山本伸裕

要請・提言書 2019年


県政の重要課題に対する対応と、2020年度県予算要望編成への要望 2019年11月1日

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熊本県知事  蒲島郁夫様
    
 2019年11月1日
 日本共産党熊本県委員会
 委員長   日高伸哉
 県議会議員 山本伸裕

 県政の重要課題に対する対応と、2020年度県予算要望編成への要望
 
 蒲島知事をはじめ、県職員の皆様の活動に敬意を申し上げます。
 熊本県の来年度予算編成にあたり、日本共産党熊本県委員会は、県民の暮らし・福祉の向上に軸足を置いた編成がなされるよう、県政の重要課題に対する対応をはじめ、具体的要望事項を提案いたします。提案をぜひ積極的に予算編成に活かしていただきますよう、申し入れるものです。
 
 はじめに-県民の暮らしに「希望と安心」を届ける県政運営こそ求められます。国の悪政には立ち向かい、「県民が主役」の県政発展を
 
 今、私たちの未来や明日の暮らしに大きな不安が広がっています。
 地球温暖化にともなう気候変動により、いつどこで甚大な被害が生じるかもしれない台風、豪雨などの災害が頻発しています。少子高齢化が進む中で、年金・医療・介護や地域社会、子育て、仕事への不安がますます増大しています。外交のゆきづまり、環境汚染、テロや戦争への不安も高まっています。
 この10月からは、消費税10%への増税が強行されました。家計消費が減り、実質賃金も下がり、景気が悪化している時にあまりにも無謀です。また国民は性急な改憲を望んでいないにもかかわらず、安倍政権は憲法9条改定に異常なまでの執念を燃やしています。首脳会談で合意が交わされた日米貿易協定は、日本農業を米国に売り渡す屈辱的な内容となっています。
 このような安倍・自民党政権の政治に熊本県政が追随するばかりでは、県民の暮らしが守れないことは明らかです。悪政にはモノ申し、転換を求めるなど、国の悪政から県民を守る防波堤としての役割が、県民からますます求められている時ではないでしょうか。
 ところが蒲島県政は、自民党熊本県連との一体化ぶりが進行しています。12年前、蒲島県政が誕生した当初こそ「県民党」のスローガンが強調されたものの、いまや蒲島知事は自民党県連から「公認以上」と太鼓判を押され、自民党県連幹部の同行のもと、政府への要望活動なども行なわれています。こうした状況では、県政運営は自民党が容認する範囲でしかできない、政府・自民党の意向に異を唱えることはできないものとならざるを得ません。
 私達は、県政運営が特定政党丸抱えの状況にならず、真に県民本位の立場で進められていくことを強く求めるものです。
 
1、県政の重要課題
①被災者切り捨てでなく、苦難に寄りそった震災からの再建支援を国に求めよ
 熊本地震発災から3年半が経過しました。「復興は着実に進んでいる」と言われますが、依然として元の生活を取り戻せず、深刻な状況に置かれたまま取り残されている被災者の存在から目を背けることは許されません。県として「取り残される被災者を一人たりとも残さない」姿勢を堅持し、暮らし・住まい・生業・地域コミュニティの再建が達成されるよう力を尽くすべきです。
 気候変動のもとで深刻な自然災害が各地で発生しています。既存の被災者支援制度の不十分な問題点が明らかになりつつありますが、注目すべきは被災者生活再建支援制度の見直しです。政府は、熊本地震においては私たちが繰り返し求めても認めてこなかった一部損壊家屋に対する支援金支給を、今後の大災害において実施していくことを明言しました。一部損壊であっても住み続けることに著しく支障があるような損壊が生じているケースも少なくないことを政府自身が認めたものであり、「住み続けることに支障のない程度の損壊」と定義してきた一部損壊に対する説明を、事実上撤回したものです。そうであるならば、熊本地震で被災した一部損壊世帯に対しても支援の適用をさかのぼっておこなうべきであることは当然です。
 既存の制度から出発するのではなく、被害の実態から支援のあり方を見直し、実情に寄りそったきめ細かい支援を徹底するよう求めるものです。
 
 ・被災者・被災自治体の負担をゼロとし、全額国庫負担とする東日本震災時と同等  の財政的支援を国に求めること。
 ・被災者生活再建支援金を最大500万円に引き上げる事や一部損壊家屋にも公的支援制度を適用させるなど、被災者生活再建支援制度の改善、被害の実態に見合った災害救助法の見直しをおこなうこと。
 ・基金を積み増しし、市町村の裁量で使えるものについては可能な限り条件・制約をなくすこと。
 ・被災者向け医療費免除制度を復活させること。
 ・仮設住宅を退去した被災者のその後の生活再建の状況を掌握するための見守り活動を継続し、必要なサポートをおこなっていくこと。
 ・災害公営住宅での孤立、生活困窮や健康悪化などが懸念される。地域や自治会任せにせず、見守り活動や交流活動促進への支援を強化すること。
 
②気候変動に適応した諸施策の推進、異常気象に備えた防災対策の強化を
 地球温暖化による気候変動は、県民生活のあらゆる分野に影響が及び、これまで想定していなかった対応が迫られています。県民の健康や暮らし、基盤整備や産業など、各部局がそれぞれに温暖化・気候変動に適応した行動計画を早急に策定するよう求めるものです。
 特に、災害対策においては、過去に経験したことのないような大災害が各地で頻発していることから、「想定外」で済ませるわけにはいかない備えが必要となっています。住民の生命・安全・財産を守る防災計画を、気候変動の現状を踏まえて抜本的に見直し、強化することを求めます。
 ・経済効率最優先でなく、防災を重視したまちづくりを進めること。防災アセスメントの導入をはじめ、災害の危険を無視した開発行為を規制すること。
 ・災害救助法の適用を受けるような大規模災害でなくても、自然災害等により住宅や宅地、財産などの被害が発生した場合、それに対する補償・支援制度を創設すること。
 ・甚大化する自然災害はもはや「想定外」では済まされない。ダムや原発など、「想定外」の事態になれば機能不全に陥り、重大な危機的状況をもたらしかねない構造物の建設をストップし、現存の施設についても安全性の総点検を行ない、必要に応じて廃止・撤去をすすめていくこと。
 ・大規模造成地、急傾斜地やため池、堤防など、災害危険箇所の調査・点検を行ない、その結果にもとづき補強や防災対策を進めること。
 ・地域の防災対策を日常的に点検・強化したり、災害発生時には被災者救助の中心的役割を果たしたりできる地域の防災力を強化することが急務であり、地域防災組織への財政的・技術的支援を強化すること。
 ・気象状況の的確な把握と住民の確実な避難のために、地震・津波や火山、気象の観測・監視体制を強化するとともに、住民への確実な伝達と的確な指示が行なえるシステム作りを促進すること。
 
③国保の負担軽減、安心して医療、介護、福祉が受けられる施策の推進を 高すぎる国民健康保険料(税)、足りない年金、行き場のない介護難民…。医療や年金、介護など、国の社会保障切り捨て政策が高齢者はもちろん現役世代にとっても重大な不安要因となっています。いつでも、どこでも、誰でも、必要な時に、安全・安心の医療や介護、社会保障制度が受けられることは、県民の切実な願いです。国に社会保障制度の改悪を中止し、拡充を求めるとともに、熊本県が県民の命と健康を守り、安心して暮らせる健康福祉政策をいっそう充実強化されるよう求めます。
 ・国保料(税)を「協会けんぽの保険料なみ」に引き下げることを求めた全国知事会の決議に賛同し、一兆円の公費負担を政府に要望すること。
 ・人頭税と同じ均等割、平等割を廃止し、国保料を引き下げるよう国に求めること。
 ・被保険者の保険料軽減にあてるための財源として県独自に一般会計からの繰り入れをおこなうこと。
 ・無慈悲な保険証とりあげや強権的な差し押さえをやめさせること。
 ・国保都道府県単位化は実施されたが、厚生労働省は国会で「一般会計の繰り入れは自治体の判断でできる」「生活困窮者への自治体独自の軽減は問題ない」と答弁している。この趣旨を市町村に徹底すること。
 ・減らない年金制度実現へ、マクロ経済スライドをやめ、低すぎる年金に緊急の底上げをはかるよう国に求めること。
 ・介護保険料・利用料の負担を軽減すること。
 ・介護難民の解消のためには、特養ホームの抜本的増設に舵を切るしかない。待機者解消の計画を策定し、特養ホームの抜本的増設を図ること。廃止された特養ホーム建設に対する国庫補助を復活するよう国に求めること。
 ・安倍政権が強行した「要介護1・2」を特養入所から締め出す改悪の中止を求めること。
 ・介護・福祉労働者の労働条件改善、介護報酬増額をはかること。
 ・地域の実情を無視した病床削減や医療機関の統廃合の中止、国からの不当な干渉を排除し地域医療体制を守ること。
 ・自治体の福祉職を増員し、介護保険や民間では対応しきれない困難を抱えた人を自治体が直接救済できるよう、県からの支援を強化すること。
 ・子どもの医療費助成制度を国の責任で確立するよう求めるとともに、全国最低水準の乳幼児医療費助成制度を抜本的に拡充し、子どもの医療費を中学3年生まで無料化すること。
 ・生活保護基準の切り下げを中止し、引き上げるよう国に求めること。
   
④子育て支援策の充実、子ども・若者の未来を守る熊本県政の実現へ
 誰もが、「子どもの命を守りたい」「子どもたちが健やかに成長してほしい」と願っています。しかし日本では、子どもや子育てへの社会的なサポートが先進諸国の中で際立って弱く、働くことと子どもを産み育てることとの矛盾が広がり、出産・子育てが困難な国になっています。
 子どもの権利条約では、「すべての子どもには、生命・生存・発達の権利、最善の利益を保証される権利、意見が尊重される権利、差別されない権利の保障」がうたわれています。子どもの権利が守られ、安心して子育てできる、希望ある熊本県の実現へ力を尽くすべきです。
 ・産科・小児科・救急医療などを確保する公的支援を抜本的に強化し、安心して医療を受けられる小児救急医療体制の全県的確立を県の責任で整備すること。
 ・子育ての不安を解消する相談体制の拡充。職員の抜本的な増員と専門性向上のための研修の充実を図ること。
 ・児童虐待の防止、早期発見、子どもと親への専門的な支援など独自の施策を強めること。
 ・経済的、社会的に困難な事情を持った親や予期せぬ妊娠に悩んだりしたときに、身近に相談できる体制を整備すること。
 ・義務教育無償の原則に立って、小学校・中学校での副教材費、給食費などのあらゆる教育費の無償化、高校教育の無償化、大学・短大・専門学校の授業料の段階的無償化をはかるよう国に求めること。
 ・幼児教育・保育の完全無償化を国に求めること。
 ・安全で豊かな学校給食のために民間委託は見直し、地産地消、自公方式、直営方式などを進めること。
 ・全ての自治体で中学校給食を実施し、高校にも拡充を進めること。
 ・就学援助の支給額増額、支給対象の拡充、利用しやすい制度に改善すること。
 ・私立高校授業料の無償化、施設整備費の保護者負担軽減へ、県からの支援を強化すること。
 ・全ての奨学金・育英資金制度を無利子にすること。
 ・育英資金返済滞納者を提訴するやり方を熊本県は改めること。
 ・認可保育園の増設と待機児童の解消を進めること。
 ・保育士の賃金の引き上げ、配置基準の改善を進めること。
 ・学童保育を増設すること。
 ・育児休業制度の取得を推奨するため、家庭・企業への支援を行うこと。
 ・児童手当を拡充し、現在中学卒業までの支給期間を18歳までに延長すること を国に求めること。
 ・児童相談所がその役割を発揮できるよう、専門職員の養成と相談員の増員、相談所の増設など抜本的に拡充すること。
 
⑤若者が安心して学び、働ける社会へ
 高い学費やブラックな働き方が、若者から希望を奪っています。未来を担う若者が安心して学び、働くことができ、将来に希望の持てる社会の実現が求められます。
 ・日本政府も承認した国際人権規約の「大学教育の段階的無償化」へ、国立大学運営費交付金、私学助成の金額を引き上げるとともに、公立大学への補助制度を創設するよう国に求めること。
 ・公立高校学費不徴収を国の原則にするよう求めること。私立学校への支援を増額し、私立高校も授業料無償にすること。
 ・給付型奨学金制度を創設すること。
 ・熊本の低すぎる最低賃金を引き上げ、直ちに時給1000円の実現を求めること。
 ・ブラックバイト根絶へ、学生にも労働関係の法令が適用されるよう労働行政改善を求めること。
 ・家賃補助、若者向け公営住宅建設など若者が安心して暮らせるように支援を強めること。
 ・憲法で定められた政治活動の自由を高校生にも認めること。
 ・地域若者サポートステーションの配置を増やすこと。
 
⑥教職員を増やし、異常な長時間労働を是正し、学校をよりよい教育の場に
 教員の長時間労働は深刻で、全国的にも過労による休職や痛ましい過労死が後を絶ちません。最近では、教員志望の学生が減り始めています。教員の長時間労働の是正は、まさに日本の教育の現在と未来がかかった国民的課題です。ところが安倍政権は、問題を解決するどころか、公立学校の教員に一年単位の変形労働時間制を導入する法案を提出しました。これは、労働時間を繁忙期には一日10時間労働まで可能とし、閑散期とあわせ平均で一日当たり8時間に収める制度です。日々の労働時間の削減が問題なのに、これでは人間の生理に合った一日8時間労働の原則を破る労働時間法制の改悪です。一年単位の変形労働時間制導入に反対するとともに、業務削減と代休等の保障など、教員が休みが取れるようになる道を広げることが重要です。
 ・持ち時間の条件を一日4コマを目安に定め、そのための定数改善計画を実施すること。
 ・教員の負担軽減を加速させるため、定数外で短時間勤務教員(再任用など)を配置すること。
 ・熊本県学力調査「ゆうチャレンジ」の実施によって、子どもたちはさらに競争に駆り立てられ、学校は子どもらの点数獲得に躍起になり、先生たちは過去問対策や採点に追われ多忙化に拍車をかけている。大きな弊害をもたらしているゆうチャレンジを廃止すること。
 ・免許更新制を廃止すること。
 ・カウンセラーなど教員外の専門職は非常勤ではなく、常勤とすること。
 ・業務改善等に関する文科省通知(2018年2月)なども生かして学校の業務を削減すること。
 ・同和加配を中止すること。「同和」と名のつく行事への教員の強制的動員をやめさせること。
 ・私学助成を拡充し、公立、私立での非正規教職員の正規化と待遇改善を進めること。
 ・全小学校に英語の専科教師を配置すること。
 
⑦水俣病問題の解決
 公式発見から63年が経過したにもかかわらず、いまだに水俣病とさえ認められず切り捨てられた多くの被害者が存在しています。水俣病被害者は健康被害によって不自由な生活を強いられているだけでなく、差別・偏見という社会的な被害によって人生そのものを大きく壊されました。にもかかわらず多くの被害者は高齢化し、救済を受けられないまま亡くなる人もあとを立ちません。
 水俣病問題が解決に至らない根本原因は、環境調査も住民の健康調査も行なわず被害実態を矮小化し、被害者を切り捨てようとする、加害者である国の理不尽な態度にあります。8月には、水俣病特別措置法(特措法)の未認定患者救済策で、対象地域外に一時金対象者が多数存在していたことが明らかとなりました。特措法ができて10年もの間、「手法を研究中」との口実で健康調査を先送りしてきた国の無策を放置してきた県の責任もまた重大であるといわなければなりません。
 一方、チッソの事業会社JNC傘下のサン・エレクトロニクスが電子部品事業から撤退し、工場閉鎖と労働者解雇を行なうと発表しました。水俣病の深刻な健康被害を引き起こし、地域の環境と経済に深刻な悪影響を及ぼした加害企業の関連会社であるにもかかわらず、業績悪化を口実にまたしても水俣地域の振興に冷水を浴びせかけるような所業です。熊本県は、被害者補償と地域経済への貢献を根拠としてチッソに対し莫大な公的債務の貸し付けを行なっている立場からしても、また水俣病被害の拡大を引き起こした加害者という立場から考えても、一方的な撤退を黙って容認するような姿勢にとどまることは到底許されないことです。チッソ・JNCに対し事業所の存続と雇用の継続を指導すべきです。
 ・不知火海沿岸住民の健康調査を実施し、水俣病被害の実態や広がりを明らかにすること。
 ・昭和52年判断条件を改め、少なくとも1993年の認定義務付訴訟最高裁判決が示した基準に改めること。
 ・サン・エレクトロニクスの工場閉鎖、全員解雇の発表を白紙撤回するよう指導すること。
 ・チッソ、JNC、サン・エレクトロニクスの事業や経営状況を正確に把握し、チッソの経営努力を促し、今後伸びることが想定されている電子部品関係の事業を発展させる指導を行なうこと。
 
⑧従来の水害対策は見直しが必要。立野ダム中止を国に求めよ
 現在新たな白川の河川整備計画の策定に向けた作業が行われていますが、原案は立野ダムによる洪水調節を前提とした計画となっています。しかしダムの緊急放流という、洪水調節能力を失う事態がしばしば発生しているのに、あくまでダムの洪水調節を前提にした河川整備計画というのは大きな問題です。洪水調節機能が失われた場合、下流の水かさが急激に増して堤防を越水し、決壊につながります。行政の不作為は免れません。「ダムありき」の河川整備計画、ダムの洪水調節を前提とした河川整備は、今日の気候変動の状況下ではおおもとから見直すしかありません。
 ましてや立野ダムは「穴あき」ダムです。ダム建設地周辺は崩れやすく、いまなお多くの亀裂が存在し、雨のたびに土砂の崩落が続いています。阿蘇地域一帯に豪雨が発生すれば大量の土砂・岩石・流木がダム放流孔に押し寄せ、穴づまりを起こし、短時間のうちにダム湖は満水となり、下流域住民は逃げる時間的余裕もなくダム津波のような濁流に襲われる危険が高まります。
 しかもダムをいったん建設すれば、それはこれから少なくとも半世紀という規模の期間、熊本市の上流に存在し続けることになるでしょう。その期間、これまで経験したことのないような豪雨災害が一度も熊本では発生しないということがあり得るでしょうか。今日の気候変動は、「想定外の雨が降った」などという弁明で、災害発生の行政責任から逃れられるようなことが許される状況ではないことを自覚すべきです。
 ・立野ダム建設の中止と決壊しない堤防の整備を国に求めること。
 ・流域住民に向けた現地説明会を開催し、国・県が住民の疑問、意見に耳を傾けること。
 ・白川の堆積土砂を適正に除去すれば、多くの箇所で60年に一度の大雨を安全に流すことは可能である。予算を大幅に増やし、抜本的に強化すること。
 ・中流域における遊水地設置について県としても主体的に検討し実現を図ること。
 ・ハザードマップの整備と周知、白川流域タイムライン(防災行動計画)の充実と実動対策を強化すること。
 ・熊本市中心市街地の浸水防止対策、及び防災講習を強化すること。
 ・学識経験者、及び流域各地域の住民代表、国、県、市町村関係者らからなる協議会を設置するなど、河川整備計画への住民の意見が反映される仕組みを導入すること。
 
⑨憲法違反の日米軍事一体化、安保法制の発動を許さず、平和・安全な日本を
 アメリカが起こす戦争に、世界中で、切れ目なく、自衛隊が参戦することに道を開く安保法制が強行されて4年が経過しました。日米共同訓練も質量ともにエスカレートしています。
 2016年に施行された安保法制のもと、日米軍事一体化が進められ、憲法とも日米安保条約とも相いれない、武力衝突を想定した実践的な訓練が熊本で実施されています。またそうした任務を遂行するためのたたかう部隊づくりが熊本でも進められています。こうした動きは自衛隊員や熊本市民の安全を脅かすものであり、熊本県は以下の点について国に強く要請すべきです。
 ・大矢野原演習場を中心に数年おきに実施されている日米共同訓練の中止を求めること。
 ・熊本県内の米軍機・自衛隊機の低空飛行訓練や夜間飛行訓練を中止させること。
 ・高游原分屯地へのオスプレイ暫定配備をしないよう要請すること。
 
⑩暮らし福祉優先の県政実現へ、財政運営の転換を求める
 こうした重要課題について、県民の願いを実現する県政運営を進める上では、県財政のあり方を見直し、暮らしに希望を示す施策・予算の拡充をはかることが不可欠です。莫大な事業費を要する大型開発について、その必要性・緊急性や費用対効果、地域経済への波及効果など真剣な検証を行ない、思い切った見直しを求めるものです。
 ・知事は、熊本地震からの「創造的復興」のシンボルとして阿蘇くまもと空港の活性化による交流人口の拡大と地域の活性化をかかげ、空港コンセッション方式の導入、空港アクセス鉄道建設を推進している。熊本空港運営について国土交通省と契約を締結したMSJA・熊本コンソーシアムが掲げた目標によると、2022年までは既存就航路線の増便確保、2027年度までに東アジア路線を中心に7路線を追加、2051年度までに6路線を追加し計17路線とする計画となっている。旅客数は622万人、国際線では2017年実績のなんと約10倍の175万人をめざすという。こうした旅客数の増加を前提に、滞在型ゲートラウンジの拡張、多様な店舗の誘致、賑わい広場や商業ゾーンの設置など膨大な拡張計画である。全国の地方空港も民営化を促進し、それぞれに壮大な計画を描いているが、自然災害の多発や不透明感が広がる国際関係など将来不安を考えると、あまりに過大で希望的観測に基づく計画ではないか。全国の地方空港がいま競い合って民営化を推進しているが、現実的な将来見通しと環境への影響、県民の財政的負担軽減の立場から身の丈に見合った整備計画を進めるべきである。
 ・八代港のクルーズ船入港は、2017年度をピークに2018年度は半減。2019年度の寄港数も同水準に停滞している。拠点形成計画書では、2020年には100回、その後10年以内に200回の寄港をめざしているというが、地元や県民への過度な負担とならず、地域経済の発展に寄与できるよう、現実的に計画を見直すべきである。
 ・熊本県は2018年度から2027年度の10年間で、道路整備を進めるためにおおむね7,000億円の投資を計画している。県民の利便性・安全性向上や老朽化した道路等の補修改修は必要であるが、必要以上の道路幅の拡張や莫大な費用を必要とする高規格道路の建設についてはその必要性、緊急性を慎重に検討し、事業費の抑制を図るべきである。
   
2、各部への要請項目
(1)総務部、知事公室
 ・改正水防法の趣旨を踏まえ、高齢者や障がい者らが入る施設に避難計画の策定、訓練が義務付けられることとなった。すべての施設において計画策定や訓練が実施されるよう県として必要な指導・援助を強めること。浸水想定区域が設定されていない中小河川でも、過去の大雨による浸水状況を住民らに周知するなど万一に備えた対応の徹底をはかること。
 ・事前防災行動計画(タイムライン)を、県が管理する河川において速やかに策定すること。すでに策定したとされている河川流域においても内容の改善・充実を常に図ること。
 ・復興基金の積み増し。市町村が主体的に基金事業を創設できるよう、市町村本位の運用に改善すること。
 ・市町村からの支援職員派遣要請に迅速に応じること。また県職員は正規を基本に必要・十分な配置を進めること。特に技術系職員の増員をはかること。
 ・道州制・州都構想を見直し、地方自治・住民自治を尊重した県政運営に徹すること。
 ・非核自治体宣言を行なっている熊本県として核兵器廃絶を求める取り組みに積極的役割を果たすこと。
 ・私学助成を増額すること。私立高校の授業料免除の所得要件を引き上げること。
 ・知事は、核兵器禁止条約への賛同を表明し、条約への調印・批准を政府に求めること。
 ・県・市町村は学校卒業予定者の名簿を自衛隊に情報提供しないこと。
 ・消費税率を引き下げるよう政府に求めること。
 ・滞納を理由に強権的な徴収、違法な差し押さえをしないこと。
 ・プライバシーを守る権利は憲法が保障する基本的人権であるが、個人情報の流出が社会問題となっている。個人情報保護法を見直し、プロファイリングに対する異議申し立て権、事業者の個人情報漏えい事実の消費者への通知義務、被害救済の仕組みなどを具体化するよう政府に求めること。
 ・政府が国民一人ひとりに生涯変わらない番号をつけ、各分野の個人情報を紐付けして利用できるようにするマイナンバー制度は、プライバシー権侵害という重大な危険を持つ制度である。いま安倍政権は健康保険法等改正、戸籍法改正、デジタル手続法改正を相次いですすめるなど、個人情報保護を後退させ、マイナンバー制度の仕組みを拡大する動きを強め、顔写真つきのマイナンバーカード取得を強引に促進している。国民が必要としない制度に固執し、国民にマイナンバーカードを押し付けるやり方をやめるよう政府に求めること。
 ・日韓関係の悪化が熊本の観光、地域経済、文化交流事業に影を落としている。不毛な対立をあおることなく関係改善への主体的努力を強め、両国首脳間の対話を進めるよう政府に求めること。
 ・民族差別をあおるようなヘイトスピーチの根絶に県も積極的に乗り出すこと。
 ・障がい者、高齢者など、外出が困難な有権者の投票行動を制約させることがないよう、投票環境の改善を進めること。投票所の増設を図ること。
 
(2)企画振興部
 ・大空港構想は緊急性、必要性の観点から計画を検証し、不要不急の事業は復興優先の立場で再検討すること、また開発行為は環境影響調査を実施し、特に地下水への影響について慎重に検証すること。
 ・地域振興策は呼び込み型偏重ではなく、地場産業・地元企業への支援を強めること。
 ・南阿蘇鉄道の復旧は、自治体負担ゼロとなるよう独自の支援を。
 ・新幹線の騒音対策。県として定期的な調査を実施し、基準値を超える騒音・振動が発生している場合は国、JR九州に直ちに是正するよう求めること。
 ・新幹線ホームの無人化推進をやめさせること。
 ・車椅子の方が入場・観覧しやすいよう県立劇場ホールなど施設の改善を進めること。
 ・熊本空港アクセス改善へ空港ライナー運行、JR路線の新設が行われているが、県民の疑問の声も上がっている。過度に必要以上の投資となっていないか、費用対効果についても検証し県民に公表すること。
 ・被災した個人所有の文化財の保護へ支援を強めること。
 ・球磨川治水対策協議会で検討されているダム代替治水案が国土交通省主導で提示されているが、地元の実情や住民の要求とかみ合っていない過大な対策案となっている。当面の具体的な河川整備の内容を定め、実効ある対策を着実に進めていくべきである。また協議会のあり方についても、学者や住民代表の参加など、開かれたものに改善していくこと。
 
(3)健康福祉部
 ・希望するすべての仮設住宅入居者の入居延長を無条件で認めること。
 ・応急仮設住宅に入居している被災者の多くは生活弱者であり、日常生活へのきめ細かい支援が求められる。取り残され孤立することがないよう、支援の体制を市町村と連携し確保し、被災者の生活環境改善につとめること。
 ・無年金・低年金の解決に足を踏み出して、最低保障年金制度の導入を国に求めること。
 ・減らされてきた高齢者医療への国庫負担を抜本的に増額し、保険料・窓口負担の軽減を国に求めること。
 ・必要な医師・看護師を確保し、全地域的に提供体制を整備し、家族の負担に依拠しなくて済むレベルの在宅医療体制を確立すること。
 ・様々な病気の予防に大きな効果がある口腔ケアの体制充実へ、歯科、保健所、医療、介護など関係機関の連携強化を図ること。
 ・一人親、貧困、DV,子どもの非行、犯罪被害など家庭の悩みは多様化、潜在化している。一人で悩まず気軽に相談できるワンストップの相談窓口を設置し、専門的に対応できる人員の増員など対応体制の充実を図ること。
 ・重度心身障がい者医療費助成の対象枠を拡大すること。また自治体格差をなくし、すべての自治体で全額助成されるよう改善をはかること。
 ・障がい者の入院給食費、差額ベッド料に対する助成を実施すること。
 ・単身者用・家族用の障がい者公営住宅を増やすこと。
 ・無料低額診療事業が拡充されるよう県としても支援を。
 ・生活保護の住宅扶助費の引き上げを求めること。
 ・誰もが気軽に使えるスポーツ施設の設置、充実を図ること。
 ・障がい者が利用できる多機能型スポーツ施設増設とバリアフリー化、指導者・介添え者の配置など促進すること。
 
(4)環境生活部
 ・地下水涵養や汚染対策など、熊本の宝である地下水保全の取り組みが進められているが、将来にわたり安定的に地下水が保全されるためにも、涵養域における一定基準以上の規模の開発行為に関しては地下水への影響調査を義務付けることなど、涵養域の開発行為を抑止する制度の確立が必要である。
 ・原発依存から脱却し、再生可能エネルギーへの転換をはかるよう国に求めること。熊本は風力、地熱、波力、水力、太陽光など豊富な自然エネルギーに恵まれている。新たなエネルギーの開発・普及に力を注ぐこと。
 ・無秩序で大規模な風力発電設備やソーラーパネル設置、地熱発電が、時には山岳自然を破壊し、環境汚染への懸念を広げている。環境保護や住民の安全健康保護の立場に立った県独自の規制、ルール作りが必要である。
 ・災害ゴミからのアスベスト飛散に継続的に注意を払い、また解体に関わる労働者の健康被害防止へ専用マスク着用の徹底など対策を繰り返し呼びかけること。
 ・防疫体制の強化。ヒアリなど害虫侵入の防止に万全の体制をとること。
 ・同和行政の終結。一般行政の施策に移行すること。部落解放熊本県研究集会に行政、学校関係者を動員することをやめるよう指導すること。
 ・動物愛護センターと愛護団体、NPO、地域の住民の協力も得られる仕組みを改善しつつ、譲渡促進、殺処分を根絶すること。
 ・SOGI、LGBT対策に積極的に取り組む企業の顕彰をおこなうこと。
 ・保険適用に性同一性障害を加え、治療のできるクリニックを拡充すること。
 ・廃プラスチック対策の強化が求められている。熱回収から脱却するためにはゴミの発生を設計・生産段階から削減することが不可欠である。発生元での削減対策を県としても積極的に取り組むこと。
 ・レジ袋の削減、マイバッグの普及促進に努めること。
 ・有害物質が混入した安定型処分場や土壌汚染処理施設による環境汚染、産業廃棄物の不法投棄に歯止めをかけるため、徹底した立入検査を県として実施し、違反者への厳格な監督と行政処分を行なうこと。
 ・鳥獣保護センターの現状を掌握し、関係者が安心して業務に当たれるよう体制充実・職場環境改善、職員への待遇改善をはかること。
 ・輸入食品への農薬残留、遺伝子組み換え食品の横行など、食の安全・安心を脅かす事態が後を絶たない。食品の検査体制を強化し、安全基準を強めるよう政府に求めること。
 
(5)商工観光労働部
 ・グループ補助制度について、希望がある限り制度を継続すること。
 ・小規模事業者持続化補助金の増額・継続を国に求めること。
 ・多重債務者向け貸付事業を拡充すること。貸付限度額の引き上げ、年利の引き下げ、償還期間の延長など。
 ・建設業許可申請等での社会保険未加入事業所への加入推奨は、実情に十分配慮し、許認可権限を持つ他省庁への制裁要請はやめること。早急に中小企業に対する社会保険料率引き下げ等の制度改善をはかるよう、国に求めること。
 ・社会保険強制適用でない事業者を現場排除しないように指導すること。
 ・経営、雇用、技術、金融、法律相談を総合的に受け付ける相談窓口の設置。
 ・呼び込み型開発から地場産業育成重視へ経済政策の転換をはかり、経営、雇用拡充への支援を強めること。
 ・中小企業・小規模事業者についての信用保証協会の保証は、「責任共有制度」ではなく、100%補償に戻すよう、国に要望すること。
 ・所得税法56条は家族労働の働き分を認めず、個人の尊厳と両性の平等に反する差別的な税制であり、国に対し、56条廃止を求めること。
 ・地方税の徴収行政について、納税者の権利を守る立場で、営業や生活再建に向けて親身な助言を行なうこと。徴収にあたっては、実情を十分に把握し、営業と生活を困窮させることのないよう配慮すること。納税の猶予、換価の猶予など、納税緩和措置を個別の実情に応じて柔軟に行うこと。
 ・住宅リフォーム助成制度を県として創設すること。
 ・最低賃金を大幅に引き上げ、時給1,000円の実現を。そのために、社会保険料の減免や賃金助成など、中小企業の賃上げに対する支援を行なうこと。最低賃金の地方間格差を是正し、全国一律最低賃金制度に踏み出す制度を作ること。
 ・労働者派遣法を抜本改正し、派遣労働は一時的・臨時的なものに限定すること。
 ・非正規から正規への流れを作り、同一労働同一賃金、均等待遇を進めること。
 ・異常な長時間労働を是正し、サービス残業を根絶すること
 ・男女の賃金格差是正、シングルマザーへの経済的支援の拡充、女性の無年金・低年金問題の解消をすすめること。
 ・男女がともに仕事と家庭が両立できる人間らしい働き方のルール作りを進めること。子育て期の労働者の時間外労働の免除など。
 ・育児休業制度を男女がともに取得できるよう、所得補償の改善、男女賃金格差の是正を図ること。育児休業期間取得により昇進・昇格や賞与・退職金などで不利益な扱いを受けないようにさせること。
 ・危険な原発から撤退し、再生可能エネルギーに全面的にシフトするよう国に求めること。
 ・九州電力に対し、2030年までに出力ゼロにできるよう、苓北火力発電の段階的廃止を要請すること。
 
(6)農林水産関係
 国民の命を支える農林漁業と農山漁村に崩壊の危機が広がっている。基幹的農業従事者の42%が70歳以上になり、農業者の減少に拍車がかかっている。耕作放棄地が広がり、生産基盤が弱体化し、先進諸国で最低の食料自給率は38%に低下したままとなっている。農林漁業と農山漁村の再生に踏み出すことは、日本社会の待ったなしの課題である。今日の事態は、歴代自民党政府が、アメリカ・財界言いなりに食糧の外国依存を深め、農産物輸入を次々に自由化し、国内生産を切り捨ててきた政治に根本の原因がある。国内政策でも、大規模化や競争力強化を押し付け、中小の家族経営は非効率として切り捨てられてきた。農地・農協・種子法など戦後の家族農業を支えてきた諸制度を次々に解体し、沿岸漁業や森林を利益本位の企業に差し出す法改悪を強行したことも重大である。こうした亡国の政治が続く限り、日本の農林漁業に未来はない。いまこそ農政を農業者・市民本位の立場で切り替え、農林漁業と農山漁村の再生に踏み出すことが求められる。
 ・日米貿易協定は日本側が一方的に譲歩し、米国産農畜産物の関税を大幅に引き下げるなど、重大な内容となっている。食料主権・経済主権を破壊する日米貿易協定の国会承認をしないよう求めること。
 ・TPP協定から離脱し、日米EPAは終了通告して解消するよう国に求めること。各国の食料主権を保証する貿易ルールを確立するよう国に求めること。
 ・政府は「攻めの農業」と称して農林水産物の輸出拡大に力を入れている。確かに今年の農林水産物の輸出額は増加しているが、輸入は輸出額の10倍の金額に膨れ上がっている。個々の産地や農業者などによる輸出拡大の自主努力は尊重されるべきだが、いま力を入れるべきは、安全でおいしい地元の農産物への需要を満たす農業生産、供給体制の拡充である。そこに独自の努力を県として強めていくこと。
 ・有明海再生へ、諫早湾干拓の潮受け堤防開門調査を実施するよう国に求めること。
 ・漁民の共同を基本に営まれてきた沿岸漁業と水産資源管理の中に企業優先のルールを持ち込み、漁場利用の混乱と漁村の衰退を招く水産改革法の廃止を求めること。
 ・農産物の価格保障を中心に、所得補償を組み合わせ、生産費をカバーする仕組みをつくること。
 ・国民の主食である米の需給と価格の安定に政府が責任を持つこと。
 ・農地の集積が進み、大規模化が進んでいるとはいえ、農業と農村の多くが、専業や兼業など大小多様な家族経営や、その共同で成り立っていることに変わりはない。今後の担い手対策も、農業の「経営安定対策」や大規模化、法人化を条件にせず、各種補助金も地域に存在する「続けたい、やりたい人(法人を含む)」すべてを対象とすべきである。
 ・財界主導の農協「改革」を中止し、農家の共同や農協の自主性・独立性を尊重し、協同組合の原点に立った役割を果たせるよう支援すること
 ・被災農業者の営農再開・経営再建へ、農地や農機具・施設の復旧に手厚い支援を行なうこと。
 ・森林整備は、防災の観点からも早急な対策が求められている。近年急増してい  る記録的豪雨はいつどこで発生してもおかしくない。人工林が多く存在する地域など、災害危険個所について国とともに総力をあげて治山対策にとりくむこと。
 ・農業競争力強化支援法は、農村で地域を支えて頑張っている農家も競争にさらされ、体力の弱いものがさらに加速的に衰退していくことになりかねない。小規模家族農業が食料生産、国土保全、生物多様性の維持、文化伝承で大きな役割を担っていることに光を当て、地場の中小流通業者と連携した産直運動、地産地消の学校給食運動などに対する支援を強めること。
 ・農業・水産研究体制と関係職員の身分保障を充実させること。
 ・新規就農者に対する支援を拡充すること。
 ・民間所有の森林の植栽・下刈、間伐等の造林事業に助成をすること。
 ・諫早干拓の調整池に毎年夏に発生する大量のアオコは猛毒を持っており、海に流出した後もその毒素は残り、食物連鎖による人的被害も心配される。研究体制を強め、その調査結果を公表し、必要な対策を講じること。
 ・鳥獣等による農作物被害が拡大し、営農意欲の減退につながっている。狩猟者の育成・確保、被害防止策の拡充をすすめること。中長期的には、緩衝帯となる農地や山村の復旧・再生が必要である。被害対策に取り組んでいる現場を支援する施策と予算の充実を図ること。
 
(7)土木部
 大規模な災害が全国で相次いで発生している。従来の延長線上でない防災・減災対策の抜本的な強化が求められている。この元で公共事業を、これまでのように大型開発・新規事業優先ですすめていいのかが問われている。安全・安心の防災・減災対策、老朽化対策を公共事業の基本に据える抜本的な改革が必要である。
 ・河川改修、生活道路改善、老朽化した公共施設の拡充と改修など、維持・管理費の増額をはかること。
 ・河川の堆積土砂の除去を定期的に適切におこない、水害防止に努めること。
 ・災害公営住宅を要望に応じて増設すること。建設場所は、従来のコミュニティの維持がはかれるよう考慮すること。
 ・耐震補強工事への助成をおこなうこと。
 ・排水管、浄化槽などの破損に対しても宅地復旧と同様に支援対象とすること。また地震により地下水、井戸水の出方が変わった所についても、そのことにより余儀なくされた対策工事について支援すること。
 ・地盤が軟弱のため自宅再建の際に必要となるくい打ちに対する補助をおこなうこと。
 ・瀬戸石ダム撤去を電源開発に求めること。ダム湖に沈殿した土砂の除去を国と電源開発に求めること。
 ・急傾斜地など災害危険個所の総点検と対策工事をおこなうこと。
 ・県内の道路橋、トンネル、歩道橋などの道路付属物について、措置が必要と判断される箇所については早急な対策をおこなうこと。
 ・公契約条例を制定し、下請け企業や労働者の権利を守るルール作りを進めること。
 ・私道、里道の復旧を支援する制度をつくること。
 ・災害関連には改良復旧が柔軟に適用されるよう国に改善を求めること。
 ・県営住宅の数を増やすとともに老朽化した施設の補修改修を進めること。
 ・相続未登記が解体や住宅再建の重大な足かせとなっている。個別事例について柔軟な対応を行なうことや、制度の運用改善・見直しを国に求めること。
 ・県管理漁港の維持管理、必要な改修を地元漁民、住民の要望に沿って進めること。
 ・海岸線上の堤防を総点検し、高潮、洪水時にでも安全な堤防の高さを確保すること。
 ・工事下請け業者への賃金不払いなどの紛争や民間同士のトラブルについて相談窓口を作り、解決を後押しすること。外国人実習生に対しても相談窓口の存在を周知すること。
 ・有明海、八代海の浅海化・土砂の堆積が深刻な状況となっている。今日の事態を引き起こしたメカニズムの解明と対策の研究を強化するとともに、防災の点からも内水排水に支障が生じないよう水門、水脈(みお)の浚渫をおこなうこと。
 
(8)教育委員会
 教育の主人公は子どもである。子ども一人ひとりの個人の尊厳が大切にされ、学び成長する権利を保障するよう教育の充実をはかる必要がある。
 しかし一方で日本の教育は欧米諸国には見られないような多くのゆがみがある。国際人権規約では大学教育の段階的な無償化が認められているのに、日本の学費は上がり続け、国民の負担は限界である。また学校では過度の管理と競争が押し付けられる元で、子どもの人権が大切にされず、不登校の子どもも増え続けている。また定められた授業数に比べてあまりに教員が少なく、十分な授業準備ができない実態が広がっている。
 子ども達に豊かな教育環境を保障するためのいっそうの努力を熊本県に求める。
 ・教職員の勤務実態を調査し、公表すること。
 ・教員不足が深刻化している。定員を増やし、全小学校に英語専科教員を配置すること。
 ・県が小・中学校で実施している学力調査『ゆうチャレンジ』を廃止すること。
 ・学童保育の経費を支援し、保護者の負担軽減と支援員の待遇改善・増員をはかること。
 ・発達障害、不登校児童・生徒の受け皿体制充実へ、相談窓口の充実や専門員の配置、フリースクールの増設や発達障がい児を受け入れる施設の拡充を進めること。スクールソーシャルワーカーの配置を拡充すること。
 ・小中学校の教育費負担を解消すること。給食費、副教材、修学旅行積立金など義務教育期間中の教育費の父母負担をなくすこと。
 ・特別支援学校の寄宿舎は、仲間と暮らしを共にすることで人とかかわる力を培い、生活技術が身につく貴重な場となり、障がい児の自立を支援するものとなる。県立の支援学校に寄宿舎を設置し、指導員を配置すること。
 ・兼任や複数校かけもちでなく、全小中学校の図書室に司書を配置すること。
 ・様々な理由で義務教育を終えていない人や外国人国籍の人、不登校の生徒などを受け入れ、義務教育課程を学べる夜間中学を設置すること。
 ・道徳授業は教科化になじまない。国に対し反対の意見をあげること。
 ・学校給食の無償化を実現させること。自校方式、地産地消、直営方式を進め、学校栄養職員・栄養教諭を一校に一人配置すること。
 ・就学援助金を拡充すること。
 ・子ども食堂や見守り隊など、子ども支援グループへの支援をつよめること。
 ・PTAは任意加入の組織であるにもかかわらず、県立高校などではエアコン電気代をPTAに請求し、しかも高額な徴収を行なっている場合がある。教育環境維持のために必要とする経費は基本的に学校側が負担すべきであるが、保護者・生徒に負担を求める場合に基本的な考え方を示したガイドラインを県として策定すべきである。
 ・同和に偏重した人権教育をみなおすこと。熊本県こども人権フェスティバルを中止すること。同和加配をやめ、教師の多忙化解消のためにこそ教職員数の増加を図ること。
 ・定時制、通信制学校の運営費を増額すること。定時制学校での給食を実施すること。
 ・学校と社会がいじめと向き合い、学校では、どんなことより子どもの命が大切だという、子どもの安全への深い思いを共有することが大切である。いじめに真剣に対応する学校の様々な創造的な実践を広げ、経験交流の機会を増やすこと。
 ・教師の多忙化が深刻化しているもと、いじめの相談があっても「忙しいから」と後回しにしてしまうようなことがあってはならない。学校教育においてどんな大切な仕事があろうと、子どもの命が一番大切だという、子どもの安全への深い思いを確立することが必要である。人権侵害と暴力であるいじめの放置・隠蔽が、学校における「安全配慮義務」違反に当たることを明確にし、学校現場に徹底すること。
 ・具体的なことをどこまで言うかは別にして、「いじめが起きている」際は速やかに全保護者に伝え、保護者たちも子どもの様子や変化を見守れるようにし、保護者と教員とのコミュニケーションを密にすることが大切である。いじめがあることをみんなが知り、大人たちが心配し、力を合わせる姿を示すことは、子どもたちを勇気づける。
 ・保健室の先生の複数配置などいじめ対策の予算措置を拡充すること。教員の多忙化の解消、少人数学級の拡充、養護教諭・カウンセラーの増員、いじめ問題の研修の充実などを進めること。
 ・子ども達にひらかれた児童相談窓口の拡充を図ること。
 ・不登校の子どもらを受け入れている民間・ボランティアのフリースクールや学習支援組織への支援を拡充すること。
 ・子どもたちの生活圏内に安全で安心して遊べる公園や児童館、プレイパーク、青少年が楽しめる広場や体育館の確保・増設を進めること。
 ・通学路の安全対策。通学路の安全確保、車の台数・速度制限のための措置を図ること。
 
 (9)警察
 ・盗聴法、共謀罪法、代用監獄の廃止など、えん罪を広げる危険な仕組みを廃止するよう国に求めること。
 ・信号機設置、消えた横断歩道ラインの線引き等、地元要望に迅速にこたえられるよう予算を増額すること。
 ・要望が寄せられた箇所について速やかに音声信号機が設置されるよう予算増額をはかること。
 ・性犯罪に関する被害者支援、二次被害の防止などのトータルな対策、加害者教育、再発防止策など被害者、支援者、専門家も含めて引き続き改革への検討を進める事が必要であり、性暴力・性犯罪を許さない世論と社会の構築へ、県としても啓発活動など取り組みを強める事。
 ・テロや無差別殺傷事件などに多くの人々が不安を感じている。治安に対する国民の不安を解消し安全確保に力を尽くすよう、警察の体質改善をはかること。住民からの不安の声、通報等に迅速に対応できるよう適性に配置を見直すこと。
 ・市民とメディアの知る権利を侵害する特定秘密保護法の見直し、廃止を国に求めること。
 ・朝鮮や韓国人、中国人など、マイノリティー集団に対するヘイトスピーチの規制を強化すること。
 ・犯罪被害者の個人の尊厳、幸福追求の権利を保障し、国家補償や精神的なケアの充実をはかること。
 以 上

 

日韓関係の悪化は熊本の経済、観光、文化交流に深刻な影響
知事は、相互関係の平和的修復を早期に図るよう政府に要請を 2019年8月20日

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熊本県知事  蒲島郁夫様
    
 2019年8月20日
 日本共産党熊本県委員会
 委員長   日高伸哉

 日韓関係の悪化は熊本の経済、観光、文化交流に深刻な影響
知事は、相互関係の平和的修復を早期に図るよう政府に要請を

 
 近年、日韓の文化交流は、両国政府間の政治的外交的課題を抱えながらも、民間や教育、地方自治体レベルで様々に広がり、そうした交流がより深い相手国や国民への理解にもつながり、両国の関係の基盤をつくる重要な要素となってきました。熊本でも、熊本―ソウル間の定期国際航路の開設や忠清南道との姉妹提携などを契機として、韓国との歴史・文化・教育・スポーツ面での交流が、自治体レベルでも民間レベルでも、関係各位のご尽力のもと多彩に発展してきました。
 さらに、いま政府は地方創生、国際競争力の向上という側面から、観光のためのインバウンド政策をわが国のあらたな基幹産業として位置づけ、促進をはかっています。熊本も外国人入国者の増加が続いていますが、その中でもおよそ4割の比率を占めるなど、インバウンドの中心は韓国からであり、熊本の観光の振興になくてはならない相手国となっています。貿易の分野でも、半導体材料、食料品、農林水産物の輸出入など活発な経済活動が行なわれています。
 こうした中、元徴用工問題や半導体材料の輸出規制強化などを巡り、日韓の政治的対立が悪化し、文化交流事業の中止や日本製品の不買運動、観光客の減少など、地域経済に深刻な影響が現れています。韓国のLCC・ティーウェイ航空は、熊本―大邱線に続き、熊本―ソウル線もの全面運休も発表しました。日韓を結ぶ定期便の運休は、観光や文化交流の回復にも深刻な影を落とすものです。
 こうした日韓関係悪化の長期化を懸念する声が県内からも多く上がっています。問題の根源には両政府間の政治的対立がありますが、そのことによって、これまで両国間の友好関係形成に大きく貢献してきた経済的・文化的交流までが阻害されてしまっていることは、極めて憂慮すべき事態にあるといわなければなりません。政治上の紛争解決は、外交的な話し合いで解決すべきです。対立ムードを煽り立てる風潮にも注意の目を向ける必要があります。
 これまで蒲島知事は、政府の外交政策について口出しをすべきではないという姿勢を貫いてこられました。しかし一方で、ものごとを発展させていくためにはトップ同士が話し合うことが大変重要であるということも、常日頃から発言されてきたところであります。今日の日韓対立の平和的解決をはかるための、日韓両政府首脳同士の冷静な話し合いを行なうよう求めることは、これまで両国間の友好的関係蓄積に貢献してきた地方自治体のトップとして、当然のことではないでしょうか。
 以上のことから私達は、蒲島知事から安部首相に対し、問題の平和的解決と関係悪化の早期収束を図るための両国首脳の話し合いを早急に行なうことを求めた要望書を出されるなど、具体的行動をおこされるよう提案します。       以上

 

自衛隊からの情報提供の依頼に対する熊本県の対応に抗議し、改善を求める要請書 2019年3月25日

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熊本県知事  蒲島郁夫様
    
 2019年3月25日
 日本共産党熊本県委員会
 委員長   日高伸哉
 県議会議員 山本伸裕
 熊本地方議員団

 自衛隊からの情報提供の依頼に対する熊本県の対応に抗議し、改善を求める要請書
 
 自衛官および自衛官候補生の募集に関し、自衛隊から熊本県知事に対し、「当該募集事務に必要となる募集対象者の氏名、出生の年月日、男女の別および住所の情報に関する資料の提出について、下記の内容の依頼がおこなわれています。
 1、自衛官および自衛官候補生募集に関し必要となる募集対象者情報に関する資料についての紙媒体等での提出。
 
 住民基本台帳法では、個人情報保護の観点から、政府機関の事務の遂行に必要な場合でも閲覧しか認めていません(別項①)。したがって、自衛隊からの依頼は住民基本台帳法を踏みにじる違法行為を自治体にせまる、許しがたい行為であります。
 いっぽう自衛隊が募集対象者情報を求めることができる根拠として、自衛隊法施行令第120条が掲げられていますが、これは「必要な報告または資料の提出を求めることができる」というものであり、市町村が応じる義務はありません。あくまで自治体の判断にゆだねられている問題であります。また、120条で言う「資料」とは、応募適齢者の概数などを意味するにすぎず、個人情報は含まれないと解釈すべきであるとして、「募集対象者の氏名、出生の年月日、男女の別および住所の情報に関する資料の提出」を求めるというのはまさに個人情報の丸ごと漏洩である、と指摘する法律専門家の声もあります。
 
 ところが、熊本県はこうした自衛隊からの要請を受けて、なんと「住民基本台帳担当課に対し、周知いただくとともに、自衛官等募集対象者情報の提供について配慮いただきますようお願いします」という文書を、県総務部市町村・税務部局長名で、各市町村長あてに通知しています(別紙)。
 地方自治法では、都道府県と市町村は対等・協力の関係にあり、都道府県が市町村に関する連絡調整に関する事務をおこなう際にも、法律や政令の根拠がなければ、市町村に関与することはできないとされています(地方自治法245条の2)。熊本県はどのような権限をもって、こうした通知文を出しているのでしょうか。
 紙媒体で、入隊適齢の住民の個人情報一覧を自衛隊に提供している市町村の比率は、熊本県は全国平均よりもきわめて高い状況です。熊本県から市町村に出された通知文が影響していることは明らかではないでしょうか。
 
 ところで、いま安倍首相は、改憲と自衛官募集をめぐる発言を繰り返しています。「(自衛隊の)新規隊員募集に対して都道府県の6割以上が協力を拒否しているという悲しい実態があります」「この状況を変えようではありませんか。憲法にしっかりと自衛隊を明記して違憲論争に終止符を打とうではありませんか」(2月10日の自民党大会での演説)などという主張は、改憲運動を繰り広げる極右団体である「日本会議」系団体が主張していることと軌を一にしています(日本会議が昨年12月に「憲法改正の国会論議」を求めて開いた集会で配布されたビラには、「地方自治体の6割強は、自衛隊の隊員募集に協力をしていません」「自治体が円滑に業務を遂行するため、自衛隊の憲法明記を」などと記されています)。
 こうした発言がなぜ繰り返されるのか、その要因を考える必要があります。一つは自衛隊組織の高齢化と顕著な隊員数の減少傾向です。自衛隊員の平均年齢は1990年の31.8歳から2011年には35.6歳まで上がっています。一方で、以前は4万~5万人台で推移していた非任期制の「一般曹候補生」は2017年度、応募者数は2万9,151人にまで減少。任期付きの「自衛官候補生」も減少しています。防衛省・自衛隊は打開策として採用年齢の引き上げをはかるとともに、隊員募集への自治体動員を強化しています。
 もう一つの要因は、若者の足が自衛隊から遠のいているという実態です。明治大学特任教授の纐纈厚氏は、「自衛官応募減少の背景には、少子化による労働人口減のほか、自衛隊そのものの変貌があります。自衛隊が専守防衛ではなく、事実上、外征型の軍隊になり、危険な戦場に送り出されるかもしれないということを、募集対象年齢の若者たちが感じている」と指摘しています。もともと安倍首相が主張する「憲法に自衛隊を明記する」名文改憲の狙いは、戦力不保持を規定した憲法9条2項を死文化させ、海外での自衛隊の武力行使を無制限に可能にするところにあります。実際、安保法制が施行されたもとで、戦力の増強がはかられ、実践さながらの日米共同軍事演習など、自衛隊の任務が増大しています。
 安倍首相が9条改憲を叫べば叫ぶほど、若者の自衛隊離れがすすむのは当然のことではないでしょうか。
 
 こうした背景の下で、名簿提供に応じない自治体に対し、安倍首相は執拗な非難をおこない、適齢者名簿を強制的に提出させようとしているのです。しかしこうした行為は、憲法で保障されている人権を踏みにじるものであり、かつ地方自治への乱暴な干渉にほかなりません。若者の名簿の強制的な提出は、若者を戦場に強制動員することにもつながりかねません。ましてや、熊本県が安倍政権・自衛隊の不当な要請に追随し、市町村に事実上圧力をかけるような通知を発することは、自治権に基づき、県民のいのちと暮らしを守る責任を果たすべき地方公共団体の対応としてはあまりにも軽率であると言わなければなりません。

 よって、日本共産党熊本県委員会は、以下の項目について蒲島知事に申し入れるものです。

 1、自衛隊からの依頼を受けて各市町村に対し、熊本県が情報の提供について配慮を求めた通知を出したことに抗議し、中止・撤回することを求めます。
 2、自衛官募集対象者情報の「紙媒体等での提出」を求めてきている自衛隊に対し、熊本県として抗議し、今後そのような依頼を行なわないよう求めること。
 3、各市町村に対し、地方自治、人権尊重、個人情報保護の立場に立った対応を求めること。
 4、自主的判断により自衛隊に情報提供をおこなっている市町村に対しても、DVや児童虐待等、支援措置を求めている住民や、情報の非開示を求めている住民については、情報の抜き取りをおこなっているかどうかを確認し、その作業がなされていない場合は直ちに是正を指導すること。
 
   以上
 
 別項① 住民基本台帳法からの抜粋
 第十一条:国または地方公共団体の機関は、法令で定める事務の遂行の場合に必要である場合には、市町村長に対し、当該市町村が備える住民基本台帳…にかかる部分の写しを当該国または地方公共団体の機関の職員で当該国または地方公共団体の機関が指定するものに閲覧させることを請求することができる。