山本伸裕

要請・提言書 2016年


熊本地震対策-とりわけ住宅対策についての提言 2016年7月25日

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 2016年7月25日
 日本共産党熊本県委員会

熊本地震対策-とりわけ住宅対策についての提言

 熊本地震発災から3ケ月をすぎました。
 死者49人、震災関連死9人、行方不明1人、住宅被害157,675棟、避難者4,406人にのぼり、震度1以上の余震は1900回を超えました(7月17日現在)。
 日本共産党熊本県委員会は、5月  日、「熊本地震における被災者救援、生活と生業の再建、地域の復興についての提言」(A4・8ページ)を明らかにし、熊本県、熊本市に対して、詳細を説明し、検討・具体化を求めました。
 県議会、市町村議会でも取り上げ、国会議員団とも連携し、政府への働きかけも行ってきました。党国会議員団は、22回、被災現地を訪れ、聞き取り、実態調査を踏まえ、熊本地震についての国会質問を51回行いました。 
 取り組みの結果、避難所での食料、環境の改善、仮設住宅入居の際、住居の解体を条件とすることの撤廃、家屋被害評価に地盤被害を加えることなどの成果を上げてきました。
 こうした取り組みをふまえ、地震発災後3ケ月の現状を踏まえ、きわめて深刻かつ喫緊の課題である「住宅問題」について提言をこない、国、県、市町村に、取り組みの具体化を求めるものです。
 
 1,住宅問題を早急に解決するために
 応急仮設住宅
 ①希望者全員が入居できる応急仮設住宅(以後、仮設住宅)の建設
 入居要件を大規模半壊から半壊まで広げたことにより建設戸数の見直しが必要になっています。全壊、大規模半壊、半壊、一部損壊という機械的な線引きではなく、地盤損壊を重く見ることも含めて「住家として住めるかどうか」を基準にして、仮設住宅の計画を立てるべきです。熊本地震の特徴である2度の震度7,3ヶ月たっても続く余震によって、自宅での寝泊まりが困難な心的ストレス障害(PTSD)の人なども含め、希望者全員が入居できる応急仮設住宅の建設が必要です。
 建設戸数について抜本的に見直すこと。
 ②環境改善
 仮設住宅の建設が進み入居が進んでいますが、バリアフリー、トイレ、風呂、物干し台などの使い勝手の改善、買い物、通学、医療機関へ等へのアクセスの整備、固定電話回線の設置、コミュニテイの形成など、様々な要望がよせられています。東日本大震災では、標準設備(エアコン、蛍光灯類、LPガスコンロ)のほか、家電6点セット(①洗濯機②冷蔵庫③テレビ④炊飯器⑤電子レンジ⑥ポット)が提供され(日赤寄贈)ています。
 突然大地震に遭遇し、住める住家も家財道具等も失った仮設住宅入居者の生活環境整備に心を砕き、サポートをはかること。実情・要求を丁寧に把握し改善をはかること。
 ③みなし仮設
 宅建不動産協会、旅館・ホテル業界との連携を強化し、見なし仮設の確保を抜本的に強化すること。
 ④仮設住宅の設置期間
 機械的に2年で区切らず(阪神淡路大震災は5年、新潟中越地震は3年)、家屋被害が甚大な熊本地震の状況を踏まえ、設置期間については柔軟に対応すること。
 ⑤私有地での仮設住宅
 かつては、仮設住宅の建設用地は公有地が原則とされていました(平成7年5月11日通知)が、中越地震、中越沖地震、東日本大震災を経て、私有地での仮設住宅建設の借地料も災害救助法の対象となりました。災害対策は、実情に沿って具体化していくべき事例のひとつです。
 6月24日付の内閣府政策統括官(防災担当)事務連絡は、「平成28年熊本地震に係わる災害においては、建物への被害が大きく、また、現在もなお、余震が続く等の状況から、応急仮設住宅用地の確保が難しい状況も見受けられる。そのような中、県内では、敷地内に納屋・倉庫等を備える農家住宅が多く、また敷地が広く有効活用が可能であるという状況も見られるところである」「このような土地を活用し、被災者の方々の住まいの確保に取り組んでいただくようお願いしたい」と記しています。
 農家、一般家庭を対象に、「事務連絡」に沿った積極的かつ柔軟な対応、具体化を、特別体制をとって、大急ぎで進めること。
 
 恒久住宅政策
 ①仮設住宅から恒久住宅へスムースに移行(生活再建継承の原則)する住宅政策を組み立てる必要があります。木造仮設住宅は、増改築を施せば恒久住宅に転用できます。応急救助の臨時的期限付き、プレハブ中心の仮設住宅の在り方を改めて検討し、林業資源の豊かな県・熊本らしい「熊本県モデル」を確立すべきです。今後の仮設計画において具体化すること。
 ②復興公営住宅による被災者の恒久住宅確保対策を抜本的に強化すること。
 ③1-⑤の「私有地での仮設住宅」、仮設住宅の恒久住宅化政策を組み合わせることによって、生活再建継承を効果的に推進することができます。災害救助法23条2項は、現物給付に変えて現金支給も認めており、仮設住宅建設費用を、被災者の自力での仮設住居再建への補助金として支給することを検討・具体化すること。
 ④特定優良賃貸住宅(民間の土地所有者等が建設した優良な賃貸住宅を一定期間借り上げ、所得が一定の基準内で、住宅に困っているもの賃貸するもの)建設を進めること。
 
 住宅の応急修理、支援策の拡充
 ①災害救助法第2条は、「災害により被害を受け、現に救助を必要とする者」を救助するとしており、所得とは無関係です。県「住宅の応急修理実施要項」の「自らの資力では応急修理することができない者」との規定については削除すること。
 ②応急仮設住宅と応急修理を「2者択一」とするあり方は現実に合わないものであり、「実施要項」の「応急仮設住宅は利用しないこと」の項を削除すること。 
 ③阪神・淡路大震災時は、308、000円だった限度額が、その後の震災で実情を考慮し引き上げられています。県として、独自に、限度額の上限を引き上げること。
 ④実施期間については、状況を踏まえ延長すること。
 
 罹災証明書と家屋被害認定
 罹災証明書による家屋被害判定で、一次調査より2次調査で重い判定になったのが65%にのぼったとの報道がなされています(読売新聞調査・熊本県内7市町村対象)。専門知識のあるスタッフを全国的に結集し、一次調査の形骸化の是正、質の向上をはかること。
 
 公費解体
 公費解体申請が1万件を超えているのにほとんど進んでいないのが現状です。廃材置き場の確保、業者不足等があげられているが、いずれも行政の責任によるもの。業者については、政府による全国規模での支援体制を確立すべき。
 
 地盤被害
 ①熊本地震被害の大きな特徴、被害の深刻さとして地盤被害があります。地震後の大雨で、被害はさらに拡大しています。住宅の損壊判定の際の地盤被害を重く判定すること。
 ②国の地盤被害にかかわる諸施策を積極的に、弾力的に活用すると同時に、県独自の支援策を具体化すること。
 
 新潟県・国の補助事業の対象外の県単独の「小規模急傾斜地崩壊防止事業」
 住家1戸でも、県として補助の対象とする。
 
 5月25日参院災害対策特別委での仁比聡平議員の質問および答弁
 ○仁比聡平
 日本災害復興学会の五月十六日の提言でも、地盤被害の補修に対する十分な公的補助がこの熊本地震において必要だということで求められています。これまで中越沖あるいは東日本でも、地すべりあるいは地盤崩落という宅地の対策が大きな課題となってきたわけですが、熊本地震では活断層という大きな課題があります。この実態を調査して、抜本的に宅地再建のための支援策というのを検討するべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
 ○政府参考人(栗田卓也君)
 宅地の関係のお尋ねでございます。
 今回の熊本地震、直下型の地震によりまして強く地盤が揺さぶられて宅地被害が集中して発生しておるという実態がございます。地割れや陥没なとも今委員御指摘のとおり生じております。さらに、震源が移動しながら余震が長く続いているということで、宅地の被害も広域に散在する、あるいはまだ進行する可能性も否定できないというようなことをいろいろ留意しながら対応していくべきと考えております。
 
 復興基金
 国の補助制度の対象にならない事業に、細かく、機動的に対応するうえで復興基金の設置が急がれます。宅地、地盤復旧事業、地域コミュニティ施設(集会所、寺、鎮守、神社等)の再建費、町内会等管理の私道復旧などを進めるために早急に「熊本地震復興基金」を確立すること。。
 
 義援金の支給
 対象を一部損壊まで広げること。一次分として、一定額を支給すること。罹災証明書の発行について、体制を強化し速やかに完了すること。
 
 被災者生活再建支援法の支援金
 国は、現行300万円を当面500万円に増額すること。対象を現行(全壊、大規模半壊、やむなく住宅を解体した世帯)に加えて、半壊、一部損壊まで広げること。県として独自の上乗せを講じること。
 
 2,生活・生業再建の前提・住宅対策の遅れと国の責任
 ①熊本県、被災市町村、日本共産党、野党4党、自民党県連も、まさに「オール熊本」が、「東北大震災の時のような特別措置法をつくって、被災の救済、復旧費用は全額国庫負担を。地元負担はゼロに」と政府に求めてきました。
 安倍首相は、国会の答弁では「自治体の負担能力を超える負担は絶対させない」と述べましたが、言葉だけで、6月1日に閉じた国会で「地元負担ゼロ」のための特別措置法を提案さえもしませんでした。
 被災者支援、復旧・復興のためには、市町村の財政の1年分を全部つぎ込んでも足りません。県や市町村は財政を考え、生活支援や住宅再建、復旧対策に思い切って取り組めない状況です。東北地震とは違うといって、安倍政権が地元負担ゼロの特別措置法をつくらなかったことが、復旧・復興を遅れさせている大きな原因です。安倍政権は、生活再建支援法では300万円までとなっている住宅再建支援を500万円まで引き上げること求める野党4党の要求を拒否したままです。
 「特別措置法をつくって、被災の救済、復旧費用は全額国庫負担を。地元負担はゼロに」は、「オール熊本」の課題です。
 
 ②憲法25条は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と、同13条は、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」と定めています。
 災害救助法は、「災害に際して、国が地方公共団体、日本赤十字社その他の団体及び国民の協力の下に、応急的に、必要な救助を行い、被災者の保護と社会の秩序の保全を図ることを目的とする(第1条)」「この法律による救助は、都道府県知事が、政令で定める程度の災害が発生した市町村(特別区を含む。)の区域内において、当該災害により被害を受け、現に救助を必要とする者に対して、これを行う(第2条)」と定めています。
 熊本地震対策―避難者支援、生活・生業の再建、復旧・復興について、国が第1義的に責任を負うことを強く求めます。
 災害救助法は、「都道府県知事は、救助の万全を期するため、常に、必要な計画の樹立、強力な救助組織の確立並びに労務、施設、設備、物資及び資金の整備に努めなければならない(第3条)としています。
 県職員、市町村の職員の昼夜を分かたぬ奮闘にもかかわらず、熊本地震被害の現状は楽観できない状況です。避難所の食事改善、健康管理、関連死、被災者の生活と生業の再建、その前提となる住宅の保障、修理、再建等の遅れ、中小業、農業の立て直しなど、被災された方々の多くが、「先が見えない」という状況にあります。県として、あくまで「被災者中心の原則」に立った取り組みを強く求めるものです。

 

川内原発の稼動停止を求める緊急申し入れ 2016年4月22日

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 熊本県知事 蒲島郁夫様
   2016年4月22日
 日本共産党熊本県委員会 委員長 日高伸哉

川内原発の稼動停止を求める緊急申し入れ

 熊本地震に関し、県が被災者への支援に全力をあげて取り組まれていることに心から敬意を表します。
 熊本地方から始まった一連の地震は、阿蘇地方や大分圏内にも震源が広がり、一つの断層で発生した地震が別の断層の地震を誘発するという、かつてない事態となっています。19日夕方には、これまでの震源の南西端まで震域が広がりました。今後ますます震源が広がる可能性は否定できません。
 現に、今回地震を起こしている日奈久断層はさらに南西側の水俣方向にも伸びており、その周辺ではまだ大きな地震は起きていません。日奈久断層の先にもさらに別の断層があります。これらの断層が動いて大きな地震が起きれば川内原発に影響しない保証はなく、その危険性を考えれば、川内原発の停止は当然検討すべきです。日本地震学会長の加藤照之・東京大教授は18日に開かれた関係学会の合同記者会見で、「(震源)断層の延長上で地震活動が高まることはある」とのべ、県南部などでの地震発生に注意を呼びかけています。また、本日の熊日新聞では、「県南西部 地殻ひずみに警戒 専門家指摘」と題し、大地震が県南西部で起こる危険性を指摘しています。
 九州各地での地震の活発化は、阿蘇などの火山活動にも影響する可能性が懸念されており、周辺には雲仙、霧島、桜島などの火山もあります。原発の稼動を続ける危険性は明らかです。
 地震や火山噴火で原発の震源が途絶えるなどして運転できなくなり、放射性物質が外部に漏れ出すなどの重大事故を起こせば、大規模な住民避難が必要になります。これまでの地震でも九州新幹線や高速道路が止まり、復旧には長期間かかる見通しです。薩摩川内市長はかつて避難に九州新幹線の利用を主張したことがありますが、いま万が一にでも事故がおこれば住民は避難もできず未曾有の過酷災害につながってしまうことは明らかです。
 原発そのものの是非については見解が様々分かれるところですが、現在国内の電力消費は原発がなくてもまかなえる水準で、川内原発を停止しても電力不足は起こりません。少なくとも、地震活動が活発化しているもとでは危険な川内原発の稼動を停止するよう、緊急に知事として政府に求めるよう、申し入れます。
   以上

 

「県議会災害対策協議会の当面の基本方針について」に関する申し入れ 2016年4月19日

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 県議会災害対策協議会会長 池田和貴様
   2016年4月19日
 日本共産党熊本県議会議員 山本 伸裕

「県議会災害対策協議会の当面の基本方針について」に関する申し入れ

 4月15日、県議会災害対策協議会において、①各議員からの執行部に対する個別に問い合わせ等を行なうことは控える。②今後行なう県議会災害対策協議会においても、極力、既存資料を活用し、職員に会議のための新たな負担が生じないように努める。③各議員への被災状況等の資料提供については行わず、HP等の閲覧等で対応する。―との当面の基本方針が決定されたとのことであります。
 県職員の皆さんが自らの被害も顧みず不眠不休で被災者救済・支援と県民生活の回復のためにご奮闘いただいており、議員の無用な問合せ等が、職員の災害対策にあたる時間確保の妨げになるようなことがあってはならないことは当然のことです。
 しかしこのような決定を画一的に全議員に求めることは、地方自治法の精神にてらしてもそぐわないものではないでしょうか。
 総務省が出した「議会のあり方・長と議会の関係について」によると、「長と議会とはともに住民を代表する機関として対等であり、互いに自己の権限を行使し、牽制しあうことで円滑に地方自治が運営されていくことが期待されている」としています。
 この未曽有の大災害の中で、住民の代表である議員はまさに住民や被害の実態をつかめる現場にいるわけで、そういった情報を緊急性・必要性に応じて適切に県や市町村等に伝え、また一方行政からの情報も得て適切に住民の安全確保を図る役割が議員にはあると考えます。そのような役割を停止することは住民の安全確保をも損ねることにつながりかねません。
 具体例として、私たちが行なっている安否確認の訪問活動の中でこのような出来事がありました。熊本市西区のある民間アパートで、半壊状態にあるアパートの玄関をノックしたところ中から「助けてくれ」の声。ただちに119番通報し、無事救出することができました。本震発生後、実に63時間が経過していました。一見無事に見える家の中でも、動けなくなって助けを求めている生存者がいるかもしれないと直感しました。直ちに安否活動の声かけ活動を一気に大規模に行わないと助かる命も助からなくなってしまいます。自らも被災者となっている民生委員や自治会、自治体任せでは到底全住民規模の安否確認などできないことはわかりきっている状況の中で、人命最優先というならば、直ちに他県に安否確認のための人員の要請を(千人を超えるような規模で)大規模に行うことは当然のことではないか。そのような連絡は直ちに県に伝えるべきでしたが、こういった情報のやり取りを「控える」としてしまうことが適切でしょうか。
 議員と県との情報交換を遮断するのではなく、適切な窓口を設置して対応するなど職員の活動の妨げにならないような体制を確保すべきではないでしょうか。
 今後のこともあり、ぜひ決定された基本方針についての再検討を求めるものです。
 
 1、全九州・全国からの人的支援の抜本的拡充の要請を緊急におこなうこと
 いま求められている重要課題について、緊急に一気に進めるためには必要な体制確保が不可欠です。一般職も含めた他県からの人的支援の要請を全国と全九州の都道府県におこなって下さい。
 その上で、いま以下の項目を緊急にすすめる必要があると考えます。
 ① 被災した地域の全住民規模の安否確認
 18日夕方、熊本市西区でアパートに閉じ込められ、動けなくなっていた男性が知人の安否確認訪問によって奇跡的に発見され、救出されました。一人暮らしの高齢者など、災害弱者がまだ安否確認もされず取り残されている可能性があります。命に関わる問題であり、直ちに被災地域での全住民的安否確認を急ぐ必要があります。
 ② すべての被災者に水、食料が行き届く体制確保
  住民が寄り添って避難している場所以外にも様々な場所に被災者が存在します。どこに何人の被災者がいるか掌握し、そこに必要な食料と水が安定的に提供される体制をとる必要があります。
  ③ すべての被災者の健康確保
 車中泊によるエコノミー症候群発祥、ノロウイルス、インフルエンザ発生、高齢者や病気の方々など、地震による健康被害と不安が広がっています。医師、看護師、薬剤師、ヘルパーなど医療・介護体制の確保が必要です。
 ④ 構造物の危険度判定を行なう専門員を全被災地に大量に
  いったん避難した住民が自宅に戻って、片付けや貴重品の持ち出しなど行なっていますが、余震が続く中、二次被害に巻き込まれる危険があります。倒壊の危険性がある構造物に立ち入らないようにシール(ステッカー)を貼り、立ち入り禁止にするなどの対策を緊急に行なう必要があります。もし現状のまま全国から片付けボランティアなどが入ってきた場合、倒壊の危険がある構造物に入り込んでしまうことも危惧されます。危険度判定を行なう専門家を全被災地に一気に投入することが必要です。
 
 2、耐震性の問題を理由に避難住民を避難場所から退去させている問題
 指定されている避難場所であるにもかかわらず、耐震性で危険があるという理由で避難されている方々が退去させられる事態が発生しています。出ていかなければならないのなら、そのかわりどこに避難すればいいのか、どうやって移動すればいいのかの情報提供や援助、そこに間違いなく受け入れられるのかの確認などは行政側の責任で行なう必要があります。
 
 3、交通渋滞解決のための手立てを
 交通渋滞が各地で発生しています。被災地への支援や買出しのため、道路破壊など原因は複数ありますが、問題はそのことによって必要な救援策の到着が滞ってしまうことです。
 ① 通行不能となっている場所を随時正確に情報発信すること
 インターネットによる発信や公的な避難場所等に、通行不能箇所を知らせるとともに、その道に車両が進入しないよう誘導する警官の配置を。
 ② 通常時の信号タイミングの変更
 信号があるために大渋滞の原因となっていることがはっきりしているポイントがいくつかあります。幹線道路の渋滞解消を急ぐ必要があり、幹線道路に進入する車両があまりないような地点においては通常の信号タイミングでなく、警官を配置し、誘導に従って進行するようにする。
 
 4、不測の事態に備え、川内原発停止の要請を
 地震が今後どう広がるかは予測ができず、新幹線や自動車道が普通のもと、万一原発事故が起きた場合、避難に重大な支障が生まれます。不測の事態に備え、稼動を停止するよう国に求めてください。
 
 5、行政、議会の連携
 行政としても大変な混乱の中県職員らが懸命に対応に追われており、いちいち議員からの問い合わせに応えていられないという状況は一方では理解できますが、議員の側も多くは災害現場で懸命の取り組みを続けており、現場の実態報告、いま求められている対策について、県の取り組み状況など踏まえながら必要な情報提供をやり取りするなどの必要があります。また議会と行政の関係の在り方からして本質をゆがめるもの(松岡さん訂正・補強お願い)です。直ちに是正を求めるとともに、協力共同しながら未曾有の災害対策の前進をはかっていくべきです。
   以上

熊本地震における救援策についての申し入れ(第2回) 2016年4月19日

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 熊本県知事 蒲島郁夫様
   2016年4月19日
 日本共産党熊本県委員会 委員長 日高伸哉
 日本共産党熊本県議会議員 山本 伸裕

熊本地震における救援策についての申し入れ(第2回)

 熊本地震に関し、県が直ちに全庁的体制をとって被災者への支援に全力をあげて取り組まれていることに心から敬意を表します。
 また、職員の皆さんが、ご自身、ご家族の被災も省みず県民生活の回復のために不眠不休でご奮闘されていることにも心から敬意を申し上げます。
 震度7の揺れを記録した14日以降、(5日)が経過し、いまどんな対応策が重点的に求められているかという問題も刻々と変化しています。私たち日本共産党も全国からの人的・物質的支援を受け、懸命の支援策を進めようとしていますが、現時点で熊本県に対して求めたい事項を申し入れ、検討を求めるものです。
 
 1、全九州・全国からの人的支援の抜本的拡充の要請を緊急におこなうこと
 いま求められている重要課題について、緊急に一気に進めるためには必要な体制確保が不可欠です。一般職も含めた他県からの人的支援の要請を全国と全九州の都道府県におこなって下さい。
 その上で、いま以下の項目を緊急にすすめる必要があると考えます。
 ① 被災した地域の全住民規模の安否確認
 18日夕方、熊本市西区でアパートに閉じ込められ、動けなくなっていた男性が知人の安否確認訪問によって奇跡的に発見され、救出されました。一人暮らしの高齢者など、災害弱者がまだ安否確認もされず取り残されている可能性があります。命に関わる問題であり、直ちに被災地域での全住民的安否確認を急ぐ必要があります。
 ② すべての被災者に水、食料が行き届く体制確保
 住民が寄り添って避難している場所以外にも様々な場所に被災者が存在します。どこに何人の被災者がいるか掌握し、そこに必要な食料と水が安定的に提供される体制をとる必要があります。
 ③ すべての被災者の健康確保
 車中泊によるエコノミー症候群発祥、ノロウイルス、インフルエンザ発生、高齢者や病気の方々など、地震による健康被害と不安が広がっています。医師、看護師、薬剤師、ヘルパーなど医療・介護体制の確保が必要です。
 特にエコノミー症候群については不特定地域に多数の車中泊者が存在することから、注意を呼びかけるチラシを配布するなどの手立てが必要です。
 ④ 構造物の危険度判定を行なう専門員を全被災地に大量に
 いったん避難した住民が自宅に戻って、片付けや貴重品の持ち出しなど行なっていますが、余震が続く中、二次被害に巻き込まれる危険があります。倒壊の危険性がある構造物に立ち入らないようにシール(ステッカー)を貼り、立ち入り禁止にするなどの対策を緊急に行なう必要があります。もし現状のまま全国から片付けボランティアなどが入ってきた場合、倒壊の危険がある構造物に入り込んでしまうことも危惧されます。危険度判定を行なう専門家を全被災地に一気に投入することが必要です。
 
 2、耐震性の問題を理由に避難住民を避難場所から退去させている問題
 指定されている避難場所であるにもかかわらず、耐震性で危険があるという理由で避難されている方々が退去させられる事態が発生しています。出ていかなければならないのなら、そのかわりどこに避難すればいいのか、どうやって移動すればいいのかの情報提供や援助、そこに間違いなく受け入れられるのかの確認などは行政側の責任で行なう必要があります。
  3、交通渋滞解決のための手立てを
 交通渋滞が各地で発生しています。被災地への支援や買出しのため、道路破壊など原因は複数ありますが、問題はそのことによって必要な救援策の到着が滞ってしまうことです。
 ① 通行不能となっている場所を随時正確に情報発信すること
 インターネットによる発信や公的な避難場所等に、通行不能箇所を知らせるとともに、その道に車両が進入しないよう誘導する警官の配置を。
 ② 通常時の信号タイミングの変更
 信号があるために大渋滞の原因となっていることがはっきりしているポイントがいくつかあります。幹線道路の渋滞解消を急ぐ必要があり、幹線道路に進入する車両があまりないような地点においては通常の信号タイミングでなく、警官を配置し、誘導に従って進行するようにする。
 
 4、不測の事態に備え、川内原発停止の要請を
 地震が今後どう広がるかは予測ができず、新幹線や自動車道が普通のもと、万一原発事故が起きた場合、避難に重大な支障が生まれます。日本地震学会長の加藤照之・東京大教授は18日に開かれた関係学会の合同記者会見で、「(震源)断層の延長上で地震活動が高まることはある」とのべ、県南部などでの地震発生に注意を呼びかけています。不測の事態に備え、稼動を停止するよう国に求めてください。
 
 5、行政、議会の連携
 議員災害対策協議会の決定で、各議員からの執行部に対する個別の問い合わせには応じないとされています。人命救助最優先の立場から、職員の災害対策にあたる時間確保の妨げになるようなことがあってはならないことは当然です。しかし本来議会と執行部は互いの役割を尊重し、補完し合って住民の安全、利益を守っていくべき機関であり、だからこそ情報交換は必要です。災害対策の妨げにならぬよう、議会・会派・政党と執行部との連絡窓口を設けるなど体制上の工夫をお願いします。
   以上

熊本地震における救援策についての申し入れ  2016年4月16日

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 熊本県知事 蒲島郁夫様
   2016年4月16日
 日本共産党熊本県委員会 委員長 日高伸哉
 日本共産党熊本県議会議員 山本 伸裕

熊本地震における救援策についての申し入れ

 熊本地震に関し、県が直ちに全庁的体制をとって被災者への支援に全力をあげて取り組まれていることに心から敬意を表します。
 日本共産党は15日、田村貴昭、真島省三両衆院議員とともに被災地を訪問し、住民や町職員らからのご要望、心配事を伺いました。それらの声を率直に紹介しつつ、いま緊急に熊本県に取り組んでいただきたいことがらを要望するものです。

 1、被災者への情報の提供について
 ① テレビなどでは繰り返し被害の状況や今後注意すべきことなどが報じられていますが、甚大な被害が生じた益城町では、大規模な停電が発生し、情報をもっとも必要としている被災者が、情報を得ることが困難な状況が広がっています。必要な情報を被災者に提供するための手立てを検討することが必要ではないでしょうか。
 ② 例えば、避難所には食料や物資が届き、配給が行なわれているというのに、自宅周辺にとどまっている人々にはその事実を知らされていない状況が少なからずありました(15日15時ころの時点)。防災無線もなにやら放送されたようだけれども、何を話していたのか(片付け作業などをしていて)さっぱり聞き取れなかったという人も多くおられました。防災無線で住民に必要な情報を確実に知らせるためには2~3回の繰り返しでは不十分です。ハッキリと繰り返し放送してほしいとの要望がありました(このご意見は益城町長にもお伝えしています)。県としても住民への必要な情報提供という点で、広報車を走らせ、「どこにいけば食料がある」とか「安全確保のためにこのような対策を」などのお知らせを行なっていく措置が必要ではないでしょうか。
 ③ 上空には絶えずヘリが飛び交い、防災無線も聞こえない、会話も聞き取りにくい状況でした。また夜間にサーチライトを照らされて眠れなかったとの苦情もお聞きしました。各社が報道ヘリを出動させているようですが、メディアは代表一機に統一してほしいなどの要請を県として申し入れるべきです。
 ④「近所の方はちゃんと避難しただろうか」「親族と連絡が取れないが大丈夫だろうか」などの不安の声が多くありました。避難所に掲示板がなかったのも急いで改善すべき点ではないでしょうか。
 ⑤停電が復旧した後に懸念されるのが「通電火災」です。火災が広がってしまっては大変です。電気が復旧する前に各戸で可能な限りの確認作業をおこなうよう、周知徹底と作業援助の体制をとるべきです。
 
 2、県の指導性を発揮してマンパワーの投入や資材の緊急確保を
 ① 建物倒壊の危険がある家屋も数多くありますが、立ち入りが規制されていないものが大半でした。余震が続く中、二次被害が心配です。緊急に住宅被害の応急判定ができる専門家を投入し、余震によって倒壊の危険性がある家屋にはシルシをつけて立ち入りを規制するなどの手立てを講じることが必要です。
 ② 被災者の容貌はそれぞれの事情もからんで多種多様です。「どこに相談していいかわからない」と悩んでいる人も少なくありません。相談窓口を一本化し、避難所内に設けるなどし、住居・生活・医療・生業・営業・免許証などワンストップで問題解決がはかれる体制を整えてください。
 ③ 天気予報では今後雨になるといわれています。ビニールシートが圧倒的に不足しており、心配されています。県の主導で他市町村からも急いで確保する必要があります。また屋根をビニールシートで覆うにしても道具と資材、人手が必要です。マンパワーの確保を。
 ④ 道路は陥没、亀裂、段差がいたるところで生じており、夜間の車両通行は危険が伴います。県警に要請し危険箇所で適切な誘導員を確保してください。
 
 3、被災者の生活を守るために
 ① 倒壊家屋が多く避難の長期化も懸念されるだけに、避難所の環境改善を急ぐ必要があります。硬い板張りの上での寝泊りは身体への負担が大きすぎます。畳やウレタンのような緩衝材を各避難所に設置すること、ひざが悪くて座れない高齢者のための椅子、プライバシー確保のための間仕切りなど他の自治体にも呼びかけて確保を。
 ② 益城町の避難所を増やす必要があります。「ハッピネス」には14日夜、1,000人規模で住民が集まりました。必要ならば熊本市などにも協力を呼びかけ、避難所の増設を図ること。
 ③ 避難生活が続くと入浴や洗濯の要求が切実化します。急いで検討を始めないと不満の声が噴出することが懸念されます。
 ④ ごみ・ガレキの処理をどうするのか、集積場所の確保やゴミ出しの仕方、費用の問題など県の責任で方策を明らかにすること。
 ⑤ 仮設住宅、福祉仮設住宅の建設の検討を地元の意向も聞きながら早急に進めること。
 
 4、現行の被災者支援制度の最大限の活用を
 ① 県は県内全市町村に災害救助法の適用を決定しました。被災者のためにどんな支援制度があるのかなど、わかりやすい文書を配布し、住民の生活と仕事再建へ支援を強めてください。
 ② 災害救助法適用に際して定められている「災害救助基準」で示されている限度額や期間は「一般基準」であります。内閣府政策統括間、参事官名で出されている「避難所の生活環境の整備等について」では、「被災状況等によっては、一般基準では対応できない場合もあることから、特別基準を設定することが可能であるので、幅広に当職あてご相談いただきたい」と述べています。ぜひ県として、被災者支援策を積極的に進めていく観点から活用していただくようお願いします。
   以上