山本伸裕

議会質問・討論・意見書 2014年


12月議会一般質問   2014年12月18日

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 日本共産党の松岡徹です。一般質問を行います。
 最初に、阿蘇中岳の噴火に対する対応について伺います。
阿蘇火山に詳しい専門家によると、噴火は、4,5年続く可能性もあること、1989年の噴火では、5月から10月までの半年で500万トンの降灰があったように、今回も大量の火山灰が生ずる可能性がありうるということ、ストロンボリ噴火から爆発、大量の雨が降った後の水蒸気爆発なども懸念されるということでした。心して対策を講じていく必要があると思います。
 県では、風評被害対策なども、取り組まれているようですが、知事公室長に、2点伺います。
まず、噴火による降灰が長期化しますと、葉物野菜などに大きな被害が出る恐れがあります。農業被害補償対策、補償制度の整備などの対策はいかがでしょうか。
2点目に、膨大な火山灰が積もった状態に、集中豪雨、大雨が降りますと、土石流、泥流被害の危険があります。
1989年、1990年、中岳の噴火が続き、1990年7月、阿蘇一の宮が土石流災害に襲われました。来年の雨期が心配されます。災害を予測し、被害を防ぐためには、降灰量の観測など具体的な対策が必要です。災害の予防等の対策はいかがでしょうか。
 鹿児島・桜島では、62ケ所の観測点が設置されています。風評被害対策を含め、万全の体制、対応策をとって、災害・被害の防止、被害の救済、風評被害対策に、県として積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 次に、日米共同演習、それへのオスプレイの参加について知事に伺います。この問題は、昨年6月の一般質問、先の9月議会でもとりあげました。ちょうど昨日、今日がオスプレイの参加となっています。
 安倍政権は、昨年7月、国民多数の反対の声を無視して、集団的自衛権行使を「閣議決定」しました。集団的自衛権行使とは、アフガン・イラク戦争のような戦争で、自衛隊が米軍とともに戦争を行うということです。この道を進んではなりません。
「海外で戦争する国」づくりが強行されつつあるなかでの、オスプレイの参加する日米共同演習が熊本で行われるということは、軍事的緊張と軍備強化の悪循環のなかに熊本を巻き込むものです。
ヘリボーン訓練が昨日なされましたが、ヘリボーンというのは、ヘリコプターを使って、敵地に侵入し、制圧することで、ベトナム戦争、アフガン戦争で多用された、侵略戦争そのものの作戦です。まさに九州の沖縄化、九州の自衛隊の海兵隊化につながるものです。
知事は、こういう状況についてどう考えますか。
すでに明らかにされているオスプレイの低空飛行訓練ルートとして、イエロールートがあります。山鹿、菊池、阿蘇、宇城、八代、球磨というルートです。このルートでは、2007年6月8日、9月27日、菊池市で米軍機の騒音に驚いた牛3頭が驚いて負傷し、と殺処分され、損害賠償金65万円が支払われています。すでに実害が生じています。
重大なのは、国会質疑で明らかになったように、自衛隊の低空飛行訓練地域で米軍機が頻繁に訓練している問題です。県内各地で、米軍機が目撃されています。
パネルをご覧ください。米軍機の訓練の場となる、熊本県内の自衛隊の低空飛行訓練区域に○印を付けています。
鞍岳を中心として半径4㎞、高岳を中心として半径4㎞、烏帽子岳を中心として半径4㎞、熊本空港を中心として半径4㎞、健軍駐屯地を中心として半径2㎞、北熊本駐屯地を中心として半径2㎞、黒石原演習場を中心として半径4㎞、菊池川河川敷・玉名市河崎を中心として半径4㎞、緑川河川敷・上益城郡嘉島町を中心として半径4㎞等々です。
人口密集地の熊本市上空と周辺は、団子状台になっています。こうしたところでの米軍機の飛行、さらにはオスプレイの飛行ということは、県民の安全という点で絶対回避しなければならないと考えますが、知事のお考えを伺います。

全国知事会の2012年7月19日の[MV-22オスプレイの配備及び飛行訓練に関する緊急決議」は、「政府からは、米側から提供された情報として、事故に関して機体に機械的な不具合や設計上の欠陥はなかったとの説明があったが、懸念している安全性について、いまだ確認できていない現状においては、受け入れることはできない」と明確にしています。知事もこの決議に沿った発言をされてきました。
オスプレイの安全性について、この2年間で、状況が大きく変わっているわけではありません。
 オスプレイの事故は、開発中だけでなく、量産体制、実働体制になってからも繰り返しています。今年の9月にも、ペルシャ湾で、事故をおこし、1人が行方不明になっています。普天間基地配備の24機、さらに陸上自衛隊が導入予定のものと同型機です。

事故率も、オスプレイのクラスAの事故率を低くするために、2009年、損害額100万ドル以上から200万ドル以上に引き上げています。その結果、オスプレイのクラスAの事故率は下がりましたが、クラスB,Cを含めたオスプレイの事故率は、海兵隊平均を大幅に上回っています。
特に問題なのは、オートローテーション機能についてです。オートローテーションとは、ヘリコプターのエンジンが何らかの理由で停止した場合、機体の降下で生じる空気の力で回転翼を回して揚力を生み出し緊急着陸する方法です。
防衛省パンフレットには、「固定翼モードに戻しての滑空、あるいは垂直離着陸モードにしてオートローテーションを行う」となっています。ところが米軍発行の説明書には、「エンジン停止状態で、オートローテーションには頼らない」と、事実上、オートローテーションができないこと認めています。このくい違いについて、当時の防衛大臣は、「米軍から『ある』と聞いている」と述べるだけで、回答不能でした。また、「航空機モードに切り替える」という点については、米軍の元へり操縦士で航空専門家が米議会の証言で、「航空機モードに切り替えるためには12秒かかる。この間に機体は1600フイート(490m)落下する。それ以下の高度をヘリモードで飛行中に出力が失われれば、壊滅的な損害を受ける」と証言しています。オスプレイは構造上、安全ではないのです。
知事は、オスプレイの安全性について、国から丁寧に説明を受けたと言われましたが、こうした点について、詳細に検証されたのですか。ヘリにとって最も重要な機能のひとつであるオートローテーション機能がないオスプレイが上空を飛ぶのです。県民の安全に責任が持てますか。

今日、12月8日は、アジア太平洋戦争に、日本軍国主義が突入した73年目に当たる特別な日です。この戦争で、310万人の日本国民の命を失い、2000万人のアジアの人々のいのちをうばいました。この日に、侵略戦争の先端を切る武器に知事が乗るということに唖然とします。厳しく抗議するものです。
県内上空での米軍機の飛行、オスプレイの飛行が今後さらに頻繁になることが懸念されます。こうしたなかで、知事は、オスプレイに乗られるということですが、軽率、無責任な行為だと指摘し、かつ抗議するものです。
知事の責任ある対応を求めるものです。

次にダム問題です。
球磨川のダム以外治水対策ですが、現時点で大きな焦点になっているのは人吉地域の治水対策です。
田中人吉市長は、9月市議会の答弁で、人吉地域の安全対策について、「堤防などの年次点検を強化して、洗掘とかひび割れ等の老朽化の補修、改修をきちんと実施していく」ことについて、国・県と連携をはかりながら     施策を行ってい」きたいと述べています。
ソフト面での対策の強化を図りながら、こうした補修、改修を人吉地域の堤防で実施していくことは一つの方策ではないかと考えます。人吉の堤防の安全性確保について、知事いかがでしょうか。

「まず隗より始めよ」という立場で、具体的な対策を着実に進めていただきたいと思います。

立野ダムについて、伺います。世界農業遺産、世界ジオパーク認定をえて、さらに世界文化遺産登録をめざす阿蘇にとって、立野ダムは重大な障害物です。
阿蘇ジオパークのジオサイトの一つに、立野峡谷ジオサイトが登録されています。このパネルがその紹介です。柱状節理、鮎返りの滝、数鹿流ケの滝を断層と火山が出会う場所として紹介し、タケイワタツノミコトの蹴破り伝説、立野にまつわる神話が紹介されています。 
阿蘇が世界ジオパークに認定されたことは大変喜ばしいことですが、ジオパークには。厳格な保存と管理の規定があります。4年ごとの審査があります。この審査でジオパーク認定が抹消されたところもあります。ジオパークの重要なサイトが、高さ90メートルの巨大コンクリートダムによって壊されることで、ジオパーク認定が末梢されたら大変です。抹消されない保証がありますか。抹消された場合、責任が持てますか。
世界遺産の登録要件は、「世界的に顕著な普遍的価値を有すること」です。世界の阿蘇の火山と人との共存のルーツである地質遺産と、それにまつわる蹴破る伝説、立野神話で広く知られる立野峡谷をダムでふさいでしまって、世界文化遺産にふさわしい「顕著で普遍的な価値」を阿蘇が示せるでしょうか。
立野ダムは、下流にとって極めて危険です。直径5メートルの3つの穴が、阿蘇の巨大な岩石、流木、土砂によって詰まってしまい、ダムの用をはたさなくなるのはだれが考えてもわかることです。
阿蘇の火山活動や地震活動が活発になり、断層が動き、ダムの右岸と左眼で地盤が違う動きをした場合、ダムの安全は保てるのかといった指摘もあります。
県として、これらの危険がないと検証したのですか。責任をもてますか。知事に伺います。
 
世界ジオパーク「保護と保存」規定には、「地形・地質学的遺産が、適切に保護されていること」とあります。この責任を果たすうえで、県の役割は重大であり、その分、立野ダム建設を進める県の責任が問われることになるのです。
立野ダムの3つの穴に流木が詰まらない検証として、水理模型実験により検討したそうです。国交省の説明書を読むと、1・8mmの爪楊枝を切断した材料を使用した―とあります。こんな実験で大丈夫だったから安全だ―と誰が信用できますか。こんなものに県民のいのちと安全を任せられますか。
国交省に説明責任を求めるといつもおっしゃるが、われわれ「ダムによらない治水利水を勧化る県議の会」が企画しても、「インターネットで説明している」などといって出てもこないんですよ。
私は、国交省に対して、9月末、「堰堤構造比較検討業務報告書」など3つの報告書の開示を請求しました。伸ばしにのばされて4日前につきました。急いで調べてみました。
パネルを見て下さい。文字が見えないかと思いますので配布の資料を見てください。「堰堤構造比較検討業務報告書」の一部です。
(報告書のマーカー部分を読む)。
ちょっと読んだだけで、問題点ぞろぞろです。要するに、立野ダム堰堤周辺の右岸は危ない。普通以上の対策を打たねばならない。それで概ね安全性を確保できる。おおむねですよ。それでもうまくない時は追加工事をしなければならない―ということです。
「立野ダム第4期断層調査検討業務報告書」を見ると、第4期断層による地盤変位については、対処が非常に困難なので、ダム位置に活断層がある場合は、ダムはつくれなくなります。「報告書」では、9つの断層について。すべてが、「断層があるのは明らか」「あることは否定できない」のいずれかになっています。ところが全部について、「連続していない」「方向性がない」として、大丈夫となっています。とても信じられません。
県民の前には隠されているこういう文書も含めて、明らかにし、説明責任をちゃんと果たさせる。しないならば、「ダムはちょっと待て」というべきではないでしょうか。

熊本市街を流れる坪井川は、以前は頻繁に氾濫していましたが、近年は氾濫による水害はほとんど生じていません。県が、河川改修,遊水地の設置などに力を入れてきたからです。白川も、阿蘇を壊し、危険極まりない立野ダムではなく、こうしたダム以外治水対策を徹底してすすめるべきです。

次に、アスベスト対策です。
 日本では、約1000万トンのアスベスト(石綿)が消費され、その使用用途は3000種にもなります。その8,9割が建設資材ですが、厚生労働省の石綿に暴露する「作業例」によると、建設産業以外で、歯科技工、調理作業、畜舎の管理、酒類製造、消防など、37例が挙げられています。
アスベストは、暴露後10年から40年へて、石綿肺、石綿肺がん、中皮腫といったアスベスト関連疾患を発症させます。日本では、2039年までに約10万人が中皮腫で死亡すると推計されています。石綿肺癌もその1~2倍に上るとされています。アスベスト対策は、現在はもとより、将来にわたっての大問題です。
そこで、環境生活部長にうかがいます。アスベスト泉南訴訟最高裁は、アスベスト対策についての国の責任を認める判決を下しました。
司法のトップである最高裁が、アスベスト被害について国の責任を認めたことは大きな意味があります。判決を受けて、塩崎厚生労働大臣は、「最高裁判決を極めて重く受け止め、心からお詫び申し上げたい」「道半ばで亡くなられた原告のみなさんには、ひたすら申し訳ない思いでいっぱいです」と謝罪しています。
同じ行政の立場として、行政の対応が適切になされず被害が生じたとした最高裁判決、それを受けての厚労大臣の謝罪をどのように受けとめていますか。
アスベスト対策について、県では、2005年7月25日、副知事を会長とする各部長等による「アスベスト問題情報連絡会議」、課長レベルによる「幹事会」が設置され、全庁的な体制がとられています。連絡会議、幹事会のその後の機能は具体的にはどうなっているでしょうか。

私は、2005年のアスベスト調査とそれに基づく対策をベースに、これまでのとりくみ、現在の状況を、各部から頂いた資料で、細かくチェックしました。その結果、県内の深刻な実態が明らかになりました。
県立劇場演劇ホール舞台天井は、継続監視という診断でしたが、撤去がなされたのは7年後の2013年でした。不特定の人が利用する、ある民間事業所は、いまだに実施予定未定となっています。 
市町村所有の施設で調査予定というのが、今年の4月時点で72施設です。1000㎡以上の民間施設で改善の指導中の建築物が80施設、その用途は、事務所、店舗、旅館、ホテル等です。1000㎡未満の吹付アスベストの調査については、昨年度、鹿本振興局管内実施、今年度、宇城振興局管内着手という段階で、鹿本の場合、対象件数約4000中、吹付アスベスト使用の可能性11件が明らかになっています。鹿本のケースをもとに推計すると、全県的には対象は49万棟、吹付アスベスト使用の可能性は1000棟近くになります。この調査は、終わるのが約3年後になります。しかもこの調査は、レベル1の吹付アスベスト調査です。国は、石綿障害予防規則を改正し、石綿を含む保温材・断熱材、つまりレベル2の調査と対策を求めています。レベル2対策が終わるのはさらにさらに遠い先です。レベル3は、板状のもですが、板状のものであっても、改築、取り壊し等の際には、アスベストが飛散するわけで、アスベストゼロに向かうためには、レベル3までの対応も必要です。
 労災保険法に基づく給付、石綿健康被害救済制度に基づく救済が、県内ですでに100件を超えています。
 部長はいろいろ言われましたが、2005年に折角つくった全庁的な体制が機能してこなかった、連絡会議は、2005年4回開かれただけで、以後の9年間は全く開かれていません。幹事会は、2006年、2008年に開かれただけです。ここに大きな問題があると言わざるをえません。
 アスベスト被害は、生産、流通、消費、廃棄の全過程で発生ます。そこにアスベスト対策を、継続して、総合的、包括的に進められなければならない理由があります。県として、あらためて、全庁的取り組みの強化、そのための体制の整備に取り組むべきだと考えます。「アスベスト問題連絡会議」設置要綱では、会の会長は副知事となっており、部レベルではなく知事の判断にかかっています。いかがでしょうか。知事に伺います。

 知事も部長も、全庁的体制をとって取り組むということですので、的確にやっていただきたいと思います。

 次に私学助成についてです。
 私学教育は公教育の大切な一翼を担っています。私学の自主性を尊重しながら、公私間格差を是正し、私学の教育条件を保障することが求められています。
私立学校施設の耐震化については、近年、大幅な予算増が図られています。発達障害生徒の支援についての加算、支援相談員派遣事業などが進められています。これらについては、さらなる充実、強化を求めるものです。
授業料減免のための財源の約半分を占めている修学支援基金を、国は、今年度で打ち切る方針です。県として、すでにこの基金の延長を国に求めていますが、さらに、強力に進めていただきたいと思います。同時に、仮に基金が打ち切られた場合、その分授業料減額補助が後退するということには決してしてはなりません。特別の措置が必要だと考えますがいかがでしょうか。
授業料減免についての学校負担についてですが、熊本県の場合、授業料減免の20%の定率負担を学校が行う制度となっています。
全国私教連によると全国で熊本を含む7県のみが学校負担を求めている状況です。学校負担は、授業料減免の徹底のブレーキになる面もあり、是正を求めたいと思いますがいかがでしょうか。

就学支援金制度の政策効果を調査した全国私教連のレポートによると、9月末で3ケ月以上の学費滞納生徒数は、3208人から、2812人へ、9月末での中途退学生徒数は、103人から32人に減っています。しかるべき援助を行えば効果は出るのです。私学への助成をさらに強めていただくことを求め、次にすすみます。

11月20日、熊本地裁は、西原村のNPO法人による開発計画に関連して、住民女性が配ったビラが名誉棄損に当たるとして争われた訴訟の判決で、「自然を守る会と原告宝珠会は、人的、経済的にきわめて密接な関係があることが推認され、これを覆すに足りる証拠はないから、自然を守る会の西原村進出は、原告宝珠会の西原村進出と実質的に同視することができる」「原告宝珠会は、泰道の違法な活動を引き継いでいる問題のある宗教団体という事実については、   少なくとも真実と信ずる相当な理由がある」と述べています。
過去に違法な活動をやった宗教団体と実質的に同じ団体が西原村に進出しようとし、村あげての反対にあい、開発計画が暗礁に乗り上げています。
そうしたなかで、この関係者が、益城町と御船町で広大な土地を新たに取得し、御船町では、吉無田高原・旧のんびり村一帯に、サッカー場、巨大迷路、温泉施設などを設ける計画が進められています。地元では、様々な不安が広がっています。御船町議会でも取り上げられています。
この問題については、県としてもつかんでいると思いますが、どのように対応していますか。企画振興部長に伺います。

12月議会 「TPP交渉から直ちに撤退を求める意見書」についての提出者説明   2014年12月18日

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 「TPP交渉から直ちに撤退を求める意見書」についての提出者説明 2014/12/18
日本共産党の松岡徹です。新社会党の岩中伸司議員と共同で提出しています議員提出議案第10号「TPP交渉から直ちに撤退を求める意見書」について、提出者としの説明を行います。
 アメリカのオバマ大統領、安倍晋三首相など、環太平洋連携協定TPP交渉に参加している12カ国の首脳会合が北京で開かれました。  
首脳会合で発表された声明には「大きな進展を歓迎する」「終局が明確になりつつある」などの文言が盛り込まれています。しかし、内実は、年内の大筋合意を断念、交渉は、来年も続けられることになりましたが、交渉期限も、次の首脳会合、閣僚会合の日程も定まっていない―というもので、TPP交渉は、このまま“漂流状態”に入るとの見方さえあります。
 北京でのTPP首脳会議は、開催地の中国がTPP交渉に参加していないこともあって、アメリカ大使館のなかで開かれという、アメリカ主導のTPP交渉をあらためてき彫りにしました。
 関税や貿易の障害とみなした規制を完全に撤廃し、モノやサービスの移動を自由化することを原則とするTPP交渉では、必定、競争力の強い国が優位に立つことにならざるを得ません。交渉の中で日本は農産物や軽自動車などの輸入拡大を求められ、TPPに合意する前から譲歩を迫られています。
 アメリカのねらいはアメリカ流のルールを押し付けることです。
アメリカは日本に、農産物の輸入拡大、とくに牛肉や豚肉の輸入関
税を撤廃すること、自動車の輸入を増やすため安全に関わる基準まで緩和するよう求めています。牛肉や豚肉の関税撤廃は国内の畜産農家の存続にかかわる問題であり、軽自動車の規制緩和は国民の安全を脅かす問題です。
TPPを推進する側は、TPPが実現すれば日本も恩恵を受けるといいます。しかし、根拠は極めて薄弱です。
 アメリカ農務省の報告書では、TPP合意で、もっとも農産物の輸出を増やすのはアメリカで、参加国全体の輸出増加額の70%は輸出先となる日本に押し付けられる、日本の輸出増加分は、参加国全体の輸出増加分のわずか1・8%で、日本農業はほぼ一人負けになると試算されています(日本農業新聞13日付)。
TPP参加は、農林水産業に大打撃となります。加えて食品加工、運輸などの関連産業、地域経済と雇用に、その被害が大きく波及します。
研究者集団の試算(13年5月)によると、政府の「政府統一試算」を前提にしても、国内生産の減少は合計10.5兆円に達し、農林水産業で146万5千人、他産業で43万7千人、合計190万人の就業機会が消失します。GDPに与える影響は、約4兆8千億円の減少となり、GDPを1.0%押し下げますが、そのうち0.6%分は、生産減・就業者減による家計消費の減少です。
 TPPは大きな雇用減をもたらし、国民生活と地域経済、日本経済全体に大被害をもたらします。
衆・参の農林水産委員会決議は、「TPPは原則として関税を全て撤廃することとされており、我が国の農林水産業や農山漁村に深刻な打撃を与え、食料自給率の低下や地域経済・社会の崩壊を招くとともに、景観を保ち、国土を保全する多面的機能も維持できなくなるおそれがある。また、TPPにより食の安全・安心が脅かされるなど国民生活にも大きな影響を与えることが懸念される」としたうえで、
政府は、「米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること。十年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこと」などを求め、「自然的・地理的条件に制約される農林水産分野の重要五品目などの聖域の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとすること」としています。
 TPP交渉の現状は、国会決議に照らせば、交渉からの脱退・撤退を決断すべき状況にあることは明らかです。
 なお、県議会TPP対策特別委員会では、私も含め全員一致で、あらためてTPP交渉についての意見書案を取りまとめ、委員会提出議案第2号として提出していますが、ここにおいても、衆・参農林水産委員会決議の順守を明記しています。
 委員会提出議案と私と岩中議員が提出している意見書は、基本的に同様の趣旨と根拠に立っているものであり、合わせて採択するべきものであります。 
以上で、議員提出議案第10号「TPP交渉から直ちに撤退を求める意見書」についての説明を終わります。

12月議会 2013年度一般会計決算に対する反対討論   2014年12月18日

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 日本共産党の松岡徹です。
2013年度一般会計歳入歳出決算の認定については同意できません。
決算審査には、これまで幾度か述べてきたように「議会が決定した予算が適正に執行されたかどうかを審査するとともに、その行政効果や経済効果を測定し、住民に代わって行政効果を評価すること」と「着眼点として、最も力点をおかなければならないことは、予算の執行によって、どのように行政効果が発揮できたか、今後の行財政運営においてどのような改善工夫がなされるべきかを明らかにすること」「必要以上の支出や不用不急と思われる支出その他のムダな支出はないか、幼児、老人、身障者などに対する福祉対策が十分に効果をあげているか」(2011年度決算討論)などに留意すべきです。
 こうした視点で2013年度決算と見ますと、以下のような問題点があります。

第1に、子ども医療費無料化補助、少人数学級の実施学年が全国最低レベルにありながら放置されていることです。子ども医療費については、中学校までの無料化を求める署名が7万人をもえています。少人数学級では、熊本市でさえも、小学校4年まで、中学校では1年生で少人数学級を実施しています。障害者のために地域活動支援センターⅡ型、Ⅲ型への公費補助も全国最低レベルです。県民の安全にとって重要で、住民からの要望も多い、信号機設置などの交通安全対策費も低く抑えられています。
一方、立野ダム建設負担金として、5億2千7百万円余、路木ダム建設費として、17億1千7百万円余がつぎ込まれています。
法的根拠もない同和関係予算では、知事部局で、部落解放同盟、全日本同和会補助金として、2千3百万円余、教育委員会関係で、両団体への補助金が7百万円余、人権教育研究協議会へ2百万円余が支出されています。
予算編成のあり方は、「住民の福祉の増進」「教育の充実」「県民の安全」などを第一義とすべきであり、ムダ、不適当、不公正な支出は見直すべきです。

第2に、県職員、教員の正職員の削減です。知事部局では、前年比で75人減で、この5年間で見ますと454人も減らされています。教職員は、本採者が、前年比で44人、5年間で615人減となっています。
現在の公務員制度は、戦前の公務員が「天皇の官吏」と位置づけられていたことへの反省から、憲法15条において、「全体の奉仕者」)と規定されています。「全体の奉仕者」である公務員の削減は、国民への福祉、医療をはじめとするサービス、あるいは安全対策等を削減することにほかなりません。
公務員の賃下げは、公務員の生活を厳しくするだけでなく、民間の賃下げと相まって、労働者全体の労働条件を引き下げ、デフレの一因ともなり、地域経済にとっても大きなマイナス要因となっています。
県職員、教職員が、使命感に燃えて、自らの役割を果たすことが、県政の発展、教育の充実、県民の安全にとって不可欠であり、正職員削減の是正、非正規の正規化、労働条件の改善等を求めるものです。

第3に、経済政策のあり方です。
総選挙投票日、14日の地元紙が、選挙最終日の候補者の動きを伝えるなかで、自民党の候補者が「規制緩和ではなく、農林業の所得を増やして、地元でお金が回る地方型経済対策を提言する」と訴えたことを報じていることに着目しました。
私はこれまで、予算や決算の討論、一般質問等において、県の経済政策のあり方を、従来型の企業誘致最優先から、農林水産業の振興、地場企業、中小企業の振興、住宅リフォーム補助や公契約条例の制定などによる、県内にお金が落ち、地域でお金が回る「地域循環型」経済への切り替えを提起してきましたが、改めて、経済政策の転換を求めるものです。
歴代の県政は企業誘致に毎年多額の財政を投入してきました。2013年度決算額は41億円余です。しかし企業誘致にことさら力を入れる経済政策には、展望はありません。
工場閉鎖、移転、リストラなどが相次いでいます。2013年度だけでも、ルネサスマイクロシステム事業所をはじめ、5つの誘致企業が閉鎖、譲渡、破産となっています。
2000年代に入っての熊本県の製造品出荷額を見ても、一進一退の状況です。
地域経済にとって、重要なのは所得移転の構造です。誘致企業における所得移転は、親会社と現地法人の場合は、形としては、法人として対等、独立の関係にあるので、親会社から購入する原材料・部品の価格に、利益の一部を乗せて送金する、親会社が保有している特許等を利用しているとして特許料・手数料等として、現地法人から親会社に所得移転がなされます。本社の分工場の場合は、地方の分工場で生産したものの販売利益は、本社が直接受け取ることになります。誘致企業で生産したものが、親会社、本社に所得移転されるしくみです。
農林水産業、地場企業の場合は、こうした県外、首都圏などへの所得移転は基本的にありません。地域の経済に還流します。地域でお金が回るわけです。住宅リフォーム補助の場合は、投資した公的資金の10倍、15倍になって地域を還流します。
企業誘致を全否定するものではありませんし、県のスタッフの方々のご苦労も多とするものです。
要は、知事の経済政策についての政策判断です。知事に、自民党の国会議員も提言したように、「地元でお金が回る地方型経済対策」への転換を求めるものです。一度に切り替えができないなら、対策チームをつくって、調査・研究をスタートさせていただくよう提案します。
以上で、2013年度一般会計決算認定についての反対討論を終わります。

12月議会 「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正に伴う条例の整理に関する条例」に対する反対討論   2014年12月18日

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 日本共産党の松岡徹です。
知事提出議案第26号「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正に伴う条例の整理に関する条例」に対する反対討論を行います。
法律の一部改正は、教育委員長と教育長を一本化し、地方自治体の首長が直接任命する教育長を教育委員会のトップにするもので、教育委員会の、教育長の任命権、指揮監督権をなくすものです。
自治体の首長が招集権限を持ち、首長と教育委員会で組織する総合教育会議を設置し、首長が、当該自治体の「教育の振興に関する大綱」を定めることとし、「大綱」では、「国の教育振興基本計画の基本的な方針を参酌して決める」となっています。国の方針をもとに首長が、「学校統廃合」や「愛国心教育」など、教育の内容に踏み込んで「大綱」に定めることが可能になります。
教育委員会は形だけのものとなり、首長が直接、教育に介入することを容認し、教育の政治的中立を脅かすことになります。憲法が保障する教育の自由と自主性を侵害するものです。
教育は、子どもの成長、発達のための文化的な営みであり、教員と子どもの人間的なふれあいを通じてなだれるものであり、自由や自主性が不可欠であり、生命線です。
戦前の苦い教訓を踏まえ、憲法のもとで、政治権力による教育への介入、支配は厳しく戒められ、政治が教育に行うべきは、教育条件を整備し、子どもの学ぶ権利を保障することとされてきました。
知事提出議案第26号は、今後の教育行政のあり方に関わる重大な変更であり、厳しく反対します。

請第52号「教区負担の公私間格差をなくし、子どもたちのゆきとどいた教育を求める私学助成請願」の不採択には反対です。
 私学教育は公教育の大切な一翼を担っており、私学の自主性を尊重しながら、公私間格差を是正し、私学の教育条件を保障することは、県教育行政の重要な課題です。
私立学校施設の耐震化のための大幅な予算増や、発達障害生徒の支援についての加算、支援相談員派遣事業など、県として私学への様々な援助、助成が強化されつつあります。
請願は、そうしたなかでも、厳然と存在する公私間の格差を直視し、施設設備代としての年間19万円ほどの保護者負担の軽減、全国で熊本を含む7県のみとなっている授業料減免制度における学校負担など、喫緊の課題となっているものの是正を求めたものです。
請願は採択すべきであり、不採択には反対です。
以上で、討論を終わります。

オスプレイの佐賀空港配備と九州全域での訓練、大矢野原演習場等の訓練基地化の中止を求める意見書  2014年10月6日

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オスプレイの佐賀空港配備と九州全域での訓練、大矢野原演習場等の訓練基地化の中止を求める意見書

 陸上自衛隊が導入する垂直離着陸機オスプレイの佐賀空港配備が強行されようとしています。
 このことは、佐賀空港周辺住民、佐賀県民にとって重大であるばかりでなく、九州全域がオスプレイの訓練場とされる危険があり、熊本県、県民にとっても大問題です。
 陸上自衛隊は、ヘリコプター訓練のため、航空法が定める最低安全高度(山間地で150メートル、市街地で300メートル)以下の飛行許可(低空飛行訓練)を国交省から得ています。九州の低空飛行訓練地域は54地域にのぼります。
 佐賀県議会の説明会で、低空飛行訓練地域のひとつである脊振山(せふりさん)一帯(長崎自動車道を含む)でのオスプレイの低空飛行訓練の可能について問われたのに対して、自衛隊はこれを否定しませんでした。
 熊本県内の自衛隊の低空飛行訓練地域は、熊本市内、熊本空港周辺、緑川河川敷、阿蘇高岳周辺、八代大築島周辺など16地域であり、県土の多くが低空飛行訓練地域になっています。
 米軍機には、日米地位協定により日本の航空法が適用されません。米海兵隊オスプレイの普天間基地配備の日米合意は、「できる限り人口密集地上空を避ける」とうたっていますが、実際は無視されています。
 佐賀空港配備のオスプレイ、米海兵隊のオスプレイの訓練が、自衛隊の低空飛行訓練地域で実施されることになれば、県民の安全が著しく脅かされることは明らかです。家畜などへの被害も甚大になるでしょう。
 地方自治法   条に基づいて、日本本土、九州、熊本の「沖縄化」を進める、オスプレイの佐賀空港への配備、熊本県内を含む九州各地での訓練、大矢野原演習場、高遊原分屯地の訓練基地化の中止を強く求めるものです。

オスプレイの佐賀空港配備と九州全域での訓練、大矢野原演習場の訓練基地化の中止を求める意見書」について、提出者の説明 2014年10月6日

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オスプレイの佐賀空港配備と九州全域での訓練、大矢野原演習場の訓練基地化の中止を求める意見書」について、提出者の説明

 日本共産党の松岡徹です。新社会党の岩中伸司議員と共同で提出しています、議員提出議案第8号「オスプレイの佐賀空港配備と九州全域での訓練、大矢野原演習場の訓練基地化の中止を求める意見書」について、提出者の説明を行います。
 まず、オスプレイの佐賀空港配備と熊本の平和と安全の問題です。
 安倍政権は、2015年度から陸上自衛隊に、順次導入予定の垂直離着陸機オスプレイを佐賀空港に配備する方針を示しました。 
 長崎県佐世保市の陸上自衛隊相浦(あいのうら)駐屯地に、上陸作戦を任務にする「水陸機動連隊」を新設するのに伴う措置で、「日本版海兵隊」を創設する動きの一環です。
 陸上自衛隊の購入予定の17機、さらに、沖縄県の米海兵隊普天間基地に配備されているMV22オスプレイを移転することまで視野に入れたもので、佐賀空港を、日米のオスプレイ部隊の一大拠点にしようというものです。
 佐賀空港に配備しようとする陸上自衛隊のオスプレイは、中国を念頭に「南西諸島防衛」のためとして、相浦駐屯地に新設する「水陸機動連隊」の輸送が主な任務です。
 新防衛大綱、中期防衛力整備計画では、北熊本駐屯地に司令部を置く陸上自衛隊第8師団は、「島しょ部に対する攻撃をはじめとする各種事態に即応し、実効的かつ機動的に対処しうる」機動師団に改編されます。
 佐世保の「水陸機動連隊」と「水陸両用車部隊」、佐賀のオスプレイ部隊が一体となって、「日本版海兵隊」をつくる構想です。他国への“殴り込み”作戦を可能にし、日本を「海外で戦争する国」にする集団的自衛権行使の動きを具体的に進める危険極まりない構想です。
 「水陸機動団」の母体となる佐世保の西部方面普通科連隊の訓練には、高遊原分屯地のCH47がすでに参加しています。「水陸機動団」の輸送部隊として、佐賀空港のオスプレイと高遊原分屯地・熊本空港配備のCH47輸送ヘリが活用されることになる筋書です。
 12月に実施予定の日米共同訓練は、オスプレイの訓練基地化が企図される大矢野原演習場とCH47輸送ヘリが配備されている高遊原分屯地で行われる予定ですが、この訓練の狙い、危険性について、以上述べた、いわば「九州の沖縄化」、日本版海兵隊づくり、それに組み込まれる熊本という全体像のなかでとらえることが重要です。
 「海外で戦争する国」づくりが強行されつつあるなか、海外派兵型の部隊と装備を強化していくことは、他国との軍事的緊張を高め、軍事対軍事の悪循環となります。このような軍事前面の緊張と悪循環のなかに熊本を巻き込むことは、何としても避けなければなりません。
 
 次に、オスプレイの危険性などについてです。
 オスプレイは事故を繰り返しており、オスプレイが、大矢野原演習場や県内の上空で訓練することは、県民の安心安全を著しく脅かすものです。
 事故が多いオスプレイの危険性への国民の警戒を回避するために、米軍、防衛省などから、様々なことが喧伝されています。
 一つは、事故は開発段階のものだという論です。
 オスプレイは、2007年11月、アメリカノースカロライナ州での飛行中にエンジン出火、2010年4月、アフガニスタンでの人員輸送中、墜落、4人死亡、16人負傷、2012年4月、モロッコで訓練中、墜落、2人死亡、2人負傷、2012年6月、アメリカフロリダで訓練中、墜落、5人負傷、2013年8月、訓練中に着陸失敗、機体炎上、2014年5月、訓練中に後方ドアが開いて兵士落下、死亡等々の事故をおこしています。
 こうした事故は、オスプレイの開発中ではなく、量産体制に入ってからの事故です。
 つい最近ですが、今月1日の米海軍の発表によると、ペルシャ湾上で米海兵隊のオスプレイが、強襲揚陸艦の甲板から発艦しようとした際、エンジン出力が一時低下し発艦に失敗し、機体から脱出した乗組員2人のうち1人が行方不明になっています。事故をおこしたオスプレイは、普天間基地配備の24機と、さらに陸上自衛隊が導入予定のものと同型機です。

 次に、事故率です。
 米軍は、航空機事故を、クラスA,B,Cと分類しています。クラスAは、200万ドル以上の損害と死者が発生した場合です。先に紹介した事故はクラスAですが、米軍海兵隊は、クラスAの事故率を低くするために、2009年、損害額100万ドル以上から200万ドル以上に引き上げました。オスプレイの事故率をできるだけ低く見せようとの苦肉の策です。その結果、オスプレイの事故率が下がりましたが、クラスB,Cを含めたオスプレイの事故率は、海兵隊平均を大幅に上回っています。
 いろいろ策を弄しても、構造そのものに欠陥を持つオスプレイの事故は隠せないし、事故は起きます。
 オスプレイが事故を多発させるのは、「ヘリコプターと固定翼機併せ持つ」構造に起因しています。
 「プロペラの向きを変えるときに機体が不安定になる」「主翼の両端に2つのプロペラとエンジンがあり、電気系統が長く複雑で、故障しやすい」「飛行中にエンジンが停止した場合、安全に着陸する『自動回転』(オートローテーション)機能を持っていない」」などの点が問題視されています。
 オスプレイの被害は、事故だけではありません。
 オスプレイの着陸時の最大騒音値は93デシベルで、地下鉄車内のような騒音であり、沖縄では、日常生活に大きな被害を与えています。
 また低周波音が、普天間基地周辺では、心理的・物的影響の基準値を超えています。ペースメーカーへの影響、パニック障害、長期記憶の低下、イライラ感の増大などが指摘されています。
 また、離着陸時の激しい吹き降ろし(ダウンウオッシュ)による事故、離着陸時に排出する高温の排ガスによる火災も指摘されています。人口密度が高く、森林面積も広い日本での訓練、飛行などとんでもないことです。
 日米両政府は、オスプレイの配備に当たり、2012年9月19日、「安全」に関する日米合意を交わしています。
 「可能な限り学校や病院を含む人口密集地を避ける」「基地外では、プロペラを上方に向けた『ヘリモード』や、プロペラを傾けた『転換モード』では飛行しない」「22時以降の訓練飛行は、『運用上必要と考えられるものに制限』し、『必要最小限』とする」等ですが、これらを乱暴に踏みにじる違反飛行が、沖縄では常態化しています。

 次に、災害救助についてです。
 米国防省文書では、オスプレイの配備は、「米海兵隊の航空計画を実施するため」となっています。オスプレイは、普通のへりの2倍のスピードで飛び、空中給油をした場合、3700㎞も飛行でき、敵地の奥深く侵入できる機能を持ち、垂直離着陸ができる航空機で、その開発は米軍が、第2次世界大戦直後から追求してきたものです。災害救助対策ではなく、軍事上の必要性です。狭い日本の災害救助に、空中給油もできるオスプレイは必要ありません。
 沖縄の負担軽減と、政府はさかんに言っていますが、政府が沖縄で、実際やっていること、沖縄の現実を甚だしく偽るものです。
 政府は沖縄東村高江で、へリパッド(着陸帯)建設を6ケ所で進めており、すでに2ケ所を完成させています。
 米軍嘉手納基地では、在来機のF15などが移転しても、外来機が飛来・訓練し、2013年度の年間騒音発生回数は、前年度比で、約9000回増加しています。辺野古の新基地建設を強行しようとしていますが、強襲揚陸艦が接岸できる軍港機能、隣接する弾薬庫との一体運用など、普天間基地にない機能があらたに加わるなど、新基地は負担軽減どころか、基地機能の一層の強化となるものです。
 
 次に、オスプレイ、米軍機の県内飛行及び低空飛行訓練についてです。
 ご承知のように、すでに明らかにされているオスプレイの低空飛行訓練ルートとして、イエロールートがあります。山鹿、菊池、阿蘇、宇城、八代、球磨というルートです。このルートでは、2007年6月8日、9月27日、菊池市で米軍機の騒音に驚いた牛3頭が驚いて負傷し、と殺処分され、損害賠償金65万円が支払われています。阿蘇山の山頂部分の飛行も写真で記録されています。山都町の大矢野原演習場上空での飛行も目撃されています。これらはイエロールート下の地点です。このように、イエロールートで米軍戦闘機の訓練飛行が行われていることがはっきり確認されており、このルートでの重大事故が懸念されます。
 防衛省が米軍と確認した九州での米軍機の目撃情報を分析すると、鹿児島県薩摩半島、大分県臼杵市、大分市方面に集中しており、同時に、熊本県の人吉・球磨、宮崎県えびの市、美里町、山都町蘇陽地区で、たびたび目撃されています。米軍輸送機の機種については、鹿児島県薩摩半島で、米軍の特殊作戦に従事する特殊作戦機・輸送機であるMC130の写真記録があります。こうした事実をつないでみると、鹿児島県薩摩半島ー宮崎県えびの市ー熊本県人吉・球磨ー美里町ー山都町蘇陽地区ー大分県竹田市・豊後大野市ー臼杵市、あるいは大分市とつながる別の飛行ルートが浮かび上がってきています。 
 オズワルド米国大使館主席公使は、鹿児島県内で目撃される米軍機の低空飛行について、「空軍と海兵隊が九州のいろいろな場所で訓練している」(南日本新聞2009・12・15]と述べています。
 人吉・球磨での米軍機の目撃は、偶然でもなく、イエロールートだけのものではない、別ルートの飛行によるということが、今後、よりはっきりした形で、明らかになります。
 次に、自衛隊の低空飛行訓練地域と米軍機の訓練についてです。
 日本共産党・井上哲士(さとし)参議院議員に対して、防衛省は、初めて、自衛隊の飛行訓練地域での米軍機の訓練の実態を明らかにしました。なかには、自衛隊機は訓練しておらず、事実上、米軍機の訓練地域になっているところもありました。つまり、日本の上空に広範に設定されている自衛隊の飛行訓練地域を米軍が自由勝手に訓練しているということです。
 そこで、米軍機の訓練の場となる、熊本県内の自衛隊の飛行訓練区域です。2013年10月31日付の自衛隊西部方面航空隊長から、九州各地の国交省空港事務所長にあてた文書があります。
 それによると、県内の飛行区域は、鞍岳を中心として半径4㎞、高岳を中心として半径4㎞、烏帽子岳を中心として半径4㎞、熊本空港を中心として半径4㎞、健軍駐屯地を中心として半径2㎞(県庁の上空も入っています)、北熊本駐屯地を中心として半径2㎞、黒石原演習場を中心として半径4㎞、菊池川河川敷・玉名市河崎を中心として半径4㎞、緑川河川敷・上益城郡嘉島町を中心として半径4㎞、九州山地、大矢野原演習場周辺、中部国有林南部、具体的には、人吉市・球磨郡、国見山地、熊本県八代市大築島となっています。熊本市の中心部、山間地、河川敷など県内各地が網羅されています。八代海の大築島は、島しょ訓練用としてだと考えられますが、今回新たに加わっています。
 昨年の11月定例議会の一般質問で、オスプレイの低空飛行訓練と熊本の空の安全について、質問しました。
 その後の国会をつうじての調査、現地調査等をつうじて、イエロールートで実際に被害が生じていること、イエロールート以外の米軍機飛行ルートが存在すること、全国各地で、自衛隊の飛行訓練地域を米軍機が自由に訓練していること、県内の自衛隊の飛行訓練地域の詳細などが明らかになりました。
 それらを前提に、「オスプレイの佐賀空港配備と九州全域での訓練、大矢野原演習場等の訓練基地化の中止を求める意見書」として提出したものです。
 12月の一般質問でとも考えましたが、日米共同訓練が12月上旬実施というなかで、一般質問では時機を逸すると考え、岩中議員と相談の上、提出にいたったものです。
 政党の違い、安保・防衛観の違いなどは、議員各位とのなかであるかと思いますが。熊本県民の安全、平和な郷土ということで、ぜひご賛同いただくことを願いまして、提出者説明を終わります。

9月議会一般会計補正予算について反対討論   2014年10月6日

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 日本共産党の松岡徹です。
 知事提出議案第1号・2014年度一般会計補正予算について反対討論を行います。今回の補正は、項目も額も多くないものですが、大きな問題を含んでいます。
 生活保護、身体障害者手帳、特別児童扶養手当、児童扶養手当、小児慢性特定疾患など福祉関連8業務、精神障碍者保健福祉手帳など衛生関連3業務などどのデータを「社会保障・税番号」として名寄せし、一元管理するための情報システム改修の予算の計上です。
 社会保障・税番号制度については、日本経団連など、財界などから導入提言がなされたもので、一人ひとりの国民が納めた社会保険料と受け取った給付額が比較できるようにし、社会保障を民間の保険商品のようにし、社会保障に対する国や企業の負担責任をあいまいにしていこうというものです。
 社会保障の給付をその人が納めた保険料に応じて給付ということになれば、社会保障制度の根幹がゆがんでしまいます。こういう性質の制度は導入すべきではありません。
 社会保障・税番号制度は、国民の個人情報とプライバシーの保護という点でも重大な問題があります、
 プライバシー権は、基本的人権の尊重を理念とする憲法の根拠条文の一つとされる憲法13条に基づいています
 日弁連の意見書は、「情報を管理される国民等の側から見た場合、名寄せされる個人情報の範囲が広範になればなるほど、プライバシーに重大な脅威をももたらすツールとなることは疑いにない事実である」「プライバシー権(自己情報コントロール権)の核心は、個人情報の収集・利用等に対する『事前の同意』によるコントロールである」と指摘し、「共通番号制」では、その権利が保障されないと述べています。
 社会保障番号を導入しているアメリカでは、番号の盗難など、年間20万人が「成りすまし」被害にあっています。さしたるメリットも明確ではなく、リスクが大きく、費用もかさむ、「社会保障・税番号」のための予算には同意できません。
 
 
 知事提出議案第10号、11号、12号は、子ども子育て新制度、幼保連携型認定こども園の設置、運営等に関する条例です。
 まず、新制度そのものの問題です。
 熊本議会は、2011年9月定例議会で、「子ども・子育て新システム」の撤回及び保育制度の維持・拡充を求める意見書を採択しています。意見書は、「新システムの導入は、保育現場に市場原理が持ち込まれることになり、福祉としての保育制度が維持されないことや、保護者の負担増につながる制度見直しとなるなどの懸念があり、国の責任で福祉として行われてきた保育制度の根幹が大きく揺らぐおそれがある」とし、「子ども・子育て新システムを導入するとの方針を撤回すること」を求めています。
 新制度は、介護保険制度をモデルにしたもので、これまで市町村の責任で保育という現物給付を行う制度を、利用者と事業者の直接契約による現金給付に変更するというもので、保育に対する行政の責任が後退し、保育の市場化に道を開くものとなっています。
 新制度では、保育所、幼稚園、認定こども園などの施設型と小規模保育、家庭的保育、事業所内保育などの地域型保育が導入されますが、家庭内保育の場合は、保育士ではなく、研修を受けたもので保育ができる、小規模保育では、B型は保育士は2分の1、C型は、研修を受けたものということになっており、保育の質の低下が懸念されます。
 また、幼保連携型では、保育時間が違う子どもが一緒に保育を受けることにより、長時間の子どもは、1日に3回保育室を移動したり、昼寝の時間に、短時間の子どもの迎えがやってくる、3歳以上の保育では、短時間と長時間で保育内容が異なる、短時間の子どもは夏休み、長時間の子どもは、夏休み期間中も保育を受ける、夏休み後の保育内容はどうするのか―等々の問題があります。
 設備、運営基準では、一部に上乗せがなされていますが、基本的には国の基準に基づくもので、ほふく室、乳児室、保育室を3階以上でも認めたり、食育、アトピー対処などで重要な自園調理の原則をあいまいにしています。
 以上の理由から、知事提出議案、第10号、11号、12号には反対です。
 
 請第49号、「消費税増税の撤回の意見書提出を求める請願」は採択すべきであり、不採択に反対します。
 県民百貨店についての質疑の際も述べましたが、景気・雇用情勢は、4~6月期のGDPが、年率換算で7・1%下落し、家計消費支出は年率換算で、19・5%減少で、統計が連続してとれる1994年以降最大の落ち込みとなっています。全国紙の世論調査では、消費税10%への増税に対して、こぞって7割前後が「反対」となっています。
 雇用の問題でも、「有効求人倍率が改善された」とよく言われますが、増えているのは非正規雇用の求人だけで、第2次安倍内閣成立後の1年半で、雇用者数は94万人増えましたが、内訳をみると、非正規雇用が125万人増え、正社員は逆に31万人も減っています。
 こうしたなかでの消費税10%への増税は、くらしも経済も財政も、著しく悪化させるものであり、増税法附則第18条3項に基づき、政府に、消費税増税中止を求める請願は、的を得たものであり、採択しべきです。
 
 請51号、陸上自衛隊高遊原分屯地と山都町大矢野原演習場での日米共同演習の中止の意見書を国に提出することを求める請願は、日本の平和、県民と郷土の安全のために採択すべきであり、不採択に断固反対します。
 なおこの問題については、議員提出議案第8号の説明で詳しく触れることにいたします、
 以上で、討論を終わります。

アスベスト対策の全庁的強化について   2014年8月4日

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熊本県知事 蒲島郁夫様
2014年8月4日
 日本共産党熊本県委員会 委員長 日高伸哉
 県議会議員 松岡徹
 熊本市議会議員 益田牧子

アスベスト対策の全庁的強化について
1、アスベスト対策の全庁的取り組みについて
①アスベストの用途は、3000種以上に上ります。厚生労働省の「石綿に暴露する業務に従事していた労働者のみなさんへ」のなかであげられている「作業例」として、建設産業以外で、歯科技工、調理作業、畜舎の管理、酒類製造、消防など、37例が挙げられています。
 政府の「アスベスト問題に関する関係閣僚会合」には、厚生労働省、国土交通省、環境省、経済産業省、文部科学省、総務省が参加しています。
 熊本県においては、2005年7月25日、金沢副知事(当時)を座長とする「アスベスト問題情報連絡会議」が設置されました。「連絡会議設置要綱」もつくられています。
「アスベスト問題情報連絡会議」および幹事会の開催、構成メンバー、各部の役割分担と実働、2005年から現在にいたる活動を明らかにし、現時点であらためて、アスベスト対策についての全庁的取り組み、各部の取り組みを明確にすること。
②アスベスト問題に係る相談窓口(総合窓口(環境生活部環境保全課環境審査班、アスベストに関する一般的な健康相談(健康福祉部健康づくり推進課・各保健所)、そのほか)での相談の整理分析(広報、内容)、窓口の機能状況、今後の取り組み強化の方針を明らかにすること。

2、アスベスト使用建築物対策
①県有施設、市町村施設、社会福祉施設等、その他の「未対策施設」対策
②床面積1000㎡以下の施設に調査と対策
③個人の住宅・店舗・工場などの対策

3、アスベスト被災者の掘り起しと救済対策
①肺がん罹患の建設産業従事者の約8割はアスベストが原因と指摘されています。ところが、たばこが原因とか、石綿肺の場合は、間質性肺炎、肺腺維症、肺気胸と診断されています。
アスベストを重視した医師の診察など、検診によるアスベスト被災者の発見、掘り起こしを強化すること。
②アスベスト被災者への県独自の支援策の拡充、強化を

4、国に、アスベスト対策の抜本的強化を求めること。
①「石綿による健康被害に関する法律」を、「石綿(アスベスト)対策基本法」とし、被害補償、予防を一体としたものに抜本改正すること。
②被害補償は、公害健康被害補償法による補償に準じて行うこと。

6月県議会・知事提出議案第5号「熊本県税条例の一部改正条例の制定」、第13号「税条例の一部改正にかかわる専決処分の報告及び承認」に対する反対討論 2014年6月30日

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  県議会議員 松岡徹
6月県議会・知事提出議案第5号「熊本県税条例の一部改正条例の制定」、第13号「税条例の一部改正にかかわる専決処分の報告及び承認」に対する反対討論
 
 日本共産党の松岡徹です。知事提出議案第5号「熊本県税条例の一部改正条例の制定」、第13号「税条例の一部改正にかかわる専決処分の報告及び承認」には同意できません。
 これらは、地方税法改正にともなうものです。地方税法改正は、消費税増税を前提にした激変緩和、あるいは景気対策としての減税、それによって生じる地方税収減収分の代替としての増税、地方自治体間の税収格差の水平調整などで、消費税を地方財政の主要な財源にすることが施策化されています。
 第5号議案については、消費税率の引き上げに伴い、地方交付税の交付団体と不交付団体間で格差が一層ひどくなることが予測されます。その対策として、新たに地方法人税が新設されました。 
 地方税の一部を国税として地方交付税の原資とし、税率の偏在による自治体間の財政力格差を水平調整しようというものです。
 自治体間の税収格差の是正は、地方交付税の財源保障と財政調整の機能を強化することですべきです。
 地方法人税による形での自治体間の税収格差の調整は、消費税を増税し、消費税を地方財政の主要財源にしようとする方向と一体のもので賛成できません。
 第13号議案については、 自動車取得税の引き下げの代替財源として、軽自動車、原付・オートバイなどの軽自動車税が大幅増税となるというものです。
 軽自動車税の標準税率は、自家用自動車については1・5倍、貨物用は約1.25倍になります。50CC以下の原付については、2倍になります。
 自動車取得税が廃止された場合に失われるエコカー減税による車体課税のグリーン化機能を代替するために軽自動車にも重課が導入されます。2016年4月1日以降、最初の新規検査から13年経過した軽乗用車には標準税率の20%が重課されます。新税率施行前の駆け込み買い替えや買いかえずに乗っていた場合も、最初の新規検査から13年経過した時点で一気に1・8倍の増税となります。
 日本国内の軽自動車普及は、新車販売台数の4割近くのシェアであり、特に地方、郊外で顕著です。公共交通が不便なところでは、1世帯2台、3台のところも少なくなく、軽自動車は不可欠です。原付・2輪車も同様です。
 自動車業界の要望に沿って、自動車取得税を減税・廃止し、その減収のツケを軽自動車税増税で賄うことは、消費税増税に加えて、国民に2重の負担増を押し付けるものです。
 低所得者、国民に対して最も不公平な税制である消費税を、住民の福祉の増進を主たる任務とする地方自治体の主要な税源とすることは、本末転倒といえるものです。こうした仕組みの導入には賛成できません。
 以上の理由で、知事提出議案第5号、第13号には反対です。
 
 
 請第47号「川内原発再稼働に際し、避難者受入れに関する国への意見書提出を求める請願」は、採択すべきです。
 一般質問でも強調しましたが、5月21日の福井地方裁判所は、「原発事故は250キロ圏の人格権を侵害する」と指摘しています。250キロということは、川内原発事故によって「人格権が侵害される」のは熊本県全体がその範囲です。熊本市は110キロ地点です。
 川内原発は、地震と活断層、火山爆発と火砕流、火山灰、災害要援護者を含む避難計画の根本的不備など、あらゆる面からみて再稼働すべきではありません。一般質問では、こうした角度から川内原発再稼働はすべきでないことを明らかにしましたが、原発再稼働論は、他の角度から見ても破綻状態です。
 原発再稼働推進、あるいは「やむなし」と考える経済界などの論として、「経済が大変になる」ということが言われますが、そういう立場の人がいま盛んに強調しているのが、「経済は回復した」ということです。アベノミクスによる「経済回復」論には見解を異にしますが、「原発停止が続けば日本経済が落ち込む」といってきた人たちにとっては、原発が停止して3年余りになるのに、「経済回復」を喧伝しなければならないという、極めて説明しにくい、皮肉な事態となっています。
 「原発をとめていることで、年間1・5兆円から3兆円化石エネルギーの代金を払っており、日本の『国富』が流出し、失われつつある」という人もいます。国際収支は確かに黒字から赤字になってきています。しかし、それが原発事故のためかというとそうではありません。
 国際収支は、2007年までは20兆円前後の黒字でしたが、その黒字が大幅減少にカーブを切ったのは2008年です。
 原発事故はその3年後の2011年です。それでは、なぜ国際収支が黒字から赤字になったのか。日本の輸出が大幅に減っているからです。2007年には83兆9千億円あった輸出額が、2012年には、63兆7千億円に激減しています。なぜ輸出が減っているのか。過度の円高と、とりわけ大きな要因は、日本の大手製造業のほとんどが製造拠点を海外に移したからです。
 福島原発事故の化石燃料の輸入量はどうか。調べてみますと、化石燃料の輸入量は増えておらず、むしろ減っています。輸入総(金)額は増えています。価格が高くなっているからです。 
 これは原発というより国のこの面での政策力、交渉力の問題です。 
 よく論じられる経済の面からみても、原発再稼働の論拠は破たんしています。
 原原発事故は国を滅ぼす規模の危険を持っています。ひとつ間違えば、人の住めない日本、九州、熊本になってしまいます。
 人々のこと、農林水産業のこと、郷土のこと、国を大事に思うなら、この道は断じて進んではなりません。
 請第47号「川内原発再稼働に際し、避難者受入れに関する国への意見書提出を求める請願」の不採択に対する反対討論を終わります。

6月県議会・学生を無法に酷使するブラックバイトの解決を政府に求める意見書」 2014年6月30日

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  県議会議員 松岡徹
6月県議会・学生を無法に酷使するブラックバイトの解決を政府に求める意見書」提案者説明
 
 日本共産党の松岡徹です。新社会党の岩中伸司議員と共同で提出しています議員提出議案第8号「学生を無法に酷使するブラックバイトの解決を政府に求める意見書」について。提出者の説明を行います。
 以前は、学生バイトといえば、正規雇用の補助で、賃金は低くても、あくまでアルバイトであり、責任は軽いものでした。テスト前には休むというのも学生の本分からして当たり前でした。
 しかし最近は様相が大きく変わってきています。いわゆる「ブラックアルバイ」問題です。
 メディアでも「違法行為が横行し、学業に影響するほどの長時間労働を強いられるケースも」(「読売」)などと取り上げられ、全国的に社会問題になってきています。
 チェーン店では、正社員は一店舗に1人、あとは学生アルバイトといった状況があります。学生バイトが「バイトリーダー」「時間帯責任者」などとして、シフトの管理など正社員のようなことをやらされています。
 大学教育の面では、「バイト先から授業中に連絡が入る」「シフトの変更がききにくく、ゼミ合宿の日程が決められない」などの事態も生まれています。
 全国的に問題となっているケースをいくつか紹介します。
 「シフトの連絡が直前にある」「予定があるのにシフトを急に入れられる」「テスト期間なのに『がんばってシフトに入ってくれ』と言われる」といった無理なシフトを組まれるケース。
 「15分未満の勤務時間が切り捨てられる」「売れ残りの商品を買わされる」といった違法・脱法行為。
  「辞めたいが、いろいろ言われて辞めさせてもらえない」「辞めたいと言ったら、『求人広告費分として給料から4分の3を差し引く』と言われ、やめられない」等々です。
 バイトと学業を両立できず、留年や大学中退に追い込まれるなど、深刻なケースもあり、ブラックバイトは、学生生活と大学教育の障害となっています。
 「ブラックアルバイト」問題の背景には、日本社会にはびこるブラック企業問題があります。
 労働者派遣法など労働法制の改悪で、非正規雇用を労働者の4割近くにまで増やしたことが、ブラック企業の存立基盤となっています。こうした事態を改めるのではなく、安倍内閣は、「派遣を常用雇用の代替にしない」という原則を無視し、正社員を派遣に置き換えることを完全に自由化する労働者派遣法の改悪案を通常国会に提出しました。労働者、国民の強い反対のなか、廃案になりましたが、こうした若者を使い捨てにする政策の根本的な転換が求められています、
 一方、多くの学生が、バイトをして、ある程度の収入を確保しなければならない状況があります。親がリストラされたり、商売が立ち行かなったりする状況が広がっているからです。
 東京私立大学教職員組合連合の調査によると、首都圏の私立大学に通う学生の家庭からの仕送りは、2013年度で月平均8万9千円。ピークだった1994年度の12万4900円から減り続け、調査開始以来、最低となっています。仕送りから家賃を引いた1日当たりの生活費は平均937円で、ピークだった1990年度の4割以下です。 
 国民の所得が減り続けるなかで、学生のバイト依存が高まらざるを得ない事情とともに、高い学費、貧困な奨学金制度などの問題があります。
 公的な奨学金はすべて貸与制で、うち7割が有利子で、月10万円を4年間借りれば480万円、これに利子がついて600万円以上を卒業後に返済しなければなりません。 
 学生は、就職難で、就職先があっても安定した正規雇用でない場合も多く、将来安定した職業につけるかも分からない不安から、奨学金をあきらめ、バイトに頼らざるを得ない状況があります。
 多くの学生が、違法・無法な「ブラックアルバイト」を強いられても断れない、やめられない状況におかれているのです。
 こうした事態は、最高学府である大学教育にも少なからぬ悪影響を及ぼしており、とりわけ前途ある学生にとって極めて由々しき問題です。
 OECD(経済協力開発機構)加盟34カ国中「授業料無償化」と「給付型奨学金」の二つとも行われていないのは日本だけです。
 アルバイトをする学生は8割にのぼり、このうちアルバイトが「学業の妨げになった」と答える学生は半数以上です。生活費のために働く学生は31・7%といった調査結果があります。(東京大学「学生生活実態調査」2012年)
 政府は2012年9月、「高校や大学の教育を段階的に無償にする」と定めた国際人権規約の条項の「留保」を撤回しており、高い高学費を引き下げ、無償化を進めていくことは、政府の国民への責任であり、国際的公約です。
 学費負担の軽減、奨学金はせめて「無利子」にし、将来的には給付制を当たり前にするなど、思い切った改革を進めるべきです。
 働く人間を「使い捨て」にする社会は、若者から希望を奪い、貧困と格差を広げ、日本社会から活力を奪ってしまいます。人間らしい労働・ディーセント・ワークが、世界の流れです。
 学生の立場の弱さ、労働法など働くルールを知らないことにつけこむ企業の悪質さはたださなければなりません。
 学校教育法第83条は、「大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする」「大学は、その目的を実現するための教育研究を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする」と定めています。高い授業料、利息付の奨学金、ブラックアルバイトなどは、大学と大学生の使命、役割を阻害しています。こうした事態が、長期的にみれば、日本の将来にとって、大きなマイナスとなることは疑いありません。
 意見書は、「ブラックアルバイト」解決のために、政府の責任ある取り組みを求めるものです。賛同をいただくよう訴えまして、提出者説明を終わります。

6月県議会・議員提出議案第2号「地方財政の充実・強化を求める意見書」、第3号「地域包括ケアシステム構築のため地域の実情に応じた支援を求める意見書」に対する反対討論 2014年6月30日

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  県議会議員 松岡徹
議員提出議案第2号「地方財政の充実・強化を求める意見書」、第3号「地域包括ケアシステム構築のため地域の実情に応じた支援を求める意見書」に対する反対討論
 
 日本共産党の松岡徹です。議員提出議案第2号「地方財政の充実・強化を求める意見書」、第3号「地域包括ケアシステム構築のため地域の実情に応じた支援を求める意見書」について、反対討論を行います。
 私は、条例や予算などの議案を審査する際、3つの点を留意しています。ひとつは、その議案が、県民の利益という点でどうか。2つめに、県民にとってプラスになるものがあっても、原則上の問題点を抱えていないか。3つめに、県民の気持ちや意識の状況に照らしてどうか―という点です。
 2つの意見書は、地方財政や介護問題で、当然賛成できる積極的な提起を含んでいます。それらを否定するものではありません。
 ただ、2つの意見書には、それを認めれば、地方財政強化や介護保険の充実といった課題の推進を妨げる、逆効する重大内容を含んでいることを指摘しなければなりません。
 第2号議案の3項ですが、法人実効税率の見直しに触れ、外形標準課税の充実をはかることを求めています。
 日本の「法人税率」は高すぎるのでしょうか。
 大企業は研究開発減税や外国税額控除をはじめとする数々の優遇措置を受け、実質的な税負担率は平均で30%程度にとどまっています。さらに、企業の公的負担は税金だけでなく社会保障の負担もあります。それを合わせて比べた財務省の調査によると、日本の大企業はドイツやフランスの大企業より2、3割低い負担にとどまっています。
 法人税を減税すれば雇用や中小企業にも恩恵があるかのように言われますが事実と異なるものです。
 大企業は5年連続で過去最高益を更新した2000年代にも、正社員を減らして非正社員に置き換え、正社員の賃金も抑えてきました。
 大企業は空前の大もうけをあげながら、雇用の破壊を続け、その一方で、株主配当を増やし、巨額の内部留保を蓄積してきました。
 安倍首相は、消費税増税と法人税減税に執念を燃やしていますが、ここには消費税と大企業が主として恩恵を受ける法人税減税の深い関係があります。消費税が導入されて26年間で、国民から吸い上げた総額は約282兆円です。その一方、法人税減税総額は255兆円です。消費税収の約90%が法人税減税の穴埋めとなった形です。
 中小企業は内需低迷や大企業の下請け単価の買いたたきで7割が赤字決算で、法人税を払えない状態です。しかも、中小企業は一定の所得までは軽減税率(18%)が適用されるため、法人税の基本税率引き下げで恩恵を受けるのは専ら大企業になります。
 経産省などの調査によると、企業が投資先を決める最大の要因は現地の市場としての魅力にほかなりません。大事なのは、法人税率ではなく、家計と内需を温めることであり、それによって購買力を高め、市場を活発にすることです。そのための賃金引き上げと中小企業支援が重要です。
 第2号議案3項で求めている「外形標準課税の充実」はこれと逆行するものです。現在の資本金1億円超の企業への課税対象をさらに拡大すれば、多くの中小企業にとって負担増になり、地域での雇用拡大が困難になります。
 赤字の中小企業にも課税する外形標準課税の適用拡大について、中小企業団体が「断固反対」を表明しています。中小企業庁の北川慎介長官は「(外形標準課税の適用拡大は)賃金を課税標準にするものであり、中小企業にとって適当ではない」と述べています。
 以上の理由により、議員提出議案第2号「地方財政の充実・強化を求める意見書」には反対です。
 
 
 議員提出議案第3号「地域包括ケアシステム構築のため地域の実情に応じた支援を求める意見書」は「社会保障と税の一体改革」を前提としおり同意できません。
 「社会保障と税の一体改革」とはなにか。あらため3つの面から明らかにしたいと思います。
 まず税の改革ですが、本来、税は、その所得・負担能力に応じて課税されるものですが、この原則に反して、国民の所得が減り続けているなかで、国民にさらに増税するというものです。しかもその増税が、所得の低い人ほど負担が重くなるという、消費税が本来持っている逆進性を一層拡大する、消費税増税ということです。
 消費税増税は、日本経済を根幹で支える中小企業に大きな打撃を与えます。消費税が8%から、さらに10%になれば、いまでさえ消費者や取引先大企業に価格転嫁できず、身銭を切って消費税を負担している中小企業は、負担に耐えられず、廃業に追い込まれるところが続出することになります。
 次に、「社会保障と税の一体改革」といいながら、実際には「公共事業と税の一体改革」ともいうべきものになっているということです。1m1億円もする東京外郭環状道路や必要のない立野ダム建設などが進められています。福祉・生活密着型、社会資本の老朽化対策などの公共事業は重要ですが、不必要な大型公共事業は見直すべきです。
 3つ目に、社会保障の改革です。「一体改革」される社会保障のメニューは、年金給付の減額、医療費の窓口負担増、介護の負担増、「保険あって介護なし」状況の一層の拡大、生活保護の抑制等々、社会保障の連続改悪です。
 こうした「社会保障と税の一体改革」を前提にすれば、個々にあれこれと介護の充実を求めても、その実現性が乏しいばかりでなく、社会問題になっている「介護難民」「医療危機」をさらに拡大することになります。
 以上の理由で、議員提出議案第3号「地域包括ケアシステム構築のため地域の実情に応じた支援を求める意見書」には反対です。
 以上で討論を終わります。

2月県議会・一般会計予算反対討論ほか 2014年3月17日

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  県議会議員 松岡徹
2月県議会・一般会計予算反対討論ほか
 
 日本共産党の松岡徹です。知事提出議案第41号、2014年度一般会計予算に対する反対討論を行います。
 予算編成実務上は理解はするものですが、消費税増税はかかって政治の判断であり、増税中止宣言は、現時点でも十分可能であり、消費税8%を見越した予選編成には同意できません。
 GDPの伸び率を見てみますと、昨年1~3月期、4・5%、4~6月期、4・1%から、7~9月期、0・9%、10~12月期は0・7%へと急速にしぼんでいます。とくに消費税増税を見越した駆け込み需要で消費が増えるとみられていた10~12月期にも、低下しています。「アベノミクス」の「効果」は色あせ、景気の失速は明らかです。
 消費税の増税は、国民に8兆円もの負担を押し付け、景気をさらに冷え込ませる最悪の景気破壊税です。消費税の増税中止が最大の景気対策です。
 安倍内閣は、「景気の好循環」を真に求めるならば、消費税増税中止宣言を発すべきです。
 
 2014年度県予算案には、世界の阿蘇をダメにし、白川の環境をこわし、想定外の洪水の際には、熊本市を含む下流域に甚大な被害をもたらす立野ダム関連費6億3千7百万円が計上されています。 
 立野ダムにはこれまで、現時点で明らかになった分で、105億2千万円が投じられています。来年度予算案は、膨大に膨れ上がる危険を持つ立野ダム建設への多額の県費負担の道に本格的に踏みこむ、悪しき転機となるものです。
 路木ダム関連費は、3162万円が計上されています。
 12日の建設常任委員会での「河川整備計画そのものが否定された判決が国内で他にあるか」との私の問いに、「ありません」との答弁でありました。路木ダム問題は、その重大な失政、誤りが、熊本県政史上に残ることになるでしょう。
 路木ダム治水を「違法」とした熊本地裁判決の内容そのものは、議員各位、県庁職員、県民に仔細には知らされていませんので、少し詳しく紹介します。
 判決は、「検討結果によれば,昭和57年7月豪雨によって,路木川の堤防決壊や路木集落における家屋の浸水被害は発生しなかったことは明らかであるといえる。したがって,本件整備計画等の作成及び本件計画規模(本件治水安全度)の決定の際,県知事には,最も重要な考慮要素の1つについて重大な事実誤認があったものというべきである。それどころか,県知事は,『路木川では昭和57年7月豪雨の際においても堤防の決壊や路木集落における家屋の浸水被害は発生しなかった』という過去の洪水被害状況を全く考慮することなく,本件整備計画等を作成したものであって,本件整備計画等は,河川法16条2項や施行令10条1号等に違反して作成されたものといわざるを得ないのである。
 以上のとおりであるから,本件整備計画等は,重要な事実の基礎を欠くものであり,県知事の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法であるというべきである」「なお,被告は,整備計画等は『過去に浸水した棟数や被害額を基に事業計画を策定したものではなく,計画規模の洪水における浸水被害を基礎として策定するもの』であるから,過去の洪水被害に係る『被害棟数の正確な数が把握できないからといってその計画が揺らぐものではない』し,治水対策の必要性が変わるものではない旨主張する。しかしながら,計画規模の決定を含め整備計画等の作成等については,過去の洪水被害状況が最も重要な考慮要素の1つであり,同状況を考慮して作成しなければならないことが明らかである」「本件計画規模を前提としても,破堤は発生し得ないのであるから,治水安全度の確保のために,洪水調節施設として路木ダムを建設する必要性は認められない。したがって,本件整備計画等の内容は,社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものであるというべきである」
 「本件総費用は78億9540万円とされているから,費用便益比は,0.49となる(なお,実際の総事業費は,当初予算を6億5000万円以上上回るものと見込まれているから,費用便益比は更に低い値となると考えられる)」
 判決文は120ページに及ぶものですが、路木ダム治水の違法性を厳しく指摘しています。
 特に重要なのは、「(路木ダムの治水計画が)重要な事実の基礎を欠くものであり,県知事の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法である」ことを繰り返し指摘していることです。
 2003年5月の川辺川利水訴訟福岡高裁判決は、土地改良法が定める3分の2(66・66%)の同意要件に対して、用排水(かんがい)事業 65.66% 、区画整理事業 64.82%であり、要件を満たしていないとして原告勝訴の判決を下しました。この事実認定に徹した判決に対して、農水大臣は上告理由を失い、上告を断念、原告勝訴判決が確定しました。
 路木ダムについての熊本地裁判決も、路木ダム治水計画が、「重要な事実の基礎を欠くもの」として判断を下した点が重要であり、熊本県も当然これに従うべきものです。
 にもかかわらず、蒲島知事が控訴をしたことに対して、強い憤りをもって、厳しく批判するものです。
 政治が事実と真実に背を向け、権力と財力、人力、物量で、真実と事実を覆す行為ほど怖く、危険なものはありません。熊本県がその道を進んではいけません。
 違法とされた路木ダム建設、今後どれだけ県費を食うかわからない立野ダム建設に多額の県費をつぎ込みながら、7万人の署名を添えて要請されている全国最低の子ども医療費無料の拡充、全国最低の少人数学級の拡充、県独自の住宅リフォーム補助制度の実現は、またまた見送られています。
 2014年度一般会計予算案には反対です。
 
 国際公約に背き、世界の大勢であり、国民の強い願いである高校無償化の流れを逆行させる知事提出議案第87号、熊本県立高等学校の授業料条例の一部改正には同意できません。
 
 請願43号「憲法改正手続きを無視して、政府の『解釈改憲』による『集団的自衛権の行使』の計画中止を求める請願」の不採択には反対であり、請願44号「国会に憲法改正の早期実現を求める請願」の採択には反対です。それぞれ憲法に関す重要議案である、その内容については、あとで詳しく見解を表いたします。
 以上で討論を終わります。

「2月県議会・先議反対討論 2014年2月24日

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  県議会議員 松岡徹

 2月県議会・先議反対討論
 日本共産党の松岡徹です。知事提出議案第1号2013年度一般会計補正予算では、国家公務員に準じた県職員の給与削減分、約61億円が減額補正として計上されています。
 この件は、6月議会の反対討論で指摘したように、国が地方公務員の給与削減を地方交付税の削減とセットで押し付けてきたことによるものです。
 給与の大幅削減は、県職員、一人ひとりにとって重大問題であす。県職員の使命感と意欲の減退は、県政全体に影響します。同時に民間賃金、地域経済にもつながる大きな問題です。
 19日の衆院予算委員会での民主党岡田克也氏と新藤総務大臣のやり取りを聞いておりますと、国家公務員の給与について、岡田氏が、「55歳超の昇給抑制に加えて、50歳代前半から検討を」と述べると、大臣が「建設的なご提案をいただいた」などと答弁しています。無責任な、際限のない公務員給与削減論です。こういう議論を聞いていますと、国の圧力による地方公務員給与の削減も、今回きりと安易に判断できません。
 政府や一部政治家の偏った公務員攻撃に厳しく抗議し、歯止めをかけるうえでも、国家公務員に準じた県職員の給与削減に関わる、知事提出議案第1号には、反対の意思を表明するものです。
 一般会計補正予算には、4月からの消費税増税を見込んで、債務負担行為、繰り越し明許費が設定されています。
 昨年10~12月期の国内総生産(GDP)の伸びは前期比0・3%増、1年間に換算した年率でも1・0%増にとどまっています。政府は4期連続の「プラス成長」だといっていますが、伸び率は昨年前半に比べ2期連続で大きく鈍化し、10~12月期は予測にくらべ半分以下です。原因は、GDPの6割を占める個人消費が、消費税増税前の駆け込み需要があったにもかかわらず、わずか前期比0・5%しか伸びず、輸出や設備投資も伸び悩んだからです。 厚生労働省の毎月勤労統計調査では、昨年の1カ月平均の「きまって支給する給与」は3年連続の減少となっています。
 安倍政権は、「アベノミクス」で、消費税増税前に景気を回復させると取り組んできましたが、破綻は明白です。
 こうしたなかで、消費税増税で8兆円、社会保障の負担増・給付減をあわせれば10兆円という史上空前の負担増を強行すれば、国民の暮らし、日本経済、財政も共倒れの「悪循環」に陥ることは疑いありません。
 「経済の好循環」をいうのであれば、4月からの消費税増税の実施は、いまからでも中止すべきです。消費税増税込みの補正には同意できません。
 
 知事提出議案第28号熊本県農用地利用集積等推進基金条例制定は、農地中間管理機構制度運営基金設置のためのものです。第21号は、農地中間管理機構事業費補助12億1100万円余を計上しています。
 安倍内閣は,TPPに突き進む一方、国内の農政「改革」として大規模農地化、農地利用の効率化・高度化を促進し自由化に対応できる競争力のある農業経営の育成を進めています。
 6月に閣議決定した「日本再興戦略」では、今後10年間で全農地面積の8割を大規模経営に集め、コメの生産コストを平均で4割削減し、法人経営体を5万に増やすことを決めました。それを推進する決め手として位置づけられたのが「農地中間管理機構」です。
 ここには日本の農業、戦後農政の根本にかかわる大きな問題があります。
 第1に、「機構」の農地貸付にあたっては「公募」を義務付け、競争力のある企業経営が優先されることになりかねないことです。これまで地域で頑張ってきた大規模農家、農業生産法人などの排除の手段になりかねません。 
 新規参入もいま増加している青年のIターンより、販売力、資金調達能力に勝る企業経営が優先されることになります。
 第2に、農地の借り受け対象から耕作放棄地など条件の悪い農地を除外していることです。当初「機構」による農地の借り入れが、中山間地域で増えている耕作放棄地の解消に役立つかのように言われ、自治体や農業委員会関係者からの期待もありましたが、貸出先が見込めない農地が「機構」の不良債権となり、財政負担となるとして財界筋の規制改革会議等からクレームが付き、借入対象からはずされました。また引き受けた農地も一定期間貸出先が見つからない場合は所有者に戻すことになります。
 政府の産業競争力会議では「機構」が扱うのは優良農地に限定すべきとの主張が強く出されていました。結果として、こうした主張に押されて、この制度が地域農業の振興とは無縁の優良農地を企業にさしだすものとなったと言っても過言ではありません。
 第3に、政府や県の方針が優先で、農地に関する権限が農業委員会や市町村から奪われ、地域の実態に即した判断、農業委員会、市町村の意見の反映の保証がないことです。農地の貸借は、「機構」が、対象となる農地の地番、面積、借り手の名前などを「農用地利用配分計画」にまとめ、知事の許可を受けて公告することによって権利が発生します。つまり、一般の農地の貸借では必要とされてきた農地法にもとづく農業委員会の許可は不要です。これまでの規制緩和のなかでも守られてきた農業委員会の許可や関与の仕組みの重大な転換です。産業競争力会議の「国家戦力特区ワーキンググループ」などで、財界筋が「農地が流動化されない最大の阻害要因の一つは農業委員会による関与である」「のぞましい将来像は、農業に関しても不動産業者が情報を集約し」「農業委員会の土地売買に関する関与を全廃する必要がある」といった注文に応えたものです。
 農業委員会は、公選法に準じて農民から選ばれる委員が多数を占める市町村の行政委員会であり、運営は法律に沿ってなされています。農業自体が困難な情勢の下で農業委員会もまた様々な困難を抱えていますが、そうしたなかでも多くの農業委員会が農地の有効利用、耕作放棄地の解消などに努めています。
 規制改革会議などでの農業委員会排除の議論に対して、全国農業会議所の二田孝治会長は「農業、農村の現場から著しくかい離した内容」だと厳しく批判しています。全国市長会経済委員会も「地域の特性と実情に応じた農業振興がはかられるか疑問」との緊急意見を発表しています。
 農地は、個々の生産者の経済基盤であると同時に、地域社会で多様な機能を担っています。農村で、農地を持続的に利用し農業を維持してきたのは大小多様な家族経営の農業です。農地法は、農村に定住し、自ら農作業に従事する農民の権利を優先してきました。農地の管理を地域の農業者から選ばれた委員が多数を占める農業委員会にゆだねてきたのも、農業者による自治的な取り組みが適切と考えられたからです。
 「農地中間管理機構」創設の根底にある農地の多面的機能、農地法の理念、農業委員会の役割の否定、農地を宅地などと同列に扱い、不動産業者にゆだねるという考え方、やり方には、到底容認できません。
 この問題は、熊本の農業、農村、地域社会、地域経済に大きな影響を与える性質のものであり、拙速でなく、十分な論議と検証をまず行うべきです。
 知事提出議案第28号及び第21号には反対です。
以上

「ユメタウン大江」「ケーズデンキ熊本中央店」について申し入れ
2014年2月17日

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「ユメタウン大江」「ケーズデンキ熊本中央店」について申し入れ
            2014年2月17日 熊本市長 幸山政史様
 2014年2月17日
 日本共産党・熊本県議会議員(熊本市選出) 松岡徹
 日本共産党熊本地区委員長         重松孝文
 日本共産党熊本市議団           益田牧子
    上野美恵子
    那須円
 「ユメタウン大江」「ケーズデンキ熊本中央店」について
 
 1、住宅地、文教地区、交通難所地区への大型店進出と熊本市の対応
 ①2006年のイオンモール佐土原進出計画の際、熊本市は、市街化調整区域における開発行為不許可という決断を下しました。その理由は、
 *交通、市民生活、地域経済、環境保全など、幅広い分野に様々な影響を与える。
 *都市マスタープランでは、隣接地は第1種低層住宅専用地・良好な住宅地。良好でゆとりある住宅地としての土地利用を維持、発展させる必要がある。
 *交通問題、とりわけ空港アクセスに問題が生じる。
 *環境保全、特に地下水涵養・保全に影響する
 *「熊本の顔」である中心商店街への影響が大きい。
 ―というものです。(2006年5月、幸山市長臨時記者会見、「ようこそ市長室」より)
 
 ②「ユメタウン大江」「ケーズデンキ熊本中央店」進出計画が進められている大江地区でも、市民生活、交通、環境など様々な問題が生じています。
 *計画地の南北に大江小学校。白川中学校、東部に熊本学園大学、県立劇場が隣接し、近隣は住宅地であり、大型店の進出で環境が一変する。
 *近隣商店、子飼商店街、中心商店街への影響は甚大。
 *文教、住宅地域として良好な環境づくりが進められてきた地域であること。にもかかわらず、ケヤキ並木(19本)が、住民や近隣への説明もなく、合意を得る努力もなされず伐採されるなど、強引に工事が進められている。
 *とりわけ、交通問題が深刻な事態になることが予測される。~交通問題については、別項にて詳述。
 ―ことなどです。
 市街化調整区域の佐土原のケースとは違い、法的権限上の制約はありますが、熊本市として直視し、真摯に対応すべき問題です。
 大規模小売店舗立地法は、「大規模小売店舗の立地に関し、その周辺の地域の生活環境の保持のため、大規模小売店舗を設置する者によりその施設の配置及び運営方法について適正な配慮がなされることを確保することにより、小売業の健全な発達を図り、もって国民経済及び地域社会の健全な発展並びに国民生活の向上に寄与する」ことしています。
 熊本市においては、「熊本市大型店の立地に関すガイドライン」を定め、「政令指定都市移行に伴い区役所が設置され、行政区を新たなまちづくりのエリアとして、それぞれの区の特性に応じたまちづくりを市民や民間事業者との協働により進めていくこととしており、大型店においても、地域社会の一員として自らの役割を認識し、様々な課題を抱える地域のニーズを十分に踏まえたうえで、地域貢献への取り組みを進めていくことが求められます。
 このような観点から、本市では、大型店に対して、大規模小売店舗立地法の規定による手続きとは別に、早期における出店計画書の提出、地元説明会の開催及び開業後の地域住民等との協議の場の設置など、地域住民等との十分なコミュニケーションと連携のもと、地域の実情に即した形で地域貢献を進める」としています。
 現在、法7条1項に基づく「提出者による住民等への説明会の開催」の段階です。
 にもかかわらず、工事は一方的に進められています。これでは。「周辺の地域の生活環境の保持」(大店立地法)、「地域住民等との十分なコミュニケーションと連携」(熊本市ガイドライン)は図られません。
 事業者の行為は、大店立地法、熊本市ガイドラインの趣旨に背くものと指摘せざるを得ません。
 同時に、こうした状況に至らしめている熊本市の対応に重大な問題があることも併せて指摘するものです。
 
 2,1月17・18日の説明会で明らかになった問題点等について
 約1年前に、出店計画書の明会が開かれ、「できるだけ早く再度開催する」との約束に反して、約1年間も説明会が開かれませんでした。事業者の態度は、住民への説明という点で不誠実といえるものです。やっと開かれた説明会でしたが、内容に重大な疑義、問題がありました。参加した住民等が納得できるものではありませんでした。
 
 ①説明会でなされた交通問題についての説明は、予測される事態の深刻さを示すデータは秘匿され、「大した変化はない」と受け止められるデータによる説明でした。
 具体的には、「交差点需要率」で説明がなされました。それによるとと、交差点1から7まで平日も休日も、「現況」「開店後」ともあまり変化はないようになっています。
 交差点需要率―単位位時間内に交差点が信号で処理できる交通量に対し、実際に流入する交通量の比率。値が高くなるほど交差点の混雑が見込まれ、一般的に0・8ぐらいで部分的に渋滞が発生し、0・9を超えると信号が一巡しても車をさばききれなくなる―というもので、一般にはわかりにくい。
 ところが、「交差点等の車線別混雑度・滞留長」では、交差点1(消防局)C地点(明午橋に向かう方向)の直進・左折は、平日の現況・混雑度は0・424→開店後0・945、休日は、0・355→0・888に。平日の現況・滞留長は45・4m→95・6mに。休日は、44m→102・7mになっています。交差点6(消防局から、味噌天神方面に向かって、白川中裏門通りとの交差点)でも同様な状況がみられます。
 滞留長とは右折車線や左折車線のつまり「長さ」のこと。
 このことが示しているのは、混雑時は、車が直進も左折も、右折もできないということです。消防局の救急車、消防車の運行にも重大な支障となります。
 こうした点については、当然、交通管理者からも指摘がなされているはずです。
 しかし説明会では、混雑度、滞留長に関する資料説明は一切なされませんでした。真実を隠ぺいし、住民に誤った判断をもたらす説明が意図的になされたと断じざるを得ません。
 ユメタウン、ケーズデンキ、2つの病院、2つの銀行等の出入り口がそれぞれどうなるのか、全体を明らかにしてほしいとの声も、住民から出されています。
 ②父母、地域住民の「大江小学校側に車両の出入り口は設けないでほしい」との強い要望は無視されています。
 ③営業時間が、午前8時から23時となっている。車の出入りは、午前7時半から23時半までとされており、朝の通学、出勤と競合し、渋滞、交通事故の危険を増大させます。にもかかわらず、説明会では「当社の方針」と開き直っています。
 ④騒音、大気汚染についての懸念も寄せられています。
 
 3、熊本市に次のことを求めます。
 ①現時点であらためて、大江地区への「ユメタウン大江」「ケーズデンキ熊本中央店」問題について総合的に検証し、可能な限りの対策を講じるべきです。特に交通問題については、近隣住民、交通管理者、専門家も入った体制での全面的な再検証を行うべきです。
 ②「株式会社イズミ」「株式会社九州ケーズデンキ」が住民説明会を再度開催するよう求めることを要請します。
 ③現状のままで、工事を続行するのではなく、交通問題などが解決するまで、往時を中断するよう求めること。
以上