるいは分布する可能性は否定できないと書いてあることなどをあげて、こうした重要な点が県民に説明されていない。知事が説明責任を求めると言うならば、こういう点もちゃんと明らかにするような説明を求めるべきと強調したわけです。
 知事は、「国が説明責任を果たすよう、引き続き要望することが、知事としての役割だ」と述べています。
 私は、2月23日、立野ダム工事事務所に行ってか確認しました。2ケ月以上も経ってているのに何もしていないということでした。
 やはり、事務方のメールではなく、県知事名できちんと要請をする。答弁で言われたように「知事としての役割」を果たしていただくよう重ねて求め、るものです。
 準備しているということですが、ホームページなどでの一方的な説明ではなく、双方向の説明会、専門家も含めて検証ができるような場を準備すべきだということを指摘し、質疑を終わります。

2月議会 奨学金問題での反対討論 2015年2月23日
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 日本共産党の松岡徹です。奨学金問題での反対討論を行います。
 日本共産党の松岡徹です。知事提出議案第31号、32号、33号、34号に対する反対討論を行います。
 奨学金、育英資金のことについては、これまでも度々意見を述べたきました。
 県の育英資金の運営のために関係職員のみなさんが努力、苦労をされていること、それぞれのケースのなかにはそれなりの事情があることを、私なりに承知しているところです。
 しかしながら、育英資金返還の延滞者に、延滞返還金、延滞利息を一括して払わせるとの請求には、同意できません。
 延滞金は、返済が遅れたものへのペナルティであり、そもそも奨学金、育英資金制度の理念、精神に沿わないものです。
 奨学金、育英資金の根本精神にたって、現役の生徒・学生、親の奨学金への不安を軽減するために、奨学金の返済に困ったときのセーフティーネットを拡充していくことこそ、今強く求められています。
 奨学金は、将来の返済能力がわからない段階で申請をし、それに対して貸し出しをするというものです。高校、大学を出て、予期せぬ困難に遭遇して、返済困難に陥ったものに対して、一律に返済を求めるのではなく、返済可能な分納計画をつくって、解決をはかることがのぞまれます。
 国の奨学金事業の実施団体である日本学生支援機構は、返済困難者を相手どって、年間6000件もの裁判を起こしています。様々な困難を抱える延滞者に対して、「滞納すれば延滞金や裁判」ということで、さらに苦境に追い込んでいます。県の返還の延滞者に、延滞返還金、延滞利息を一括して払わせるとのやり方は、こうした国の対応に追従したもので、あらためるべきです。
 奨学金については、多くの学生・生徒が、学生支援機構の奨学金と地方自治体などの奨学金を併用しており、様々な問題があります。
 奨学金借入時に連帯保証人を求めることになっています。この制度は、親が高齢になった時に連帯保証人としての借金返済を迫られるという深刻な矛盾があり、問題となってきました。本人は、自己破産したが、親に催促が行き、奨学金の返済が家族の人生まで狂わせるという事態も起きています。 
 その「改善」策として、国は、毎月の奨学金から保証料を天引きするやり方もとっていますが、4年間で奨学金は10万円も減らされということになってしまいます。
 延滞金にしても、連帯保証人にしても、保証料の天引きにしても、憲法、教育基本法に立脚した学生の勉学条件、生活条件の支援というより、もっぱら財政運営的視点から、ことを組み立てるところに問題があります。
 県として、セーフィテイナットの拡充をはかりながら、国に対しても会税を求めるべきです。
 日本の奨学金が貸与制というところから、奨学金という借金が多くの若者の未来を押しつぶす事態となっています。
 いま奨学金を借りると、平均的なケースで300万円、多い場合には1000万円もの借金を背負って社会人になります。ところが、非正規雇用の増大などで、雇用、収入は不安定であり、大学・短大などを卒業した30~50代の3分の1以上が年収300万円以下の賃金という状況です。こうしたもとで奨学金を借りた既卒者の8人に1人が滞納や返済猶予になっています。
 学生の場合は、「多額の借金」を恐れて奨学金を借りたくてもがまんする。学費、生活費のために、深夜までバイトする。違法・無法な働かせ方を求める「ブラックバイト」から抜け出せない一という事態が広がっています。
 何故こういう事態が広く起きているのか。奨学金が給付制ではなく、貸与制になっているからです。
 OECD加盟国で、大学の学費があり、返済不要の給付奨学金がないのは日本だけです。アメリカでは、最高で年間約60万円、平均約40万円の給付奨学金を全学生の3分の1以上が受給しています。
 政府は、2012年に長年留保していた国際人権規約の「高等教育の漸進的無償化」条項を受け入れました。これは国際公約であり、具体化を進めていくべきです。その責務は、国だけでなく地方自治体も、同じ行政機関として果たすべきものです。
 2012年度の予算編成過程では、文部科学省が給付制奨学金の導入として146億円を概算要求しましたが、最終的にはカットされました。自民党は前々回の総選挙で、「大学における給付型奨学金の創設に取り組みます」と公約に掲げました。
 日本の教育への公的支出は、OECDの中で最下位の状態です。
 日本の政治と教育が、国際公約である「高等教育の漸進的無償化」に真剣に向き合うことが強く求められており、奨学金制度の見直しも急いで具体化をはかるべきです。
 学生・生徒が、経済的条件に左右されることなく、安心して、進学し、勉強できるよう、また年老いた、年金生活の親が、連帯保証人として苦しむことがないような、国、県の奨学金制度の確立を求め、討論を終わります。

2月議会 地域消費喚起・生活型交付金についての質疑 2015年2月23日
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 日本共産党の松岡徹です。地域消費喚起・生活型交付金についての質疑を行います。
 日本共産党の松岡徹です。知事提出議案第20号、平成26年度一般会計補正予算について質疑を行います。
 地域住民生活等緊急支援のための交付金の地域消費喚起・生活支援型についてですが、20億3900万円が計上されています。ところが、その具体的な中身については、議案説明会の後、個別に説明を求めた際、まだはっきりしていない。常任委員会までには何とか示したい―という話でした。 
 本来、予算というのは、具体的にどのような事務・事業を行うのか。それに、どれだけの経費がかかるのか。その財源はどうするのかを計画したものを金額で表示するというものです。
 主として、国のやり方に問題があると思いますが、予算議案としては異例であり、問題有りといえます。
 現時点で、20億3900万円で、どのような事務事業を行うのか、は具体的になっているのでしょうか。企画振興部長に伺います。
  
 地域消費喚起という点では、波及効果が高い、住宅リフォーム補助制度の必要性をこれまで度々求めて参りました。
 土木部長に伺います。県内市町村で、同制度を実施している市町村はいくつになりますか。県内最初に制度をスタートさせた多良木町での波及効果、消費喚起効果について、県として把握していますか。
 
 国から交付金が示される、ところがその具体化がなされないまま議案となり本会議に上程される、中身は、現時点でも関係機関などと調整中ということですが、こういうあり方は大変疑問です。
 全国知事会長の山田京都府知事は、1月8日の会見で、「国の役人が見て、それがいいかどうかなんて判断できるならだれも苦労しない」「我々の工夫をしっかり見守って欲しい」「地方創生といっても  霞が関の段階になると、ともすれば国が地方をコントロールしがちになる」といったことを述べています。的を得た指摘だと思います。
 国から、商品券、旅行券等々のことがあげられています。これらを全否定するものではありませんが、国からお金が来た時の一過性に終わるような施策ではなく、県内の自治体の施策にインセンテブ効果があるような、地域経済活性策として活きるような、県としての自主的な判断、工夫が求められているのではないかと思います。
 1月20日の衆院総務委員会で、平総務副大臣は、住宅リフォームについて、「消費喚起効果が高ければ、地域消費喚起・生活支援型の対象にしうる」との答弁をしています
 多良木町の住宅リフォーム制度は、答弁のとおり、補助金の8倍以上の工事費となっています。
 産業連関表の波及効果システムでシミュレーションすると34部門中33部門で波及効果が生じています。
 2003年11月県議会の一般質問で紹介したことがありますが、球磨郡商工会連合会から郡議長会に出された請願によると、地元から資材調達をして2000万円の木造住宅をつくると施工従事者述べ630人、関連小売業者にもたらす利益250万円、郡内会員の80%に何らかの波及効果があるとされています。これは新築ですが、住宅施工は、多様な、大きな経済波及効果、地域消費喚起効果があるということです。
 県内市町村で住宅リフォーム実施自治体は、近年広がってはきていますが、半分にも満たない状況に留まっています。
 県が制度をつくることで、全市町村が実施するということになれば、消費喚起効果は極めて大きなものになると推察できます。
 地域消費喚起・生活支援型交付金の活かし方において、工夫をすべきことを指摘し質疑を終わります。

阿蘇山中岳噴火に伴う被害等の対策について申し入れ  2015年1月9日
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阿蘇山中岳噴火に伴う被害等の対策について申し入れ

 熊本県知事 蒲島郁夫様
             2015年1月9日
              日本共産党熊本県委員会
              日本共産党北部地区委員会

   阿蘇山中岳噴火に伴う被害等の対策について

  1、熊本の「宝」阿蘇の火山活動災害
 
 熊本といえば「阿蘇」であり、阿蘇といえば「熊本」です、空港も阿蘇熊本空港と銘打っています。
 熊本県への観光客数の28・8%は阿蘇地域です。熊本市(8・9%)の約3倍です(2013年県観光統計表)。世界農業遺産、世界ジオパークに認定され、さらには世界文化遺産登録へと、阿蘇への注目度は近年さらに高まっています。
 雄大かつ神秘的な阿蘇は、タケイワタツノミコトにまつわる多くの神話を生じ、、夏目漱石の「二百十日」をはじめ、徳富蘆花、国木田独歩など数多くの作家による小説等を生み、詩にも数多く歌われています。
 阿蘇は、くめども汲みつくせない、他に例を見ない、実に、多様な魅力を包含する熊本の「宝」です。
 私たちに、幾世代にわたって恩恵を与えてきた、これからも与える続ける阿蘇山です。
 熊本の「宝」―阿蘇の自然と向き合い、環境を保全し、未来に手渡していくことは、いま熊本に生きる人々のつとめであり、とりわけ行政府・熊本県の重要な責務です。
 一方、「阿蘇」は、日本有数の活火山です。時には噴火し、大・中・小の被害を与えてきました。今回の噴火が、1989年~90年以来の中型の噴火となるのか、それ以上になるのか、今後収束するのか、予測は定かでありませんが、観光、農業、住民生活、飛行機の運航等に、すでに被害が生じてきています。
 私たちの意思や行為によっては何ともしがたい、火山活動によって、阿蘇は、過去何回も、大きな被害、災害をもたらしてきました。
 
 阿蘇の大きな恩恵を享受しつつ、火山活動によって、時折生じる災害・被害に対しても、しっかり向き合わなければならないー7日の現地調査をつうじて、このことを痛感させられたところです。
 現地調査をふまえて、以下のような事項について、要請いたします。
 
2、対策について
 (1)風評被害対策
  ①「風評」の源を除く、正確でわかりやすい情報の提供
  ②噴石、火山ガス、火山灰の危険性についても正確な情報提供を
  ③風評被害を受けた事例(観光・農業等)への支援
 
 (2)農業林業関係
  ①売り上げ減、価格下落等への支援
  ②降灰被覆施設、洗浄施設の整備、経営安定対策   
   国庫事業(国50%、県25%、その他)に加えて、鹿児島単県(県75%、その他25%)
  ③農業用施設降灰対策  耕土上、農道上の厚さ2cm以上の荒廃除去 
   鹿児島県  県50%市町村50%
  ④林業施設(しいたけ等)の降灰防止施設、除去施設等の整備
   鹿児島県  県70%その他(市町村・森林組合・農協・農事組合法人)30%
 
 (3)土木関係
  ①灰を回収できる路面清掃車を増強し、降灰が多い地域(現在は、高森町)に配備・実働。
  ②県管理道路の降灰除去、清掃等による交通の安全をはかる。
  ③市町村への援助
 
 (4)降灰観測体制、システムの整備強化
  ①県による阿蘇火口周辺の観測地点(10ケ所)、阿蘇市4ケ所(本庁、西小、医療センター、波野小~県に申請中)など。福岡管区気象台火山監視情報センターでは、降灰データを計測する体制なしーといった状態。
  ②国に整備強化を求めつつ、県として降灰観測体制の整備強化を
   鹿児島 桜島降灰観測事業
 
 (5)鹿児島県等の降灰対策事業などを参考に、検討・具体化を
以上