熊本県知事 蒲島郁夫様
2015年11月30日
日本共産党熊本県委員会 委員長 日高伸哉
熊本県議 山本 伸裕
2016年度熊本県予算編成に対する申し入れ
いま、国民の暮らしや権利を守る土台である憲法がないがしろにされ、憲法で保障された平和主義も民主主義も脅かされる異常事態が安倍政権の下で作り出されています。安倍政権と与党による、国会で強行した安保法制(戦争法)強行は立憲主義を踏みにじる憲政史上最悪の暴挙であると厳しく指摘するものです。また安倍政権が、消費税増税、TPP参加や原発再稼働、沖縄新基地建設の推進など、暴走を加速させていることを看過することはできません。
このような政治のもとで、国民・県民の暮らしに何がもたらされているでしょうか。「アベノミクス」によって異常な円安と物価上昇、大企業減税と消費税増税、雇用や農業の規制緩和等々がすすめられ、その結果大企業の利益は記録的な増加を見せても労働者の所得や雇用は改善せず、消費も冷え込んでいます。大企業優先のアベノミクスを加速させようとすればするほど、経済とくらしは破綻していくばかりです。
それだけに、いま地方自治体が、国の悪政からの防波堤となり、住民の命や暮らし、平和を守る役割を発揮することが求められています。とりわけ熊本県は自衛隊基地を抱え、全国屈指の農業県であり、隣県に原発が存在しており、国の悪政が直接的に県民の暮らしや平和を脅かす事態に直結するという状況を鑑みると、「国政にはノーコメント」などという姿勢を続けることは断じて許されない事です。
県の来年度予算については、知事選の関係で2月議会では骨格予算案が示されることになりますが、すでに来年度予算に関して各部局からの要求書に基づき編成作業が開始されています。
以下、県政運営の在り方、来年度県予算編成について、日本共産党として、提案、要望をいたします。ご検討いただき、県政運営と予算編成・県政運営の検討に積極的に反映させていただきますよう要望します。
1、 安倍政権の悪政から県民生活と平和を守るうえで、「ノーコメント」「黙認」は許されない
① 戦争法(安保法制)は、日本国憲法に背く違憲立法です。立憲主義に基づき、戦争法を直ちに廃止するよう政府に求めること。また集団的自衛権の行使を可能とした憲法解釈変更の閣議決定の撤回を求めること。
② 「大筋合意」が発表されたTPP交渉ですが、国民にも国会にも秘密のまま、日本政府は国会決議に反して譲歩を重ね、かたや各国に対して合意の受け入れを迫るという、不条理極まりないやり方を重ねてきました。TPPは多国籍企業の利益最優先、国民の暮らし・地域を壊すものであり、断じて受け入れることはできません。農業大県熊本として、「大筋合意」の撤回、TPP交渉からの撤退を国に求めること。また、TPP協定の詳細を明らかにし、農業や住民生活への影響を明らかにするよう国に求め、県内経済への影響を早急にまとめること。
③ 消費税増税の口実は破綻しています。消費税再増税をやめるよう国に求めること。所得や資産の能力に応じた「応能負担の原則」に立った税制改革を行い、賃上げ・国民の所得を増やす経済政策の推進をはかるよう国に求めること。
④ 原発の再稼動を中止し、すべての原発から直ちに撤退する決断を行なうよう政府に求めること。再生可能エネルギーへの抜本的転換を求めること。
⑤ 不安定雇用の下で働く人が、とうとう全体の4割を超えました。異常な長時間労働やサービス残業、ブラック企業が横行し、過労死・過労自殺が増加しています。最低賃金があまりに低く、懸命に働いても貧困から抜け出せません。雇用問題の改善は日本が直面する重大課題です。派遣労働を厳しく限定する派遣法の抜本改正や均等待遇のルールづくりなど、政治の責任で非正規から正規社員への流れを作ること、残業の限度は月45時間という大臣告示の法律化、最低賃金の大幅引き上げと中小企業への直接支援の仕組みをつくるよう政府に要請すること。
⑥ 国保の運営主体を県に移行することで、国保への公費支援が減少し、国保料(税)のさらなる引き上げが懸念されます。また後期高齢者保険料の大幅引き上げ、病床削減の強化も計画されています。介護報酬の大幅削減が進められるもとで介護現場の低賃金と慢性的な人手不足、介護施設の経営難が広がっています。生活保護の生活扶助・住宅扶助等の削減なども図られています。政府の社会保障大削減の方針は、暮らしの厳しさに追い打ちをかけ、生命や健康を脅かすものです。消費税の増税を進めながら社会保障の大幅削減は許されません。このような政府の姿勢に対し県としても強く意見をあげていくべきです。
⑦ 沖縄県民の民意を幾重にも踏みにじり政府が強権的に新基地の建設を推進していることは民主主義を否定する暴挙としか言いようがありません。憲法と民主主義、地方自治を守るという観点からも静観は許されません。新基地建設は強行すべきでないと政府に声をあげるべきです。
2、県政の重要課題への具体策
(1) 立野ダム建設計画を中止すべき
① 北向谷原始林は、阿蘇くじゅう国立公園の特別保護地区です。またダム建設予定地には長い年月をかけて形成された見事な柱状節理が圧巻の景観をつくり出しています。神話伝説も生まれた神秘的なこの地に巨大ダムができれば阿蘇ジオパーク認定の取り消し、世界文化遺産登録も危うくなるという事態になりかねません。観光にも影響します。
② 白川中流域で河川整備計画にない大津、菊陽地域では、早急に河川整備計画を策定し、遊水地(地役権方式や掘り込み式)や河床掘削、堤防・宅地かさ上げや輪十提などダムによらない総合的治水対策を具体化・推進し、安全強化を図ること。
③ 「治水」「安全」「環境」「財政」等について、賛否双方の代表による公開・公正な住民討論集会を開催するよう国に求めること。
④ 国交省は、つまようじを使った模型実験などを根拠に「穴はふさがらない」と言いますが全く信用できるものではありません。ダムの穴が詰まれば白川の流れが止まり、農業用水確保、地下水涵養、白川や有明海での漁業等への被害は計り知れません。
(2) 水俣病問題の解決
① 水俣病特措法に関し、地域や年代ごとの申請件数、該当者と非該当者数、非該当の判断理由、症状など詳細なデータを明らかにすること。
② 昭和52年判断条件を改め、被害実態に見合った救済制度の確立を国に求めること。
③ 被害の全容解明のために、不知火海・八代海沿岸における住民健康調査・環境調査を実施すること。
(3) 有明海再生へ
宝の海・有明海の異変と漁業不振が続くもとで、有明海漁業は瀕死の状況に追い込まれ、地域経済は大きな打撃を受けています。国・農水省は諫早湾の締切りによる潮汐・潮流速の減少、貧酸素水塊などによる漁業への影響を認め、3年間の準備期間とその後の5年間の開門調査を命じた福岡高裁判決を履行せず、なおかつ制裁金の支払いという税金の支出を続けている異常な事態をつくり出しています。国・農水省の責任は重大です。現在の事態を打開する道は、福岡高裁確定判決に従い、早急に開門調査を実施することです。その立場に立って国が農業者、漁業者ら関係者と協議のテーブルにつき、防災や農業用水確保の対策を講じながら開門調査を進める意向を表明するよう、県として強く国に求めてください。
(4) 球磨川の治水対策と五木再生へ
① 人吉人吉橋左岸の堤防未改修箇所の対策を早急に進めること。
② 堤防強化、河床掘削、排水機設置による内水対策、遊水地設置などダムによらない治水対策の促進を。
③ 新たに設置された球磨川治水対策協議会は地元住民や専門家の意向が反映されるよう民主的運営に努めること。
④ 球磨川水害ダイムライン検討会は、水害から住民を守るソフト面からの災害対策・避難計画づくりを進めるもので、ハード面での対策と合わせ住民参加と合意のもとに生命と安全を守るシステムをつくり、自然災害と向き合いながら生きていくための重要な取り組みです。住民参加による策定をはかること。その成果を県内の一級河川はじめ各地のタイムラインづくりに生かしていくこと。
⑤ 瀬戸石ダムの堆砂により箙瀬地区は水害常襲地帯となり、住民は苦しめられています。水位を下げる規模の堆砂除去を電源開発に要請するとともに、強力な指導を国に求めること。土砂の堆積による水害の危険、ダム堤の老朽化による危険、山崩れによる危険などからして、瀬戸石ダムは撤去の判断を行うこと。
⑥ 五木村振興の継続的支援のために特措法を制定し、ダム計画に翻弄されながらも村づくりに苦闘してきた住民に報いるためにも、今後も支援を続けるよう国に求めること。
(5) 防災対策の強化と災害被害に対する対策の充実
① 阿蘇の噴火活動に関する対策
・緊急時に地元住民や観光客の安全を確保するためにシェルターの整備、 避難誘導体制の強化をはかること。
・防災予知システムの体制強化、防災会議協議会を中心とした情報共有や対応方針のシミュレーションをはかるなど、緊急時の対応体制充実に努めること。
・降灰観測地点を増やし、土石流発生の危険性を未然に察知、予防できる体制を強化すること。
・降灰による農業被害対応や自治体・住民への支援を強めること。
・風評被害払拭のためにも、観光地としての阿蘇の魅力情報や正確な安全情報、農産物の魅力紹介などのPR活動強化、商品券や温泉券などに対する財政支援など行なうこと。
② 台風・豪雨等自然災害への対策強化
・急傾斜地対策、河川改修対策等の予算を抜本的に拡充し、危険地域や災害 常襲地帯の改善に努めること。
・民間の構造物も含め、高層建築物の耐震診断をすすめること。
・実態に合わない消防組織の再編・統合は中止し、地域の自主的防災組織、消防団への支援を強めること。
・被災者生活支援法を抜本的に拡充し、被災者の生活と生業の再建に結びつくよう充実させることを政府に求めること。
・高齢者や障がい者、乳幼児が安全に避難できる地域の防災避難計画の整備へ支援を強めること。
(6) 地方創生・県総合戦略の問題
・今日の地方社会の疲弊をもたらした最大の問題は、「呼び込み」型の大型開発やインフラ整備、補助金の大盤振る舞いによる地方財政圧迫などにより、福祉や地域の中小企業・産業を犠牲にしてきたことによるものです。地域経済を支える住民の消費、地域の産業・企業の活動が呼び込みのために犠牲にされるのは本末転倒です。地域にある力を活かし、伸ばす産業振興策、経済政策への転換こそ求められています。
・地域振興局の職員配置を補強し、地域住民の要求に適切にこたえられるよう機能強化を。まちづくり構想にアイディアの提供や人材支援、PR活動、財政支援の充実を。
・再生可能エネルギーの拠点を地域に作るなど地産地消型の経済を促進し、地元を潤し、雇用の拡大など地域経済の好循環を作り出すこと。
・大企業の身勝手な撤退や大型店の野蛮な出店・撤退に対し、地域経済や雇用を守る観点から歯止めをかけるルール作りを進めること。
・農業委員会・農協の権限を取り上げ、地域を支えてきた農業・家族経営の力を衰退させれば、地域経済はさらに弱体化します。TPP参加を前提とした大規模化、集約化、企業参入、農協解体といった方向を見直すよう政府に求めること。
・住民サービスの集約化の押しつけに反対し、現在の市町村が住民に身近なサービスを充実させ、地域の再生がはかられるようにすること。
・道州制の導入に反対すること。
3、暮らし・福祉優先の県政へ
(1) 医療、介護に関して
① 介護保険制度の改悪により、○要支援者の訪問介護、通所介護を介護給付からはずし、コストを抑えた市町村の事業に移し替える ○一定以上の所得者の使用料が1割から2割に引き上げられる ○特養の入所対象を原則要介護3以上に限定する ○低所得者を対象とした施設での居住費・食費の負担軽減制度(補足給付)の用件を厳しくする―など、徹底的な介護サービスの削減と負担増がもたらされています。
・要支援者がこれまでの生活を継続できるよう、市町村に対して財源の確保を含めた支援を行なうこと。
・サービスの利用制限、費用負担の引き上げを中止して必要な人に必要なサービスが保証されるよう、制度の改善を国に求めること。
② 事業者に支払われる介護報酬が引き下げられ、各地で経営難を理由とする事業所の廃止が相次いでいます。また介護現場の人手不足も深刻です。
・介護報酬を大幅に引き上げるとともに、介護従事者確保・処遇改善のための施策を早急に講じるよう国に求めること。
③ 看護師不足・過重労働解消へ、看護師の増員と職場環境の改善がはかられるよう手立てを強めること。また看護師免許の登録に際し、申請後速やかに登録が終了するよう各自治体への徹底を図ること。
④ 国民健康保険税の軽減のための市町村への財政援助を強めること。滞納を理由にした一方的な差し押さえ、資格証明書や短期保険証の発行は行なわないよう徹底を図ること。国に対し、元の45%補助に戻すよう求めること。
⑤ 障害児・者、難病患者の負担を軽減すること。
(2) 子育て支援策、女性の権利向上
① 子ども医療費助成制度の対象年齢を中学3年生まで引き上げること。窓口払いの無料措置を全県的に確立すること。また国の制度として子ども医療費助成を行なうよう政府に求めること。
② 保育所待機児童の解消へ、保育所の拡充を進めること。
・年少扶養控除のみなし適用を行なわないとした子ども子育て支援新制度の実施により子どもが3人以上いる家庭で保育料が大幅に値上がりすることが大問題となっています。多子世帯の保育料値上げが撤回されるよう国に手立てを求めること。一方国は、昨年から在園している園児が卒園するまでは、年少扶養控除のみなし適用を行なう自治体に財政支援をしています。積極的に経過措置をとることを各自治体に呼びかけること。さらに新入園児に対してみなし適用を行なう自治体への財政支援、保育料が無料となる対象世帯の拡大など多子世帯の負担軽減を進めること。
・保育士の抜本的な処遇改善と正規化への仕組みを作ること。
③ 新婚、子育て、母子・父子家庭への民間住宅家賃補助制度の創設を。
④ 就学援助の充実、子どもの貧困の打開を進めること。
⑤ 地域の子育てサポート体制の整備促進。
⑥ 子どもや女性への暴力・虐待を防ぐための相談窓口の充実、人員の拡充をはかること。
(3) 教育関係
① 小中学校全学年において35人以下学級を進めること。
② ゆうチャレンジを中止すること。
③ 小学校での英語教科化に伴い、専科教師を配置すること。
④ 小中学校に選任の図書館司書を配置し、フルタイムで継続して働けるような労働環境の整備を図ること。
⑤ 学校統廃合・存続問題については子どもや保護者、地域住民との十分な協議や合意にもとづき方向性を見出すべきであり、一方的な方針押し付けを行なわないこと。
⑥ 小中学校教室へのエアコン設置促進へ、県の積極的な対応を。
⑦ 年収350万円未満の世帯の私立高校学費無償化を。
⑧ 国に給付制の奨学金制度の創設を求めること。県育英資金制度をより多くの人が利用しやすい制度に拡充するとともに、返済金滞納者を提訴するやり方は廃止すること。
⑨ 障害のある子どもの教育条件のさらなる改善をはかること。
⑩ 芸術・文化、スポーツの振興に力を入れること。学校における芸術・文化の鑑賞会を充実させる。また学校の部活動が廃止される方向のもと、地域スポーツクラブへの入会が困難な子どもたちへの機会提供、保護者や指導者らの経済的負担軽減がはかられるよう適切な支援を。
(4) 福祉、生活保護、県民生活問題に関して
① 熊本県内市町村の級地を引き上げるよう、政府に要請すること。
② 就職者の自動車の保有については、公共交通機関があるかどうかだけでなく、本数や利便性など考慮し柔軟に認めること。自動車の買い替えについては生活用品としてみなし、社会福祉協議会から融資を受けられるようにすること。
③ 医療施設を選択する権利を生活保護受給者に認めること。
④ 引き下げられた生活保護基準額を元に戻すよう政府に求めること。
⑤ 県営住宅への入居枠の拡大を。また老朽化した県営住宅の維持補修、建て替え等のための予算を抜本的に拡充し整備を急いで進めること。
⑥ 同和教育・同和関係の事業やイベントに職員や教員、子どもたちを動員しないこと。「部落問題をはじめとする」という表現を削除すること。部落解放同盟、全日本同和会への補助金は廃止すること。
⑦ アスベストによる健康被害はこれから顕在化してくることが懸念されます。レベル2までの実態調査を急ぐとともにレベル3の実態調査・対策の検討を進めること。健康被害への注意喚起を建設労働者や住民に徹底すること。
⑧ 福島原発事故後、食の安全に不安が広がっています。徹底した除染と農産物、魚介類の安全検査体制を強めること。
(5) 中小企業対策、労働関係
① 誘致企業の工場閉鎖・移転や人員整理、希望退職の募集などに歯止めをかけ、誘致企業が地域経済と地元労働者雇用に責任を持つよう対策を強めること。
② 若者を違法な労働条件で働かせ、使い捨てにする、いわゆる「ブラック企業」根絶のため、労働局と連携し、離職率の高い企業名の公表や、違法行為の是正のため、対策を強化すること。長時間・過密労働、サービス残業をなくして雇用を増やすよう企業に働きかけるとともに、経営者団体や労働者、特に若者への啓発を強めること。
③ 県として住宅・店舗リフォーム助成制度を実施すること。
④ 中小企業・小規模事業者向けの低利の新規融資など資金繰りへの支援に万全を期すること。セーフティーネット貸付の拡充や借り換え補償の推進をはかること。
⑤ 中小企業の社会保険料負担率引き下げ等の制度改善をはかるように国に要請すること。建設業許可申請等での社会保険未加入事業所への加入干渉は、実情に十分配慮し、許認可権限を持つ他省庁への制裁要請はやめること。
⑥ 県として早急に公契約条例の制定を。
⑦ 国に対し、家族労働の働き分を認めない所得税法56条の廃止を求めること。
(6) 農林漁業問題
① 市町村、専門家と連携し、鳥獣被害対策を強めること。
② 個々の農家の体力低下・高齢化が進む中、たとえひとたびの災害にでも見舞われると、たちどころに廃業の危機に直面するような状況が広がっています。被害実態に見合う補償制度の実現を。
③ 農家経営の困難を打開する最大の柱は、生産コストをカバーする施策をしっかりと行なうことです。価格保障は農家経営を安定させ、生産を拡大する上で切実に求められている施策であり、所得補償は農業の多面的な機能の発揮、条件不利地での営農を補償する施策として位置づけられるべきものです。農業の存亡の危機を迎えている局面だからこそ積極的導入が求められます。
④ 採算の取れる価格の実現、農地の基盤整備、販路確保など、家族経営・零細規模農家でも農業生産を維持・拡大できる条件整備へ積極的な支援を。
⑤ 生産者の顔が見える販売は消費者にも歓迎されています。地産地消の取り組みに対する援助を強めるべきです。学校給食や病院など、公共施設での地元産農産物の利用拡大、学校教育や市民生活との結びつきを生かした農業生産の振興と消費の拡大の取り組みを広げること。
⑥ 白川漁協の不正常な組織運営に対し、適正化へ県の指導性発揮を。
(7) 交通問題
① 九州新幹線新玉名駅の駅ホーム無人化計画を撤回するよう国とJRに求めること。
② 九州新幹線沿線で基準値を超える騒音が各地で測定されています。基準値を超えないようJRに要請するとともに、国に強力な指導性の発揮を求めること。
③ 地域で信号機設置等、事故対策のための安全設備充実を求める声が相次いでいます。予算を抜本的に拡充し必要な整備を進めること。
④ 道路整備の瑕疵による事故の事例も後を絶ちません。道路の維持補修予算を増やし対策を強めること。
(8) マイナンバー関係
・相談窓口の充実
・本格運用の開始を凍結するよう国に求めること。
以上
熊本県知事 蒲島郁夫様
2015年9月7日
日本共産党熊本県委員会 委員長 日高伸哉
同 熊本地区委員会 委員長 重松孝文
同 北部地区委員会 委員長 濱元幸一郎
同 宇城地区委員会 委員長 上野哲夫
熊本県議 山本 伸裕
熊本市議 上野美恵子
同 那須 円
同 山部 洋史
荒尾市議 北園 敏光
玉名市議 前田 正治
長洲町議 大森 秀久
宇土市議 福田 慧一
諫早湾干拓地潮受け堤防の排水門開放に関し、国は福岡高裁の和解勧告を受け入れ、直ちに協議のテーブルにつくよう、熊本県からも強く要請を
福岡高裁第4民事部は5日、諫早湾干拓地潮受け堤防の排水門開放に関する民事訴訟控訴事件に関し、控訴人である国、及び被控訴人に対し、和解協議を勧告しました。平成22年12月、国に排水門の開放を命じる福岡高裁判決が確定しているにもかかわらず、今日に至るまで国・農水省は開門義務を履行していません。このことについて勧告では、「法治国家として看過することはできない」と厳しく批判。「そもそも控訴人が本件排水門を開放しても開放しなくても制裁金を支払わなければならないというのは、一般国民には到底理解しがたい事態であり、一刻も早く収束させる必要がある」と指摘しています。そして「紛争を抜本的かつ総合的に解決するには話合いによる以外に最良の途はない」と結論付けています。
これまでも、裁判所は漁業者側と国側に話し合いを打診してきました。しかし国は頑としてこれを拒み続けてきました。開門をめぐるいくつかの訴訟で示された開門請求の棄却という、確定判決とは相反する判断を口実に「板挟み」状態を装い、あくまで開門義務に背き続けてきた国の欺瞞的姿勢は許されるものではありません。
「よみがえれ!有明訴訟弁護団」はこの間、もはや国は開門を避けようがないこと、漁業と農業、防災が両立しうる段階的開門による関係者の利害調整は可能であることなどを一貫して訴え続けています。国はこの指摘に真摯にこたえるべきではないでしょうか。
国・農水省は有明海漁民におそいかかっている長期にわたる深刻な被害に真摯に向き合わなければなりません。今回の和解勧告を無視することなど、決してあってはならない事であります。
知事におかれましては、国に対し、「速やかに和解勧告を受け入れ、協議のテーブルにつくべきである」と、強く要請されるよう求めるものです。
以上
熊本県知事 蒲島郁夫様
2015年9月7日
日本共産党熊本県委員会 委員長 日高伸哉
同 北部地区委員会 委員長 濱元幸一郎
熊本県議 山本伸裕
阿蘇市議 竹原祐一
南阿蘇支部長 立石武博
阿蘇の噴火活動に関し、県として現地への支援強化を求める緊急申し入れ
気象庁は14日、阿蘇中岳第一火口で発生した噴火活動に伴い、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げました。同日気象庁が行なった記者会見においては、「より大規模な噴火の恐れを示すデータはないが、この程度の規模の噴火は(今後も)発生する可能性がある」と注意が喚起されています。
日本共産党調査団は同日、阿蘇火山防災会議協議会事務局を訪ね、現状と対策についての聞き取り調査と意見交換を行ないました。今回の噴火によって検討すべき課題も浮き彫りになっています。そこで私たちは、以下の点について、県は地元市町村や諸団体との連携をはかりながら、対策強化を図られるよう求めるものです。
1、風評被害への対策
今回の噴火は、秋の行楽シーズン・大型連休(シルバーウィーク)を目前にした中で発生し、観光客の増大に大きな期待を寄せていた方々の失望は大きなものがあります。16日時点で1200名を超える宿泊客のキャンセルが入っているとの報道もなされています。もちろん安全が最優先されなければならないことは当然であり、根拠のないままに安全論を振りまくことは許されませんが、限られた情報のために必要以上の不安を抱いている観光客も少なくありません。
観光客らへの正確な情報の提供、阿蘇の魅力の発信、観光への風評被害に対する支援策など検討し対策強化をはかるよう求めます。
2、噴火の際の観光客らの安全確保に関する問題
今回の噴火は平日の、しかも観光客が少ない朝の時間に発生しました。観光客の避難は市職員や売店従業員らの迅速、的確な誘導により行なわれ、幸いにして負傷者はありませんでした。しかし一方、噴火活動の長期化も予想されるだけに、様々な状況の元でも突然の噴火が起こった際に人命最優先で対応できる手立てをとっておかなければなりません。
○ 休祭日等、多数の観光客がいる中で噴火が起こった際にどう対応するか。また近年は外国人観光客も増えています。誘導の呼びかけが理解してもらえない可能性もあります。また障害を持った方など、観光客の避難誘導策について様々な事態を想定した検討を行なっておくことが必要です。
○ 降灰で見通しが悪い中、また路面が降灰により滑りやすい状況となっている中、走行中の車両への情報提供や注意喚起をどうはかるか。
○ 今回の噴火では火口から約1キロの範囲に噴石の飛来が確認されています。今後の噴火活動の継続も予想されることから、新規シェルターの増設についても検討を。
○ 火砕流、土石流の発生を想定した避難誘導計画を立てること。
3、対策本部の体制と連携
今回の噴火で阿蘇火山防災会議協議会は、火山博物館内に現地対策本部を立ち上げ、また県も対策本部を設置しました。被害がより大規模・広域になった際には気象庁など国の関与はもとより、それぞれの組織、地域防災組織、火山研究者、災害対策専門家等がよく連携し、情報の共有や対策方針の徹底がはかられる事が大切です。指揮系統のあり方についての検討も行なっておく必要があります。
4、農作物、農機具等の被害に対する支援
これから稲刈りのシーズンを迎えます。またキャベツの収穫もこれからです。降灰による農業被害、また降灰が原因で損害を受けた農機具等への補償を行なうこと。
以上
熊本県知事 蒲島郁夫様
2015年9月7日
日本共産党熊本県委員会 委員長 日高伸哉
同 南部地区委員会 委員長 橋田芳昭
同 天草地区委員会 委員長 蓮池良正
熊本県議 山本伸裕
水俣市議 野中重男、高岡朱美
芦北町議 坂本登
津奈木町議 橋口千恵子
天草市議 蓮池良正、浜崎義昭
上天草市議 宮下昌子
特措法判定結果の県の集計結果に関する知事の発言、県の見解に強く抗議し、水俣病被害の全容解明と被害者の救済に真摯に全力で取り組むよう求めます
さる8月25日、熊本県は「特措法判定結果の出生年別、ばく露時の居住市町村別による集計」を公表しました。集計結果によると、熊本県が救済対象と判定した22,816人のうち3,761人が、特措法対象地域外の住民であったということが明らかにされました。これは地元新聞でも強調されているように、水銀被害が行政が想定する範囲以上に広範囲に及んでいるということを裏付けています。
このことに関して知事は9月3日定例記者会見において、「対象地域外に汚染が広がっていたということを科学的に示すものではない」とのべています。知事会見に先立つ県の見解でも、「水銀汚染の広がりで新たな事実を示すものはなかった」と結論づけています。これらの発言は、被害の全容解明とすべての被害者の救済を求め続けている人々の願いに背を向ける、許しがたいものです。
水俣病特措法は、「あたう限りの救済」を掲げながら、患者・被害者などの反対にもかかわらず、申請を締め切り、住んでいた地域や年齢を理由に大勢の被害者を救済対象とせず切り捨て、救済されなかった人の異議申し立てさえも認めませんでした。
対象地域外の人達は、何十年も前の水俣湾等の魚介類を多食したことを示す資料の提出等が求められました。
幾重にも不当な仕組みと行政の対応のなかでも、特措法で救済対象とされた方の実に16.5%が対象地域外であったのです。
こうした事実に向き合わず、「対象地域に汚染が広がっていたということを示すものではない」とことさらに強調することは、水俣病被害者を切り捨て続けてきた、これまでの国・県の姿勢となんら変わらぬ意思を露骨に表すもので、蒲島知事の「患者・被害者に寄り添う」等の発言がいかに無責任で、水俣病患者・被害者、県民を欺くものであるかということをはっきりと示しています。
また、知事は会見で、「あくまでも特措法による救済は、公健法の判断条件を満たさないものの、・・・・地域の紛争を終結させるための政治的救済策である」と述べています。
この発言は、水俣病を発生・拡大させ、関西訴訟最高裁判決で厳しく断罪された、加害者としての反省が微塵も見られないものできわめて重大であり、今後厳しく問われなければなりません。
今回の県の集計結果は、出生年や居住歴による「線引き」の不当性を示すものであり、すべての被害者を救済するためには、何よりも水俣病被害実態の全容を解明する不知火海沿岸全住民の健康調査と環境調査が不可欠であるということを示しています。国とともに、熊本県がその実施のために力を尽くすことこそ求められています。
環境省は昨年3月、公健法に基づく水俣病の認定における総合的検討に関する留意点を関係自治体に通知しました。最高裁判決や行政不服審査会の採決を踏まえたとしていますが、逆に認定のハードルはさらに高まり、通知以降ただの一人も認定されていません。国や県の姿勢が変わらなければ、多くの水俣病被害者が救済されず切り捨てられてしまう状況が続くことになります。これ以上の解決の引き延ばしは決して許されることではありません。
蒲島知事発言に示されたような水俣病問題への姿勢を抜本的に転換し、今こそ被害の実態と向き合い、すべての被害者救済へ、以下の事項に真摯に取り組まれることを求めるものです。
1、水俣病被害実態の全容解明のために、不知火海沿岸住民の健康調査、環境調査を実施すること。
2、いわゆる昭和52年判断条件を見直し、汚染された魚介類を多食し、感覚障害があれば水俣病と認めること
3、地域や年代の線引きを、被害の実態に合わせて見直すこと
4、すべての水俣病被害者を救済するために司法救済制度の確立に向けた具体的な検討を行うこと。
5、水俣病の治療薬や治療方法などの解明のため研究事業を積極的に推進すること。
以上
熊本県知事 蒲島郁夫様
2015年8月10日
日本共産党熊本県委員会
委員長 日高伸哉
県議会議員 山本伸裕
党県女性部長 芋生よしや
党北部地区委員会
玉名市議会議員 前田 正治
知事はJR九州に対し、九州新幹線新玉名駅ホームの無人化計画撤回の要請を
《要請趣旨》
JR九州は九州新幹線の新玉名駅で、ホームへの駅員の配置を取りやめ、無人化する方針を表明しました。経費節減策の一環で、10月1日から実施するとしています。
現在、新玉名駅では上下ホームに駅員一人ずつ配置され、新幹線の車両後方の車掌と一緒に乗降時の安全確認のほか、線路への転落を防止するホームドアの開閉など行なっています。
JR九州は2016年度中の株式上場をめざす中、赤字経営の収支改善策として在来線でも駅の無人化を大規模に進めています。3月には32駅が無人化され、在来線の560駅のうち半数の約280駅が無人化されました。新玉名駅のホーム無人化も、このようなコスト削減の一環であり、新幹線の駅としては全国初となる新玉名駅を皮切りに、他の駅でもホーム無人化を広げて行く方向が伝えられています。
しかし、JRは公共交通機関であり、コスト削減が、安全性や公共性、利用客へのサービス提供よりも優先されるような事態が許されない事は言うまでもありません。
無人化計画に対し駅利用者側からは、「無人化されたら治安が心配」「夜が怖い」「介助が必要な人が安心して利用できなくなる」「新玉名駅は通過車両が多く、無人化されたら事故が不安」「わからないことを訪ねたくてもホームに駅員さんがいなければ困る」などの声が上がっています。また玉名市玄関口である新玉名駅の無人化は地元にとってもイメージダウンであり、多くの観光客に玉名市の魅力を発信し、山鹿・菊池・阿蘇地域との連携による観光振興やまちづくりの総合的発展をはかろうとしている地元の方々の努力に水を差すことになりかねません。
いっぽう、地元の住民団体が看板を市内各地に設置するなど、無人化反対の市民世論と運動もさっそく広がっています。
住民の不安の声に対し、JR九州の対応はきわめて不誠実なものです。玉名市議会は計画への賛否を明らかにし、JRに伝える方針を決めましたが、同社はあくまで計画通り無人化を実施する方針だと伝えられています。また住民への説明会は行わないとし、不安の声に背を向けています。このような中で無人化計画の強行的な推進は決して容認できません。
熊本県としても、JR九州の一方的な無人化計画を黙認するわけにはいかないはずです。県は九州新幹線建設に伴い、2168億円余もの莫大な財政負担を行なってきました。いわば九州新幹線も新玉名駅も県民共同の財産であります。知事は、県民の頭ごなしに勝手に駅ホーム無人化を進める傍若無人な態度のJR九州に対し、強く抗議すべきではないでしょうか。
知事におかれましては、新玉名駅ホームの無人化計画を撤回するよう、JR九州に要請されることを強く求めるものです。
以 上
熊本県知事 蒲島郁夫様
2015年6月3日
日本共産党熊本県委員会
委員長 日高伸哉
県議会議員 山本伸裕
党熊本県地方議員団
熊本県として、安倍内閣にTPP交渉から即時撤退するよう要請を
いま、TPP交渉は重大な局面を迎えています。
日米共同ビジョン声明は、TPP(環太平洋連携協定)交渉の「大きな進展」を強調し、早期妥結をめざす、としました。
2013年4月には衆・参議院で「米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物の重要品目について」、「聖域の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとすること」とする国会決議が採択されました。安倍首相自身もこれまで国会で、「守るべきものは守る」と何度も表明してきました。
ところが安倍首相の訪米に向けて急きょ日米閣僚会合が行われ、そこで日米間の懸案であるコメや自動車の問題が議論されました。報道によると、コメについては米国が21万5千トンの特別輸入枠を要求、日本政府は「主食米5万トン輸入」などの案を出したと伝えられています。さらに牛肉の関税を38・5%から10%に引き下げる、豚肉ではキロ当たり最大482円の関税を50円まで下げるという話も伝えられています。このような内容を受け入れるならば日本の農業が取り返しのつかない大打撃を受けることは目に見えています。また、明らかに国会決議違反であることは言うまでもありません。
米議会での安倍首相の演説では、「単なる経済的利益を超えた、長期的な、安全保障上の大きな意義がある」と述べながら、選挙公約でもある「聖域」確保には一言も触れませんでした。安全保障上の意義を理由に、食と農業、公約や国会決議を守ることよりもアメリカの要求を優先している姿勢が浮き彫りになってきています。
さらに、現在米議会では、TPP協定締結後でも米議会が協定の中身を修正できることになるTPA法案が審議されています。協定の内容が米国の思惑によって変えられてしまう可能性もあります。
TPPは秘密保持契約を盾にした情報の非公開が大きな問題となってきましたが、米国ではすでに全国会議員にTPP交渉文書を全文閲覧できるようにしています。なぜ米国では交渉文書が見られて、日本国内では見られないのでしょうか。これまでも米国の名だたる大企業や業界団体が「利害関係者」として交渉に公然と参加し、各国政府の交渉官と情報を共有し、交渉に口を挟んできました。一握りの多国籍企業に牛耳られ、日本国民は蚊帳の外という、異常な秘密交渉に国の命運を託すわけにはいきません。
これほどの問題点、危険性が浮き彫りになってきたTPP交渉からは、もはや日本政府は即座に撤退を決断する以外に道はないことは明らかではないでしょうか。
県議会におきましても、5月臨時議会において「国会決議を遵守し、国益を守り抜く」ことを求めた決議が全会一致で採択をされました。熊本県におかれましても、安倍内閣に対し、直ちにTPP交渉から撤退するよう要請されることを、強く求めるものです。