2014年5月16日
農林水産大臣 林芳正 様
いのちとくらしを守る熊本ネットワーク
代表 楳本 光男
上田たか子
久保田俊平
諫早干拓排水門の早期開門、有明海の再生を求める要望
≪要請趣旨≫
4月11日、佐賀地裁は、諫早干拓排水門の開門調査を命じた福岡高の判決(確定)履行のために、国に対して、勝訴した漁業者に、1日49万円(1人につき1万円)の制裁金の支払いを命じる間接強制を決定ました。決定は、国が確定判決を履行しないという憲政史上初の事態を、裁判所が厳しく断罪したものです。
2010年12月に確定した福岡高裁判決は、諫早干拓排水門の開門と開門調査を求めたにもかかわらず、政府・農水省は、確定判決が定めた2013年12月20日までに履行しなかったことが改めて厳しく問われています。
宝の海、有明海再生のために、次のことを要請します。
≪要請項目≫
1.諫早干拓排水門の開門調査に際しては、農・漁・防災共存という立場に立つこと
2.福岡高裁が認定している諫早干拓事業と漁業被害の因果関係を認め、防災、農業用水確保に配慮しつつ、開門と調査を実施すること
3.干拓事業とは別に、独自の防災、利水計画を策定し、具体化すること
以上
生活保護、国民健康保険制度の改善、母子福祉資金の運用について改善、子どもの医療費無料化について
2014年5月16日厚生労働大臣へ要請しました
申し入れ文書はこちらからダウンロードできます
2014年5月16日
厚生労働大臣 田村憲久 様
いのちとくらしを守る熊本ネットワーク
代表 楳本 光男
上田たか子
久保田俊平
1、生活保護に関する要望
≪要望項目≫
1.生活保護申請について
現在、生活保護申請は、まず保護課の担当者から生活保護についての説明を受けなければ申請書を渡していただけません。
すべての役所で申請書をカウンターに置き自由に申請書を提出できるよう改善の指導をお願いします。
2.扶養義務の範囲について
生活保護をめぐり、下記のような深刻な問題が生じています。貴省の見解をお聞かせください。
イ、被保護者は養育費の援助不必要として妻と離婚が成立し、夫が子供を扶養している場合、離婚した妻へ絶対的扶養義務者として扶養紹介書の提出を保護課が求めているが、妻はこの義務があるのか。
ロ、平成26年1月31日に生活保護申請を行った93歳の女性の事例です。
母親(93才)は、要介護4級・身体障害4級。申請人は、肝硬変・くも膜下血漿の病気のため母の年金11万で生活しています。母親の敷地に次男が建てた住居でともに暮らしています。
弟は愛知県で就労し月額手取り15万円前後です。給与に扶養手当が支給されていることや税法上の扶養控除を受けていたため同一生計世帯とみなされ生活保護を受給できていません。
保護課は扶養義務調査に時間を費やすだけで結論を回避。その間に、母は生活費のことを心配しながら3月24日大動脈解離で亡くなりました。結局、熊本市は平成26年4月8日に「弟は同一世帯」として申請を却下しました。
このような場合、①弟は同一世帯として扱うのか、②申請に対しての要否判定に時間の制限はないのかお聞かせください。
3.保有自動車の更新について
自動車の更新にかかる費用を扶養義務者からの援助と保護費のやりくりによって生じた預貯金で自動車を買い替えたところ、「廃車した自動車のその時点での評価額に等しいものでなければならない」として購入を認めません。
自動車は消耗品であり、使用年月や部品劣化等により商品価値はどんどん低下するものです。不具合があればなおさらです。中古自動車の「廃車時点」の評価額で、まともな車を購入できるとは思えません。このようなケースについて貴省の見解をお聞かせください。
4.通院移送費について
熊本市の保護課は、被保護者の居住地から徒歩、自動車等で通院できる範囲内にある医療機関において治療が可能として、本人が希望するミネ歯科クリニック、竹下内科および藤木皮膚科クリニックなどの医療機関に受診することを認めません。
現在、通院移送費は自己負担となっています。このことについて貴省の見解をお聞かせください。
5.ケースワーカー等の充足率が100%となるように指導すること。非正規職員によるケースワーカーの実態を把握し、正規雇用の職員とするよう指導すること。
2、国民健康保険制度の改善を行うこと
≪要請理由≫
熊本市における国民健康保険会計の累積赤字は昨年度末22億円、保険料の負担は全国でもトップクラスです。4人家族のモデル世帯における年間保険料は1世帯当たり426,690円で、政令市で高い方から3番目、政令市平均の359,995円を7万円近く上回っています。しかも、政令市の中で、一番保険料負担の軽い広島市は202,310円となっており、熊本市は2倍以上負担です。また、所得額が年300万円であっても5人世帯(夫・妻・子ども3人)の場合は、介護分も含めると最高限度額の年81万円もの負担となり、所得の4分の1が保険料負担となります。このような、限界を超えた保険料負担を建言するためにも、国庫負担の引き上げがどうしても必要です。国庫負担の割合をもとの50%に引き上げるよう要望します。
また、給与や年金収入は年々減り、保険料負担も増えているために、払えない世帯が増え続けています。2013年度は保険料の滞納によって、短期保険証交付世帯が17,096世帯に、資格証明書も52世帯に発行されています。短期保険証や資格証明書交付世帯は、いずれも無保険に近い状態で、病気になっても病院にかかることができない人が多数います。病院にいけず、ガンや糖尿病が重症化するなど、深刻な事例も報告され、これまで命を落とされるような最悪の事例もありました。これまで国も「機械的な短期証の発行は指導していない、よくない」という見解を示されています。未交付世帯への保険証交付と、機械的な短期証・資格証明書の発行を中止するよう具体的に指導していただきたい。
全国トップクラスの保険料負担に加入者はあえいでいます。たとえば、これでは滞納も当然です。払える保険料にするためには、国庫負担の引き上げが必要です。
≪要請項目≫
1.負担の限界を超えた保険料を軽減し、払える保険料にするため、国民健康保険の国庫負担割合を引き上げること。
2.資格証明書を中止し、機械的な短期保険証の発行をやめ、無保険状態を解消すること。
3.重度心身障がい者医療費・子ども医療費・ひとり親家庭医療費の現物給付にかかるペナルティーを廃止すること。
3、母子福祉資金の運用について改善を図ること
≪要請理由≫
母子福祉資金貸付は、経済的な面で、一般の世帯に比べ極めて困難な状況にある母子世帯にとって、大変有用な貸付制度として利用しやすい制度となることが求められています。しかし、実際には、返済困難な世帯も少なくない中で、なかなか借りることができない制度になっています。母子世帯のおかれた状況に鑑み、以下の点について運用を改善していただきたい。
母子福祉資金は、福祉の分野でも最も困難を抱えている方々の利用している制度であり、返済困難の場合、延滞金を徴収すれば、元金すら払えない世帯にとって大きな負担となる。多くは、子どもの奨学資金などであり、延滞金の徴集は酷であると思われる。制度の趣旨に鑑み、母子福祉資金貸付においては、「延滞金」の規定をなくしていただきたい。
また、保証人については、国が通知によって、必要ないケースを定めているので、その運用を徹底していただきたい。相談件数年間349件に対し、実際の貸し付けは161件と46%しか貸付が行われていない。制度の趣旨に則り、適切に貸し出しが行われるよう国としても運用を指導していただきたい。
≪要請項目≫
1.延滞金徴収の規定をなくすこと。
2.保証人については、平成21年6月5日厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知「母子及び寡婦福祉法施行令の一部を改正する政令等の施行について」の周知を徹底し、不適切な運用がある場合は指導すること。
3.貸付の相談件数に対し、貸付が少ないため、制度の趣旨に鑑み、適切に貸し出しが行われるよう運用を指導すること。特に、実態に合わない家族の滞納等を理由にした貸付の制限をやめるよう指導すること。
4、子どもの医療費無料化に関する要請
≪要請主旨≫
非正規雇用の広がりの中で、子育て世代も含む雇用者所得は年々減少しています。当たり前に働くことができず、結婚できない、結婚はしても少ない収入の中で子育てにあまりにもお金がかかることから、子どもをつくるのをためらっているなど、経済的な困難が少子化にも大きく影響しています。熊本市で実施されている各種アンケートでも、子育て支援に一番望まれているのは、「子育てに係る経済的な負担の軽減」です。
今や、子ども医療費無料化制度は、全国の自治体で実施される制度になり、子育て世帯の経済的な負担の軽減に、大変大きな役割を果たしています。しかし、熊本市は、その対象が入院・通院ともに、小学校3年までと、全国の政令市・周辺市町村からも遅れています。自治体の考え方によって、保護者から強く拡充が要望されている「子ども医療費助成制度は、自治体間に大きな格差があります。他県から転入してきた方々が、「熊本の制度は遅れているね」と言われるのは大変残念ですが、このような自治体間格差をなくし、全国どこでも安心して子どもを産み、育てることができるようにすることは、少子化が進行する中、喫緊の課題と言えます。
子ども医療費助成制度を国の制度として創設することによって、自治体間の格差を少なくし、全国的に制度の拡充をすすめていくために、国として力を尽くしていただくことを要望します。
≪要請項目≫
1.国による子ども医療費助成制度を創設すること。
2.国民健康保険療養費国庫負担金の調整を廃止をすること。
5、保育についての要請
≪要請趣旨≫
待機児・保留児問題は、今や子育て分野最大の課題になっています。熊本市は、これまで国の補助制度なども活用しながら、保育所整備に努めてきましたが、まだまだ待機児・保留児の解消という状況には至っていません。
保育所不足は、出産によって休職したら職場に戻れない、働きたくても求職活動ができない、職場復帰ができずに仕事を辞めざるを得なかった、遠い保育所への送迎がかなり困難、公立・認可保育所に入れず高い保育料を払い認可外に入所せざるを得なかったなど、深刻な事態をもたらしています。自治体が保育所整備を速やかに行えるように、国として責任ある待機児解消策を実施していただきたい。
また、規制緩和により、定員をオーバーする詰め込み保育が行われ、現場で働く保育士の労働環境・労働条件が悪化しています。保育環境・労働条件の悪化は、保育現場における事故にもつながるので早急に改善が求められます。国としても、抜本的な保育施設の拡充を行うとともに、保育環境の整備や労働条件の改善に努めていただきたい。
≪要請項目≫
1.待機児解消を国の責任ですすめること。
2.詰め込み保育による保育環境の悪化を改善し、保育士の労働条件改善に努めること。
以上
九州新幹線騒音・振動問題に関する要望書
2014年5月16日 国土交通大臣、環境労働大臣へ要望しました
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2014年5月16日
国土交通大臣 太田昭宏様
環境大臣 石原伸晃様
いのちとくらしを守る熊本ネットワーク
代表 楳本 光男
上田たか子
久保田俊平
九州新幹線騒音・振動問題に関する要望書
≪要望趣旨≫
九州新幹線の全線開通、ダイヤ改正にともない、「速くなり便利になった」との声が聞かれる一方、沿線住民からは、「全線開通ダイヤ改正後 騒音振動がひどくなった」「眠れない。新築の自宅の壁にヒビがはいった。地盤沈下が発生した」などの苦情が寄せられています。
日本共産党熊本県委員会、南部地区委員会は、昨年12月19日、JR九州が、九州新幹線の騒音振動問題に対する住民の要望を真剣に受け止めるとともに、環境基本法第8条に定められた事業者の責務にもとづき、(1)騒音・振動被害が沿線全域に広がっており、JR九州として独自の被害調査を行い、住民の苦情を直接聞くこと。特に、騒音被害にとどまらず、振動被害の深刻さを認識すること (2)沿線住民はスピード減速を強く望んでおり、住民の要望にこたえ、スピード減速をおこなうためのダイヤ改正をおこなうことの2点を要望いたしました。
昨年5月、6月にかけて、八代市、水俣市は、自治体独自に騒音振動測定を行うとともに、熊本県は、これらの自治体の測定結果も合わせて新幹線沿線地域の騒音振動測定結果を公表し、7カ所9地点で騒音の環境基準を超えていることが明らかになりました。八代市で基準値を超えたのは、鏡町宝出(上り72デシベル、下り71デシベル)島田町(上り・下り75デシベル)坂本町鶴喰(下り71デシベル)の3か所5地点、水俣市では南福寺(上り71デシベル)となっています。
この測定結果にもとづき、8月9日、JR九州に対して、熊本県知事からは「九州新幹線に係る騒音対策について」八代市長からは「九州新幹線鉄道騒音・振動に係る対応について」という要望書が提出されています。水俣市長も9月2日に「申し入れ書」を提出しています。
八代市の要望書では、「早朝・夜間の新幹線通過に伴う騒音・振動、及家屋への影響に対する不安や不満の声が根強い状況をご認識いただきますとともに、沿線住民の新幹線鉄道騒音、振動に対する要望や相談に対して、今後も引き続き誠実に御対応いただきますよう併せてお願いします」と住民の切実な要望が明記されています。
水俣市の「申し入れ書」では、今年2月6世帯を対象に実施した聞き取り調査にもとづき、「敷地に地盤沈下が生じたため庭に砂利をいれた」「居室の建て付けが悪くなった」「家屋の壁や床等の亀裂の状況が以前よりひどくなった」など新幹線の騒音、振動等に対する不安や不満の声が紹介されています。
全線開通後3年近くも経過したのに、自治体の独自の測定で環境基準を達成していない地域があることは重大です。国の「新幹線鉄道騒音に係る環境基準について」では、達成目標期間について、「新設新幹線鉄道に係る期間」は「開業時に直ちに」となっています。
しかも、この間の事業者による環境対策に効果がなく、改善がみられていないことももっと直視すべきではないでしょうか。この点について、県環境保全課は「吸収音板の設置など、今の防音工事の技術には限界がある」(「熊日」2013年8月10日付け)と語っています。
住民の間では、騒音振動被害が発生したときから、スピード減速を望む声が強くあります。昨年1月26日付けの町内会長連名の要望書でも、「通過列車に関しては、騒音・振動問題が起きないようスピードダウンをすること」「21時以降については、回送列車を含め、特にスピードダウンに配慮すること」が明記されています。要望に同席した八代市長もスピード減速について求めています。昨年12月の八代市議会で中村博生市長は、「新幹線騒音・振動に対する不安・不満は平成24年3月のダイヤ改正にともなう通過列車のスピードアップが大きな原因」と答弁しています。
水俣市の「申し入れ書」では、「通過列車に関しては、騒音・振動等に対する沿線住民の不安や不満を解消するために必要な対策を講じていただきたい。特に、早朝及び21時以降は配慮していただきたい」と明記されています。
≪要望項目≫
1.環境基本法第6条の国の責務を果たす立場から、国交省・環境省は、九州新幹線の騒音振動被害の実態について独自に調査するとともに、騒音振動被害が広範に広がっていることを正面から認識すること
2.鉄道事業法第17条、同法施工規則35条にもとづき「運行計画」届け出義務を負っているJR九州の監督官庁として、国交省が、九州新幹線のダイヤ改正発表前に、九州新幹線のスピード減速をもとめる住民、自治体の要望、意見を直接聞くようにすること
3.JR九州に対して、九州新幹線のダイヤ改正にあたり、騒音振動問題の被害を受けている住民の声を直接聞き、スピード減速をもとめる住民、市長の声を受け止めたダイヤ改正を行うように指導すること
4.国の環境基準では、「新設新幹線鉄道に係る期間」の目標達成期間は、「開業時直ちに」となっています。国の環境基準を超えている地域については、ただちに基準を達成するようにJR九州、鉄道運輸機構を指導すること
5.すべての列車が騒音の環境基準を下回るように指導すること。振動の基準については、振動基準以下でもすでに大きな被害が出ている。振動の環境基準は抜本的に見直すこと
6.今年5月から6月にかけて、八代市など沿線自治体は熊本県とも協力して、自治体独自に九州新幹線騒音振動の測定を実施し、測定結果を公表することになっています。JR九州・鉄道運輸機構が、自治体独自の測定結果を真摯に受け止め、改善をはかるように指導すること
以上
水俣病被害者の救済、阿蘇の世界ジオパーク認定と立野ダム建設の問題について
2014年5月16日 環境労働大臣へ要望しました
申し入れ文書はこちらからダウンロードできます
2014年5月16日
環境大臣 石原伸晃 殿
いのちとくらしを守る熊本ネットワーク
代表 楳本 光男
上田たか子
久保田俊平
1、水俣病のすべての被害者の救済を求めての申し入れ
≪要望趣旨≫
水俣病は公式確認から58年が過ぎていますがいまだに解決していません。これはチッソ、国、熊本県の無策によるもので、責任が厳しく問われています。
水俣病特措法は住民の健康調査をせず、出生年、地域による線引きを是正することもせず、申請そのものを打ち切ってしまいました。この誤りは新たな裁判が始まっていることからも明白です。また、公害健康被害補償法にもとづく認定申請も続き、特措法で水俣病を幕引きしようとした策略は完全に破綻したことを証明しています。
一方、環境省は昨年4月の最高裁判決や同年10月の行政不服審査会の裁決が出され、現行認定基準が厳しく批判されているにもかかわらず、判決などに沿ってそれを改めることをせず疫学的条件をより厳しくして審査にあたろうとしています。そして、県の認定審査を国に移しても同じ条件で判断される限り切り捨てが進むだけであり、また、この臨時水俣病認定審査会は行政不服審査の道を閉ざしておりきわめて不当と言わなければなりません。このような小手先の被害者を封じ込めようとする対策では水俣病は決して解決しません。
よって、以下、抜本的な対策を求めて申し入れます。
記
1 不知火海沿岸でまだどれだけの被害者が存在するのか、かつて熊本県が提唱したように47万人の健康調査を実施すべきです。
2 最高裁判所判決は、「被害者の症状が感覚障害だけの場合も含めて52年判断条件に示された症状の組み合わせが認められない者であっても、水俣病であるかどうか総合的に丁寧に判定する」と言っています。この趣旨が生かされるのが法治国家であり、疫学的条件を厳しくし水俣病の認定から締め出すことはやめるべきです。そもそも、水俣病の発生時から全住民の毛髪検査や臍帯検査を実施してこなかったのは加害者である国であり、その国が被害者住民に客観的資料の提出を求めるなど本末転倒です。また、汚染は継続していたのであり、ある一定時期で汚染が完全に終了しているわけではありません。発症時期は千差万別であり主治医の診断こそ尊重されるべきです。
3 公健法上の地域指定は、認定患者が存在するかしないかで決められておりこれも不当です。昭和30年代、40年代に水俣病の認定申請をすること自体が大変勇気のいることでした。水俣病が出れば魚が売れなくなるとか、重層的な差別や偏見を恐れ認定申請をしなかったのです。それをいまになって認定患者がいるかいないかで地域で線引きし、出生年で線引きすることも不当です。
4 公害健康被害補償法上の補償制度の見直しを実施すべきです。95年政治解決、特措法上の救済措置、いくつもの判決でも補償の中身はいくつもあります。それらをもとに見直すべきです。
5 水俣病は新しい認定申請者が名乗り出て、またノーモア・ミナマタ訴訟も始まっています。水俣病被害者救済問題はまだ解決していません。このようなときにチッソの子会社JNCの株式を売却し、加害企業を消滅させることがあってはなりません。また、現在、国会で審議されている会社法の改正で、株主の同意を、チッソに限っては適用対象外にしようなどの動きは許してはなりません。
さらに、水俣湾や八幡プール群には水銀ヘドロが存在しています。加害企業が消滅することになれば今後の封じ込めや再発防止策は国民の税金で対応しなければならなくなります。これも不当なことです。このようなことが起きないようにチッソの消滅は行うべきではありません。
6 不知火海沿岸で水俣病総合対策医療手帳、水俣病被害者手帳を所持している住民が多数居住している自治体では国民健康保険財政への特別調整交付金が100%支給されていません。水俣市の場合75%しかきていません。熊本県は県の負担分について満額交付していますので国も一日も早く100%交付し、国保財政の負担をなくすべきです。
2、阿蘇の世界ジオパーク認定と立野ダム建設について
≪要望趣旨≫
阿蘇ジオパークは、世界最大級の規模を誇る阿蘇カルデラと、現在も噴煙を上げ、平穏時は火口を見学することができる中岳など、日本を代表する活火山をテーマとしたジオパークである―阿蘇ジオパークのコンセプトです。
立野峡谷は、阿蘇ジオパークのサイトの一つです。その立野峡谷に、高さ90メートルのコンクリートの立野ダム建設が進められています。
立野峡谷と一体をなす北向谷原始林は国立公園内の特別保護地区です。特別保護地区においては、自然景観の維持にとどまらず生態系の維持がもとめられ、現状変更行為は原則として認められないものとされています。北向山はスダジイ・ウラジロガシなどからなる照葉樹林であり、手つかずの原生林としてのまま残っている数少ない森林の一つです。だから国の天然記念物にも指定されているのです。
柱状節理が広く存在する立野峡谷一帯は、「阿蘇の成り立ちを知るうえでも貴重な場所」「地学の教科書のような場所」との専門家の指摘もあります。
鮎返りの滝は、立野溶岩、赤瀬溶岩より以前の溶岩(「鮎返り溶岩」)であり、阿蘇のなかで最古の溶岩でできています。数鹿流ケの滝は、浸食により黒川、白川の合流点より1750m後退し現在地にあるもので、「世界の阿蘇」のスケールを彷彿させるものです。
保全(地元の人たちが大地の遺産を保全する)、教育( 大地の遺産を教育に役立てる)、ジオツーリズム( 大地の遺産を楽しむジオツーリズムを推進し、地域の経済を持続的な形で活性化する)することを旨とするジオパークとして世界認定をめざす阿蘇にとって、立野ダム建設は決定的障害です。
≪要望項目≫
1.日本ジオパーク委員会として、阿蘇の世界ジオパーク認定にとって、立野ダム建設は障害であるとの見解を発せられること
以上
使い捨て労働とブラック企業化を加速する労働者派遣法大改悪法案等の廃案を求める要望
2014年5月15日 厚生労働大臣へ要望しました
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2014年5月15日
厚生労働大臣 田村憲久 様
いのちとくらしを守る熊本ネットワーク
代表 楳本 光男
上田たか子
久保田俊平
1、使い捨て労働とブラック企業化を加速する労働者派遣法大改悪法案等の廃案を求める要望
≪要望趣旨≫
労働法制の規制緩和の結果、若者を使いつぶす“ブラック企業”が大きな社会問題になるなど、このままでは日本社会の未来も危ぶまれる状況です。雇用の安定を取り戻し、ディーセントワークを実現することが国民的な緊急課題です。
政府は経済の好循環の実現を掲げ、賃上げをすすめるとされていますが、実際にやられようとしている「雇用改革」は、日本を「世界で一番企業が活動しやすい国」にするため、労働法制の規制緩和を乱暴にすすめる逆立ちした政策といわざるを得ません。
とくに、労働者派遣制度の見直しは、「臨時的・一時的な業務に限る」という大原則を取り払い、派遣先企業は人を入れ替えれば、いつまでも労働者派遣を使い続けることができる内容になっています。また、有期雇用特措法案も不十分ながらようやく実現した無期雇用への転換の道をなし崩しにするものです。これでは、熊本での「NEC重層偽装請負事件」など、全国の非正規切り問題で厚生労働省がとってきた対応とも逆行する内容であり、低賃金の使い捨て労働が蔓延し、ブラック企業を合法化してしまうことになりかねません。また、全国の賃金低下・消費低迷という悪循環からも抜け出せず、日本経済にも大きなマイナスです。
よって、以下の事項の実現を強く求めます。
≪要望項目≫
1.労働者派遣を恒久化・一般化する「改正」法案と有期雇用特措法案に反対し、廃案にしていただくこと
2.雇用の大原則は「直接・無期雇用」であることを踏まえ、労働者派遣は引き続き「臨時的・一時的な業務に限定」するとともに、「均等待遇」原則を確立して、派遣労働者の処遇を改善していただくこと
2、ルネサス錦工場の存続に関する要望
≪要望趣旨≫
ルネサスエレクトロニクスの経営が破たんをし、貴省を中心に産業革新機構による救済が進められていますが、ルネサスに働く労働者の生活に責任を持つというよりも、わが国のいわゆる「半導体・電機」が業界ごと破たんをしていると言わざるを得ない中で、自動車産業の部品工場としてルネサスを再生するものと理解をしています。
そうした中、グループ全体を前工程と後工程の2社の再編する合理化が行われ、熊本の川尻工場は前工程の主力工場として営業を継続するようですが、後工程の錦工場は未だに「閉鎖か売却」という方針のままです。
昨年、私どもは貴省に対し、日本の半導体の生き残りのかける最後の手段として、後工程の技術が活かされる「三次元半導体による生き残り策」を提言し、国家プロジェクトを起こして、ルネサス錦工場を含む全国の後工程工場を協力工場にして救済を図れ、とする提案をしました。この提案は、貴省にも評価をいただきましたが、熊本県、さらには地元錦町の森本町長にも評価をいただきました。しかし、いかんせん、ルネサスに存続をお願いする立場であることから、その後具体化はしていません。
繰り返しますが、ルネサス錦工場はその一社だけで、球磨郡の農林業に匹敵する経済影響をもった会社です。この地域に暮らす住民の暮らしを守るために、その撤退は絶対に避けなければならない問題です。
熊本県労連として、「三次元半導体による生き残り策」は引き続き検討いただくとして、ルネサス錦工場存続のために、新たに次の二点の現実的な提案をします。貴省の役割からして、産業界の救済は第一義的目的かもしれません。しかし、はっきり申し上げて、そこに働く労働者の救済という視点が弱すぎることを指摘します。厚生労働省は、労働者救済のために、本来貴省がやるべき中小企業を直接支援するという施策をこの間とってきています。同様の観点で、経済産業省として、地方における大企業の撤退が、そこに生活する労働者・住民にどれほど大きな影響を与えるかという意味を真剣に捉えていただきたいと思います。そこから、見えてくる救済策が必ずあるはずです。
≪要望項目≫
1.以下の2点を、産業革新機構の検討事項にしていただくこと。
① 富士通セミコンダクター社が、福島県会津若松市の半導体工場で2013年10月から実施している植物工場化を参考に、水と空気と工程管理が完璧である半導体工場の特性を生かし、カリウムオフのレタス栽培など、医療界と連携したルネサス錦工場の存続を検討すること。
② ルネサス熊本大津工場は、ルネサスの中の三菱を代表する売却工場として、ジェイデバイスへの売却が決まっていますが、ジェイデバイスが、OSATのひとつであるAmcor(米国)に、昨年買収されたことから、新たに大きな資本力をつけたジェイデバイスによる、ルネサス錦工場の売却も検討すること。
2.ルネサスに限らず全国的に大手企業の工場閉鎖が後を絶ちません。地域経済を守るためにも身勝手な企業の工場閉鎖を規制する制度を設けること。
以上
瀬戸石ダム撤去問題・球磨川の治水対策、熊本市桜町再開発事業、JRの踏切の安全確保について
2014年5月15日 国土交通大臣へ要望しました
申し入れ文書はこちらからダウンロードできます
2014年5月16日
国土交通大臣 太田昭宏 様
いのちとくらしを守る熊本ネットワーク
代表 楳本 光男
上田たか子
久保田俊平
1、瀬戸石ダム撤去問題・球磨川の治水対策に関する要請書
≪要請趣旨≫
「瀬戸石ダムは危ないダムなので撤去してほしい」「荒瀬ダムの撤去に続く瀬戸石ダム撤去で清流球磨川の復活、八代海の再生を」こうした流域住民の声を無視して、国交省は、電源開発の申請にもとづき、瀬戸石ダムの水利権更新を許可しました。
瀬戸石ダムについては、堆積土砂による水位上昇による浸水被害、ヘドロ悪臭被害、アオコ・赤潮の発生などの水質汚濁、海域への土砂供給阻害、アユなどの移動生息阻害などさまざまな被害が指摘されています。
加えて、想定以上の洪水によるダム崩壊の危険性、山腹崩壊の危険性、コンクリート劣化等、構造物によるダム崩壊の危険、河川施設構造令(第38条)に違反する狭隘なゲート構造によって流木などが閉塞し、上流水位をさらに押し上げ、ダム崩壊に至る危険性など瀬戸石ダムは住民の安全を脅かす危険なダムであることが明らかになってきました。
特に、国交省は、「ダム検査規定」第4条にもとづく定期検査(検査日平成25年5月27日)によって、瀬戸石ダムを「総合判定A」と判断し、「ダム湖の堆積土砂により洪水被害が発生する恐れがある」ダムであると指摘していることが明らかになりました。
しかも、2002年から2、3年ごとに実施した過去6回の定期検査でも「総合判定A」と判断しています。
国交省は「水利使用許可の判断基準」として、「水利使用により治水上その他の公益上の支障」の有無をあげています。ところが、国交省は、「治水」「環境」「漁業振興」などの公益上の支障の有無をほとんど検証もしないで、水利権の更新を許可しています。
蒲島郁夫熊本県知事は、2006年(平成20年)9月11日「球磨川は宝」と位置づけ、川辺川ダム中止を表明し、その後、国交省九州地方整備局を含めた「ダム以外の治水を検討する場」が設置され、「ダム以外治水を極限まで追究する努力が積み重ねられています。4月24日には、ダムによらない治水対策を検討する場が開催されました。その場で、「ただちに実施する対策」「追加して実施する対策」について、出席したすべての市町村長から、「できるところから早急に実施してほしい」という要望がだされています。これらの要望をうけて
九州地方整備局長は、「誠実に対処したい」と言われています。
瀬戸石ダムより約10キロ下流の荒瀬ダム撤去工事がすすめられており、常時開門によって、下流及び八代海の環境の改善、漁業の回復が顕著にみられます。
自然再生推進法は、「自然再生は、健全で恵み豊かな自然が将来の世代にわたって維持されるとともに、生物の多様性の確保を通じて自然と共生する社会の実現を図り、あわせて地球環境の保全に寄与することを旨として適切に行われなければならない」(第3条、基本理念)としています。
瀬戸石ダムを撤去し、球磨川、八代海を再生するために、国交省がその責務を果たすことを強く求めるものです。
≪要請項目≫
(1)事業者である電源開発が、平成23年に国交省に提出した「瀬戸石調整池堆砂処理計画」は、平成36年までかかるというもので、さらにそれは10年に1回の処理というもので、ダム管理者の資格が問われます。河川管理者として、この「処理計画」を抜本的に見直すように電源開発を指導するとともに再提出をもとめること。
(2)毎年、11月から翌年2月までダムのゲートを開放している間に、住民の要望にこたえて、電源開発が堆積土砂の除去を完全に行うように指導すること。特に、芦北町海路の平谷川と内木場川の堆積土砂撤去を行うように指導すること。
(3)「ダム以外の治水を検討する場」で球磨川の治水対策を前進させる立場から、瀬戸石ダム撤去、瀬戸石ダムの堆積土砂の除去問題を検討すること。
(4)事業者である電源開発が、地域住民・住民団体との話し合い・要望に誠実に対応するように指導すること。瀬戸石ダムの治水対策、環境対策などに関する情報を地域住民、住民団体に積極的に公開するように指導すること。
(5)来年度予算で、市町村長の要望にこたえて、ダムによらない球磨川の治水対策について予算化をはかること
2、熊本市桜町再開発事業について
≪要請趣旨≫
熊本市桜町地区に再開発会社(現在は準備会社)による第1種市街地再開発事業がすすめられています。
しかし、熊本市桜町地区第1種市街地再開発事業の地権者は1名で、個人施行の再開発事業ならば、第1種市街地再開発事業への補助金は出ないが、「再開発会社」による施行として進めることで、1地権者の再開発が100億円以上の補助金を得るという異例の再開発事業です。
そもそも、再開発事業では、複数地権者が敷地の共同化を行い、高度利用するときに補助対象となります。1個人には補助を出さないというのが、補助の考え方の基本です。2002年の「都市再開発法」改正によって、「再開発会社」施行が再開発の手法に加わっていますが、再開発の趣旨を考えると、再開発会社施行であっても、組合施行同様に複数地権者が前提であるべき、法律・政令・省令の抜け道を利用した脱法的な補助金投入とならないためにも、「再開発会社」施行についても、複数地権者の規定を明記するべきです。
桜町地区再開発事業において、熊本市は、再開発の保留床を取得して、公益施設として「MICE施設」を整備しようとしています。平成26年度事業分の「暮らし・にぎわい再生事業」補助金申請調書によれば、このMICE施設に「暮らし・にぎわい再生事業」交付金(国費)が総額73億6000万円要望されています。交付対象事業費は施設購入費(保留床取得費)184億円です。しかし、熊本市が桜町再開発会社に払う保留床取得金の積算が明らかにされておらず、適切な金額なのか判断できません。市が示しているデータで試算すると、桜町再開発事業において同じく保留床取得によって整備される分譲マンションと比べ、床の価格が市のMICE施設は坪55万円も高くなっている。また、地権者が所有することになる床の単価はマンション以上に安いと思われる。再開発事業者は、地権者の従前資産を公表しておらず、熊本市が取得するMICE施設の床単価が妥当なものであるのか、検証するためにも、従前資産も含め必要な情報を公開し、公正・公平な価格設定であることの検証が必要です。
また、桜町地区には、県民百貨店やセンタープラザというショッピング街があり、1400人の人が働いています。まともな説明もないまま、再開発事業の実施によって首を切られるような由々しき事態です。熊本市としても、雇用確保に力を尽くすべきであると考えますが、国としても1000人を超える雇用を守る立場で市や再開発会社を指導していただきたい。
≪要請項目≫
1.借家人である熊本県民百貨店および交通センタープラザテナントの従業員の雇用を守ること
2.開発事業への補助金については、「再開発会社」施行についても、複数地権者の規定を明記すること。また、1地権者の再開発に補助金を出すことは、悪しき前例をつくることになるのでやめること。
3.公益施設であるMICE施設整備への補助金については適切な積算がされているかチェックすること
3、JRの踏切の安全確保について
≪要請趣旨≫(別紙地図)
JR豊肥線の踏切部分(熊本市八王寺町と九品寺6丁目にまたがる旧食糧事務所横)を井出(用水路)が流れています。小学校の通学路ともなっており、安全対策のために、熊本市による井出のふたかけが進んでいますが、JRの踏切部分においては、JRの都合によりふたかけができません。地域からの要望もありますので、以下の項目について要請いたします。
≪要請項目≫
1.国としてJRへの要請を行い、井出へのふたかけができるようにお願いします。
以上
ルネサス錦工場の存続に関する要望、まちと中心市街地の荒廃に歯止めをかける要望、循環型地域経済づくりを支える中小企業への支援への要望
2014年5月15日経済産業大臣へ要望しました
申し入れ文書はこちらからダウンロードできます
2014年5月15日
経済産業大臣
茂 木 敏 充 様
いのちとくらしを守る熊本ネットワーク
代表 楳本 光男
上田たか子
久保田俊平
1、ルネサス錦工場の存続に関する要望
≪要望趣旨≫
ルネサスエレクトロニクスの経営が破たんをし、貴省を中心に産業革新機構による救済が進められていますが、ルネサスに働く労働者の生活に責任を持つというよりも、わが国のいわゆる「半導体・電機」が業界ごと破たんをしていると言わざるを得ない中で、自動車産業の部品工場としてルネサスを再生するものと理解をしています。
そうした中、グループ全体を前工程と後工程の2社の再編する合理化が行われ、熊本の川尻工場は前工程の主力工場として営業を継続するようですが、後工程の錦工場は未だに「閉鎖か売却」という方針のままです。
昨年、私どもは貴省に対し、日本の半導体の生き残りのかける最後の手段として、後工程の技術が活かされる「三次元半導体による生き残り策」を提言し、国家プロジェクトを起こして、ルネサス錦工場を含む全国の後工程工場を協力工場にして救済を図れ、とする提案をしました。この提案は、貴省にも評価をいただきましたが、熊本県、さらには地元錦町の森本町長にも評価をいただきました。しかし、いかんせん、ルネサスに存続をお願いする立場であることから、その後具体化はしていません。
繰り返しますが、ルネサス錦工場はその一社だけで、球磨郡の農林業に匹敵する経済影響をもった会社です。この地域に暮らす住民の暮らしを守るために、その撤退は絶対に避けなければならない問題です。
熊本県労連として、「三次元半導体による生き残り策」は引き続き検討いただくとして、ルネサス錦工場存続のために、新たに次の二点の現実的な提案をします。貴省の役割からして、産業界の救済は第一義的目的かもしれません。しかし、はっきり申し上げて、そこに働く労働者の救済という視点が弱すぎることを指摘します。厚生労働省は、労働者救済のために、本来貴省がやるべき中小企業を直接支援するという施策をこの間とってきています。同様の観点で、経済産業省として、地方における大企業の撤退が、そこに生活する労働者・住民にどれほど大きな影響を与えるかという意味を真剣に捉えていただきたいと思います。そこから、見えてくる救済策が必ずあるはずです。
≪要望項目≫
1.以下の2点を、産業革新機構の検討事項にしていただくこと。
① 富士通セミコンダクター社が、福島県会津若松市の半導体工場で2013年10月から実施している植物工場化を参考に、水と空気と工程管理が完璧である半導体工場の特性を生かし、カリウムオフのレタス栽培など、医療界と連携したルネサス錦工場の存続を検討すること。
② ルネサス熊本大津工場は、ルネサスの中の三菱を代表する売却工場として、ジェイデバイスへの売却が決まっていますが、ジェイデバイスが、OSATのひとつであるAmcor(米国)に、昨年買収されたことから、新たに大きな資本力をつけたジェイデバイスによる、ルネサス錦工場の売却も検討すること。
2.ルネサスに限らず全国的に大手企業の工場閉鎖が後を絶ちません。地域経済を守るためにも身勝手な企業の工場閉鎖を規制する制度を設けること。
2、まちと中心市街地の荒廃に歯止めをかけること
≪要望項目≫
1.「大規模小売店舗立地法」にある「地域的な需給状況の勘案」の禁止事項(第13条)を廃止するとともに「指針」を見直し、地域貢献、閉鎖、撤退等に伴うガイドラインをもうける。また、ゾーニング規制、業種別割当制、店舗面積の制限規制などで個店の経営を守り、まちの均一化を防ぐこと
3、循環型地域経済づくりを支える中小企業への支援を
≪要望項目≫
1.関係省庁と連携し、住宅リフォーム助成制度への助成を拡充し、すべての自治体で制度が創設できるようにすること。また、高崎市が創設した「まちなか商店リニューアル助成」にならい「商店・工場リニューアル助成制度」を創設し、補助金をつくること
以上
阿蘇の世界文化遺産登録と立野ダム建設についての要望、教育分野での要請
2014年5月15日文部科学大臣へ要望しました
文書はこちらからダウンロードできます
文部科学大臣 下村博文 様
2014年5月15日
いのちとくらしを守る熊本ネットワーク
代表 楳本 光男
上田たか子
久保田俊平
1、阿蘇の世界文化遺産登録と立野ダム建設について
≪要望趣旨≫
阿蘇の立野は、阿蘇火山と人との共生のルーツにあたるところです。カルデラ湖の水が立野をつうじて流れ下り、人々はカルデラのなかで農業を起こし、生活するようになりました。
近代においては、立野を経て軌道が通り、5万人余が住む現在の阿蘇が形作られました。
立野峡谷は、国立公園内の特別保護地区です。特別保護地区においては、自然景観の維持にとどまらず生態系の維持がもとめられ、現状変更行為は原則として認められないものとされています。
北向山はスダジイ・ウラジロガシなどからなる照葉樹林であり、手つかずの原生林としてのまま残っている数少ない森林の一つです。国の天然記念物にも指定されています。
鮎返りの滝は、立野溶岩、赤瀬溶岩より以前の溶岩(「鮎返り溶岩」)であり、阿蘇のなかで最古の溶岩でできています。数鹿流ケの滝は、浸食により黒川、白川の合流点より1750m後退し現在地にあるもので、「世界の阿蘇」のスケールを彷彿させるものです。
トロッコ列車で知られる南阿蘇鉄道の立野橋梁、第1白川橋梁は、鉄道遺産としても貴重なものです。
阿蘇は、中央火口丘と外輪山を一体として阿蘇といえるのであり、外輪山のなかで特別な位置を占める立野は、世界文化遺産の資産候補とされるべきところです。
その立野に、高さ90メートルのコンクリートの巨大ダム建設計画が進められています。
世界文化遺産においては、「普遍的な価値」について、保護、保全の体制がどうかということが問われます。阿蘇の世界文化遺産登録にとって、立野ダム建設は最大の障害です。
なお、熊本県の「世界遺提案書」では、「資産と一体をなす周辺環境については、『国立公園法』に基づいて今後とも指定範囲内全体の保全に努めていく」としています。立野一帯がここで言うところの、「保全に努めていく」べき所であることは明らかです。この点からも立野ダム建設は、阿蘇の世界文化遺産登録にとっては障害です。
≪要望項目≫
熊本の「宝」である阿蘇を世界文化遺産に―これは県民の強い願いです。文化庁として、暫定リストに登録するうえで、立野ダムは障害であるとの明確な見解を国土交通省、熊本県に対して発せられるよう要請します。
2、教育分野での要請
≪要請趣旨≫
格差と貧困、複雑な社会情勢を反映して、子どもを取り巻く状況や、また子どもたち自身も様々な問題を抱えています。以前にも増して、教育現場への丁寧で十分な支援が求められています。
これまで、全国で広がってきた少人数学級の拡充による子どもたちへの丁寧なかかわりをもっとすすめていくことや、子どもたちが経済的な困難によって学ぶ機会を失うことのないよう、義務教育にあっては就学援助制度の拡充や適切な運用、高校・大学などの高等教育については、奨学金制度の拡充が喫緊の課題です。また、教育環境の整備についても、全国的にもかなり広がってきたエアコン設置をもっとすすめていくべきです。
このように、求められる教育分野の施策の充実が、熊本はもちろん、すべての自治体においてなされるためにも、以下の点について特段の配慮をいただきたい。
≪要請項目≫
1.少人数学級を拡充すること
2.就学援助については、交付税措置を交付金へと戻すこと。クラブ活動費・PTA会費・生徒会費については、交付税に算定されていることから、きちんと支給するよう指導すること
3.教室へのエアコン設置に対する補助率を引き上げること
4.給付制の奨学金制度をつくること。また、貸与型奨学金は無利子とし、返済猶予・免除の拡充を図ること
5.教職員の臨時雇用をやめ、正規職員として採用すること
以上
介護保険制度の改善を求める要望書
2014年5月15日農林水産大臣へ要望しました
文書はこちらからダウンロードできます
2014年5月15日
厚生労働大臣 田村憲久 様
いのちとくらしを守る熊本ネットワーク
代表 楳本 光男
上田たか子
久保田俊平
介護保険制度の改善を求める要望書
≪要望理由≫
介護保険制度は、制度スタートの時から、保険料だけはほぼ強制的に徴収しながら、十分なサービスが提供できないのではないか、「保険あって、介護なし」が心配されてきました。その後、2011年の介護保険法改正、2012年4月の介護報酬の見直しなど、様々な形で、制度の見直しがされてきましたが、国の財政負担を減らすことが根本にあるために、持続可能な制度と言いながら、実際的には「保険あって介護なし」をより深刻にするものでした。
高齢者は、年金がどんどん減らされる中で、制度改正のたびに保険料が引き上げられ、サービス量を抑えるために、様々な利用の制限が設けられ、特別養護老人ホームの待機者は熊本市内だけでも2000人を超えています。在宅も施設も、現場は大変です。
現状を高齢者の立場に立ち、改善して行くためには、制度開始の時に引き下げられた国庫負担を引き上げ、保険料や利用料の負担を軽減するとともに、介護ニーズに沿ったサービス提供の拡充を図ることが必要です。
≪要望項目≫
1.高額介護サービス費の利用者負担上限額を超えた自己負担の償還払いをやめ、現物給付とすること
2.要支援者に対する介護保険サービスの切り捨て、市町村の地域支援事業への移行をやめ、要支援者のニーズに対応する総合的な対策を立てること。
3.特別養護老人ホームの入所対象者を「原則要介護3以上」に狭めず、「要介護1以上」とし、施設介護を必要とする人の追い出しをしないこと
4.特養ホーム待機者の状況等を踏まえ、特養ホームの大幅な増設を行うこと。
5.高齢者が安心して、住み慣れた地域で生活できるように、地域包括ケアシステムに対する公的責任を明確にし、必要な環境整備を進めるとともに、地域包括ケアシステムを市町村が構築していく上で地域間格差が生じないよう財源等の支援を行うこと。
6.介護保険料滞納者に対する給付制限(3割負担、償還払い)を行わないこと。
7.生活保護となった人の過去の介護保険料滞納分については減免すること
8.払える保険料にするために、国庫負担を大幅に増やすとともに、低所得層の保険料負担の軽減策の充実をはかること。
以上